株式会社富士経済は、革新的な技術を生み出すライフサイエンス研究とそれらの技術を応用して新たな治療を実現する先端医療の関連市場を調査しました。その結果を「2020年 先端医療・ライフサイエンス研究市場データブック」にまとめました。
この調査では、先端医療関連として先端医薬品3品目、先端治療製品3品目、先端診断薬/システム11品目、ライフサイエンス研究関連としてゲノム編集ツール、ヒト細胞など20品目、注目解析受託関連4品目の市場を調査・分析し、将来を展望しました。また、注目バイオマーカー遺伝子の動向についてまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020年 先端医療・ライフサイエンス研究市場データブック」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2020年 先端医療・ライフサイエンス研究市場データブック」の全体サマリー
先端医療・ライフサイエンス研究関連市場
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2019年見込 |
2027年予測 |
2018年比 |
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先端医薬品 |
1兆2,531億円 |
1兆3,295億円 |
111.7% |
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先端治療製品 |
48億円 |
482億円 |
13.8倍 |
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先端診断薬 |
79億円 |
479億円 |
7.1倍 |
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ライフサイ |
1,334億円 |
1,661億円 |
128.0% |
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注目解析受託 |
143億円 |
240億円 |
183.2% |
先端医薬品では、抗体医薬品が注目されています。バイオシミラーの発売により縮小している製品もみられますが、「キイトルーダ」(MSD)や「アイリーア」(参天製薬)、「ヒュミラ」(エーザイ)などは伸びています。今後は、新薬の開発が進むことから処方対象患者の増加が予想され、拡大するとみられます。
先端治療製品では、細胞性医薬品の伸びが大きいです。2016年2月に「テムセル」(JCRファーマ)が造血幹細胞移植後の急性GVHD(移植片対宿主病)の適応で発売され、市場が立ち上がりました。2017年10月より販売先施設の限定を解除し、販売先を従来の21施設から造血幹細胞移植を行っている200を超える施設に広げたことにより2018年にかけて大きく伸びました。製品開発は活発化しており新製品の登場が予想されることから、今後も、市場は拡大していくとみられます。
先端診断薬/システムでは、プレシジョン・メディシン(患者個人の細胞・組織を遺伝子レベルで分析し、最適な治療方法を分析・選択する治療法)が注目されています。当初は自由診療でしたが、2019年6月にがん遺伝子検査で保険適用となっています。現在、「OncoGuide NCC オンコパネルシステム」(シスメックス)と「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」(中外製薬)の2製品が承認を取得しています。自由診療も伸びており、今後のさらなる市場拡大が期待されます。
ライフサイエンス研究関連は、バイオ医薬品の品質管理など高度な成分分析のニーズが高まり解析装置の需要が増加していくとみられます。また、再生医療や遺伝子治療の産業化が進むことで細胞関連の研究が活発化するだけではなく、バイオ医薬品の生産に関わる装置の需要増加も予想されます。特にゲノム編集ツールは、次世代型ゲノム編集技術であるCPRISPR/Cas9が2013年に登場して以降、簡便かつ高い精度で活用できる技術として広がりをみせています。一方で、TALENやZFNなどの新たな技術も開発されています。ゲノム編集技術の汎用化が進み、ゲノム編集の受託サービスなどでも利用されており、今後のさらなる市場拡大が期待されます。
注目解析受託は検体の特性や解析の目的などに応じて、求められる前処理サービスから解析のアプリケーションまで多様なサービスがあり需要も伸びていることから今後も市場は拡大していくとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.次世代シーケンサー
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2019年見込 |
2027年予測 |
2018年比 |
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51億円 |
74億円 |
145.1% |
次世代シーケンサーは塩基配列の決定を行うための装置です。網羅的な解析が低コストかつ短時間で可能となったことから、プレシジョン・メディシンによる治療法の選択、多剤耐性菌の解析などに活用が広がっています
