株式会社富士キメラ総研は、規則改正やウェルビーイングの推進による需要拡大、次世代技術/AI活用によって高度化するヘルスケア関連のシステム/サービスおよび機器の国内市場を調査しました。その結果を「ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2026」にまとめました。
この調査では、ヘルスケア関連の主要なシステム/サービス17品目、機器22品目の市場の現状を分析し、今後を予想しました。また、育児や保育の支援、女性特有の健康課題解決、介護者や高齢者のサポート、運動能力の向上、睡眠の改善、脳の解析と活性化を実現するシステム/サービスや製品の市場(ヘルステック市場)についても明らかにしました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2026」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.システム/サービス、機器別

システム/サービスは、個人や企業の健康管理に対する意識向上、政府の健康寿命延伸政策に基づく新たなシステム/サービスの開発や利用増加により拡大しています。機器は、2025年の労働安全衛生規則改正に伴う特需により作業者安全管理サービスやファン付き作業着、ウェアラブル冷温デバイスが好調です。
今後は、高齢者の増加に伴いエイジテック関連の需要が増加すると予想されます。特に市場規模が最も大きい高齢者見守りサービスは堅調に伸長し市場をけん引します。また、ヘルスケアビッグデータを提供する次世代医療基盤法関連プラットフォームサービスやPHR(Personal Health Record)関連プラットフォームサービスは2030年に向け高伸長が期待されます。システム/サービスおよび機器は、今後さらにAI機能の実装が進展し、健康に関するデータ管理/分析の高度化、利便性が向上すると予想されます。
2.カテゴリー別

健康管理/増進、医療関連、介護関連、汎用ウェアラブルのいずれの市場も2025年から2030年にかけて年平均5ー6%台の成長率で推移するとみられます。最も規模が大きいのは介護関連市場で、「見守り」「サポート」「五感拡張」に関連する需要が継続的に増加していくと予想されます。
ヘルステック市場

ウェルビーイングを実現する注目ヘルステック6市場のうち、最も規模が大きいのがエイジテック市場です。ここでは65歳以上の高齢者の自立支援や介護者の負担軽減を目的に開発/提供された、個人向け、あるいは介護施設や医療機関向けのシステム/サービスや製品を対象としました。AIの高度化によって多様で複雑な情報解析が可能となったことで、情報を取得するエッジデバイスや解析データを活用したサービスが増加しています。
市場は堅調に拡大しているものの、高齢者宅では通信インフラの整備が大きな課題であり、参入企業ではシステム/サービスや製品にセルラー通信モジュールを搭載して課題解決を図っているところもあります。また、電気通信事業者と連携して通信インフラをセットで提供するケースも増えています。
システム/サービスや製品に対する高齢者の抵抗感や介護施設などの予算制約などもあり急速な拡大は期待しにくいですが、補助金交付やサポートする家族・介護士の認知向上が進んでいることから、今後も市場は堅調に拡大するとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.作業者安全管理サービス

スマートウォッチやスマートバンド、スマートウェアなどのウェアラブル端末を活用し、バイタルデータや位置情報を取得することで作業者の健康状態を見守り、安全管理を行うサービスを対象としました。
労働契約法第5条における使用者の安全配慮義務(使用者が従業員の生命・身体・精神の安全を守る法的義務)やBCP(事業継続計画)対策として、近年大手企業を中心に導入が増加しています。2024年は参入企業の増加によるサービス認知の向上も相まって、市場は堅調に拡大しました。2025年は6月の労働安全衛生規則改正により職場での熱中症対策が義務化されたことで特需が発生しました。また、国土交通省のNETIS(New Technology Information System:新しい工法・材料・機器といった技術を共有・提供するデータベースシステム)に選定されている製品の需要が増加したほか、IT導入補助金も追い風となり、市場は急拡大しました。
サービスの導入は、暑熱作業者を多く抱える建設業が先行しましたが、労働安全衛生規則の改正により製造業や運送業などでも需要が急増しているため、当面市場の拡大は続くと予想されます。中小企業では改正時にスマートウォッチのみの簡易な導入にとどまるところが多かったのですが、今後は管理システムを含めたリプレースが期待されます。
職場での熱中症対策の義務化は、外気を取り込んで汗を気化させ気化熱で体温を下げるファン付き作業着や、電流の流す方向を切り替えることで装着する首周辺を冷却・加温できるウェアラブル冷温デバイスの市場にも特需をもたらしました。ファン付き作業着の市場は2025年に前年比71.8%増となり、2030年には475億円が予測されます。また、ウェアラブル冷温デバイスの市場は2025年に同12.5%増となり、2030年には122億円が予測されます。
2.集音器

