株式会社富士経済は、機能性表示食品制度の活用で拡大が続く保健機能食品(機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品)の市場を調査し、その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2025 No.3 機能性表示別市場分析編」にまとめました。
この調査では、保健機能食品について、ヘルスクレーム別、訴求効能別、注目成分別に最新の市場を捉えました。さらに2025年で機能性表示食品制度開始から10年を迎えることから、機能性表示食品市場の変遷をまとめました。「同 No.1」ではサプリメント市場を分析し、「同 No.2」では、明らか食品とドリンク類の市場を分析しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「H・Bフーズマーケティング便覧 2025 No.3 機能性表示別市場分析編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.機能性表示食品、特定保健用食品の国内市場
機能性表示食品は、近年「Yakult1000」(ヤクルト本社)など睡眠関連のヘルスクレームの活況や、無糖茶やドリンクヨーグルトの既存商品が機能性表示食品にリニューアルされるなどの動きがあり、高い伸びが続きました。2024年は市場をけん引してきた睡眠ブームが落ち着いたため伸びが鈍化しますが、拡大が続くとみられます。免疫機能維持やストレス緩和に関するヘルスクレームが高成長を維持していますが、市場が飽和しつつある中、参入企業では新規顧客の獲得からミドル・ヘビーユーザーの育成へと軸足を移す動きもみられます。なお、サプリメントは3月の健康被害問題の影響を受けて、前年を下回るとみられますが、2024年後半には影響が収束しつつあり、今後は再拡大すると予想されます。
特定保健用食品(トクホ)は、機能性表示食品制度の開始以降優位性が低下し、企業も低コストで商品開発が行える機能性表示食品に軸足を移したことから2017年以降市場は縮小してきました。2024年も複数のブランドが終売したため、市場縮小が続くとみられます。しかし「明治ブルガリアヨーグルト LB81 プレーン」(明治)や「伊右衛門 特茶 a TOKUCHA」(サントリー食品インターナショナル)といった代表的なブランドが上向くなど好材料もあり、縮小幅は緩やかになるとみられます。2024年には"心血管疾患になるリスクを低減"を表示した商品が登場しました。機能性表示食品では実施できない疾患名の具体的な表示による訴求は差別化につながるとみられ、今後他の疾患について表示の広がりが期待されます。
2.機能性表示食品のヘルスクレーム別市場規模ランキング
機能性表示食品制度開始直後の2016年から2024年に至るまで、脂肪(低減)が1位を継続しています。代表的な健康課題である生活習慣病の予防やダイエットと関わりが深く、"体の脂肪を減らす"というわかりやすい訴求でニーズを掴んできました。2位以下のランキングは、機能性表示食品制度が定着し様々なヘルスクレームの商品が登場したため大きく変動し、脂肪関連以外のヘルスクレームが増加しています。
脂肪関連以外では、2016年は初期のヒット商品である「えんきん」(ファンケル)などによりアイケア関連のヘルスクレームが注目されました。2020年はひざ関節の動きのサポートや関節軟骨の維持を訴求したサプリメントが台頭しました。2024年は「Yakult1000」「Y1000」(ヤクルト本社)に代表される、ストレス緩和や睡眠関連のヘルスクレーム、「キリン iMUSE」シリーズ(キリンビバレッジ)を始めとする免疫機能維持といった、2020年前後に市場が形成されたヘルスクレームの台頭が目立ちます。
◆注目個別市場サマリー
1.疲労感軽減に関するヘルスクレーム
クエン酸やアミノ酸、酢酸などによる疲労感軽減を訴求した商品が多く、2020年以降、機能性表示食品の届出が大幅に増加し、2021年から順調に拡大しています。黒酢ドリンクやスポーツドリンク、菓子、サプリメントなどが展開されており、参入企業が活発に新商品発売やリニューアルを行っていることから、2024年も市場は伸びが続くとみられます。コロナ禍のライフスタイルの変化に伴って、疲労を実感する人が増えたことで注目され、コロナ収束後も休息を求めるユーザーの需要を獲得しています。
疲労感軽減単体の訴求が主体ですが、2023年以降は、訴求力強化のため、他のヘルスクレームで展開してきた商品に疲労感軽減のヘルスクレームを加えるケースもみられ、脂肪(低減)をはじめ、生活習慣病予防関連の組み合わせが活発です。
2.脂肪に関するヘルスクレーム
単体のヘルスクレームを訴求するシングルと複数の組み合わせを訴求するマルチに区分しました。保健機能食品の中で最も規模の大きいカテゴリーであり、機能性表示食品と特定保健用食品が展開されています。また商品もサプリメント、明らか食品、ドリンク類とバリエーションが豊富です。
