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世界のパワー半導体市場を調査。自動車・電装分野、情報通信機器、産業分野、電鉄車両やエネルギー分野で需要が期待

株式会社富士経済は、世界景気が悪化する中でも、自動車電動化の進展や5G通信の本格化などにより、閉塞感を打開する有望用途の登場が期待されるパワー半導体の世界市場を調査しました。その結果を「2020年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめました。

この調査ではパワー半導体の最新市場動向と技術開発動向の把握をはじめ、パワー半導体構成部材や製造装置の市場動向、さらに民生機器や情報通信機器などアプリケーション市場動向・搭載スペックを把握しました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

「2020年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」の全体サマリー

1.パワー半導体の世界市場

2019年

2030年予測

2019年比

2兆9,141億円

4兆2,652億円

146.4%

Siパワー半導体と次世代・次々世代のパワー半導体を対象とします。市場はこれまで好調が続いてきましたが、2018年後半からの中国景気悪化の影響により産業分野で需要が落ち込み、2019年は一転して微減となりました。しかし、自動車の電動化に伴う自動車・電装分野での需要増加、また、電鉄車両分野やエネルギー分野でも一定の需要が維持されることから、2025年に市場は3兆6,572億円、2030年には4兆2,652億円が予測されます。現状では、Siパワー半導体が市場の98%以上(2019年に98.4%)を占めています。Siパワー半導体の市場は、産業分野で需要が落ち込んだものの、自動車・電装分野や電鉄車両分野では比較的堅調であったことから、2019年は微減にとどまりました。2020年以降は自動車・電装分野や電鉄車両分野での堅調な需要に加えて、産業分野での需要回復が期待されることから、拡大推移が予想されます。次世代・次々世代パワー半導体が伸長するものの、コスト優位性などから今後もSiパワー半導体を中心とした市場構造が続くとみられます。

エリア別では、中国が2019年で市場規模1兆円を超える最大の需要地となっています。今後も需要は継続すると予想されることから、中国市場がパワー半導体市場をけん引していきます。中国市場に次いで規模が大きいのが台湾や東南アジアなどの他アジア市場であり、2019年は6,694億円となっています。主要パワー半導体メーカーが本社を置く日本や欧州、北米の市場は、それぞれ3,000億円から4,000億円規模となっています。SiCパワー半導体をはじめとする次世代・次々世代パワー半導体の生産と需要の中心は、これらのエリアであることから、各市場は緩やかに伸びていくと予想されます。

2.パワー半導体構成部材の世界市場

2019年

2030年予測

2019年比

2,260億円

4,721億円

2.1倍

産業分野でのパワー半導体需要の落ち込みによって一部の材料は影響を受けましたが、自動車・電装分野での需要が堅調であったことから、2019年の市場はわずかに拡大し2,260億円となりました。中長期的にはパワー半導体需要の増加が期待されることから拡大推移が予想されます。

今後の自動車・電装分野の需要増加やSiCパワー半導体の普及・量産化を見据えて、シンタリング接合材や封止材料などは開発が進められており、それらの需要増加とともに市場は2025年に3,629億円、2030年には4,721億円に拡大すると予測されます。

3.パワー半導体製造装置の世界市場

2019年

2030年予測

2019年比

1,656億円

3,293億円

198.9%

前工程装置の設備投資は国内ではSiパワー半導体製造向け、中国や台湾などではSiCパワー半導体製造向けで積極的に行われましたが、後工程装置の設備投資はあまり行われなかったことから、2019年の市場は2018年比1.4%増と伸び悩みました。

SiCパワー半導体製造装置の設備投資は、今後もSiCパワー半導体の需要増加とともに継続的に行われるとみられます。また、後工程装置の設備投資も2020年以降の増加が期待されることから、市場は2030年に3,293億円まで拡大すると予測されます。

◆注目個別市場サマリー

次世代・次々世代パワー半導体の世界市場

SiCパワー半導体がけん引するかたちで市場が拡大しており、2019年は2018年比16.4%増の455億円となりました。2030年には2019年比6.2倍の2,831億円が予測されます。

1.SiCパワー半導体

2019年

2030年予測

2019年比

436億円

2,009億円

4.6倍

SiCパワー半導体市場は、自動車・電装分野やエネルギー分野でSiC-FETの需要が増加していることなどから拡大が続いています。自動車・電装分野向けが2019年に市場の36.0%を占める主要な用途です。自動車・電装分野に次いで情報通信機器分野向けが24.3%、産業分野向けが20.0%となっています。自動車・電装分野向けは、SiC-FETが2018年に本格採用されたことから大きく伸びています。2022年からSiCパワーモジュールがEVの駆動用インバーターモジュールに採用されるとみられ、2025年には市場構成比が40%を超えると予想されます。なお、電鉄車両分野では2020年から新幹線にSiCパワーモジュールが搭載されるとみられます。また、エネルギー分野では太陽光発電や風力発電関連で需要の増加が期待されます。

