株式会社富士キメラ総研は、自動車の電動化やペロブスカイト太陽電池の普及、サステナビリティ社会の実現に向けた環境対応、食品の賞味・消費期限の延長などによって、注目が集まる機能性フィルムの国内市場を調査し、その結果を「2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」にまとめました。
この調査では、モビリティ分野6品目、エネルギー分野5品目、ライフサイエンス分野5品目、建築・農業分野7品目、パッケージ分野6品目、バリアフィルム分野5品目の機能性フィルムを対象に、国内市場と一部世界市場の現状を明らかにし、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
機能性フィルムの国内市場
モビリティ分野は、電動車の生産増加を背景に関連部材の需要が高まっており、電動車モーター用絶縁フィルムなどの伸長率が高いです。2024年の市場は194億円が見込まれます。
今後、電動車や自動運転の普及により、駆動用モーターの搭載率増加やフロントグリルの樹脂化などが予想され、電動車モーター用絶縁フィルムや自動車用加飾フィルムなどは引き続き好調に推移するとみられます。加えて、環境対応を背景にVOC(揮発性有機化合物)削減需要が高まっており、塗装代替として自動車用加飾フィルム、内装固定用の溶剤系接着剤代替として自動車内装用両面テープなどへの置き換えが進み、2030年の市場は2023年比67.6%増が予測されます。
エネルギー分野は、LiB向けが中心であり、特に、LiBセパレーターが市場の9割強を占めています。電動車におけるLiBの需要が高く、LiBセパレーターがけん引し2024年の市場は726億円が見込まれます。
引き続き、自動車の電動化とともにLiBセパレーターの需要が高まると予想されます。加えて、フィルム状のペロブスカイト太陽電池が大きく伸びることで、次世代太陽電池用バリアフィルムも伸長するとみられるため、2030年に向けて市場拡大が予想されます。
パッケージ分野は、嵌合ふたと比較し賞味期限延長と環境対応が両立できるイージーピールフィルムなどが前年に比べ大きく伸長し、市場拡大に繋がっています。一方、鮮度保持フィルムは伸びが鈍化しています。青果物などの価格が高騰したことで、より安価な防曇フィルムへ切り替えが進んでいます。
規模の大きいイージーピールフィルムの伸びが今後も市場拡大をけん引すると予想されます。また、食品や医療・医薬品といった従来の用途に加え、化粧品や電子・工業分野などでの採用を目指す動きが活発になっているため、2030年に向けて市場拡大が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.自動車用加飾フィルムの国内市場
自動車用のインサート成形に使用される加飾フィルムを対象とします。
高級感がでるため、塗装やメッキを代替しています。金属調や新しい意匠の表現、カラーバリエーションの多彩化によって、内装材を中心に多くの自動車メーカーが採用しています。ただし、原料コストの増加に伴い車体価格への上乗せが生じるため、一部では採用を控えるケースもみられます。2024年の市場は、値上げの効果もあり前年比7.7%増が見込まれます。
塗装やメッキと比べて電磁波透過性に優れる利点があるため、自動運転が推進される中、ミリ波レーダー周辺への採用が増えています。さらに、電動車ではフロントグリルを樹脂化できるため外装材への展開も始まっています。
中長期的には、徐々に自動車生産台数が回復に向かい需要増加が予想されます。2028年頃から外装材への普及も始まるとみられ、2030年の市場は2023年比3.4倍が予測されます。
2.電動車モーター用絶縁フィルムの国内市場
電動車の駆動用モーターに使用される絶縁性フィルムを対象とします。
電動車の生産増加と共に市場は拡大しています。主要材料であるアラミドペーパーの高騰を受けた値上げも市場を押し上げています。
今後も電動車の生産は増加することから、2030年に向けて市場の続伸が予想されます。また、電動車のモーターの高出力化が進むことで、絶縁フィルムを用いる分布巻きモーターの採用が増えるとみられるため、2030年の市場は2023年比2.4倍が予測されます。
3.建築用ウィンドウフィルムの国内市場
窓ガラスなどに貼り付けることで飛散防止やUVカット機能を付与します。また、屋内温度の調整も可能となるため、省エネルギー効果への期待が高まっています。
2024年は、材料価格や人件費の高騰によって建築需要の高まりが鈍化していますが、値上げの影響で市場拡大が予想されます。
2025年以降は、遮熱・断熱といった温度管理ニーズの高まりで普及が予想されるため、引き続き市場は拡大するとみられます。
4.イージーピールフィルムの国内市場
ゼリーや豆腐などの食品容器のふたに採用されています。
賞味期限延長や環境対応を目的とする嵌合ふたからの切り替えが進んでいます。嵌合ふたよりも密閉性が高い上に樹脂使用量が少なく、特にCVSは取り組みが先行しています。2024年の市場は前年比7.9%増が見込まれます。デザート商品での採用が約3割を占めますが(数量ベース)、2024年は米不足を背景とする無菌包装米飯など米飯類の需要増加で食品容器のニーズも高まり、市場拡大に貢献しています。
賞味期限延長と環境対応が両立できるため、今後はスーパーマーケットの惣菜など採用の裾野が広がるとみられます。また、フードロス削減の観点から宅配弁当を含めた冷凍食品の需要が増加することなども市場拡大に繋がると予想されます。
【参考】本記事で使用した「2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」に掲載している調査対象市場
モビリティ
- 自動車用加飾フィルム※
- 自動車用転写フィルム※
- 自動車用ウィンドウフィルム※
- 電動車モーター用絶縁フィルム※
- 自動車内装用両面テープ※
- CFRP用離型フィルム※
エネルギー
- LiB用セパレーター※
- LiB用ラミネートフィルム※
- 太陽電池用封止フィルム※
- 太陽電池用バックシート※
- 次世代太陽電池用バリアフィルム※
ライフサイエンス
- 通気性フィルム
- PTPシート
- 滅菌紙
- テープ剤用離型フィルム
- 癒着防止フィルム
建築・農業
- 調光フィルム※
- 化粧シート
- 透湿防水シート
- 建築用ウィンドウフィルム※
- ラミネート鋼板用フィルム
- 農業用マルチフィルム
- 農業用光学フィルム
パッケージ
- 鮮度保持フィルム
- イージーピールフィルム
- 方向性フィルム
- 低吸着フィルム
- 吸湿フィルム
- 酸素吸収フィルム
バリアフィルム
- アルミ蒸着フィルム
- 透明蒸着フィルム※
- PVDCコートフィルム
- PVAコートフィルム
- ハイバリアフィルム※
※世界市場も算出しています
◆本記事は「機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。