株式会社富士経済は、ハード・ソフトの両面でさらなる発展が予想されるコネクテッドカーの世界市場を調査し、その結果を「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2020」にまとめました。
コネクテッドカーの普及進展による常時接続機能の標準化を背景に、自動車が1つのIoTになり、車同士や人、社会インフラがシームレスにつながることで、安心・安全な交通社会の実現や様々な新サービスの開発が活発化すると期待されています。
この調査では、コネクテッドカーのエリア別市場に加えて、コネクテッドカー関連サービス9品目、コネクテッドカー関連機器・システム9品目、コネクテッドカー関連デバイス5品目、V2X関連機器・インフラ4品目、ADAS・自動運転関連機器・技術7品目、EV電源ソリューション2品目の現状を調査し、将来を予想しました。加えて、主要自動車メーカーのコネクテッドカー戦略について整理しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2020」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2020」の全体サマリー
1.コネクテッドカーの新車販売台数(乗用車、商用車)
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2019年 |
2035年予測 |
2019年比 |
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日本 |
340万台 |
380万台 |
111.8% |
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北米 |
980万台 |
1,730万台 |
176.5% |
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欧州 |
780万台 |
2,020万台 |
2.6倍 |
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中国 |
560万台 |
2,690万台 |
4.8倍 |
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その他 |
460万台 |
2,600万台 |
5.7倍 |
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合 計 |
3,120万台 |
9,420万台 |
3.0倍 |
2019年の市場は2018年比17.7%増の3,120万台となりました。近年、中国をはじめ世界的に自動車市場の低迷が続いており、また、2020年には新型コロナウイルスに起因する自動車生産設備の稼働停止や一部サプライチェーンの寸断など市場へのマイナス要因もみられます。しかし、自動車メーカーをはじめとしてCASE関連への投資は活発であるため、市場は今後大幅に拡大し、2035年には2019年比3.0倍の9,420万台が予測されます。
乗用車が市場拡大をけん引しています。自動車メーカー各社の積極的な取り組みにより、乗用車の新車販売台数に占めるコネクテッドカーの比率は今後も高まり、2019年の34%から2035年には80%に上昇するとみられます。商用車においても2035年には75%に上昇すると予想されます。
地域別では、現状、北米や欧州がけん引しており、今後も通信形態として車載セルラーを採用した車両を中心とした伸びが予想されます。長期的に市場拡大をけん引するとみられる中国は、車載セルラーとモバイル連携採用車両の順調な伸びにより、2035年には2019年比4.8倍の2,690万台が予測されます。中国では国レベルで車載セルラーによるコネクテッドカーを推進しているため、車載DSRC採用車両の普及は難しいとみられます。日本は、現時点で乗用車の新車販売台数におけるコネクテッドカー比率が75%を超えており、また、新車販売台数そのものが縮小するため、大幅な伸びは期待できません。現状はモバイル連携の採用が先行していますが、将来的には車載セルラーの採用が伸びるとみられます。また、車載DSRCの採用は少ないですが、堅調な需要が予想されます。その他では、東南アジア、ブラジル、インドなどの伸びが期待されます。新興国を中心に、低コストで利用できるモバイル連携採用車両が市場をけん引するとみられます。
2.通信形態別
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2019年 |
2035年予測 |
2019年比 |
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車載セルラー |
1,890万台 |
7,340万台 |
3.9倍 |
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モバイル連携 |
1,730万台 |
5,100万台 |
2.9倍 |
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車載DSRC |
10万台 |
800万台 |
80.0倍 |
※複数の通信形態を採用するケースがあるためコネクテッドカーの新車販売台数合計とは一致しません
通信形態別では、車両側にセルラー通信用のモジュールを装備する車載セルラーが増えており、2019年でコネクテッドカー販売台数の60%以上に採用されています。5G通信利用の本格開始に伴い2022年の採用率は75%を超えると予想されます。
