株式会社富士キメラ総研は、高速大容量化需要や大規模なリプレースなどが期待される通信機器市場、移動体通信サービスで法人ユーザーの増設需要やゼロトラスト/SASEによる新たなネットワーク環境の構築需要などが期待される通信サービス市場を調査しました。その結果を「2023 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」にまとめました。
この調査では、通信機器市場と通信サービス市場について、マイグレーション動向、ゼロトラスト/SASEソリューション動向、セキュリティ機能対応/セキュリティ商材とのクロスセル動向、『IOWN構想』関連動向などをポイントに、市場規模予測、関連企業の製品戦略、サービス戦略、販売戦略を明らかにしました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2023 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
通信機器・サービスの国内市場
|
2023年度見込 |
2022年度比 |
2027年度予測 |
2022年度比 |
|
|
通信機器 |
3兆7,210億円 |
100.5% |
3兆6,615億円 |
98.9% |
|
通信サービス |
11兆1,684億円 |
102.0% |
11兆8,648億円 |
108.4% |
|
合 計 |
14兆8,893億円 |
101.6% |
15兆5,262億円 |
106.0% |
※市場データは四捨五入しています
2022年度の通信機器市場は、移動体キャリアの基地局への設備投資が抑えられたほか、コロナ関連の特需も落ち着きましたが、ネットワーク関連製品を中心に半導体不足緩和に伴う販売増やオフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークの環境構築需要などを獲得したことからプラス成長となりました。
今後はネットワーク関連製品では高速大容量通信や『IOWN構想』に伴う関連製品に対する需要、会議関連製品ではコロナ禍で導入されたテレワークやWeb会議関連製品の買い替え、移動体通信端末では『GIGAスクール構想』で導入されたタブレット端末のリプレースが期待される一方で、音声関連製品ではクラウド化の進展、移動体通信基地局関連製品では移動体キャリアの投資抑制による影響を受けることから、市場は2025年度まで拡大しますが、以降縮小推移が予想されます。
2022年度の通信サービス市場は、データトラフィック量の増加に伴う広帯域ニーズやハイブリッドワーク環境の構築需要を獲得しましたが、個人向け移動体通信サービスの低容量低料金プランに対する需要増加が大きく響き、マイナス成長となりました。
今後はインターネット接続サービスではサービスの切り替え需要や分散型インターネット網に対する需要、移動体通信サービスでは個人向けで大容量プランのユーザー増加によるARPUの下げ止まり、固定データ通信サービスでは閉域網における広帯域ニーズとゼロトラスト/SASEによる新たなネットワーク環境に対する需要などが期待され、音声関連サービスでは多様化する働き方への対応として音声通話環境の構築が継続されることなどから、市場は拡大推移が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.インフラシェアリングサービス
|
2023年度見込 |
2022年度比 |
2027年度予測 |
2022年度比 |
|
123億円 |
189.2% |
416億円 |
6.4倍 |
インフラシェアリングサービスは、移動体キャリアやJMCIA(公益社団法人移動通信基盤整備協会)以外の事業者が、移動体キャリアにアンテナやDAS(アンテナ分散型システム:Distributed Antenna System)、基地局を設置するための土地、建物、鉄塔などを提供するサービスです。市場はサービスの利用料としました。
移動体キャリアに対する屋内向けのサービスは、2022年度の市場は4G、5G通信に対応したサービス案件に加え、設備老朽化に伴うリプレースを獲得したことから拡大しました。既存の事業者に加え、新規に参入した事業者がサービスを拡充させていることから、2023年度以降も市場は拡大すると予想されます。ただし、移動体サービスのARPU減少を受け、移動体キャリアはサービス利用も含め、インフラへの投資を抑制する傾向にあることから、市場の成長率は緩やかになっていきます。
