株式会社富士経済は、これまで主流であった太陽光発電システムに加えて、洋上風力の利用を中心とする風力発電システムの伸長が予想され、環境対応に向けてますます拡大する再生可能エネルギー発電システムの国内市場を調査しました。その結果を「再生可能エネルギー発電システム・サービス市場/参入企業実態調査 2024」にまとめました。
この調査では、太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱の5つの発電システムと関連機器・サービスの市場の現状を分析し、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「再生可能エネルギー発電システム・サービス市場/参入企業実態調査 2024」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
再生可能エネルギー発電システムの国内市場
市場には、各再生可能エネルギーシステムの設置費用など施工費も含みます。
2023年度の市場は、前年度比6.8%減の1兆9,787億円が見込まれます。太陽光発電システムが市場の約6割を占め、次いで風力発電システム、バイオマス発電システムが大きいです。
太陽光発電システムは、FIT案件減少の影響がみられますが、電気料金の高騰を受け住宅で導入が増加しているほか、非住宅でも環境価値ニーズの高まりやPPA(Power Purchase Agreement)、自家消費案件の増加を背景に導入が進んでいます。
風力発電システムは、大型案件を中心に陸上で導入が進んだため大きく伸長しています。2023年度は前年度を下回る予想の洋上も国内企業を中心に運用開始の予定があり、今後の伸びが期待されています。
水力発電システムは、マイクロ水力/小水力では2021年度にFIT認定を受けた案件を中心に運転が開始され、1ー5MW未満の案件が増加しています。
バイオマス発電システムは、一般木質・農作物残さによる発電が前年度からほぼ半減することなどを受け、縮小が予想されます。一方、メタン発酵ガスによる発電は案件の大規模化や自家消費向け導入の動きがみられます。
地熱発電システムは、鬼首地熱発電所や南茅部地熱発電所、南阿蘇湯の谷地熱発電所、森バイナリー発電所などで新設や更新が相次ぐことなどから、伸長するとみられます。
今後は、太陽光発電システムは東京都をはじめとした、地方自治体による新築・増築時の太陽光パネル設置義務条例などを背景に住宅で導入が増加するとみられます。また、ZEH推進に伴う搭載率の向上や蓄電システムとのセット導入の増加によって伸長が予想されます。非住宅はオンサイト/オフサイトPPAに加え、FIP案件とバーチャルPPAを組み合わせた導入も増えるとみられ、長期的には環境価値の取得・活用が可能なNon-FIT案件が伸びると予想されます。ただし、長期的な生産拡充で太陽光発電システムの価格は下落することから、2040年度の市場は、2022年度を下回るとみられます。
風力発電システムは、陸上では2024年度に90MW、2025年度には72MWの大型ウィンドファーム(集合型風力発電所)が運転開始予定であり、洋上では2025年度に220MW級のウィンドファームの運転開始が予定されています。長期的には、大型陸上システムの新設は減少しますが、洋上では2030年度前後から運転開始の計画も多いため、風力発電システムが太陽光発電システムに代わって市場拡大をけん引するとみられます。2040年度の市場は2022年度比4.5倍が予測されます。
水力発電システムは、2022年度以降の1MW以上のFIT認定受付終了により、新規計画件数が減少することなどから、長期的には縮小に向かうとみられます。
バイオマス発電は、未利用木質による発電(2,000kW未満/以上)が既にピークアウトしているほか、一般木質・農作物残さによる発電がバイオマス燃料の持続可能性証明を取得しにくいため不透明感をもたらしています。ただし、メタン発酵ガスによる発電は今後も年間20ー30件程度の導入が予想され、自家消費/再エネ価値取得を目的とするNon-FIT案件も増加するとみられるため、一定の規模を維持すると予想されます。
地熱発電は、2024年度に安比地熱発電所、小国町おこしエネルギー地熱発電所、八丈島地熱利用事業、2025年度に奥飛騨ジオエナジー、わいた第2発電所などで導入が計画されており、導入ピークは過ぎたものの市場は一定の規模を維持するとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.第三者所有モデル(PPA、リース)
第三者所有モデルは、事業者が顧客と電力購入契約(PPA)を結び、導入した太陽光発電システムで電力を供給する「PPAモデル」と、自家消費型太陽光発電システムを定額で貸与する「リース」に分類できます。市場は、PPAモデルは太陽光発電システムによる自家消費分と電力会社への余剰売電分の料金、リースは太陽光発電システムの利用料金を対象とします。
