株式会社富士キメラ総研は、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う在宅勤務の広がりにより、ノートパソコンやパソコン用モニターなどで需要が増える一方、スマートフォンや自動車で需要の落ち込みが目立つ、ディスプレイデバイスの世界市場を調査しました。その結果を「2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」にまとめました。
この調査では、大型・中小型TFT、大型・中小型AMOLED、マイクロOLEDなどのディスプレイデバイスに加えて、それらを構成する部品材料、また、関連するアプリケーション機器の市場について、現状を調査し、将来を予想しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」の全体サマリー
1.主要ディスプレイデバイスの世界市場
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2020年見込 |
2019年比 |
2025年予測 |
2019年比 |
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大型TFT |
6兆5,233億円 |
94.9% |
5兆9,001億円 |
85.8% |
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中小型TFT |
1兆8,975億円 |
78.3% |
2兆1,199億円 |
87.5% |
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大型AMOLED |
3,284億円 |
116.6% |
6,279億円 |
2.2倍 |
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中小型AMOLED |
2兆449億円 |
100.4% |
2兆3,236億円 |
114.1% |
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マイクロOLED |
97億円 |
114.1% |
2,804億円 |
33.0倍 |
大型TFTは、テレビやIT機器(ノートパソコン、パソコン用モニター・AIO、タブレット端末)、パブリック・サイネージモニター、医療用モニター、カラーマネジメントモニター、放送局用モニター向けを対象としました。大型TFTは需給動向による価格の動きが激しく、年ごとに市場動向が大きく変動する傾向にあります。
2020年上半期は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界的に在宅勤務が広がったことから個人向けパソコンの需要が高まり、パソコン用モニターやノートパソコン向けが増加したほか、医療用モニターで特需が発生しました。一方、テレビ向けはセット生産の低迷によりパネル出荷が落ち込んだため低調でした。2020年下半期は、パソコン用モニターや医療用モニター向けが引き続き好調で、テレビ向けの出荷が回復しつつありますが、通年では2019年比5.1%減が見込まれます。2021年以降はパソコン用モニターやノートパソコン向けは減少に転じ、長期的にはOLED-TVの台頭によりテレビ向けも縮小するため、今後市場は微減で推移するとみられます。
中小型TFTは、スマートフォン向けのウエイトが60%以上を占めていることから、その需給動向に市場が左右されます。2019年はスマートフォンのセット生産が減少したのに加え、AMOLEDの採用比率が高まったため、中小型TFTの市場は2018年比9.5%減となりました。
2020年は、ヘッドマウントディスプレイ向けは好調ですが、主力のスマートフォンや車載ディスプレイ向けが新型コロナウイルス感染症の感染拡大や米中貿易摩擦の影響により、大幅に減少するとみられ、市場は2019年比21.7%減が見込まれます。2021年以降は車載ディスプレイでの需要増加により、市場は回復に向かいますが、2025年時点でも2019年の市場を下回ると予想されます。
大型AMOLEDは、テレビやパソコン用モニター、ノートパソコン、タブレット端末、パブリック・サイネージモニター、医療用モニター、カラーマネジメントモニター、放送局用モニター向けを対象としました。
2020年上半期の市場は、主力のテレビ向けが低迷した一方、ノートパソコンでの採用が急速に本格化しています。2020年下半期は、引き続きノートパソコンやタブレット端末向けが好調であり、また、テレビ向けも回復しつつあるため、2019年比16.6%増が見込まれます。
2021年以降は、テレビ向けに加え、ノートパソコンやタブレット端末向けが市場拡大をけん引するとみられます。サイズが大きく高単価であるテレビ向けを中心とした市場構造が続きますが、ノートパソコンの大幅な需要増加も市場拡大に寄与するとみられます。
中小型AMOLEDは、スマートフォン向けが80%以上を占めています。大手スマートフォンメーカーによるプラスチックAMOLEDの採用増加を背景に市場拡大が続いています。2020年は、スマートフォンのセット生産が落ち込んでいますが、TFT LCDからの置き換え需要を取り込んでいるため、市場は微増が予想されます。特に付加価値性が高いプラスチックAMOLEDの需要増加が市場拡大に寄与しています。
2021年以降は、スマートフォン向けを中心に、スマートウォッチ・ヘルスケアバンド、ヘッドマウントディスプレイ、車載ディスプレイ向けの増加が予想されます。2022年にはヘッドマウントディスプレイの新機種が投入され、また、車載ディスプレイでは高コントラスト、優れた黒色表示、ベンダブル応用を目的に、コスト高ではありますが一部車種で採用が期待されます。
マイクロOLEDは、電子ビューファインダー(EVF)やスマートグラス、ヘッドアップディスプレイなどで採用されています。2019年時点ではミラーレスカメラおよびデジタルカメラ(DSC)のEVF向けが80%以上を占めています。
ミラーレスカメラおよびDSCにおけるEVF搭載率は上昇しているため、当面はEVF向けで堅調な需要が予想されます。今後は、スマートグラスで急速な需要増加が予想され、2021年にはEVF向けを超えるとみられます。特にBtoC向けのMRスマートグラスでの採用が想定され、大きな伸びが期待されます。
2.LCD・OLED関連部品材料の世界市場
