株式会社富士キメラ総研は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴うテレワーク/在宅勤務への対応、電子帳簿保存法の施行をはじめとしたペーパーレス化の進展などにより、新たな需要が創出されているソフトウェアの国内市場を調査しました。その結果を「ソフトウェアビジネス新市場 2021年版」にまとめました。
この調査では、業務システム16品目、デジタルマーケティング10品目、情報分析3品目、コラボレーション11品目、ミドルウェア9品目、データベース2品目、運用・管理ツール2品目の計53品目について調査するとともに、パッケージ/SaaSの二つの提供形態別に市場を捉えることでソフトウェアビジネスの現状を明らかにし、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「ソフトウェアビジネス新市場 2021年版」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「ソフトウェアビジネス新市場 2021年版」の全体サマリー
1.ソフトウェア53品目の国内市場
| 2021年度見込 | 2020年度比 | 2025年度予測 | 2020年度比 | |
| SaaS | 9,271億円 | 118.6% | 1兆4,607億円 | 186.8% |
| パッケージ | 7,914億円 | 103.4% | 8,583億円 | 112.2% |
| 合 計 | 1兆7,185億円 | 111.1% | 2兆3,190億円 | 149.9% |
2021年度の市場はコラボレーションやデジタルマーケティング、業務システムなどがけん引し、好調です。ユーザーは、レガシーシステムを活かしながらの最新システムへの更新、DX(デジタルトランスフォーメーション)や業務変革に向けてのシステム構築を進めており、それらの需要を受けて拡大し、前年度比11.1%増が見込まれます。
2021年度も前年度に引き続きSaaS市場がパッケージ市場を上回るとみられます。最新技術に対応したアプリケーションを短期間で導入できることや、外部サービスとの柔軟な連携性、運用負担の軽減、さまざまな拠点からアクセス可能なことなどが評価され、SaaSが導入されるケースが増加しており、2025年度には市場の63%を占めるとみられます。パッケージはカスタマイズを必要とする大企業ユーザーのニーズなどを受けて伸びています。
また、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、ニューノーマル時代の働き方に対応するためのソフトウェアの需要が増加しています。テレワークに対応するための勤怠管理ソフトやWeb会議、非対面コミュニケーションに対応したグループウェアやビジネスチャット、ペーパーレス化を推進するためのOCRソフトウェアや電子契約ツールなどの伸びが目立ちます。
今後もSaaSを軸に市場は堅調に拡大するとみられ、2025年度に2020年度比49.9%増が予測されます。
2.カテゴリー別ソフトウェア53品目の国内市場
| 2021年度見込 | 2020年度比 | 2025年度予測 | 2020年度比 | |
| 業務システム | 4,196億円 | 111.2% | 6,246億円 | 165.5% |
| デジタル マーケティング |
1,976億円 | 113.2% | 2,758億円 | 158.0% |
| 情報分析 | 768億円 | 104.5% | 899億円 | 122.3% |
| コラボレーション | 4,537億円 | 114.4% | 6,364億円 | 160.5% |
| ミドルウェア | 1,634億円 | 109.2% | 2,188億円 | 146.3% |
| データベース | 3,181億円 | 109.7% | 3,731億円 | 128.7% |
| 運用・管理ツール | 893億円 | 104.3% | 1,005億円 | 117.4% |
| 合 計 | 1兆7,185億円 | 111.1% | 2兆3,190億円 | 149.9% |
業務システムは、システム化による業務プロセス効率化が実現できる電子契約ツールや経費精算ソフト、調達・購買管理ソフトなどの需要が増えています。
デジタルマーケティングは、顧客接点の重要度がリアルからデジタル重視へシフトする中で、デジタル技術を駆使したマーケティングや営業、サポートプロセスの実現のために、各製品の需要が増えています。CRMやマーケティングオートメーション、マーケティングプラットフォームなどの伸びが目立ちます。
情報分析は、データに基づいてビジネスの意識決定や課題解決を図るための取り組みが進み、情報分析システムの再構築や新規構築需要が増加しています。
コラボレーションは、テレワーク対応を契機として、コミュニケーションや情報共有の変革のためのソフトウェアの需要が高まっています。特にグループウェアやビジネスチャット、Web会議などのコミュニケーションツールが伸びています。
ミドルウェアは、業務効率化や自動化ニーズの拡大により、RPAツールやローコード開発ツール、Webデータベースの需要が増えています。
データベースは、SaaS(IaaS/PaaS)のデータベース需要が増加するとみられます。
運用・管理ツールは、サポートサービスの業務効率化ニーズの高まりにより、ITサービスマネジメントツールが伸びています。
◆注目個別市場サマリー
1.経費精算ソフト
| 2021年度見込 | 2020年度比 | 2025年度予測 | 2020年度比 | |
