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照明の世界市場と次世代照明/ソリューションの国内市場を調査

株式会社富士経済は、LED照明器具がけん引することで拡大を続ける世界市場、いち早くフローベースでのLED化率が100%に達したことで、今後はストックベースにおけるLED化率の上昇を目指す国内の照明市場を調査しました。その結果を「変革する照明関連技術・市場の現状と将来展望 2021年版」にまとめました。

この調査では、照明市場に加え、照明の高付加価値化を目指した展開が進む次世代照明/ソリューションの国内市場についても捉えました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「変革する照明関連技術・市場の現状と将来展望 2021年版」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

「変革する照明関連技術・市場の現状と将来展望 2021年版」の全体サマリー

1.LED照明器具の世界市場

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

世界

5兆1,924億円

94.1%

7兆6,298億円

146.9%

国内

5,567億円

92.3%

4,862億円

87.3%

世界のLED化率

68%

82%

国内のLED化率

100%

100%

※国内のLED化率は有機ELやレーザーなどほかの化合物半導体照明を含みます
※国内は世界の内数です

2020年の世界市場は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済の停滞や建築需要の減少に伴い、縮小しました。地域別にみると、アジア地域が市場の50%近くを占めており、人口増加や都市化に向けたインフラ整備が進む中国やインドなどを中心に需要が増えることで、2025年の世界市場は7兆6,298億円が予測され、LED化率は82%まで上昇するとみられます。

今後、製造コストの低下や世帯数の増加、スマートシティ化への取り組み、政府主体の規制などを背景に、LED照明器具の普及が進んでいくとみられます。特に、欧州やオーストラリアでは従来ランプの取り扱いを規制する動きがあり、今後LED化に向けた動きが加速すると予想されます。また、新興国においてもCO2排出量やエネルギー消費量の削減を目的に、政府が主体となった導入が進んでいます。

2020年の国内市場は、5,567億円となりました。世界市場と同様、新型コロナによる経済停滞、建設需要の減少に伴い縮小し、前年比7.7%減となりました。特に店舗やホテル・宿泊施設などの需要減少が大きかったです。

LED化の流れは2010年頃から始まり、東日本大震災に伴う電力の安定供給に対する不安により、急速に需要が高まりました。2013年頃から光源一体型ベースライトや高天井照明器具などのLED照明器具が展開され、2010年代後半にはLED照明器具の採用がさらに進んだことで、市場はピークアウトし、参入プレーヤーの撤退や事業再建、買収・統合など業界再編の動きが目立つようになりました。

現時点で、フローベースのLED化率は100%に達しています。元々2020年以降は建設需要の減少が予想されていたことに加え、2010年代に急速に普及しLED化需要を先食いしたことや、従来型ランプより長寿命であることによる交換頻度の減少などにより、今後も市場縮小が続くとみられます。

なお、LED照明の普及が急速に進む前の2010年の照明器具の市場規模は4,500億円程度であり、当時LED照明は高価格であったことから、LEDの普及に伴い市場が拡大しました。しかし、前述のような照明自体の需要の減少やLEDの低価格化により、長期的には、2010年の照明器具市場を下回る規模で落ち着くとみられます。

また、新型コロナの感染拡大以降のニューノーマルにおいて、テレワークの普及やEC購買増加によるビルや店舗の利用率の低下や、空間の在り方の変化に伴う従来とは異なる形状・仕様の有機ELやレーザーなど照明製品の広がりなども縮小の一因になるとみられます。

2.次世代照明/ソリューションの国内市場

フローベースのLED化率が100%となったことで、照明市場の今後の方向性としては、ストック照明のLED化と照明制御やソリューションによる照明の高度化・高付加価値化をどのように実現、普及していくかが注目されています。

付加価値の高い照明としては、つながる照明や人にやさしい照明、さらには照明によるアプローチで課題解決に貢献するソーシャルソリューションライティング【社会の課題(影)をてらす照明】などであり、特に、これらが重複した領域が有望とみられます。

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

つながる照明

946億円

100.2%

1,081億円

114.3%

人にやさしい照明

217億円

91.2%

272億円

125.3%

つながる照明【CSL:コネクテッドスマートライティング】

つながる照明の市場は、2020年で946億円となりました。新型コロナの感染拡大の影響もみられましたが、新たに需要が創出されたことから、わずかながら拡大しました。

市場は照明制御ソリューションが中心であり、新築や大規模改修案件は有線式、中小規模やリニューアル案件は無線式の採用が進んでいます。また、近年ではオープンプロトコルのDALI規格を用いた制御が一定の市場を確立しているほか、標準品と制御ソリューション対応品の価格差も小さくなり、調光・調色機能の標準化と高度化、カメラやセンサーなどとの連携も増えています。

照明プレーヤーは照明にほかの機能を追加する「照明+α」の視点で商品を展開するケースが多い中、異業種プレーヤーが「テレビを代替する、プロジェクター+照明」「カメラ+照明」「通信+照明」など既存商品に照明機能を新たに追加する「α+照明」の視点で商品開発を進めています。映像演出ライティングソリューションとカメラ機能付照明ソリューションなどで新たな需要を獲得しており、市場開拓が進んでいます。

