株式会社富士経済は、女性の社会進出や老々介護など介護の担い手の変化、政府による在宅介護の推進により拡大が期待される市販用高齢者向け食品の国内市場を調査した。その結果を「市販用高齢者向け食品の現状と将来展望」にまとめました。
この調査では、市販用の高齢者向け食品を飲料、主食、おかず、おやつ・デザートといったメニュー別、ドラッグストアや通販などチャネル別に分析しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「市販用高齢者向け食品の現状と将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「市販用高齢者向け食品の現状と将来展望」の全体サマリー
1.市販用高齢者向け食品市場
市販用の高齢者向け食品市場は1990年代後半に形成されましたが、自家調理との競合や出来合い品への抵抗感などにより、高齢化が進展する中でも小規模にとどまっていました。しかし、政府が施設介護から在宅介護へ本格的に舵を切っていることに加え、女性の社会進出や老々介護など介護の担い手の変化、訪問介護での人手不足などで調理の簡便化ニーズが高まり、市場は緩やかながらも拡大しています。
2020年は、新型コロナウイルス感染症の感染防止のためデイサービスなど介護施設の利用機会が減少したことで需要の高まりが期待されましたが、介護者の在宅時間が伸び自家調理が増えたことから、大きな追い風にはなりませんでした。しかし、変わらず需要は堅調であり、市場は拡大するとみられます。
近年ではサルコペニア・フレイル予防の浸透により、たんぱく質などの栄養補給の重要性が認知され、日常的な栄養補給を訴求した「メイバランス」(明治)などの流動食が要介護者以外の高齢者の需要も取り込んでいます。高齢者人口の増加や調理の簡便化ニーズの高まり、要介護者に加え食が細くなった高齢者などユーザーのすそ野が広がることで市場は拡大していき、2030年には278億円が予測されます。
2.メニュー別動向
市場をけん引するのは自家調理と競合せず、サルコペニア・フレイル予防や熱中症予防のニーズを取り込む飲料であり、市場の6割を占めています。
主食は、米飯類が自家調理と競合しやすいため、他のメニューに比べユーザーや市場は限定的ですが、簡便性を求めるユーザーは日常的に使用するため、リピーターが多いです。
おかずは、各社が幅広いメニュー展開を行っています。自家調理と競合しますが、舌でつぶせたり、かまなくてもよいものは、調理に手間がかかることからニーズが大きく、商品数が増加しています。介護者の時短ニーズの増加や、購入による手抜き感と抵抗感が軽減されることで需要は高まっていくとみられます。
おやつ・デザートは、一般加工食品のヨーグルトやゼリーと競合しますが、少量でも栄養補給が可能な高たんぱくな商品などが好調です。
3.チャネル別動向
チャネル別では5割近くをドラッグストアが占め、次に比率が高いのは通販です。
ドラッグストアや量販店などは一般食品と比べ回転率の低い高齢者向け食品の棚が広がりにくく、メーカーはAmazonなどの総合通販や介護食専門通販の注力度を高めています。
通販市場
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2020年見込 |
前年比 |
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カタログ通販 |
34億円 |
109.7% |
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EC |
26億円 |
108.3% |
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合 計 |
60億円 |
109.1% |
カタログ通販は、ECに不慣れな介護者による底堅い需要があり、病院や介護施設の関係者から介護者へカタログが紹介されることが多いです。2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛により、病院や介護施設を経由した新規ユーザーの獲得が停滞しましたが、まとめ買いのしやすさもあり、二桁近い拡大が見込まれます。
ECは、費用対効果の面でコストや労力のかかる自社通販から撤退する企業が多く、店頭認知度が高い商品は総合通販への移行が進んでいます。介護食専門通販ではスマートフォンでの注文が増加しており、2020年は店舗購入からのシフトもみられます。
【参考】本記事で使用した「市販用高齢者向け食品の現状と将来展望」に掲載している調査対象市場
定義
- 市販用高齢者向け食品として、嚥下や栄養補助を訴求する加工食品、嚥下障害のある高齢者の水分補給を主目的に電解質などを訴求した飲料、流動食
メニュー別
- 飲料
- 主食
- おかず
- おやつ・デザート
チャネル別
- ドラッグストア
- 調剤薬局
- 通販(EC/カタログ通販)
- 量販店
- 生協
- その他
◆本記事は「市販用高齢者向け食品の現状と将来展望」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。