市場は、機能性表示食品の濃い系緑茶など無糖茶がけん引しています。2024年も無糖茶をはじめとするドリンク類は好調を維持しましたが、サプリメントは別カテゴリーでの健康被害問題の影響で、脂肪関連の商品でも定期購入客の離脱やサプリメントへの不信感により苦戦したため、市場は前年比1.9%増の3,684億円が見込まれます。
シングルヘルスクレームは、脂肪(低減)と脂肪(吸収抑制)があります。しかし競合激化に伴って、マルチヘルスクレームによる訴求力強化が活発となり、切り替えの動きもあるため、2025年には双方とも前年を下回るとみられます。脂肪(低減)は、ニーズの高さからシングルヘルスクレームでありながら成長を続けてきたが新奇性は低下しており、ブランドの活性化策としてマルチヘルスクレームへの切り替えが起こる可能性は高いです。
マルチヘルスクレームは、ブランドの差別化のために多機能化を図る動きが活発であり好調が続いています。ブランドのリニューアルに伴う機能の追加・変更も多いため、各カテゴリーの実績は浮き沈みがあり、近年はトリプルヘルスクレームが伸びています。多いものでは5つ以上のヘルスクレームを有する商品存在しますが、マルチ化が進むことでターゲットが広がる一方、個別機能の訴求力が落ちるという課題もみられます。
3.免疫機能維持に関するヘルスクレーム
新型コロナウイルス感染症が流行した2020年に届出が公表され、同年中に当領域では初の機能性表示食品が発売されました。新型コロナ治療薬などの対応策が確立されていない状況下で、体調管理ニーズを獲得しました。その後ワクチン接種の広がりなどから特需は落ち着きましたが、参入企業による積極的な商品展開やプロモーションにより順調な拡大が続きました。関与成分はキリングループの展開するプラズマ乳酸菌のみでしたが、2022年以降は独自の関与成分で機能性表示食品の届出を行う企業が登場し、広がりがみられます。
新型コロナの収束に伴って感染予防の需要は落ち着きましたが、参入企業は日々の体調管理、コンディショニングを啓発することで需要開拓を進めており、2024年も前年比二桁増の410億円が見込まれます。
市場の90%以上を免疫機能維持のみを訴求するシングルヘルスクレームの商品が占めています。現状、マルチヘルスクレームの商品は少ないですが、脂肪(低減)や睡眠といった消費者の関心が高い機能を組み合わせて需要獲得に成功する商品もみられます。
【参考】本記事で使用した「H・Bフーズマーケティング便覧 2025 No.3 機能性表示別市場分析編」に掲載している調査対象市場
保健機能食品
- 特定保健用食品
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
ヘルスクレーム
- 脂肪横断
- 糖横断
- 血圧横断
- コレステロール横断
- 認知横断
- 睡眠横断
- 免疫機能維持横断
- 疲労感軽減横断
- 肌の保湿横断
- 光刺激保護コントラスト調節横断
- 脂肪(低減)
- 腸内環境
- 腸内環境×ストレス緩和×睡眠
- 膝関節
- 脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)
- 免疫機能維持
- 脂肪(吸収抑制)
- 血圧
- 膝関節×筋力維持
- 腸内環境/便通改善
- 疲労感軽減
- 脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)×血圧
- 脂肪(低減)×脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)
- コレステロール
- 睡眠
- 光刺激保護コントラスト調節
- 糖(吸収抑制)
- 認知(記憶)
- 肌の保湿
- ストレス緩和
成分
- 乳酸菌
- カテキン
- 食物繊維
- ビフィズス菌
- DHAEPA
- GABA
- ローズヒップ由来ティリロサイド
- 中鎖脂肪酸
- 乳酸菌横断
- GABA横断
訴求効能
- 滋養強壮
- 肝機能改善
- 美容効果
- 整腸効果
- 抑制系燃焼系ダイエット
- その他ダイエット
- スポーツサポート
- 脂肪コレステロール値改善
- 血糖値改善
- 高血圧予防
- 認知機能サポート
- その他生活習慣病予防
- 血行促進
- 免疫対策
- ストマックケア
- 基礎栄養チャージ
- 骨サポート
- 関節筋肉サポート
- 貧血予防改善
- オーラルケア
- アイケア
- ビタミンミネラルチャージ
- ストレス緩和
- 睡眠サポート
- グリーンチャージ
◆本記事は「H・Bフーズマーケティング便覧 2025 No.3 機能性表示別市場分析編」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。