本文にスキップする

富士経済グループ 市場調査サポートサイト

リチウムイオン二次電池の世界市場を調査。2020年に5兆円を超えると予測

株式会社富士経済は、日・中・韓電池メーカーによる中国拠点の新設・増設や、中国・欧州自動車メーカーに対する採用の働きかけが活発化しているリチウムイオン二次電池の世界市場を調査しました。その結果を「2019 電池関連市場実態総調査 電池セル市場編」にまとめました。

この調査では、リチウムイオン二次電池をはじめとする二次電池と一次電池の市場を調査・分析しました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2019 電池関連市場実態総調査 電池セル市場編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

「2019 電池関連市場実態総調査 電池セル市場編」の全体サマリー

2019年見込

2018年比

2023年予測

2018年比

二次電池

9兆4,435億円

110.9%

13兆5,250億円

158.8%

リチウム
イオン
二次電池

4兆8,446億円

121.2%

8兆8,239億円

2.2倍

一次電池

1兆777億円

103.5%

1兆1,947億円

114.7%

合 計

10兆5,211億円

110.1%

14兆7,197億円

154.0%

二次電池市場はLIBを中心に拡大しています。市場に占めるLIBの比率は年々上昇しており、2019年には50%を超え、2023年には65%を占めるとみられます。

このほか、鉛蓄電池は自動車と二輪車の始動用バッテリーとしてリプレースも含め堅調な需要があり、ニッケル水素電池(大型)はエネルギー密度の観点からEVやPHVでの採用は期待できませんが、HVでは需要が好調です。また、市場は限定的ですが、スマートフォンにおいてイヤホンジャックを廃止した機種が増えたことでBluetoothヘッドセットの需要が伸びており、搭載されるリチウム二次電池(コイン)が拡大しています。

応用製品の需要減少やほかの電池へのシフトにより縮小する電池もありますが、二次電池全体としては大幅な拡大が予想されます。

一次電池市場は、アルカリマンガン乾電池/マンガン乾電池が大半を占めています。マンガン乾電池からアルカリマンガン乾電池へのシフトが続いており、今後もアルカリマンガン乾電池が市場をけん引するとみられます。

また、アルカリマンガン乾電池と比較すると市場は限られますが、住宅用火災報知器、タイヤ空気圧センサ、車両緊急通報システムなどの法制化や、電気・ガス・水道などのメーターの機械式からデジタル式への置き換えにより、二酸化マンガンリチウム電池や塩化チオニルリチウム電池などリチウム一次電池も拡大していくとみられます。

◆注目個別市場サマリー

リチウムイオン二次電池(LIB)の世界市場

2019年見込

2018年比

2023年予測

2018年比

小型民生用

1兆7,087億円

106.2%

1兆8,372億円

114.1%

xEV用

2兆7,739億円

132.1%

6兆2,641億円

3.0倍

ESS/UPS
/BTS用

3,620億円

126.1%

7,226億円

2.5倍

合 計

4兆8,446億円

121.2%

8兆8,239億円

2.2倍

LIBは二次電池の中で最もエネルギー密度が高く、小型化や高出力化に対応できる電池としてニッケル水素電池をはじめ様々な二次電池から需要がシフトしています。2019年の市場は2018年比21.2%増の4兆8,446億円が見込まれ、2020年には5兆円を大きく超えるとみられます。また、市場の拡大をけん引するxEV用は2022年に5兆円を突破し、2023年にはLIB全体が8兆8,239億円、このうちxEV用は6兆2,641億円と予測されます。

小型民生用(シリンダ型/角型/ラミネート型)

ノートブックPC、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末などコンシューマ・エレクトロニクス(CE)製品向け、充電式電動工具、ガーデニングツール、E-Bikeなどのモーター駆動向けが中心です。

CE製品向けは、ノートブックPC、スマートフォン、タブレット端末など市場規模の大きい応用製品の需要が飽和しています。そのため全体としては低調ですが、ウェアラブル端末やBluetoothヘッドセットなどでの需要は伸びるとみられます。

