株式会社富士経済は、食材費や光熱費などの上昇で価格改定が進むも、季節限定メニューの発売や人気コンテンツとのコラボレーション実施などで集客力がアップしているファストフード店やファミリーレストラン、店舗数の増加が続く専門料理店の国内市場を調査しました。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2026 No.1」にまとめました。
この調査では、ファストフード店、ファミリーレストラン、専門料理店(アジア・エスニック料理店、西洋料理店、日本料理店)の58業態の市場を捉え、将来を展望しました。料飲店や喫茶店などの飲食店、交通機関やレジャー施設、宿泊宴会場などの飲食施設のほか、テイクアウト、ホームデリバリーなどの市場については、今後調査結果の概要を発表する予定です。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「外食産業マーケティング便覧 2026 No.1」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆「外食産業マーケティング便覧 2026 No.1」の全体サマリー

ファストフード店では、2025年は主要チェーンの店舗数増加のほか、値ごろ感が強いメニューの発売や季節限定フェア、人気コンテンツとのコラボレーションで客数が増加しました。また、店舗改装やモバイルオーダーの導入による顧客満足度の向上で、価格改定に伴う顧客離れの防止に成功し市場が拡大しました。
2026年も、上位企業を中心に店舗数の増加が続き、新規顧客の獲得が予想されます。また、自社アプリでのクーポン配布やSNSでのプロモーション強化などによる来客数の増加、高付加価値・高単価メニューの販促強化で客単価が上昇し、市場拡大が続くとみられます。
ファミリーレストランでは、2025年は各チェーンが期間限定メニューの発売や、人気コンテンツとコラボレーションを実施したことで来客数が増加しました。価格改定で客単価が上昇したほか、イタリアファミリーレストランのサイゼリヤは価格を維持し他業態から需要を取り込んだことで売り上げが伸び、市場は拡大しました。
2026年は、一部上位チェーンでは数回の価格改定で客数減少が懸念されるなかで、新規出店より既存店の改装や店舗整理への注力で店舗数が減少するとみられ、市場の伸びはやや鈍化するとみられます。
アジア・エスニック料理店では、2025年は値上げの影響などにより焼肉料理店は縮小したものの、麻辣湯専門店の好調などにより市場拡大を維持しました。2026年は、焼肉料理店の苦戦が続き、また、一般中華料理店や餃子専門店の伸びが鈍化する一方、2025年以降著しい麻辣湯専門店の伸びにより市場は微増になるとみられます。
西洋料理店では、2025年はステーキ/ハンバーグレストランで、人気コンテンツとのコラボレーションやサラダバーの実施が客数の増加と客単価の上昇に寄与しました。また、イタリア料理店やカフェレストランの店舗数が増加し、新規顧客を獲得したことで市場は拡大しました。2026年も、ステーキ/ハンバーグレストランでの高付加価値メニューの発売や食べ放題イベントの実施で、客数増加と客単価の上昇が予想されるほか、イタリア料理店やカフェレストランの店舗数増加で市場は拡大するとみられます。
日本料理店では、2025年は米の価格高騰で市場に大きな影響が出たほか、個人経営店の閉店が進み店舗数が減少したものの、大阪・関西万博の開催で訪日外国人観光客の来客数が増加したことや、上位チェーンの商圏エリアの広がり、安価なメニュー展開などで客層の広がりがみられフェアや高付加価値メニューによる客単価上昇もあって市場は拡大しました。2026年は、引き続き上位チェーンの店舗数が増加するとみられるものの、中国との関係悪化に伴う中国人観光客の減少が影響し、市場の伸び幅は鈍化すると予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.麻辣湯専門店【アジア・エスニック料理店】

麻辣湯をメインに提供する業態を対象とします。上位チェーンによるヘルシーなメニュー展開、女性1人でも入りやすい雰囲気づくりなどが奏功し注目度が上昇しました。顧客によるSNSでの拡散や、トッピングが豊富で組み合わせの自由度が高い点がリピート率の高さにつながっています。
2025年は、上位チェーンのフランチャイズ展開が加速し、店舗数が大幅に増加しました。新規エリアへの出店で客層の幅が広がったほか、カスタマイズ性の高さが顧客の心をつかみリピーターが増えました。12月には「麻辣湯」が同年の新語・流行語大賞にノミネートされメディアでの露出機会が増え、認知が広がったことから新規顧客の来店につながり市場は拡大しました。
2026年も、商業施設など高い集客効果が期待される立地開拓のほか、フランチャイズ加盟店の増加に伴い全国で中小規模店舗の新規出店が続くとみられます。健康や美容の観点などからも注目度が上昇しさらに認知が広がることで、新規客やリピーターの獲得が進み、市場は前年比97.3%増と大幅に拡大すると見込まれます。
2.ドーナツ【ファストフード店】