| SaaS | 270億円 | 124.4% | 519億円 | 2.4倍 |
| パッケージ | 33億円 | 106.5% | 42億円 | 135.5% |
| 合 計 | 303億円 | 122.2% | 560億円 | 2.3倍 |
※市場データは四捨五入しています
交通費や交際費、出張費などの経費を処理するための申請・承認・精算といった一連のフローを電子化し、経費精算における業務効率化を支援するソフトウェアを対象としました。申請作業の効率化や他のバックオフィス業務ツール/サービスとの連携による利便性向上などを目的として導入が進み、市場は拡大してきました。
2020年度は、新型コロナの流行により在宅勤務が増えたことで、自宅からの経費精算業務が可能な経費精算ソフトの導入が進みました。2021年度も前年比20%を超える伸びが見込まれます。2022年の「電子帳簿保存法」の改正では、帳簿書類のスキャナー保存に関する事前承認制度の廃止、タイムスタンプ要件の緩和、適正事務処理要件の廃止など、大幅な規制緩和によってペーパーレス化が進み、それらへの対応として導入が増えるとみられます。在宅勤務の普及によるオンライン申請/承認作業のニーズ増加、働き方改革の推進による業務効率化、ペーパーレス化に伴うコスト削減などを追い風に、SaaSを中心に市場拡大が予想されます。
各種ツール/サービスとの連携やモバイルデバイスから経費申請が可能なため、SaaSの導入が9割程度を占めています。初期費用/運用管理コストが抑えられることや、法改正や労働環境などの変化に柔軟に対応できる点も中堅/中小企業の需要を取り込む要因となっており、グローバル展開を行う大手企業などでもSaaSを採用するケースが増えています。パッケージは、カスタマイズを求めるユーザーのリプレースが中心ですが、プライベートクラウドを活用したパッケージ製品の利用も増えています。
2.マーケティングプラットフォーム
| 2021年度見込 | 2020年度比 | 2025年度予測 | 2020年度比 | |
| SaaS | 88億円 | 112.8% | 158億円 | 2.0倍 |
| パッケージ | 32億円 | 110.3% | 41億円 | 141.4% |
| 合 計 | 120億円 | 112.1% | 199億円 | 186.0% |
企業のマーケティング活動におけるデータ活用(顧客属性、購買履歴、アンケートデータなど)の進展を受けて、各種データの収集/分析からマルチチャネル(メール、SMS、アプリケーションなど)でのキャンペーン告知や商品のリマインドなど、多様なアクション実施までを一貫して支援する製品として需要が増加しています。
2020年度は、新型コロナ流行に伴う外出自粛により実店舗での購買行動が制限される中、企業のマーケティング活動への取り組みはオフラインでのキャンペーンを通じた集客から、デジタル媒体を通じた顧客アプローチへ大きく移行しました。それにより、店舗およびECサイトを展開する小売業、自社ECサイトを運営する製造業や、金融商品のデジタル化を進める金融業などで導入が進んだことから、堅調に市場は拡大しました。顧客接点を獲得するためにデータを基に顧客理解を深めようとする事業者は増えており、2021年度以降もEC事業者や小売業を中心に導入が増加し、市場は10%を超える伸びが続くとみられます。
提供形態別では、SaaSは導入コストが低く簡便な利用ができるため、大手企業から中堅/中小企業まで幅広い層で導入が進んでおり、今後も高い伸びが期待されます。パッケージは自社システムとの柔軟な連携や各種システムに合わせたカスタマイズが可能なため、大手企業や顧客データの外部管理が難しい企業、大量データの迅速な処理を求める企業などで導入が進んでいます。
【参考】本記事で使用した「ソフトウェアビジネス新市場 2021年版」に掲載している調査対象市場
業務システム
- 大規模企業向けERP
- 中規模企業向けERP
- 財務・会計管理ソフト
- 連結会計管理ソフト
- EPM/予算・実績管理ソフト
- 人事・給与管理ソフト
- 人材管理ソフト
- 採用管理ソフト
- 学習管理ソフト
- 勤怠管理ソフト
- 労務管理ソフト
- 経費精算ソフト
- 電子契約ツール
- 販売・在庫管理ソフト
- 調達・購買管理ソフト
- 生産管理ツール
デジタルマーケティング
- CRM(営業系)
- CRM(顧客対応系)
- ECサイト構築ツール
- CMS
- レコメンドツール
- メールマーケティングツール
- マーケティングプラットフォーム
- マーケティングオートメーション
- オンライン商談
- 名刺管理サービス
情報分析
- BIツール
- データマイニングツール
- テキストマイニングツール
コラボレーション
- グループウェア
- ビジネスチャット
- Web会議
- ワークフロー
- 文書管理ツール/ECM
- ファイル/コンテンツ共有サービス
- プロジェクト管理ツール
- 検索エンジン
- 電子帳票関連ツール(設計・出力)
- 電子帳票関連ツール(運用・保存)
- 電子帳票関連ツール(配信)
ミドルウェア
- EDIツール
- ファイル転送ツール
- CTI/コンタクトセンタークラウド基盤
- RPAツール
- OCRソフトウェア
- ローコード開発ツール
- Webデータベース
- EAI/ESB
- Webクローリング
データベース
- RDBMS
- DWH用DB
運用・管理ツール
- 運用管理ツール
- ITサービスマネジメントツール
◆本記事は「ソフトウェアビジネス新市場 2021年版」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。