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パブリッククラウドの国内市場を調査。デジタルトランスフォーメーションの取り組みが進みIaaS/PaaS市場が拡大

株式会社富士キメラ総研は、テレワークの普及により急速に利用が拡大しているSaaSや、AIやIoT、データ分析などデジタルトランスフォーメーションを推進するにあたり、活用機運が高まっているIaaS/PaaSなど、パブリッククラウドの国内市場を調査し、その結果を「2021 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編/ベンダー編」にまとめました。

「市場編」ではSaaS、DaaS、IaaS/PaaSといったパブリッククラウド市場を調査・分析し、将来を展望しました。「ベンダー編」では42社の事業者の動向を整理・分析しました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2021 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

「2021 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編」の全体サマリー

パブリッククラウドの国内市場(リソース提供)

2020年度見込

2019年度比

2024年度予測

2019年度比

SaaS

1兆332億円

123.7%

1兆6,054億円

192.2%

DaaS

364億円

117.8%

566億円

183.2%

IaaS

4,363億円

124.6%

7,090億円

2.0倍

PaaS

2,206億円

135.3%

4,586億円

2.8倍

合 計

1兆7,265億円

125.2%

2兆8,296億円

2.1倍

スクラッチやパッケージを活用したシステム構築と比較すると、初期導入費用を抑えられ、導入期間の短縮やインフラを含めたシステム全体における運用管理負担を大幅に軽減できることから、オンプレミス環境からパブリッククラウドへの移行が進展しています。

2020年度のパブリッククラウド市場は1兆7,265億円が見込まれます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、これまでオフィスで行っていた業務をいかに就業場所に関係なく行えるかが重要視され、テレワーク環境の構築を目的とした需要が増加したことから、前年度比25.2%増と大幅に伸びるとみられます。

2024年度には2019年度比2.1倍の2兆8,296億円が予測されます。ニューノーマル時代において、AIやIoT、データ分析などのデジタルトランスフォーメーション推進に伴う利用増加が期待されるほか、クラウドネイティブな仕組みへの変更、サーバーレス化やコンテナなどを活用したインフラの効率化への取り組みなど、運用コスト面や生産性の効果をより求める機運が高まっており、大幅な拡大が期待されます。

SaaS

アプリケーションを提供するサービスであり、業種を限定せず利用できる基幹系・情報系・セキュリティ系の業種汎用型SaaS、特定業種で利用される業種特化型SaaSを対象とします。

2020年度は、新型コロナの影響により、従来対面や紙で実施していたアナログ業務のSaaS化が進んだことで、市場は1兆円突破が見込まれます。この動きがさらに顕在化することで、今後も市場は拡大が続くとみられます。

業種汎用型が70%以上を占めており、情報系SaaSを中心に、重要情報を扱うことになる基幹系SaaSの利用も増加しつつあります。また、基幹系SaaSの増加によって、同じクラウド環境で利用できるセキュリティ系SaaSを併せて導入するケースも増えています。

業種特化システムでは、徐々にSaaSへの移行が進んでいます。大手企業において、ビジネス環境がすさまじいスピードで変化する中、スクラッチやパッケージベースのシステムでは変化に迅速に対応するのが難しくなりつつあることから、常に最新機能が利用可能で柔軟にシステム連携が可能なSaaSの採用が進められています。

DaaS

デスクトップ仮想化/シンクライアントのうち、共有基盤上にデスクトップ仮想化環境を提供するサービスを対象としました。2005年度ごろよりオンプレミス環境でのデスクトップ仮想化/シンクライアントの導入が進んでいましたが、初期投資の大きさや運用管理の難しさから、ベンダーが所有する基盤を利用したDaaSへの移行が進展しています。

2019年度は「Windows10」への移行ニーズに加え、東京五輪に向け関東圏の企業でテレワークの導入が進められたこともあり、大手企業を中心にDaaSの採用が進みました。2020年度は、緊急事態宣言の発出により、テレワーク環境の整備を進める企業が全国的に増加したことで、市場は前年度比17.8%増の364億円が見込まれます。社会において多様な働き方が認められつつある中、今後も人的リソースの変化に応じて、柔軟にクライアント環境を設定・変更できるDaaSの需要は高まっていくとみられます。

IaaS

サーバー、ストレージ、ネットワークインフラのリソースを提供するサービスを対象とします。

市場形成当初は、急激なトラフィック増加や柔軟で迅速なサービス開発・提供が可能なことから、ゲームやWebサービスの基盤として仮想サーバーを利用するエンターテインメント系企業の需要がけん引していました。徐々に一般企業においても採用が広がり、社内システム基盤としての利用が進みつつあることから、市場は拡大しています。仮想共有型/仮想専有型がけん引していますが、移行後もオンプレミス環境と同様の環境で運用していきたいというニーズも強く、柔軟なカスタマイズが可能な物理専有型の注目度が高まっています。

