株式会社富士経済は、毎年行っている加工食品の市場調査を7月より開始しました。調査は20カテゴリー383品目を対象に、4回に分けて実施します。第3回は、酒税法改正もあり業界全体で市場活性化に向けた取り組みがみられるアルコール飲料、需要の二極化が進む清涼飲料類や嗜好品の3カテゴリー96品目の国内市場を調査し、その結果を「2026年 食品マーケティング便覧 No.3」にまとめました。
この調査では、対象品目の2014年から現在までの市場動向と、温度帯や用途、チャネル、パッケージの動向、参入企業やブランドの動向などを分析し、2032年までの市場を予想しました。また、4回の調査終了後には、その調査結果を総合的、横断的に分析するとともに、加工食品業界の将来を展望します。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2026年 食品マーケティング便覧 No.3」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.調査結果の概要
清涼飲料類は、2025年も値上げが相次いでいますが、健康価値を訴求した付加価値商品の需要は底堅く、リフレッシュ、リラックスニーズを訴求した商品でのフレーバー展開などにより市場拡大が続くとみられます。
品目別では、コーヒー飲料が主要チャネルである自販機の割高感もあり、値上げによる買い控えがみられる一方で、甘さ離れにより茶系飲料、ミネラルウォーター類が好調です。日本茶は上位企業がコモディティ化脱却に向けたブランド立て直しを図るため、商品の大幅リニューアルやプロモーション強化を積極的に行っています。また、飲用牛乳類は乳価改定で販売量が落ち込んでいますが、鉄分摂取に対するユーザーの関心が高まっており、健康訴求による需要獲得が進むなど明るい材料もみられます。
アルコール飲料は、2025年は4月に国産ビールやRTDなどで値上げが行われ、買い控えがみられたことから、市場は前年比0.8%増が見込まれます。
外食産業におけるコロナ禍からの回復も一巡感がみられ、健康志向や若者のアルコール離れ、メインユーザーの高齢化などにより、市場の伸びは緩やかとなっています。一方で、無糖商品やコスパの良さなどニーズ変化に対応した商品は好調であり、ノンアルコールドリンクも大手企業による新ブランド発売が相次いでいます。また、2026年10月にはビール類の税率一本化、チューハイの税率引き上げにより、アルコール飲料内での需要の流出入が予想されますが、企業では規格の変更や新商品の投入などを進めており、アルコール飲料全体の市場の活性化に向けた取り組みが続くとみられます。
嗜好品は、原料価格高騰の影響が顕著です。2025年の春と秋に前年以上の値上げを行った企業も多いことから、市販用では既存ユーザーの離脱が顕著でしたが、業務用は酷暑による外出率低下はあったもののインバウンド需要増加が寄与し堅調です。前年に続き、節約志向が強まりPBやまとめ買い商品への需要シフトがみられるとともに"プチ贅沢"を楽しむための付加価値商品の需要が増加し、二極化が進んでいます。
コーヒーでの原料価格の高騰による値上げの影響が大きく、コーヒー豆などと比較し、1杯当たりが高単価な簡易抽出型コーヒーは特に購入意欲の減退がみられます。また、緑茶は縮小が続いていますが、訪日外国人観光客による抹茶人気により緑茶全体の荒茶価格が上昇しており、2025年は微減にとどまるとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.RTD
2024年は、前年10月の酒税法改正を受けて、発泡酒・新ジャンルビール風味アルコール飲料などエコノミービールからのシフトがみられ、市場は拡大しました。2025年は、4月に多くの商品が値上げを実施したことで買い控えが発生しましたが、ビール類からの需要シフトが続いているほか、食事中の飲用需要を捉えた無糖商品やハイボールも好調を継続しており、拡大が予想されます。