2023年度の市場は前年度比35.0%増が見込まれます。オンサイトPPAが高い割合を占めており、住宅向けは、ローコスト志向の中小ビルダーを中心に、新築戸建住宅で採用が進んでいます。ZEH推進の動きも導入を後押しします。非住宅では、大面積屋根の施設における普及が済んでいるため、中小規模案件が増加しています。
今後は、住宅向けは、認知向上に加え、太陽光発電システムと蓄電システムをセットとしたPPAのラインアップが拡充されることで、伸びるとみられます。また、東京都や群馬県、京都府、京都市、川崎市などでは、住宅の新築・増築時に太陽光発電システムの設置を義務化する動きがあるため、太陽光発電システムの導入初期費用を抑える方法として普及が進むと予想されます。非住宅向けは、太陽光発電システム自体のコスト削減と電気料金上昇に伴い、野立案件によるオフサイトPPAが増えるとみられます。これらの伸びにより、2040年度の市場は、2022年度比10.4倍が予測されます。
2.太陽光発電併設蓄電システム
太陽光発電システムに併設され、電力平準化や非常時のバックアップ電源、電力需要のピーク時に利用するピークカットやピークシフト、自家消費などに使用されます。ここでは蓄電容量300kWh未満のリチウムイオン電池を使用した蓄電システムを対象とします。
2023年度は、住宅用は、FIT価格低下や前年から続く電気料金の高騰などを受け、発電した電力の全量自家消費を行うために導入が増加しています。公共・産業用も、電気料金高騰に伴う自家消費需要の増加や1台当たりの蓄電容量の増加によって伸びています。
卒FITユーザーが毎年10万戸以上発生するため、今後も住宅用は引き続き伸びるとみられます。長期的には、自家消費需要に加え、電力の需給バランスを整えるDR(デマンドレスポンス)やVPP(バーチャルパワープラント)などの各種エネルギーサービスやEVの普及、システム価格低下によるストレージパリティの達成なども住宅用の伸びを後押しします。公共・産業用は、EV・PHV用充電器やV2Xシステムと蓄電システムを併設または一体化させたシステムとして需要の増加が期待されます。加えて、DR、VPPやインバランス料金補償サービスなどの拡充による伸長が予想されます。
3.洋上風力発電機
洋上に設置される風力発電機を構成するタワー、ナセル、ハブ、ブレードを対象とした。基礎、送配電ケーブル、設置工事費は除きました。
2022年末に、国内初の大型商用洋上風力発電である「秋田港・能代港洋上風力発電施設」が完工しました。2023年度は、富山県入善町沖と北海道石狩湾新港で運転が開始されました。
今後は、2025年度に福岡県北九州港、2026年度に鹿島港、2028年度に秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖、2029年度に新潟県村上市、胎内市沖、長崎県西海市江島沖、2030年までにむつ小川原港でそれぞれ洋上風力発電の運転開始が予定されており、2040年度に向けて市場は大きく拡大すると予想されます。
現在、発電コストは平均37.0万円/kWですが、量産化と風力発電機本体とタワー部の大型化によるコストダウンに伴って2030年度には2023年度の6割程度にあたる平均22.7万円/kWになると予測されます。また、中国メーカーをはじめ海外製が多い現状から、ナセルやブレードなど各種資機材の国内生産に向けた取り組み進展もコスト削減につながると予想されます。
【参考】本記事で使用した「再生可能エネルギー発電システム・サービス市場/参入企業実態調査 2024」に掲載している調査対象市場
発電システム
- 太陽光発電
- 風力発電
- 水力発電
- バイオマス発電
- 地熱発電
関連機器・サービス
- 太陽光発電パネル
- ペロブスカイト太陽電池
- パワーコンディショナ
- 高圧/特別高圧送受変電設備
- 太陽光発電併設蓄電システム
- 第三者所有モデル(PPA、リース)
- 太陽光発電遠隔監視サービス
- 日射量予測/太陽光発電量予測サービス
- 太陽光発電セカンダリーマーケット
- 小型風力発電機
- 大型陸上風力発電機
- 洋上風力発電機
- 風力発電併設蓄電システム
- 風力発電量予測サービス
- 水力発電機
- バイオガス発電機
- バイオマス直接燃焼ボイラー
- 水蒸気発電プラント
- バイナリー発電機
- グリーン電力小売サービス
- 環境価値証書(非化石証書、グリーン電力証書、J-クレジット)
- カーボンフリー蓄電システム
◆本記事は「再生可能エネルギー発電システム・サービス市場/参入企業実態調査 2024」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。