2.GaNパワー半導体

2019年

2030年予測

2019年比

19億円

232億円

12.2倍

GaNパワー半導体は、サーバー電源などの情報通信機器分野向けが最も規模が大きく、2019年に市場の82.2%を占める主要用途となっています。GaNパワー半導体の高周波特性が適していることから採用が進んでおり、今後も伸びが予想されます。民生機器分野ではスマートフォンなどの充電アダプターを中心に採用されており、徐々に実績を伸ばしています。一方、産業分野では一部のメーカーがモータードライバーに採用していますが、現状では大きな実績には至っていません。当面は緩やかな伸びが続くものの、単価が下がることで、採用が進むとみられます。有望用途としては自動車・電装分野が挙げられます。2022年以降にDC-DCコンバーターやオンボードチャージャーといった補機類へ採用するメーカーが増えるとみられます。また、縦型構造のGaNパワー半導体の開発を進めている企業があり、2023年頃からサンプル出荷が始まると予想されます。

3.酸化ガリウム系パワー半導体

2019年

2030年予測

2019年比

僅少

590億円

―

酸化ガリウムパワー半導体は、SiCパワー半導体やGaNパワー半導体よりもコストメリットがあるため今後の普及が期待されています。

2020年中に酸化ガリウムSBDの量産が始まるとみられます。まずは600Vの中耐圧領域をターゲットに、民生機器分野や情報通信機器分野で使用される電源などで採用され、その後、産業分野などの高耐圧領域へと裾野を広げていくとみられます。また、酸化ガリウムFETの実用化によって、エネルギー分野や電鉄車両分野での採用も期待されます。最終的には自動車・電装分野への展開が想定されますが、酸化ガリウムFETの普及・量産化や信頼性の向上などが必要となるため、本格的な採用は2025年から2030年頃とみられます。

そのほかでは、ダイヤモンドパワー半導体の実用化に向けた研究開発が積極的に行われています。量産化は2030年以降になるとみられます。

【参考】本記事で使用した「2020年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」に掲載している調査対象市場

パワー半導体

Siパワー半導体

  • 整流ダイオード
  • SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)
  • FRD(ファースト・リカバリー・ダイオード)
  • バイポーラパワートランジスタ
  • 低耐圧パワーMOSFET
  • 高耐圧パワーMOSFET
  • IGBTディスクリート
  • サイリスタ・トライアック
  • IGBTモジュール
  • インテリジェントパワーモジュール
  • パワーIC

SiCパワー半導体

  • SiC-SBD
  • SiC-FET
  • SiCパワーモジュール

GaNパワー半導体

酸化ガリウムパワー半導体

ダイヤモンドパワー半導体

パワー半導体構成部材

  • SiCウェーハ
  • GaNウェーハ
  • 酸化ガリウムウェーハ
  • ダイヤモンドウェーハ
  • 半導体レジスト
  • バッファーコート膜
  • CMPパッド
  • CMPスラリー
  • ダイボンディングペースト
  • はんだ
  • シンタリング接合材
  • リードフレーム用条材
  • ボンディングワイヤ
  • 封止材料
  • 窒化アルミニウム回路基板
  • アルミナ系回路基板
  • 窒化ケイ素回路基板・白板
  • 金属放熱基板
  • 放熱シート
  • 放熱グリース

パワーデバイス製造装置

  • エピ膜成長装置
  • GaN向けMOCVD
  • CMP装置
  • プラズマCVD
  • コータ/デベロッパ
  • 露光装置
  • イオン注入装置
  • 熱処理装置
  • レーザーアニール装置
  • ドライエッチング装置
  • スパッタリング装置
  • バックグラインダ
  • ダイシング装置
  • ダイボンダ
  • ワイヤボンダ
  • モールディング装置
  • ウェーハ外観検査装置
  • チップ外観検査装置
  • セラミック基板検査装置
  • ハンドラ
  • 電気テスタ装置

パワーエレクトロニクス機器

  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • ルームエアコン
  • IHクッキングヒータ
  • 炊飯器
  • 電子レンジ
  • LED照明器具
  • スマートフォン
  • ノートパソコン
  • タブレット端末
  • 液晶テレビ
  • サーバ
  • UPS(中・大容量)
  • xEV駆動用インバータ
  • xEV用DC-DCコンバータ
  • ステアリング制御システム
  • ADAS/自動運転システム
  • ボディ統合制御システム
  • 車載用充電器
  • 急速充電スタンド
  • 普通充電スタンド
  • ワイヤレス給電システム
  • 鉄道車両
  • 太陽光発電用パワーコンディショナ
  • 風力発電システム
  • 家庭用燃料電池
  • 電力貯蔵システム(需要家設置)
  • 汎用インバータ
  • サーボアンプ
  • スポット溶接ロボット

◆本記事は「2020年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。