スマートフォン端末などの通信機能を用いるモバイル連携は、「CarPlay」や「Android Auto」などミラーリンク対応車載プラットフォームの普及により、採用が増えています。モバイル連携は、車載セルラーに比べ通信技術・規格の進展やユーザーニーズに対応した柔軟なサービス提供が可能になるメリットがあります。また、ユーザーは低コストで導入できるため、新興国での採用増加が期待され、今後も堅調に伸びると予想されます。
V2X(車車間・路車間無線通信)用に、セルラー通信との競合技術であるDSRCを利用した車載DSRCは、現状は10万台の市場規模にとどまっています。これまでは日本のITS Connect対応車種が中心でしたが、2020年からVolks Wagenが「Golf」への採用を開始しており、本格的な市場形成が期待されています。中国が国レベルで車載セルラーの支持を打ち出すなど、車載DSRCを取り巻く環境は厳しいですが、DSRCとセルラー通信に対応するハイブリッド型車載器の開発も進んでおり、一定の需要が期待されます。
◆注目個別市場サマリー
2D地図(ナビゲーション地図)、3D地図(ダイナミックマップ)
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2019年 |
2035年予測 |
2019年比 |
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2D地図 |
2,110万台 |
4,030万台 |
191.0% |
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3D地図 |
1万台 |
256万台 |
256.0倍 |
2D地図は、IVIシステム、スマートフォン連携車載器、サードパーティナビに付帯されるナビゲーション地図を対象とします。ナビゲーション機能やストリートビューなどの情報を活用しており、コネクテッドカーの重要な構成要素として位置づけられています。
IVIシステムやナビゲーションシステム搭載の車載器の伸びに連動して市場は拡大が続いています。
地域別にみると、現状は北米や欧州の需要が高いですが、長期的には新車販売台数が増加する中国での需要増加が予想されます。中国では、安価なディスプレイオーディオをスマートフォンと連携し、ナビゲーションにスマートフォン地図を使用するケースが増えているものの、自動車メーカーがIVIシステム搭載による車種のブランディングに取り組み、精度の高いナビゲーションシステムを展開していることから、2D地図の需要も高まると予想されます。欧米では、自動車メーカーがIVIシステムの開発・普及に注力しているため、連動して2D地図も伸びるとみられます。日本は、2D地図が搭載されたナビゲーションシステムが広く普及しており、今後も安定した需要が期待されます。
ナビゲーションにスマートフォン地図を利用する安価なディスプレイオーディオの普及は、2D地図市場の拡大阻害要因として懸念されますが、音質や地図、各種ソフトウェアなどの使いやすさから2D地図搭載のナビゲーションシステムの需要は高いため、市場は堅調な拡大が予想されます。
3D地図(ダイナミックマップ)は、自動運転で活用が期待される3D高度化地図を対象とします。現状、全方位レンジファインダを用いるリアルタイム3D地図化方式と、事前に作成した地図情報をクラウド上に蓄積するクラウド/ビッグデータ活用による地図化方式の二通りがあります。
2018年よりGMが北米向け、2019年には日産自動車が日本向けに採用を開始しました。2社ともに自動運転レベル2程度の車種で採用しており、主に高速道路の走行で活用されています。短期的にはフラッグシップモデルなど一部の車種への搭載となるため、当面、市場は緩やかに拡大するとみられます。
3D地図を利用しなくてもレベル2程度の自動運転は可能なため、自動車メーカーの意向や自動運転レベル、国・地域によって採用の有無は分かれますが、国土が広く高速道路での長時間走行が多い中国や北米、欧州などでは需要増加が予想されます。また、自動運転レベル3以上では3D地図の採用が増えるとみられ、2035年以降の市場拡大が期待されます。
【参考】本記事で使用した「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2020」に掲載している調査対象市場
コネクテッドカー関連サービス
- 自動車向けデータ通信
- テレマティクス(OEテレマティクス)
- フリートテレマティクス
- テレマティクス自動車保険
- 緊急通報(eCall)
- 盗難車両追跡(SVT/SVR)
- リモート故障診断/OBD
- OTAソリューション
- 車載eコマース
コネクテッドカー関連機器・システム
- カーナビゲーション/IVI
- ディスプレイオーディオ(DA)
- 2D地図
- テレマティクスコントロールユニット(TCU)
- ヘッドアップディスプレイ(HUD)
- 音声認識インターフェース
- ジェスチャーインターフェース
- ドライバーモニターシステム
- ドライブレコーダ
コネクテッドカー関連デバイス
- 運転席前方ディスプレイ
- 車載通信モジュール
- 車載短距離無線技術
- 車載GPS/GNSS
- セキュアマイコン
V2X関連機器・インフラ
- V2X車載器(DSRC)
- V2X車載器(C-V2X)
- V2X用アンテナ
- V2X路側機(RSU)
ADAS・自動運転関連機器・技術
- 車載カメラ
- ミリ波レーダ
- LiDAR
- ダイナミックマップ(3D地図)
- 画像処理プロセッサ(SoC/GPU)
- バックアップ電源
- 自動駐車システム
EV電源ソリューション
- V2H/V2B
- VPP・V2G
◆本記事は「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2020」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。