ドーナツをメインに販売するファストフード店を対象とします。
2025年は、「もっちゅりん」(ミスタードーナツ)のヒットや、I'm donut?の生ドーナツが独特な食感で話題となりました。また、1人当たりの購入個数増加や、値上げにより客単価が上昇し市場は拡大が続きました。
2026年は、各チェーンの新規出店が進むほか、季節限定商品、キャラクターや著名人などとのコラボレーション商品など、高付加価値商品の展開を進めています。また、専門店ドーナツに対する顧客の価格受容度は高まっており、高単価なドーナツの投入が活発に行われて客単価の上昇が続くとみられます。上位チェーンが積極的な出店を行っていることもあり、市場拡大が続くと予想されます。
3.ハンバーガー【ファストフード店】

ハンバーガーをメインに販売する、客単価1,500円未満のファストフード店を対象とします。
2025年は、上位チェーンが店舗改装やブランド刷新を通じ、利用者の利便性を考慮した店舗体験価値を向上させたことが集客につながり市場は拡大しました。店舗数を増やしながら、時間帯や季節ごとのメニューの発売、値ごろ感のあるキャンペーンの実施などで1店舗当たりの売り上げを増やすチェーンもみられます。
2026年も、上位チェーンが店舗数の増加に力を入れるとみられます。また、上位チェーン店は各時間帯の売り上げ平準化への取り組み、プレミアムメニューやフェアメニューの販売などに積極的で、市場をけん引すると予想されます。ゼッテリアやドムドムバーガーの組織再編も話題性が高く集客につながると期待され、市場は前年比6.6%増が見込まれます。
4.サラダボウル専門店【ファストフード店】

サラダボウル及びチョップドサラダをメインに販売する店舗を対象とします。テイクアウトサラダ専門店のチェーンは対象外です。サラダの具材やトッピングを選択できるメニューのカスタマイズ性が消費者の心をつかみ、都市部を中心に健康志向の高い顧客の需要を獲得しています。
2025年は、市場をけん引するクリスプサラダワークスとWithGreenによる店舗数の増加、デリカショップを運営するロック・フィールドの新規参入などで市場は拡大しました。
2026年は、上位チェーンの店舗数増加のほか、自社アプリを利用した事前注文やサラダのカスタマイズなど施策の強化による顧客の囲い込みや、期間限定メニューの発売でリピーターの獲得が進むとみられ、市場拡大が予想されます。
5.回転ずし【ファストフード店】

すしをメインに販売し、レーンやタッチパネルを使用してセルフサービスで提供するすし店を対象とします。
2025年は、一部では価格改定で顧客離れがみられましたが、上位チェーンが都市部や未進出エリアへの出店を増やしたほか、人気コンテンツとのコラボレーションメニュー発売などで客数の増加や客単価の上昇がみられ、市場は拡大しました。
2026年も、都市部を中心に店舗数が増加するとみられます。また、低価格メニューの発売や、人気コンテンツとのコラボレーションなど集客に向けた動きが強まると予想されます。高付加価値メニューも展開することで客単価の上昇も期待され、今後も市場拡大が続くとみられます。
【参考】本記事で使用した「外食産業マーケティング便覧 2026 No.1」に掲載している調査対象市場
ファストフード店
- ハンバーガー
- チキン
- ドーナツ
- サンドイッチ
- クレープ
- アイスクリーム
- ラーメン
- カレーショップ
- ステーキ
- セルフ式そば
- セルフ式うどん
- クイックパスタ/ピザ
- 回転ずし
- 牛丼
- 天丼/天ぷら
- スタミナ丼
- とんかつ/かつ丼
- 唐揚げ
- 定食チェーン
- スープカフェ
- サラダボウル専門店
ファミリーレストラン(FR)
- 総合FR
- 和風FR
- イタリアFR
- 中華FR
- チャンポンFR
- バイキングレストラン
アジア・エスニック料理店
- 韓国料理
- 焼肉料理
- ホルモン料理
- ジンギスカン専門店
- 高級中華料理
- 一般中華料理
- 餃子専門店
- 麻辣湯専門店
- メキシコ料理
- インド料理
- 東南アジア料理
西洋料理店
- フランス料理
- イタリア料理
- 高級イタリア料理
- アメリカ料理
- プレミアムハンバーガー
- スペイン料理
- ステーキ/ハンバーグレストラン
- シーフードレストラン
- オムレツ/オムライスレストラン
- カフェレストラン
日本料理店
- そば/うどん
- すし
- うなぎ
- てんぷら
- とんかつ
- すきやき/しゃぶしゃぶ
- 料亭/割烹
- もつ鍋
- お好み焼き
- 牛タン専門店
◆本記事は「外食産業マーケティング便覧 2026 No.1」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。