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2020年見込 |
2019年比 |
2025年予測 |
2019年比 |
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LCD |
1兆2,460億円 |
95.2% |
1兆2,187億円 |
93.1% |
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OLED |
1,904億円 |
108.4% |
3,885億円 |
2.2倍 |
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LCD・OLED共通 |
8,832億円 |
93.5% |
9,729億円 |
103.0% |
LCD関連部材6品目の2020年の市場は、2019年比4.8%減が見込まれます。配向膜材料や液晶材料、シール剤、偏光板保護フィルム・位相差フィルムが単価下落により縮小しています。一方、ハイエンドLCD-TV用パネルで採用が増加しているQDシートは2019年比30%近い増加が見込まれ、今後の伸びが期待されます。
OLED関連部材9品目の2020年の市場は、2019年比8.4%増が見込まれます。プラスチックAMOLEDのTFT基板として採用されるポリイミドワニスやフォルダブル用カバー材料、Y-OCTA用オーバーコート剤が好調です。今後、中小型AMOLEDで「Y-OCTA」タイプのタッチセンサーが主流になるため、特にY-OCTA用オーバーコート剤が大きく伸びるとみられます。
LCD・OLED共通関連部材6品目の2020年の市場は、各品目が前年割れになるとみられます。2021年には多くの品目が増加に転じるとみられ、以降は微増での市場推移が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
QDシート、QDインク
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2020年見込 |
2019年比 |
2025年予測 |
2019年比 |
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QD |
216億円 |
128.6% |
286億円 |
170.2% |
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QD |
- |
- |
416億円 |
- |
量子ドット(QD)技術による波長変換を行うことで、豊かな色再現が可能になるため、同技術の核となるQDシート、QDインクが注目されています。QDシートはLCD向けですでに市場が立ち上がっているほか、QDインクはAMOLEDやマイクロLED向けでの市場拡大が予想されます。
QDシートは、LCDのバックライトユニットに採用される量子ドットシートを対象としました。
2019年時点では、需要の大半はSamsung El.の「QLED」向けであり、「QLED」製品の拡販に伴いQDシートの需要は増加しています。2020年はテレビ市場が縮小する中でも「QLED」製品は比較的好調であり、また、新興メーカーを含めた他メーカーもハイエンドテレビ向けの技術としてQDシートの採用を進めていることから、市場は2019年比28.6%増が期待されます。
2021年には、Samsung DisplayがQD-OLEDを量産する計画であり、2021年、2022年と大幅な市場拡大が期待されます。また、中国テレビメーカーはミニLEDバックライトを採用したLCD-TVでHDR(ハイダイナミックレンジ)対応を進めるケースもみられ、ミニLEDを搭載するLCD-TVにおいてQDシートの採用増加が期待されます。
QDインクは、QD材料をバインダー樹脂に分散したインクジェット用材料を対象としました。QD-OLEDにおいて、光源の青色光を赤色光や緑色光に変換させるQD-CF向けの材料として検討が進められています。
Samsung Displayは2021年に青色OLEDとQD-CFを組み合わせたQD-OLEDを量産する計画であり、それによりQDインクの市場が立ち上がるとみられます。また、QD-CFはマイクロLEDディスプレイでの採用も想定され、今後はBtoBやホームシアターなどの最上位テレビに応用されるとみられることから、QDインクの需要増加が期待されます。2021年以降、市場は順調に拡大し、2025年には416億円が予測されます。
【参考】本記事で使用した「2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」に掲載している調査対象市場
ディスプレイデバイス
LCD
- 大型TFT
- 中小型TFT
OLED
- 大型AMOLED
- 中小型AMOLED
- マイクロOLED
その他
- オン・インセルタッチパネル
アプリケーション機器
- テレビ
- スマートフォン
- スマートウォッチ・ヘルスケアバンド
- ヘッドマウントディスプレイ
- スマートグラス
- 車載ディスプレイ
- パソコンモニター・AIO
- ノートパソコン
- タブレット端末
- パブリック・サイネージモニター
- 医療用モニター
- カラーマネジメントモニター
- 放送局用モニター
- 携帯ゲーム機
- フィーチャーフォン
- DPF・ポータブルDVD
- DSC
- DVC
- PND
- MFP
- ポータブルオーディオ
- 産業用・汎用ディスプレイ
ディスプレイ関連部品材料
LCD関連部材
- 配向膜材料
- 液晶材料
- シール剤
- 偏光板
- 偏光板保護フィルム・位相差フィルム
- QDシート
OLED関連部材
- フォルダブル用カバー材料(透明ポリイミド・フレキシブルガラス)
- 円偏光板
- 円偏光板保護フィルム・位相差フィルム
- OLED用封止材
- OLED用ポリイミドワニス
- 蒸着型発光材料
- 電子輸送材料
- Y-OCTA用オーバーコート剤
- QDインク
LCD・OLED共通関連部材
- ガラス基板
- カラーレジスト
- ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサー
- カラーフィルター用顔料分散液
- 表面処理フィルム
- ACF
タッチパネル関連部材
- 車載カバーガラス
- メタルメッシュフィルム
- OCR
◆本記事は「2020 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。