市場は、低価格帯製品が投入されていることや解析受託サービスを提供する企業からの需要増加で拡大しています。2019年6月に次世代シーケンサーによるがんプロファイリング検査が保険適用されたことでさらに普及が進むとみられます。そのほか、出生前診断や難病の早期発見などでの活用の広がりが期待され、今後も市場は拡大していくと予想されます。また、食品や農林水産関連の研究においても腸内フローラ解析など次世代シーケンサーを活用した解析の需要は増加しており市場の拡大に寄与するとみられます。
2.新型出生前診断(母体血胎児染色体検査:NIPT)
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2019年見込 |
2027年予測 |
2018年比 |
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15億円 |
29億円 |
193.3% |
新型出生前診断は、妊婦から採取した血液中に含まれる胎児のDNA断片を分析し、胎児の遺伝子異常を解析する検査です。市場は、日本医学会の認定施設で日本産科婦人科学会より示された指針に準じて実施された検査の実績を対象とし、未認可施設や日本産科婦人科学会の指針外の検査の実績については対象外とします。
2013年3月に日本産科婦人科学会より母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査指針が公表されたことで、4月にNIPTが認定施設で利用されるようになり市場が立ち上がりました。指針が示された当初は認定施設が15施設でしたが、2019年10月時点では92施設に増加しています。しかし、2016年より未認可施設でもNIPTが実施されるようになったことから市場の伸びは鈍化しています。
2019年3月に日本産科婦人科学会は、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査指針の新指針案を発表しました。新指針案は新たに小児科専門医の常勤を条件としない「連携施設」を新設することで認可施設を増やし、未認可施設での検査を減らすことを目的としているため、新指針案の動向によるが認可施設の増加に伴い市場が拡大していくことが予想されます。
3.ペプチド医薬品(中分子薬)
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2019年見込 |
2027年予測 |
2018年比 |
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2,487億円 |
2,550億円 |
103.0% |
2から50のアミノ酸で構成されるペプチドを有効成分とする医薬品を対象とします。
「リュープリン」(武田薬品工業)、「フォルテオ」(日本イーライリリー)、「テリボン」(旭化成ファーマ)の規模が大きいです。「リュープリン」はジェネリック医薬品発売による縮小が続いているものの、「フォルテオ」や「テリボン」が伸びていることから、市場は緩やかな拡大を続けています。なお、「テリボン」は2019年9月に、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を対象にオートインジェクター(自動注射器)の国内製造販売承認を取得しており、既存製品は医療機関での皮下注射に対し、オートインジェクターでは自己注射が可能であることから、今後発売が予想されるジェネリック医薬品との差別化が図られています。「フォルテオ」や「テリボン」のジェネリック医薬品が発売されるとみられるが開発品が複数あるため、今後市場は横ばいから微増で推移していくとみられます。
【参考】本記事で使用した「2020年 先端医療・ライフサイエンス研究市場データブック」に掲載している調査対象市場
先端医療関連
先端医薬品
- 抗体製剤
- ペプチド医薬(中分子薬)
- 核酸医薬
先端治療製品
- 再生医療製品
- 細胞性医薬品
- 遺伝子治療製品
先端診断薬/システム
- プレシジョン・メディシン(クリニカルシーケンス)
- リキッド・バイオプシー
- メッセンジャーRNA(mRNA)検査サービス
- セルフリーDNA(cfDNA)
- 血中循環腫瘍細胞(CTC)検査
- マイクロRNA
- 出生前診断
- 新型出生前診断(母体血胎児染色体検査:NIPT)
- 着床前遺伝子診断(PGD/PGT-M)
- 着床前スクリーニング(PGS/PGT-A)
- 子宮内膜受容性検査
- コンパニオン診断薬
- MCI(軽度認知障害)検査
ライフサイエンス研究関連
- ゲノム編集ツール
- リアルタイムPCR・デジタルPCR
- 次世代シーケンサー
- ナノポアシーケンサー
- DNAチップ・解析装置
- マイクロ流路チップ
- 質量分析装置
- プロテインAアフィニティ担体
- セルシグナル試薬
- フローサイトメーター
- ハイコンテントスクリーニングシステム
- iPS細胞・Muse細胞
- ヒト細胞
- 細胞培養受託
- 細胞培養培地・血清
- 画像判定細胞評価システム
- 自動細胞培養装置
- バイオ3Dプリンタ(3次元細胞立体配置装置)
- オルガノイド/スフェロイド
- 生体機能チップ(Organ-on-a-Chip)
注目解析受託関連
- プロテオーム解析(プロテオミクス)
- マイクロバイオーム解析
- 次世代シーケンシング解析
- ドラッグ・リポジショニングサービス
注目バイオマーカー遺伝子
- 注目バイオマーカー遺伝子
◆本記事は「2020年 先端医療・ライフサイエンス研究市場データブック」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの必要な部分だけをご利用になりたい方は、こちらの市場調査データサービスでご確認いただけます。