補聴器が耳に装着し音声を増幅する管理医療機器であるのに対し、集音器は耳に装着し周囲の音を一律に大きくする音響機器です。また、音楽鑑賞を主目的とした音質補正機能を有する両耳独立型の音響機器(ヒアラブルデバイス)は対象外としました。
補聴器のようなフィッティングを必要せず手軽に利用できる反面、個人別の調整がしにくいことなどもあり利用率は低かったです。しかし、近年はBluetoothの高性能化による音質向上や低遅延化、充電式への対応、ノイズ調整といったヒアラブルデバイスの技術を活用したセルフフィッティング機能搭載製品が相次いで発売され、市場が拡大しています。
管理医療機器である補聴器は第三者認証機関による認証が必要ですが、音響機器である集音器はその必要がないこともあり、2025年には大手オーディオメーカーが参入し、注目度が高まっています。また、ヒアラブルデバイスの利用者増加によって、耳に機器を装着することへの心理的ハードルが低下しており、音質のカスタマイズもしやすくなっているため、軽度難聴者の新規需要を掘り起こすとみられます。現在およそ350万人が活用していますが、そのリプレース需要も期待されます。ただし、ヒアラブルデバイスでもセルフフィッティング機能の搭載が進むとみられることから、市場は拡大しますが、競合により緩やかな拡大にとどまると予想されます。
2025年の補聴器およびヒアラブルデバイスの市場は566億円、564億円と、集音器市場のおよそ10倍の規模です。補聴器はAIやセンサーを搭載した製品や低価格製品、聴力検査なしで購入可能なOTC補聴器なども発売され、聴力補助に加えて健康管理向けにも活用が広がっています。助成金を出す自治体の増加も市場拡大につながっています。ヒアラブルデバイスは耳に装着して心拍数が測定できることから、健康管理にも活用されています。2024年、2025年は耳穴を塞がず周辺音も把握可能なオープンイヤー型の製品が流行し市場をけん引しました。
【参考】本記事で使用した「ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2026」に掲載している調査対象市場
ヘルスケア関連システム/サービスおよび機器
1.システム/サービス(17品目)
1)健康管理/増進
- 健康管理支援サービス
- PHR関連プラットフォームサービス
- 次世代医療基盤法関連プラットフォームサービス
- 作業者安全管理サービス
- 法人向け健康管理システム
- 自治体向け健康管理システム
- 保健指導支援サービス
- 健診システム
2)医療関連
- 免疫可視化ソリューション
- ニオイ計測/提示システム
- 呼気分析システム
- オンライン医療ソリューション
- 簡易検査サービス
- DTC遺伝子検査サービス
3)介護関連
- 歩行/姿勢解析サービス
- 高齢者見守りサービス
- 介護支援システム
2.機器(22品目)
1)健康管理/増進
- スマートウォッチ
- ヘルスケアバンド
- スマートウェア
- スマートシューズ
2)医療関連
- ヘルスメーター
- 血圧計
- 体温計
- 血糖測定器
- スマートパッチ
- スマートコンタクトレンズ
- スマートトイレ
3)介護関連
- ベッドシート型センサー
- アシストスーツ
- 見守りGPS
- 補聴器
- 集音器
4)汎用型ウェアラブル
- ヒアラブルデバイス
- スマートリング
- スマートグラス
- HMD
- ファン付き作業着
- ウェアラブル冷温デバイス
ヘルステック
- ベビーテック
- フェムテック
- エイジテック
- スポーツテック
- スリープテック
- ブレインテック
◆本記事は「ウェアラブル/ヘルスケアビジネス総調査 2026」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。