本文にスキップする

富士経済グループ 市場調査サポートサイト

車載電装システムの世界市場を調査。HV・EVシステムや自動運転システムの普及により市場拡大が続く

株式会社富士キメラ総研は、自動車業界の最重要事項である「電動車両化」「自動運転/AI化」をはじめとした、注目の「CASE」技術を支える車載電装システムやデバイスの市場を調査しました。その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020 上巻 システム/デバイス編」にまとめました。

この調査では、パワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系、ボディ系、情報通信系の車載電装システム計24品目の世界市場を国・地域別に調査・分析しました。また、それらを構成するデバイス&コンポーネンツ22品目の市場についても捉えました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020 上巻」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020 上巻」の全体サマリー

車載電装システムの世界市場

2019年見込

2018年比

2030年予測

2018年比

パワートレイン系

7兆9,659億円

96.4%

9兆4,875億円

114.8%

HV/PHV/EV/FCV系

2兆7,589億円

122.3%

18兆775億円

8.0倍

走行安全系

4兆3,365億円

99.6%

8兆1,113億円

186.3%

ボディ系

2兆8,636億円

97.0%

4兆4,869億円

152.0%

情報通信系

6兆9,696億円

100.3%

8兆7,488億円

125.9%

合 計

24兆8,945億円

100.5%

48兆9,120億円

197.4%

2019年の市場は中国の需要が低調であったため低い伸びにとどまるとみられますが、中長期的には堅調な拡大が予想されます。分野別ではパワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、走行安全系の環境・安全に関わるシステムが全体の60%以上を占めるとみられ、特にHV/PHV/EV/FCV系の伸びが大きいです。

エリア別では、自動車生産台数の多いEU、中国、北米が市場をけん引しています。EUや北米は、車載電装システムの搭載率が高く、2020年以降もHV/PHV/EV/FCV系が伸びるとみられます。中国は、2019年に自動車生産台数の減少によりマイナスが予想されます。しかし、EVなどの環境自動車の普及政策により、HV/PHV/EV/FCV系システムの比率が他エリアよりも大きく、中長期的には2020年以降は再び拡大に向かうとみられます。日本は、現状ではパワートレイン系と情報通信系の比率が大きいですが、今後はHV/PHV/EV/FCV系が大きく伸びて構成比を高めると予想されます。それらのシステム搭載が急速に進むため、2023年から当該システムの比率が最も高くなるとみられます。

今後も各分野の伸びが予想され、特にHV/PHV/EV/FCV系の大幅な伸びが期待されます。また、走行安全系の自動運転システム、ADAS、ドライバーモニタリングや、情報通信系の車外通信システム(TCU/DSRC)やHUD、ボディ系の電子ミラーなども大きく伸びるとみられます。

◆注目個別市場サマリー

1.ADASシステム

2019年見込

2018年比

2030年予測

2018年比

全体

5,794億円

113.3%

1兆3,037億円

2.5倍

中国

938億円

119.5%

3,869億円

4.9倍

日本

755億円

106.9%

1,174億円

166.3%

※中国、日本は全体の内数です

AEB(衝突被害軽減ブレーキ)などの衝突安全防止機能の搭載義務化により、世界的に搭載車の普及が進んでいます。現時点ではEUや北米が市場をけん引していますが、中長期的には日本や中国でも大幅な伸びが期待されます。

システム普及の課題として、センシングデバイスの搭載コストがあげられますが、車載カメラやミリ波レーダーなどは搭載車の増加による量産効果で低価格化が予想され、普及を後押しするとみられます。

2020年以降、各国が順次、衝突安全防止機能の搭載義務化を進めていることや、搭載車の増加によるシステムの低価格化が拡大を後押しし、2030年の市場は1兆3,037億円が予測されます。

2.自動運転システム

2019年見込

2018年比

2030年予測

2018年比

全体

488億円

10.0倍

2兆2,781億円

464.9倍

EU

97億円

198.0%

6,544億円

133.6倍

日本

-

-

2,636億円

-

※EU、日本は全体の内数です

国土交通省などが定義するレベル3から5のシステムを対象とします(レベル3についてはHDマップとLIDARが搭載されたシステムを対象とします)。現状、一般向けではドイツメーカーの車両に搭載されているのみですが、2020年代前半以降は日本メーカーの車両への搭載が予想されます。

一般向け車両に搭載される自動運転システムは、2020年にレベル3車が量産化され、2025年頃にレベル4車が投入されることで、徐々に市場が本格化すると予想されます。ロボットタクシー(レベル4車以上)などの商用車向けのシステムは2020年代前半に市場が立ち上がるとみられます。後付けのプラットフォーム販売であるため、一般向け自動運転システムと比べて高価格が想定されます。

主要なセンシングデバイスであるLIDARが高価格であるため、現状、搭載はハイエンド車両に限られています。2021年頃にMEMS(微小電気機械システム)式などの安価なLIDARが採用され始めることからシステムの低価格化が進むとみられます。2030年頃にはレベル3システムの価格は低下するとみられ、搭載車両は大幅な増加が予想されます。