屋外向けのサービスは、2022年度の市場は既存事業者の実績に加え、NTTグループからタワーの移管を受けた事業者が本格的にサービス提供を開始したことから拡大しました。NTTグループからタワー移管を受ける事業者によるサービス拡充、山間や離島などのルーラル地域へのタワー新設が進み、2023年度以降も市場は拡大すると予想されます。ただし、NTTグループのタワー移管は2023年度中に一段落するとみられること、また、複数の移動体キャリアが基地局を設置しておらず、かつ、必要となる場所を探すのは難しく、事業者が新規でタワーなどを増やすのは容易ではないことから、今後大幅に市場が拡大するのは、移動体キャリアから新たなタワー移管が生じる際になると予想されます。
2.ZTNAサービス
|
2023年度見込 |
2022年度比 |
2027年度予測 |
2022年度比 |
|
103億円 |
133.8% |
350億円 |
4.5倍 |
ZTNA(Zero Trust Network Access)サービスは、事前に定義されたアクセス制御ポリシーに基づき、アプリケーションやサービスに対するアクセス要求が発生するたびに検証を行い、定義を満たす場合にのみアクセス権を付与することでよりセキュアなリモートアクセス環境を提供するサービスです。市場はサービスの利用料としました。
普及の背景には、法人企業における業務システムのクラウド化、テレワークやリモートアクセスサービスの定着があります。これまでは、社外から社内ネットワークへのアクセスにおけるセキュリティ対策としてVPNが活用されていましたが、認証をIDやパスワードのみで行っているサービスも少なくなく、脆弱性を突いた標的型攻撃や不正アクセスなどへの対策強化として、代替するZTNA、その先のSASEやSSEへの投資や注目度が高まっています。参入ベンダーはまだ少なく、現状では外資系ベンダーが中心となっていますが、ゼロトラスト/SASEの考え方が浸透するにつれて、今後は日系ベンダーの本格参入も期待されます。
市場は2022年度から2024年度頃まで、VPNからの移行による案件や従来サービスからのリプレースなどを中心に拡大していくとみられます。現状では引き合いは多いですが、実導入に至る案件は多くないです。また、閉域網の需要が底堅く、期待ほど閉域からインターネットへの移行が進んでいません。しかし、コロナ禍で構築したネットワークの更新が多く訪れるとされる2025年度頃が転換期になり実導入が増えてくると予想されます。
3.ワイヤレスプレゼンテーションシステム
|
2023年度見込 |
2022年度比 |
2027年度予測 |
2022年度比 |
|
28億円 |
127.3% |
53億円 |
2.4倍 |
会議室などに設置されているディスプレイやモニターに受信機を接続し、ノートPCやタブレット端末などのデバイスにボタン搭載型の送信機や専用ソフトウェア/アプリケーションを接続またはインストールすることで、デバイスからワイヤレスに画面の切り替えや複数画面の同時表示を可能にするシステムを対象としました。なお、「Apple TV」や「Google Chromecast」などのミラーリング専用機器は対象外としました。
市場は2020年度、2021年度と、コロナ禍に伴うテレワークの普及により集合型(リアル)会議が減り、需要が減少したことから縮小しましたが、2022年度は出社比率を高める企業が増えたことや、Web会議サービスとの連携可能な製品が発売され、テレワークや遠方からの会議参加者の対応ができるようになったことから需要が増加し拡大しました。教育機関などでは、2020年度に前倒しで実施された『GIGAスクール構想』により構築されたネットワーク環境や配備された1人1台端末の有効活用、授業の質向上を目的とした導入が見られました。また、「Chromebook」に対応したシステムが増えたことも導入を後押しする要因となりました。
2023年度は、大手や拠点の多い企業などでは、本社の会議室に導入した後に、地方の事業所や営業所などに導入するケースも見られます。Web会議サービスと競合しますが、以降も市場は拡大推移するとみられます。Web会議サービスとの連携ニーズは増えており、対応した製品の増加が市場拡大を後押しするとみられます。また、送信機や子機を必要しない、「AirPlay」「Google Cast」「Miracast」などの各種OS内蔵機能に対応した製品へのニーズが増加すると予想されます。
