株式会社富士経済は、既存物件での旺盛な更新需要が期待できるうえ、脱炭素・省エネに向けた取り組みの加速、新型コロナウイルス感染症の流行を受けた換気・空気清浄・除加湿・快適性など新たな付加価値が注目される需要も顕在化している空調・熱源機器の国内市場を調査しました。その結果を「HVAC機器・関連ビジネス市場の全容 2023」にまとめました。
この調査では、空調・熱源関連機器16品目の市場を10区分の需要分野について分析しました。また、エンジニアリング、保守・メンテナンスといった関連ビジネス市場を調査することで、空調・熱源市場のバリューチェーンを明らかにしました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「HVAC機器・関連ビジネス市場の全容 2023」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.空調・熱源機器の国内市場
2021年は新型コロナ流行の影響から一部でプロジェクトの遅延やユーザーの投資意欲の減退による更新案件の中止・延期がみられたために、市場は前年割れとなりました。
2022年は新型コロナによる投資控えからの回復、また、為替変動やそれに伴う部品・部材価格高騰の影響を受け、熱源機器、二次側機器両方で価格が高騰していることもあり、市場は拡大しています。ただし、数量ベースでは、特に上半期における中国工場のロックダウンやウクライナ情勢を起因とする電子部品などの部材遅延、施工遅延などにより、微増にとどまるとみられます。
中長期的には、2025年頃までは都市圏を中心とした大型再開発、産業施設向けの増加により、市場は微増が続くと予想されます。以降は、業務施設などの建築物ストック数の減少に伴い、ファンコイルユニット(FCU)、VAV/CAVユニット、冷凍・冷蔵ショーケース、個別空調向け室内機が縮小するとみられます。一方で、エアハンドリングユニット(AHU)、外気処理ユニット、全熱交換器は更新需要の顕在化や良好な室内空気質(IAQ)ニーズの高まり、ZEB化の推進などに伴い伸びが予想されます。
2.空調・熱源関連ビジネスの国内市場(2021年実績)
空調・熱源関連ビジネスの2021年の市場は3兆4,829億円となりました。
施工エンジニアリングは、主に空調系サブコンが提供しており、8割強を占めています。次いで電気系サブコン、メンテナンス会社、エレベータ保守会社の順となっており、市場は1兆6,574億円と最も大きいです。
保守・メンテナンスの市場は4,625億円で、サービスの提供は、メンテナンス会社が6割弱を占めました。
オンサイトエネルギーサービスは、エネルギーサービス会社が主体です。また、一部の計装会社、空調系サブコン、電気系サブコンがESCOにて市場参入しており、市場は1,548億円となりました。
計装エンジニアリングは、計装会社が大部分を占めており、1,190億円の市場となりました。
遠隔モニタリングは、計装会社、エレベータ保守会社の構成比が高く、市場は82億円となりました。
BEMS/節電アグリゲーションについては、メンテナンス会社主体で、市場は60億円となりました。
◆注目個別市場サマリー
1.チリングユニット
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2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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486億円 |
108.2% |
510億円 |
113.6% |
セントラル空調システムにおける冷温水を作り出す機械で、空冷式と水冷式を対象とします。
2022年上期は、中国工場のロックダウンの影響により、半導体部品の需給が逼迫した状況が続いたほか、施工部材の供給不足に陥ったことにより工期遅延が相次ぎました。下期からはロックダウン解除により、半導体部品や施工部材の供給状況が正常化しつつあり、投資意欲も回復していることから、市場は2021年比8.2%増の486億円が見込まれます。
2025年までは、都市圏を中心とした大型再開発による新設需要、産業施設向けの増加、データセンターなど特定需要分野の成長により、新設・更新ともに伸びるとみられます。以降は産業施設や大型再開発が一段落すること、主に業務施設の建築物ストック数の縮小に伴って更新需要が減少することから、市場は縮小が予想されます。
脱炭素の影響により、化石燃料駆動空調機器(吸収式冷凍機など)からのシフトが進むと予想されます。ビル用マルチエアコン(VRF)と競合し、従来はイニシャルコストの優位性からVRFを選択するユーザーが多かったですが、2025年からVRF指定製品化が始まり微燃性冷媒であるR32の採用が進むとみられることから、一部施設では水配管を使用するチリングユニットが優先的に採用されると予想されます。
2.エアハンドリングユニット(AHU)
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2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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冷温水式 |
228億円 |
108.6% |
249億円 |
118.6% |
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直膨式 |
115億円 |
108.5% |
132億円 |
124.5% |
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合 計 |
343億円 |
108.5% |
381億円 |
120.6% |
冷却・加熱に必要な熱源装置を内蔵することなく、外部熱源による冷水・温水・蒸気などを用いて空気の冷却・除湿・加熱を行う装置を対象とします。
冷温水式
2022年は、中国工場のロックダウンの影響による部品供給不足の影響から、施工部材不足による工事案件の遅延が生じました。下期からはロックダウン解除に伴い機器部品や施工部材の不足状況が解消しつつあること、受注案件が積み上がっていることに加え、物流コストや原料価格の上昇、円安なども影響して、市場は2021年比8.6%増の228億円が見込まれます。
2025年までは、都市圏を中心とした大型再開発やデータセンターなど特定需要分野の成長による新設需要を中心に市場拡大が予想されます。長期的には、1990年代に導入されたAHUの更新需要が下支えすることから、市場は微増で推移すると予想されます。
直膨式
2022年は、冷温水式に比べ制御部品が多いことから、冷温水式以上に機器部品の供給不足の影響を受けました。下期からは機器部品や施工部品の供給が正常化しつつあります。加えて、良好なIAQへの関心の高まりに伴い直膨式の受注案件が増えており、円安や原価高騰による価格上昇も影響して、市場は2021年比8.5%増の115億円が見込まれます。
2025年以降は、大型再開発案件を中心に直膨式が導入されるほか、中央方式から個別方式へのシステム転換に伴い、冷温水式から直膨式への移行が予想されるため、市場は微増で推移するとみられます。
【参考】本記事で使用した「HVAC機器・関連ビジネス市場の全容 2023」に掲載している調査対象市場
機器
熱源機器
- チリングユニット
- ターボ冷凍機
- コンデンシングユニット
- 吸収式冷凍機
- パッケージエアコン
- ビル用マルチエアコン
- ガスエンジンヒートポンプエアコン
- ボイラ(蒸気/温水)
- 冷却塔
二次側機器
- エアハンドリングユニット
- ファンコイルユニット
- VAV/CAVユニット
- 冷凍・冷蔵ショーケース
- 外気処理ユニット
- 全熱交換器
- 個別空調向け室内機
業態
- 空調系サブコン
- 電気系サブコン
- 計装会社
- ゼネコン
- メンテナンス会社
- エレベータ保守会社
- ガス会社
- エネルギーサービス会社
需要分野
- 事務所・オフィスビル
- 文教施設
- 医療・診療所
- 店舗・商業施設
- 宿泊施設
- データセンター
- 産業施設
- 倉庫
- 住宅(全館空調)
- 地域熱供給
◆本記事は「HVAC機器・関連ビジネス市場の全容 2023」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。