株式会社富士キメラ総研は、電動化や軽量化、自動運転化、快適性/意匠性向上など自動車に要求される変化を受けて、材料や構造、製造方法などで新たな動きがみられる自動車部品の市場や動向を調査し、その結果を「2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望」にまとめました。
この調査では自動車部品が影響を受ける環境の変化として電動化、軽量化/CN(カーボンニュートラル)、自動運転化、快適性/意匠性向上の4点に着目し、自動車部品34品目の市場動向をまとめ、2045年までの長期予測を行いました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
自動車部品34品目の世界市場
2022年は為替変動の影響を受けて、市場は前年比10%以上の伸びが予想され、この傾向は2023年も継続するとみられます。一方、数量ベースは自動車生産台数の減少を受けて2022年に前年を下回るとみられますが、2023年には自動車生産台数の回復に伴い拡大が期待されます。
電動化の影響を受ける部品は、世界的な電動化の流れで伸びる品目が多いですが、冷却ファンなどは電動車の冷却方式の設計の影響を受けて長期的には縮小が予想されます。各部品はEVの航続距離の延長や車室内スペース確保のため小型化・軽量化が進められています。内燃機関向けの部品は電動化により減少が予想されますが、電動パワートレイン向けへの応用・転換により今後も搭載される可能性があります。
軽量化/CNの影響を受ける部品は、燃費向上のニーズに応えるため軽量化が求められます。このため今後は高価格な軽量材料の利用が増え、短期的には市場は拡大していくとみられます。ドアや内装部品など、軽量化に向けた開発の余地が大きい品目が伸びる一方で、内燃機関に用いられるエンジンブロックやトランスミッションハウジングなどが電動化を受けて今後苦戦するとみられます。
自動運転化の影響を受ける部品は、自動運転の高度化によって各種センサーや通信機器類の搭載が増加するため、多くの品目が長期的に伸びるとみられます。センサーの搭載が増加することで搭載箇所や搭載方法の工夫、自動車部品へのセンサー内蔵といった対応が取られており、部品自体の高機能化が進んでいくとみられます。
快適性/意匠性向上の影響を受ける部品は、EVならではの先進的なデザインが増加することや、自動運転の高度化に伴い車室内での過ごし方が変化すると想定されることから、より付加価値の高い製品の需要が高まっていくとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.ミリ波対応エンブレム【自動運転化の影響を受ける部品】
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2022年見込 |
2021年比 |
2045年予測 |
2021年比 |
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213億円 |
120.3% |
539億円 |
3.0倍 |
フロントエンブレムのうち、フロントミリ波レーダー(77~81GHz帯)搭載車に採用されるミリ波対応エンブレムを対象としています。
市場はフロントグリル内に搭載される長距離向けのミリ波レーダー市場に比例します。欧州ではAEB(衝突被害軽減ブレーキ)の搭載が義務化されており、日本でも2021年11月以降搭載が義務化されたことにより、ミリ波レーダー搭載車が急増しています。今後も世界各国でフロントミリ波レーダー搭載車が増加することにより市場は拡大し、長期的にはADAS/自動運転システムの機能高度化が追い風となって、2045年の市場は539億円が予測されます。
現在、LED搭載のミリ波対応エンブレムの開発が行われており、今後EVならではの先進的なデザインの実現に寄与するとみられます。また、材料に希少金属のインジウムを用いて電磁波透過膜を成膜していますが、インジウムは成膜が難しく、コストや歩留まりの課題があるため、近年、素材の表面に特殊な塗料を使用した成膜技術の開発が行われています。
2.制振材【快適性・意匠性向上の影響を受ける部品】
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2022年見込 |
2021年比 |
2045年予測 |
2021年比 |
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1,940億円 |
103.7% |
2,668億円 |
142.6% |
主にロードノイズなどの低周波振動を摩擦によって熱エネルギーに変換し、ルーフパネル、ボディパネル、ドアパネルの振動を低減させる部品を対象とします。
電動車では動力源がモーターに代わり、エンジン音でかき消されていた雑音が気になる事が想定されることから、今後電動車が増えることにより、制振材の需要も増加していくとみられます。また、自動運転車では車室内での過ごし方が変化すると考えられ、映画鑑賞やWEB会議への参加などにより、車室内の静寂性ニーズも一層高まると予想されます。
自動車の軽量化が求められる一方、制振材は重量が増すと制振性が高まるとされています。軽量化と制振性の向上という相反するニーズの実現に向け、現在メーカー各社で開発が進められています。
3.コンプレッサー【電動化の影響を受ける部品】
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2022年見込 |
2021年比 |
2045年予測 |
2021年比 |
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機械式 |
4,909億円 |
92.2% |
129億円 |
2.4% |
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電動 |
3,973億円 |
178.2% |
2兆3,282億円 |
10.4倍 |
エンジンの回転またはバッテリーから供給される電力を用いてモーターを回転させ、エアコンに使用する冷媒を圧縮し液化する部品です。機械式コンプレッサーは主にICE(内燃機関車)で、電動コンプレッサーは主に電動車で使用され、市場はカーエアコンシステムと連動する傾向があります。
機械式コンプレッサーは電動車の普及に伴いICEが減少するため、今後市場はカーエアコンシステムの伸びに関わらず大きく縮小するとみられます。
電動コンプレッサーは2022年に前年比78.2%増と大幅な伸びが見込まれます。今後も世界的なカーエアコンシステムの搭載率向上と電動車の普及により順調な伸びが期待され、2045年の市場は2兆3,282億円が予測されます。電動車においては、暖房でエンジンの廃熱利用ができないことによるヒートポンプとしての需要増加や、電池や電子部品の作業効率維持のための冷却ニーズなど電動コンプレッサーの役割は拡大しており、耐久性能の向上も求められています。
【参考】本記事で使用した「2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望」に掲載している調査対象市場
電動化の影響を受ける部品
- ラジエーター
- バッテリーケース
- ECUケース
- リレー/ヒューズ/ジャンクションボックス
- 冷却ファン
- ウォーターポンプ
- バッテリー冷却プレート
- カーエアコンシステム
- コンプレッサー
- 断熱材
- 電線被覆材
軽量化/CNの影響を受ける部品
- エンジンブロック
- トランスミッションハウジング
- ターボチャージャー/スーパーチャージャー
- フード
- フェンダー
- ルーフ
- ドアパネル
- フロントバンパーカバー
- バンパービーム
- サスペンションアーム
自動運転化の影響を受ける部品
- ミリ波対応エンブレム
- ステアリングホイール
- 自動車用シート
- ヘッドランプモジュール
- カメラハウジング
- センサーハウジング
- 5G対応アンテナ
快適性/意匠性向上の影響を受ける部品
- サンルーフ
- インストルメントパネル
- センターコンソール
- ドアトリム
- 吸音材
- 制振材
◆本記事は「2023 脱炭素社会に向けた自動車部品市場の将来展望」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。