株式会社富士キメラ総研は、「GIGAスクール構想」第2期の「NEXT GIGA」の開始に伴いリプレース需要が増加する端末や、教育データの利活用や教職員の業務効率化で注目が集まるシステム/サービスなど、教育DX/ICT関連の国内市場を調査しました。その結果を「教育DX/ICTソリューション市場総調査 2025」にまとめました。
この調査では、業務支援システム(教務系)10品目、学習支援システム・教材/コンテンツ9品目、設備/インフラ3品目、ネットワーク機器/ツール/サービス7品目、ICT機器9品目を対象に、教育DX/ICT関連市場の現状を分析し、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「教育DX/ICTソリューション市場総調査 2025」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
教育DX/ICT関連の国内市場
教育機関におけるICT化を目的に、校内通信ネットワークの整備や児童/生徒1人1台の端末整備を行なった「GIGAスクール構想」によるPC/タブレット端末やネットワーク関連機器の特需で、市場は2020年度に大きく拡大しましたが、その反動が大きく2021年度の市場は縮小しました。
2022年度、2023年度と市場は拡大しましたが、端末などの整備がある程度進み需要が一巡しました。大学への展開が好調だった学習管理システムや収録配信システムなどは、対面授業への回帰で利用終了/利用頻度を減らすケースもみられましたが、低い伸びにとどまりました。
2024年度は、バッテリー消耗などの要因により、2019年度以前に導入した電子黒板や書画カメラなどのICT機器のリプレース需要が増加しているため、市場拡大が予想されます。また、「NEXT GIGA」の開始に伴い、「GIGAスクール構想」第1期で導入したPC/タブレット端末のリプレースが順次始まっています。端末リプレースのピークを迎える2025年度の市場は2023年度比2.4倍が予想されます。
今後は、文部科学省やデジタル庁で教育データの利活用や標準化モデルの策定、教育DXの推進を進めていることから、授業支援システムや教材/コンテンツ、教職員の業務負担軽減につながる業務支援システムや関連ツール/サービスなどが市場をけん引すると予想されます。2030年度には、端末リプレース需要などが重なることで市場の大幅な拡大が期待されます。
◆注目個別市場サマリー
1.ノートPC/タブレット端末(文教市場)
教育現場で使用されるノートPCおよび、7インチ以上のディスプレイとOSを搭載したタブレット端末を対象とします。2021年度から2023年度は、「GIGAスクール構想」に伴う「1人1台端末」の特需が落ち着いたことで市場は縮小しました。
「NEXT GIGA」では「GIGAスクール構想」開始時の端末運用のノウハウや経験を生かし、機能やスペック、耐久性、操作性を重視し端末を選定する自治体や教育機関が多いです。2024年度は、ノートPC/タブレット端末メーカーから「NEXT GIGA」向けの高スペックな製品が発売されたことで、導入が進み市場拡大が予想されます。また、「GIGAスクール構想」第1期で導入した端末のリプレースが進み、リプレースのピークとなる2025年度の市場は、2023年度比7.4倍の大幅な拡大が予想されます。
今後、端末のリプレース需要が増加する2030年度にも大幅な市場拡大が予想されます。また、STEAM教育推進を目的としたAI搭載PCの導入や、部活動としてeスポーツに取り組む学校で高スペックなゲーミングノートPCの導入が進むとみられ、市場拡大が期待されます。
教育機関別の端末導入状況として、小学校低学年はキーボードの利用ケースが少なくタブレット端末の導入が多いです。学年が上がるにつれキーボードの利用を進める自治体や教育機関が多いことから、ディスプレイ部分を取り外し可能なタイプやタブレット端末として利用可能なタイプといった2in1PCの需要が伸びています。また、卒業までに端末が変更される可能性を考慮し、小学校まではタブレット端末、中学校からノートPCに移行するケースも増加しています。
2.ネットワーク関連機器(文教市場)
教育現場で使用される、LANのPCやサーバーなどの端末間通信の中継を行うL2/L3スイッチおよび無線LAN AP、コントローラーを対象とします。
「GIGAスクール構想」第1期で導入された1人1台端末の耐用年数はバッテリー消耗などの理由から約5年であるのに対し、ネットワーク関連機器は7から10年の耐用であることから、リプレース需要のピークは2025年度以降になるとみられます。
今後、デジタル教科書やデジタル教材の利活用が進むことや「MEXCBT(文部科学省CBTシステム)」による「全国学力・学習状況調査」実施に伴い大容量のデータ通信の発生が予想されます。また、アクセス集中による接続の乱れやログイン不具合などネットワーク環境の改善や見直しも求められており、より安定したネットワーク環境の構築や高速化を求める自治体や教育機関が増え、機器のリプレースが進むことで市場拡大が期待されます。
3.登下校見守りサービス
児童が学校や習い事へ行く際に、学校の校門や駅をはじめとした特定地点の通過情報を検知し保護者が把握するためのサービスを対象とします。IC乗車券で改札を通過する際に通知をするパッシブ型、ICタグや小型端末を用いて校門を通過する際に通知を行うアクティブ型、GPS搭載の通信端末を用いたGPS型に分類されます。児童がスマートフォンを用いるサービスは含みません。
2023年度は、児童にGPS端末を持たせることで保護者が常時居場所を確認することができるという利点のほか、小型かつ低価格で入手可能であることから、GPS型の需要が伸びました。スマートフォンは学校に持ち込めない場合が多いことや、児童にはまだ持たせたくないという保護者の需要を獲得したことも伸びた要因の1つとなりました。
今後も、防犯意識の向上やサービスの認知度向上により需要が増加し、市場拡大が続くとみられます。また、共働き世帯の増加も市場拡大要因の1つです。少子化による人口減少やスマートフォン所持層の若年化で市場の伸びが鈍化する可能性がありますが、機能の差別化などにより市場拡大が続くとみられます。
【参考】本記事で使用した「教育DX/ICTソリューション市場総調査 2025」に掲載している調査対象市場
業務支援システム(教務系)
- 校務支援システム
- 学務支援システム
- 園務支援システム
- 学習塾/予備校向け業務支援システム
- 学童保育/放課後児童クラブ向け業務支援システム
- 学齢簿/就学援助システム
- 学校給食費/徴収金管理システム/サービス
- 図書館管理システム
- デジタル採点システム
- ヘルプデスク/ICT支援員サービス
学習支援システム・教材/コンテンツ
- 授業支援システム
- Web会議/ビデオ会議システム
- 学習管理システム(LMS)
- 収録配信システム
- 教育コンテンツ配信サービス
- デジタル教科書
- デジタルドリル
- 電子辞書/デジタル辞書/デジタル事典
- 電子図書館サービス
設備/インフラ
- 監視カメラシステム
- 入退館システム
- ポータブル電源
ネットワーク機器/ツール/サービス
- ネットワーク関連機器
- Webフィルタリングツール
- 端末管理/セキュリティツール
- モバイルセキュリティ管理ツール
- 安否確認サービス
- 登下校見守りサービス
- 連絡網サービス
ICT機器
- ノートPC/タブレット端末
- 大型提示装置
- 電子黒板
- 書画カメラ
- Webカメラ
- ヘッドセット
- リモートカメラ/PTZカメラ
- マイクスピーカー
- HMD/スマートグラス
◆本記事は「教育DX/ICTソリューション市場総調査 2025」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。