株式会社富士経済は、物流現場における人手不足を解決する手段として自動化設備やソフトウエアを活用した省人化提案が進むと同時に、ユーザーニーズの多様化などに伴う需要増加により拡大を続けている、次世代物流システム・ビジネスの市場を調査しました。その結果を「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望 2019」にまとめました。
この調査では、次世代物流システムとしてロジスティクス・ファシリティ8品目、ロボティクス・オートメーション9品目、IoT(ソフト・ソリューション)5品目、IoT(ハード)5品目、AI4品目、また、次世代物流ビジネスとして通販フルフィルメントサービスや倉庫シェアリングなど4品目について、市場の現状を分析し、将来を予想しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望 2019」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望 2019」の全体サマリー
1.次世代物流システム市場 ※市場は国内市場+日系メーカー海外実績
|
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
|
ロジスティクス・ |
2,987億円 |
106.4% |
4,997億円 |
178.0% |
|
ロボティクス・ |
424億円 |
109.0% |
1,182億円 |
3.0倍 |
|
IoT(ソフト・ |
722億円 |
108.2% |
1,230億円 |
184.4% |
|
IoT(ハード) |
437億円 |
107.6% |
634億円 |
156.2% |
|
AI |
61億円 |
196.8% |
1,189億円 |
38.4倍 |
|
合 計 |
4,631億円 |
107.7% |
9,232億円 |
2.1倍 |
2019年の市場は2018年比7.7%増の4,631億円が見込まれます。今後も各分野で堅調な伸びが期待され、2025年には同2.1倍の9,232億円が予測されます。
立体自動倉庫システムや自動搬送・仕分けシステムなどのロジスティクス・ファシリティの規模が大きいです。EC市場の拡大などによって、卸・小売向けや運輸・倉庫向けを中心に各品目が伸びています。市場をけん引する立体自動倉庫システムは、入出庫前後の搬送工程でAGVや無人フォークリフトと連携した自動化が進むとみられ、省力化ニーズを受けて国内需要に加えて日系メーカー海外販売の伸びも期待されます。自動搬送・仕分けシステムはEC市場の拡大を受けて、卸・小売向けが堅調に増えるとみられます。
ロボティクス・オートメーションは、2019年は米中貿易摩擦の影響を受けた品目もみられましたが、将来的には堅調な伸びが予想されます。特に、AGV・アーム付AGVやリニア搬送システムは、国内に加えて海外需要も増加しており大きく伸びるとみられます。
IoTやAIでは、物流情報を共有し連携することによりサプライチェーンの最適化をはかる物流向けIoTプラットフォームやトラック予約システム、AI再配達回避システムなどの大幅な伸びが期待されます。また、AI画像認識活用物流システムは運用の標準化が進む2020年以降に急伸すると予想されます。
2.次世代物流ビジネス市場 ※市場は国内市場+日系メーカー海外実績
|
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
|
製品回収・修理サービス |
340億円 |
106.3% |
480億円 |
150.0% |
|
通販フルフィルメント |
535億円 |
111.5% |
950億円 |
197.9% |
|
倉庫シェアリング |
3億円 |
3.0倍 |
110億円 |
110.0倍 |
|
トラックシェアリング |
1,180億円 |
109.3% |
2,120億円 |
196.3% |
|
合 計 |
2,058億円 |
109.4% |
3,660億円 |
194.6% |
物流現場の人手不足や物流施設利用の多様化など、物流業界の課題を解決する手段として、各品目が堅調にのびるとみられます。
製品回収・修理サービスは、自主回収を含むリコールに対して迅速かつ適切な対応に注力する動きが活発化しているため伸びています。全国的な物流ネットワークを構築しており、使用済み製品や返品商品などを輸送する静脈物流のノウハウを持つ大手事業者のサービスの需要が高いです。
倉庫シェアリングは立ち上がったばかりの市場ですが、包括して物流業務を受託するサードパーティー・ロジスティクスなどの再保管先としての利用が広まり、需要増加が期待されます。
トラックシェアリングは、トラックドライバー不足が社会問題化する中で、オンライン上でマッチングするサービスがスタートアップ企業を中心に展開され始めており、市場拡大が予想されます。
全般的な通販の物流・出荷代行を行う通販フルフィルメントサービスは、ECの参入企業および利用者の増加により需要増加が続いています。自社で物流網を持たない企業にとってコストや業務の負担軽減ができるアウトソーシングのニーズは高いため、今後も伸びが予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.倉庫ロボットシステムの国内市場
|
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
50億円 |
156.3% |
270億円 |
8.4倍 |
倉庫内で可搬式の棚を搬送するために使用されるロボットを中心としたシステムを対象とします。