4.会議用360度カメラ
|
2023年度見込 |
2022年度比 |
2027年度予測 |
2022年度比 |
|
29億円 |
131.8% |
51億円 |
2.3倍 |
会議室などの中央に設置することで、レンズ角度を調整せずとも室内全体を映し出し、室内どこからの声でも拾うことが可能なマイク、発信するスピーカーを搭載した製品を対象としました。発言者に自動的にフォーカスするため、多人数会議や、オンライン会議とリアル会議を掛け合わせたハイブリッド型会議での円滑なコミュニケーションを実現します。PCとはUSBによる接続が一般的ですが、Wi-FiやBluetoothを用いたワイヤレス接続が可能な製品もあります。ほとんどのWeb会議サービスに対応しており、同時に活用することが可能です。
2020年1月に「Kandao Meeting」(Kandao Technology)が発売され市場が立ち上がりました。当初はハイブリッド型会議がわずかであったため、普及は限定的でしたが、4月以降新型コロナウイルス感染症の流行が追い風となったほか、7月に「Meeting Owl pro」(ソースネクスト)が発売されたことで、認知度が向上し需要が高まりました。一部ではWeb会議サービスと連携可能なワイヤレスプレゼンテーションシステムなどを採用するケースもみられましたが、会議室にカメラやマイク、スピーカーなどを設置していたユーザーを中心に導入が増加しました。
市場は2021年度、2022年度は、出社比率を高めつつもテレワークを併用する企業や拠点間の出張に制限を設ける企業、オンライン授業を併用する教育機関におけるニーズの高まりから拡大しました。
2023年度は、コロナ禍の収束に伴って、出社比率や登校比率を高める企業や教育機関が増加していますが、地方や海外の事業所や営業所などとの会議やミーティングで需要が高まっており、中には複数台導入するユーザーもあります。今後も市場はハイブリッド型会議の定着を背景に拡大しますが、参入企業が増加しており低価格化が進むと予想されるから、徐々に成長率は鈍化していきます。
【参考】本記事で使用した「2023 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」に掲載している調査対象市場
通信機器通信機器
ネットワーク関連製品
- WDM
- PONシステム
- メディアコンバーター
- CATV関連機器
- L2/L3スイッチ
- 無線LAN機器
- ルーター
- IoTゲートウェイ
- L4-7スイッチ
- RADIUSサーバー
音声関連製品
- 呼制御装置
- 構内PHSシステム
- SBC
会議関連製品
- インタラクティブホワイトボード
- ワイヤレスプレゼンテーションシステム
- 会議用マイクスピーカー
- 会議用360度カメラ
移動体通信端末
- ハンドセット
- タブレット端末
- Wi-Fiモバイルルーター
移動体通信基地局関連製品
- 移動体通信基地局
- ローカル5G/プライベートLTE基地局
- DAS
- EPC/5GC
- ローカル5G/プライベートLTEコア
通信サービス
インターネット接続サービス
- FTTHサービス
- CATVインターネットサービス
- ISPサービス
移動体通信サービス
- 携帯電話サービス
- MVNOサービス
固定データ通信サービス
- IP-VPNサービス
- 広域イーサネットサービス
- インターネットVPNサービス
- SD-WANサービス
- イーサネット専用線サービス
音声関連サービス
- 050-IP電話サービス
- 0AB~J-IP電話サービス
- クラウドPBXサービス
- FMCサービス
その他サービス
- ビデオ会議サービス
- Web会議サービス
- バーチャルオフィスサービス
- ビジネスチャットサービス
- SMS配信サービス
- クラウド型無線LANサービス
- リモートアクセスサービス
- ZTNAサービス
- インフラシェアリングサービス
- CPaaS
◆本記事は「2023 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。