2026年10月の酒税法改正により、RTDの酒税が引き上げられることから、値上げに伴う買い控えのため一時的な伸びの鈍化が予想されます。一方で、同時期に発泡酒、新ジャンルビール風味アルコール飲料の酒税も上がることはRTDへの追い風でもあり、市場拡大が続くと予想されます。
チューハイ
RTDの8割以上を占めています。2024年は、無糖商品を中心にビール類からの需要シフトがみられたほか、需要が高まる夏場の猛暑により、市場が拡大しました。2025年は、無糖商品の好調が続いているほか、サッポロビール「濃いめ」やアサヒビール「贅沢搾り」などがフレーバーの濃厚感とコストパフォーマンスの良さから好調です。また、健康志向の高まりを背景に低アルコール化が進んでおり、大手小売がアルコール度数2%のPBを発売し、裾野の拡大を図っています。
なお、フレーバーとしては、レモンサワーが市場の4割以上を占めています。2025年は、参入企業各社による継続的な商品開発・投入が行われており、今後も市場拡大をけん引するとみられます。
水割り洋酒・ハイボール
2024年は、ハイボールブームに一巡感がみられましたが、ウイスキーブランドからの新商品投入によるアイテム数増加、サントリーによるTVCMなど積極的なプロモーション展開により市場が拡大しました。2025年は、4月に上位ブランドを中心に値上げが実施されたこともあり販売量の伸びは鈍化しますが、食事中の飲用需要が続いていることから、市場は前年比二桁増が見込まれます。
酒税法改正によってビール類内で国産ビールへ需要がシフトする中、水割り洋酒・ハイボールへの参入企業の注力度は高く、今後も市場拡大が続くと予想されます。なお、PBでもハイボールの発売などが増えていますが、ウイスキーブランド自体にファンが付いていることもあり、他のRTDと比較してPBに需要が流れづらい傾向にあります。一方で、嗜好品にかける支出の減少がみられる中、RTDとしては単価が高いことから、買い控えや他へのシフトが懸念されます。
2.ノンアルコール飲料
習慣的にアルコールを飲用する層の減少もあり、アルコール飲料メーカー各社が注力度を年々高めています。以前はビール以外のノンアルコールの選択肢は少なかったですが、近年はノンアルコールドリンクの商品数が増え、消費者の選択肢も広がっていることから、市場拡大が予想されます。
ノンアルコールビール
2024年は、キリンビールが「グリーンズフリー」の広告展開を強め、飲用シーンの開拓を図ったほか、4月に全国発売となったアサヒビール「アサヒゼロ」の急成長が市場拡大をけん引し、前年比二桁増となりました。2025年は、「アサヒゼロ」が大規模なサンプリングによる飲用機会の創出などにより引き続き好調なほか、キリンビールとサントリーが9月に新ブランドを発売したことやビール類ユーザーからの需要の流入もあり、市場は拡大するとみられます。
また、輸入ビールの主力ブランドから派生した商品展開もみられるほか、"本格的な味わい"や"ビール好きのための"といった訴求をするPBも発売され、小売店の注力度も高まっています。
ノンアルコールドリンク
2024年は、アサヒビール「スタイルバランス」がブランド刷新に伴うプロモーション強化により好調だったことから、市場は前年を上回りました。しかし、既存商品ではアイテム数の増加から需要が分散し、販売が落ち込むケースもみられました。2025年は参入企業各社から新ブランドが発売され、消費者の選択肢が広がったことで、市場は、コロナ禍で家飲みが広がった2022年以来の前年比二桁増が見込まれます。
これまでは日頃からアルコールを飲用する層に向けたアプローチが主でしたが、アルコール離れが進む若年層獲得に向けて普段飲まない層への提案も増えています。
3.豆乳類