PaaS

アプリケーションを稼働させるためのプラットフォーム/ミドルウェアのリソースを提供するサービスを対象とします。

メガクラウドベンダーが主体となってPaaSのラインアップ拡充を進めており、国内ベンダーにおいてもアプリケーション開発基盤として、もしくはデータベース/データウェアハウスとしての利用が増えたことで市場は拡大しています。また、AI/機械学習やIoT、データ分析の基盤としてPaaSを導入し、デジタルトランスフォーメーションの実現に取り組む企業が増加していることから、2020年度の市場は前年度比35.3%増の2,206億円が見込まれます。今後も大幅な伸びが期待され、2024年度は2019年度比2.8倍の4,586億円が予測されます。

◆注目個別市場サマリー

クラウドインテグレーションを含めたIaaS/PaaS市場

2020年度見込

2019年度比

2024年度予測

2019年度比

リソース提供

6,569億円

128.0%

1兆1,676億円

2.3倍

クラウド
インテグレーション

1,483億円

115.5%

2,346億円

182.7%

合 計

8,052億円

125.5%

1兆4,022億円

2.2倍

リソース提供時に併せて行うことが多いクラウドインテグレーション(コンサルティングや導入支援および利用に伴うユーザー個別対応の運用サービス)を含めたIaaS/PaaS市場は2020年度に8,052億円が見込まれます。

クラウドインテグレーションは、運用サービスがけん引しています。ベンダー各社は、コンサルティング/導入支援などのフロービジネスではなく、運用サービスなどのストックビジネスに注力することで安定した収益確保を目指しており、運用サービスの比率は上昇していくとみられます。

ベンダーカテゴリー別市場
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海外ベンダーはメガクラウドベンダー、外資系ベンダー、国内ベンダーはシステムインテグレーター、キャリア/サービスプロバイダーに市場を分類しました。

メガクラウドベンダーのウェイトが最も高く、市場の60%近くを占めています。メガクラウドベンダーをはじめとした海外ベンダーが、スケールメリットを生かした展開を進めており、今後も高い伸びが期待されることから、ウェイトも高まっていくとみられます。また、海外ベンダーの多くは、IaaSに加え、PaaSでも豊富なラインアップのサービスを展開しており、今後も多様なニーズへの対応を進めていくとみられます。

国内ベンダーにおいては、システムインテグレーターは、中核ビジネスであるシステムインテグレーションの一環で、過去手がけたシステム構築案件のIaaS/PaaS移行を主体に展開しているケースが多いです。キャリア/サービスプロバイダーは、ネットワークビジネスやデータセンタービジネスなど、自社の中核ビジネスの付加価値向上を目的にIaaS/PaaSビジネスに取り組んでいます。国内ベンダーは、国産サービスである点や手厚いサポート体制などを訴求することで差別化を図っており、従来顧客のIaaS/PaaSの導入により、堅調に推移するとみられます。

IaaS/PaaS市場におけるデジタルトランスフォーメーション関連の動向

2020年度見込

2019年度比

2024年度予測

2019年度比

IaaS/PaaS

8,052億円

125.5%

1兆4,022億円

2.2倍

デジタルトランス
フォーメーション関連

1,333億円

136.4%

2,837億円

2.9倍

※デジタルトランスフォーメーション関連はIaaS/PaaSの内数です

これまでも注目度は高かったですが、新型コロナの感染拡大を契機に、ニューノーマル時代に向けたさまざまな環境変化に柔軟に対応すべく、IaaS/PaaSを利用したデジタルトランスフォーメーションの実現に取り組む企業が増加しています。

AI/機械学習向けは、実証実験から本格導入に移行する企業が増加し、伸びています。機械学習プラットフォームに関しては、オンプレミス環境で導入されるケースが多いですが、短期間での導入やスモールスタートニーズの増加に伴い、利用が増えています。

IoT、データ分析ほかでは、社内外の各システム、各事業所などに散在している各種データを集約し、リアルタイム活用を行うことで、業務の効率化や新規ビジネスの創出などを目指したIaaS/PaaSの導入が加速していくとみられます。

今後、デジタルトランスフォーメーション関連の占める比率は上昇していき、2024年度には20%を占めるとみられます。

【参考】本記事で使用した「2021 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編」に掲載している調査対象市場

クラウドサービス

パブリッククラウド

  • SaaS
    ・業種汎用型
    ・業種特化型
  • DaaS
  • IaaS/PaaS
    ・仮想共有型/仮想専有型
    ・物理専有型

ベンダー編

  • メガクラウドベンダー
  • 外資系ベンダー
  • システムインテグレーター
  • キャリア/サービスプロバイダー
  • クラウドインテグレーター/コンサルティングファーム

◆本記事は「2021 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。