倉庫作業の効率化のために従来採用されてきたマテリアルハンドリング機器はサイズの異なる搬送物を取り扱う際の自動化が課題でしたが、倉庫ロボットシステムは棚そのものを移動させることにより搬送物のサイズに関わらず搬送を可能としました。投資コストが比較的低く、出荷量の増減についても倉庫ロボットや専用棚の増減で対応できるなどの利点により需要が増えており、今後の市場拡大が期待されます。
AIを活用して、多品種の商品を即時に出荷するため搬送頻度の高い棚をピッキング作業者の近くに配置するなど、最適な運送経路の算出機能なども組み込まれており、将来的にはトラックから庫内まで搬送物を取り扱う無人フォークリフトとの連携なども期待されます。
2.AI再配達回避システムの国内市場
|
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
10億円 |
- |
350億円 |
- |
AIを活用して配達業務を効率化し、再配達件数の減少を図るシステムです。具体例として、AIが住人の不在情報を認識して配達経路を最適化するシステムや、スマートフォンなどの情報端末を活用して受取人に配送物の届く時間帯を連絡するシステムなどがあげられます。
EC市場の拡大による配達物量の増加、また、慢性的な配送業界の人手不足を受け、配送員個人の経験や技量に依存しない再配達回避システムのニーズが高まっています。2019年より配送物や地図情報をもとに最適な配送ルートをドライバーに提示するシステムが展開されており、2020年には在宅情報をもとに最適な配送ルートをドライバーに提示するシステムが市場投入されるとみられます。今後は各家庭に設置されたスマートメーターの情報をAIが解析する方式が主流となるとみられ、スマートメーターの普及に伴い大幅な市場拡大が期待されます。2025年には350億円が予測されます。
3.宅配ボックスの国内市場
|
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
|
戸建住宅向け |
47億円 |
117.5% |
85億円 |
2.1倍 |
|
集合住宅向け |
101億円 |
109.8% |
160億円 |
173.9% |
|
合 計 |
148億円 |
112.1% |
245億円 |
185.6% |
戸建住宅向けは、戸建住宅に設置される製品を対象とします。集合住宅向けは、分譲マンションや賃貸アパート向け、駅や商業施設に設置される公共スペース向け製品を対象とします。低価格帯から冷蔵機能やICカード認証機能を実装した高価格帯までさまざまな製品が発売されており、ECの普及に伴う配送件数の増加への対応策として需要が増加し市場は拡大を続けています。2025年の市場は2018年比85.6%増の245億円が予測されます。
戸建住宅向けは、一般消費者が購入しやすい低価格帯の機械式が中心です。エクステリアメーカーやハウスメーカーを中心に活発な製品投入がみられます。普及率がまだ低いため、不在時でも受け取れる利便性の高さや認知度向上により、今後さらなる普及が期待されます。
集合住宅向けは、分譲マンションや公共スペースでは、オンラインで管理できる電子制御式の高価格タイプが中心です。一方、賃貸アパートでは、導入や維持、管理コストが抑えられる機械式が中心です。
分譲マンションでは、入居者の需要が高まっているため新築だけでなくリノベーション物件などでも設置が増えると予想されます。賃貸アパートでは、低価格な機械式を中心に設置が増えており、入居者の設置ニーズも高いため今後の伸びが期待されます。公共スペースでは、設置台数は着実に増えていますが、利用率の伸びは小幅にとどまっています。
【参考】本記事で使用した「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望 2019」に掲載している調査対象市場
次世代物流システム
ロボティクス・オートメーション
- AGV・アーム付AGV
- AGF(無人フォークリフト)
- 次世代物流ロボットシステム
- AI搭載デパレタイズロボット
- ロボットハンド
- パワーアシスト・増幅スーツ
- 物流向けドローン
- リニア搬送システム
- 次世代パッケージングシステム
ロジスティクス・ファシリティ
- デジタルピッキングシステム
- 自動搬送・仕分けシステム
- 立体自動倉庫システム
- 倉庫ロボットシステム
- 回転棚
- 電動式移動棚
- 天井走行式モノレール
- 垂直搬送機
IoT(ハード)
- スマートグラス
- 宅配BOX(戸建住宅向け)
- 宅配BOX(分譲マンション、賃貸アパート、公共スペース向け)
- ハンディターミナル
- RFIDタグ(製造業・物流業向け)
IoT(ソフト・ソリューション)
- WMS・TMS
- 物流向けIoTプラットフォーム
- トラック予約システム
- 物流向けシミュレーションソフト
- パレットレンタルサービス
AI
- 自動運転トラック
- 物流向け音声認識エンジン
- AI画像認識活用物流システム
- AI再配達回避システム
次世代物流ビジネス編
- 製品回収・修理サービス
- 通販フルフィルメントサービス
- 倉庫シェアリング
- トラックシェアリング
◆本記事は「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望 2019」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの必要な部分だけをご利用になりたい方は、こちらの市場調査データサービスでご確認いただけます。