2024年は、健康への関心の高まりから、たんぱく質含有量が多い無調整豆乳を中心に需要が伸び、市場が拡大しました。2025年は、エントリーユーザー向けの小容量商品投入や、朝食時の飲用促進など、需要喚起策が奏功し、市場は拡大するとみられます。なお、小容量商品は、豆乳の飲用習慣がある中国、韓国などアジア諸国からのインバウンド需要も獲得しています。
イソフラボンの摂取を目的とした需要が増加しており、参入企業による取り組み強化もあって、健康需要の獲得が進んでいます。しかし、同じ植物性飲料であるアーモンドミルク(当市場対象外)や、たんぱく質を訴求する商品の増加などから、競合が激化していくとみられます。
4.トマト飲料
2024年は、若年層のエントリーユーザーが増加したほか、レモン果汁とミックスしたアレンジ飲料の人気なども追い風となり、懸念された値上げによる需要減退が抑えられ、市場が拡大しました。2025年は、中高年層を中心とした血圧・コレステロール対策商品のリピート需要が堅調なほか、引き続き美容効果を訴求した若年女性の需要取り込みが進んでおり、市場が拡大するとみられます。
清涼飲料類では、健康訴求を行う商品が増えているため、競合激化が予想されますが、レシピ提案による生鮮トマトを代替した調理用途での需要増加なども期待されます。また、ホテルの朝食バイキングを中心にインバウンド需要を獲得しています。
【参考】本記事で使用した「2026年 食品マーケティング便覧 No.3」に掲載している調査対象市場
清涼飲料類
- 100%果汁飲料
- 果汁飲料
- 低果汁入清涼飲料
- 果粒含有果実飲料
- 果肉飲料
- トマト飲料
- 野菜飲料
- 果実野菜混合飲料
- コーラフレーバー飲料
- 透明炭酸飲料
- 果汁系炭酸飲料
- ジンジャーエール
- 乳類入炭酸飲料
- 無糖炭酸飲料
- 飲用牛乳類
- 色物乳飲料
- 乳製品乳酸菌飲料
- 乳酸菌飲料
- ドリンクヨーグルト
- 乳類入清涼飲料
- 缶コーヒー
- リキッドコーヒー
- 紅茶(リキッドタイプ)
- ウーロン茶(リキッドタイプ)
- 日本茶(リキッドタイプ)
- 麦茶(リキッドタイプ)
- ブレンドティ
- その他ティードリンク
- バラエティドリンク
- 缶入りスープ
- 食系ドリンク
- 薬系ドリンク
- 健康サポート飲料
- パウチゼリー飲料
- 機能性清涼飲料
- スポーツドリンク
- 粉末機能性清涼飲料・スポーツドリンク
- 豆乳類
- アーモンドミルク
- ビネガードリンク(ストレート)
- 国産ミネラルウォーター類
- 輸入ミネラルウォーター類
- サワードリンク
- トニックウォーター
- 乳幼児向け飲料
- 殺菌乳製品乳酸菌飲料(コンク)
- ビネガードリンク(コンク・市販用)
- 希釈飲料
アルコール飲料
- 清酒
- 合成酒
- 焼酎甲類
- 焼酎乙類
- 甲乙混和焼酎
- 韓国焼酎
- RTD
- チューハイ
- レモンサワー
- 水割り洋酒・ハイボール
- ノンアルコールドリンク
- ウイスキー
- ブランデー
- ビール類
- 国産ビール
- プレミアムビール
- 国産発泡酒
- 国産新ジャンルビール風味アルコール飲料
- 輸入ビール類
- クラフトビール
- 機能型ビール類
- ノンアルコールビール
- スピリッツ
- 国産ワイン
- 輸入ワイン
- スパークリングワイン
- 梅酒
- リキュール類
- レモンサワーの素
- マッコリ
嗜好品
- レギュラーコーヒー
- 簡易抽出型コーヒー
- ポーションコーヒー
- インスタントコーヒー
- インスタントティー
- ココア
- スティックタイププレミックス飲料
- 紅茶(ティーバッグ・リーフ)
- 緑茶
- 緑茶ティーバッグ
- 粉末緑茶(市販用)
- 麦茶
- その他茶
- 健康茶(市販用)
- 甘酒
- 粉末飲料
- 青汁
- 麦芽ドリンク
◆本記事は「2026年 食品マーケティング便覧 No.3」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。