3.電子ミラー

2019年見込

2018年比

2030年予測

2018年比

インナーミラー

266億円

175.0%

3,639億円

23.9倍

サイドミラー

14億円

-

908億円

-

電子インナーミラーは、車載カメラとディスプレイを使用し、鏡を代替して車両後方の視界を確保するシステムを対象とします。電子サイドミラーは、光学サイドミラーの機能をカメラとディスプレイで代替し、現行法規で光学ミラーの取り付けを免除されるシステムを対象とします。

電子インナーミラーの2019年の市場は2018年比75.0%増の266億円が見込まれます。搭載車種が徐々に増えており、市場は拡大しています。現状参入メーカーは限られていますが、複数の車載機器メーカーが参入に向けて開発を進めています。電子ミラーの実用化については法整備が追い付いていない国・地域もあるため、普及のためには早急な整備が待たれます。参入メーカーが増加する2021年の市場は678億円が予測されます。

電子サイドミラーは、原則的には従来の光学サイドミラーが搭載されるため、現状ではオプション設定となっています。光学ミラーと比べると高価なため、当面は一部のハイエンド車種に限定されたオプション設定での需要となります。市場は2020年頃から立ち上がり、2024年には504億円が予測されます。

当面は光学ミラー切り替え式、または光学ミラー併用の形が進むとみられますが、インナー、サイドともに2025年から本格的な普及が期待されます。

4.ドライブレコーダー

2019年見込

2018年比

2030年予測

2018年比

アフター

7,243億円

101.9%

1兆4,958億円

2.1倍

OEM/MDP/DOP

382億円

100.5%

666億円

175.3%

アフター(後付け)とOEM/MDP/DOP(純正品)に大別され、それぞれ、通信機能の有無により通信型とスタンドアローン型があります。通信型製品は、商用テレマティクスサービス用の端末として使用され、運行管理者が事故や危険運転などの状況把握に活用できます。スタンドアローン型製品は、主に一般車両に搭載されます。高性能化が進んでおり、カーナビと連動するタイプやスマートフォンとWi-Fi接続ができるタイプが登場しています。

アフターの市場が大部分を占めています。各地域で堅調な需要があり、特に中国や北米などの伸びが市場をけん引しています。中国は自動車保有台数の伸びに比例して伸びており、2020年以降も10%を超える伸びが予想されます。北米は一般的に車両移動時間が長く、また衝突事故から訴訟への発展に備えるユーザーが多いことから、エンターテインメント用途も含めて堅調な需要がみられます。日本の市場は成熟していますが、衝突事故やあおり運転の事件などが報道されると、高機能製品を中心に販売が伸びる傾向がみられます。国土交通省による事故防止対策支援推進事業としての運送事業者への取得経費の助成や、保険会社がドライブレコーダー貸出付で事故時に緊急通報システムと連動してコールセンターとつながる保険サービスなどを提供しており、普及の追い風となっています。

OEM/MDP/DOPの市場は小規模です。EUや米国の一部の州では、ドライバーや乗員のプライバシー保護、純正搭載による責任負担などの問題により、自動車メーカーが純正搭載に消極的なケースもみられます。しかし、事故時の責任負担を決める際の正確な検証に役立つため、今後も需要は増えるとみられます。また、レベル3以上の自動運転車の場合においても、衝突事故を完全に防止することは不可能であるとみられるため、自動運転システムが普及しても需要は維持されると予想されます。

【参考】本記事で使用した「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020 上巻」に掲載している調査対象市場

車載電装システム(システム/情報機器)

パワートレイン系

  • エンジンマネジメントシステム
  • アイドリングストップシステム
  • 変速制御システム

HV/PHV/EV/FCV系

  • 48VマイルドHVシステム
  • HV/PHVシステム
  • EV/FCVシステム

走行安全系

  • ブレーキ制御システム
  • ステアリング制御システム
  • ADAS/自動運転システム
  • エアバッグシステム
  • タイヤ空気圧警報システム
  • ドライバーモニタリングシステム

ボディ系

  • ボディ統合制御システム
  • エアコンシステム
  • ヘッドランプシステム
  • 電子キーシステム
  • 電子ミラー

情報通信系

  • 車外通信システム(TCU/DSRC)
  • 車内通信システム
  • IVI(カーナビ内蔵型/ディスプレイオーディオ型)/カーナビ
  • カーオーディオ/ディスプレイオーディオ
  • 車載メーターシステム/HUD
  • ドライブレコーダー
  • EDR(データ記録装置)

デバイス&コンポーネンツ

センサーモジュール/アクチュエーター

  • 流量センサー
  • ガス濃度センサー
  • 電流センサー
  • 超音波センサー
  • 車載カメラ
  • レーダーセンサー
  • LIDAR
  • 小型モーター
  • 生体センサー
  • インジェクター

表示/入力系デバイス

  • タッチパネル
  • ハプティックデバイス
  • LED
  • 液晶ディスプレイ(TFT)
  • 車載マイク
  • ルーフアンテナ

HV/PHV/EV/FCV/環境対策関連デバイス

  • インバーターモジュール
  • DC-DCコンバーター
  • モーター/電動アクスル
  • 二次電池
  • 車載用充電器
  • ISG/BSG/xMG

◆本記事は「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2020 上巻」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの必要な部分だけをご利用になりたい方は、こちらの市場調査データサービスでご確認いただけます。