モーター駆動向けは、充電式電動工具がニカド電池からLIBへ、ガーデニングツールがエンジンからLIBを使用するモーターへ、E-Bikeが鉛蓄電池からLIBへシフトしており、好調です。充電式電動工具は中国生産比率の上昇などから中小容量では中国電池メーカーのLIBが採用されつつあります。これにより日韓電池メーカーは影響を受けており、新たな需要先を探索しています。E-Bikeは中国で新しい業界標準が発効され、電池を含む車両重量が55kg以下と定められたことから、鉛蓄電池より軽いLIBの採用増加が期待されます。中国でxEVの市況が悪化していることや、シリンダ型のxEVの採用が難航していることもあり、中国電池メーカーは充電式電動工具の需要開拓やE-Bikeへシリンダ型LIBの提案を進めています。

xEV用

EV、PHV、HVの駆動用電池として用いられるLIBを対象としました。EVは高容量化、HVは高出力化を重視したLIBが採用されています。

xEVは環境規制の強化とインセンティブ(補助金や税制控除)により普及が進んでおり、これに伴いxEV用LIB市場は拡大が続いています。しかし、需要の中心である中国では2020年末の補助金制度終了前の2019年より補助金額が大幅に減額され、今後の伸びは不透明感があります。なお、中国の補助金制度は、中国電池メーカーに有利になるよう自国産業保護を目的に実施されていたため、この制度の終了を見越して、日韓電池メーカーが中国拠点の新設・増設を進め、中国自動車メーカーに対し採用の働きかけを強めています。

長期的に非常に厳しいCO2排出規制が課される欧州では、企業ごとに販売車両のCO2排出量平均値を基準値以下にすることが求められており、達成できない場合は罰則があります。そのためEVやPHVの販売台数を大幅に増やす必要があり、自動車メーカーによるEVやPHVの販売推進とともにxEV用LIBの拡大が予想されます。

ESS(電力貯蔵システム)/UPS(無停電電源装置)/BTS(携帯電話基地局)用

ESS用は世界的な再生可能エネルギー発電システムの導入増加に連動し拡大が続いています。韓国で2030年までに再生可能エネルギー由来電力の割合を20%に増やす計画が発表され、2018年は太陽光発電・風力発電システム向けESSの導入が加速したことから、世界市場は2017年比2.3倍と急拡大しました。2019年は韓国で急速な需要増加に起因するエンジニアリングやシステム制御の不具合により導入が一時的に停滞したものの、既に導入は再開しており、欧州や北米での需要の増加もあり引き続き拡大が予想されます。また、2020年には米国カリフォルニア州で新築住宅での太陽光発電システムの設置が義務化されることから、ESSの併設も増加するとみられます。

UPS/BTS用は鉛蓄電池が主流ですが、LIBへのシフトもみられます。特にBTS用は5G通信のサービス開始によるBTSの需要増加に伴い拡大が期待されます。

【参考】本記事で使用した「2019 電池関連市場実態総調査 電池セル市場編」に掲載している調査対象市場

二次電池

  • 鉛蓄電池
  • ニカド電池(小型)
  • ニッケル水素電池(小型)
  • ニッケル水素電池(大型)
  • リチウム二次電池(コイン)
  • レドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池
  • リチウムイオン二次電池(小型)
    小型民生用(シリンダ型/角型/ラミネート型)
    xEV用
    ESS/UPS/BTS用)

一次電池

  • アルカリマンガン乾電池/マンガン乾電池
  • アルカリボタン電池
  • 酸化銀電池
  • 二酸化マンガンリチウム電池(コイン)
  • 二酸化マンガンリチウム電池(シリンダ)
  • 塩化チオニルリチウム電池
  • 空気亜鉛電池

◆本記事は「2019 電池関連市場実態総調査 電池セル市場編」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの必要な部分だけをご利用になりたい方は、こちらの市場調査データサービスでご確認いただけます。