人にやさしい照明【HCL:ヒューマンセントリックライティング】

人にやさしい照明の市場は、2020年で217億円となりました。市場の大半を占める建築化・空間演出ソリューションと景観演出ライティングソリューションが新型コロナの影響により大きく落ち込み、前年比8.8%減と大きく縮小しました。一方で、紫外線空間殺菌ソリューションは新型コロナの感染対策として注目されたことで導入が進み、急速に拡大しました。

今後は、新型コロナが収束に向かうことにより、2020年に縮小した市場は緩やかに回復していくとみられます。一方で、新型コロナを受けて需要が高まった、あるいは新たな需要がみられた市場については、ピークが過ぎ一時的に落ち込みますが、以降はニューノーマルのソリューションとして堅調に推移するとみられます。

◆注目個別市場サマリー

1.映像演出ライティングソリューション

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

26億円

2.0倍

50億円

192.3%

映像投影機能付照明を対象とします。イベントの映像演出を行う企業がコンテンツの制作などを行っているほか、照明プレーヤーを中心に"あかり"の提供に加え、付加価値として映像演出可能なシステムを搭載した製品を展開しています。

これまでの導入先は、ホテル、レストラン、店舗・複合商業施設、ショールームなど非住宅分野が中心でしたが、2020年は新型コロナの感染拡大による設備投資抑制の影響から苦戦しています。一方、住宅向けでプロジェクター機能付シーリングライト「popIn Aladdin」(popIn)が、巣ごもり需要を背景に好調であり、今後も市場をけん引していくとみられます。

2.カメラ機能付照明ソリューション

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

15億円

187.5%

48億円

3.2倍

カメラ機能付照明は、照明器具やランプとカメラが一体化した製品であり、カメラの配線工事が不要なため、導入しやすいメリットがあります。

鉄道車両内における犯罪行為の未然防止を目的として、JR東日本や東急電鉄大井町線、東京モノレールで採用されており、防犯カメラを設置するよりも、安価で簡易に取り換え可能であることから、2018年頃から市場が拡大しています。現在は関東圏を中心に導入が進んでいますが、2025年に大阪万博の開催が予定されていることから、今後関西圏においても導入が進むとみられます。

また、鉄道車両向け以外では、工場・倉庫や病院、スーパーなどで導入されており、画像認識や監視システムなどでの需要取り込みも期待されます。

3.紫外線空間殺菌ソリューション

2020年

2019年比

2025年予測

2020年比

26億円

13.0倍

36億円

138.5%

深紫外線で空間を殺菌する、照射殺菌装置と照明器具を対象とします。

以前からUV-Cによるウイルス対策の有用性は認められていましたが、利用シーンや安全性の確保がネックとなり、市場は限定的でした。しかし、2020年に新型コロナの感染が拡大して以降、有用性のある技術として注目されたことで、急速に商品開発が進みました。一方で、紫外線殺菌というキーワードだけが先行し、効果が不明瞭な商品も市場に流通しています。今後ガイドラインなどが策定されることで、実証効果が明確な商品が市場に定着していくとみられます。

照射殺菌装置

従来、室内環境の清浄化を目的に、清潔かつ快適な環境が求められる食品工場や医療施設など向けに展開されていましたが、新型コロナ対策の商品として、店舗やオフィスなど幅広い分野で需要が高まり、2020年の市場は前年比13.0倍の26億円となりました。2021年に市場はピークを迎え、2022年には一時的に落ち込みますが、ニューノーマルのソリューションとして定着していくことで、拡大を続けるとみられます。

照明器具

以前から低圧水銀ランプを用いた製品はありましたが、安全性に課題があり無人環境下での使用に限定されていたことから、2020年の市場は僅少でした。

しかし、2020年にウシオ電機が有人環境下においても使用可能な光源「Care222」を開発し、それを搭載した商品が2021年の1月に発売されたことから、2021年の市場は急速に拡大するとみられます。2024年以降はランプのリプレース需要により、安定した市場推移が予想されます。

【参考】本記事で使用した「変革する照明関連技術・市場の現状と将来展望 2021年版」に掲載している調査対象市場

照明製品世界市場

  • 照明器具
  • ランプ

エリア別

  • 欧州地域
  • 北米地域
  • アジア地域
  • オセアニア地域
  • その他地域

照明製品国内市場

  • LED照明器具
  • LED管球ランプ
  • 電熱/放電ランプ

注目照明製品

  • LEDシーリングライト
  • LED光源一体型ベースライト/LED直管ランプ
  • LED高天井照明
  • 有機EL照明
  • レーザー照明
  • DALIスレーブ(DALI用電源)

需要分野別

  • 住宅照明
  • オフィス・ビル照明
  • 店舗照明
  • 施設照明
  • 屋外照明

次世代照明/ソリューション(国内市場)

つながる照明(コネクテッドスマートライティング)

  • 有線式照明制御ソリューション
  • 無線式照明制御ソリューション
  • 可視光通信ソリューション
  • 映像演出ライティングソリューション
  • カメラ機能付照明ソリューション
  • ホームIoT照明ソリューション
  • ビルディングIoT照明ソリューション
  • シティIoT照明ソリューション

人にやさしい照明(ヒューマンセントリックライティング)

  • 建築化・空間演出ソリューション
  • 景観演出ライティングソリューション
  • 自然光採光ソリューション
  • 自然光再現照明ソリューション
  • 紫外線空間殺菌ソリューション

◆本記事は「変革する照明関連技術・市場の現状と将来展望 2021年版」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。