株式会社富士キメラ総研は、EVバッテリーの高電圧化、ADAS/自動運転システムの高度化、車外通信の5G普及や車内通信のイーサーネット普及などの注目トピックを受けて、新たな動きがみられるECUと関連デバイスの世界市場について調査し、その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 下巻」にまとめました。
この調査では、6カテゴリー(センサー/アクチュエーターユニット、情報系、ボディ系、xEV系、走行安全系、パワートレイン系)のECUについて国・地域別に市場を分析するとともに、それらを構成するデバイス29品目の市場動向を整理しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 下巻」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
車載ECUの世界市場
各システムを制御するためのECU、およびセンサー/アクチュエーターユニットの6カテゴリーを対象とします。xEVの普及や自動運転の搭載増加/高度化などを受けて、xEV系や走行安全系の大幅な伸びをはじめ市場拡大が期待されます。
センサー/アクチュエーターユニットは、センサーユニットやモーターユニットを対象とします。電子制御が必要なモーター数の増加や、ADAS/自動運転システムの普及や高度化を受けた各種センサー類の増加により、堅調な伸びが予想されます。近年は走行安全系システムやxEV系システムでの搭載増加が目立ちますが、今後はボディ系システムや情報系システムでも快適性や利便性向上を目的に各種センサーユニットなどの搭載が増えるとみられます。
エリア別では、xEVの普及が進む中国の市場が大きいです。特にEVの普及によりモーターユニットの搭載数が増えています。また、自動運転車などでLIDAR搭載車種が多く投入されています。日本や欧州、北米ではADAS/自動運転システムの普及が進むため、各種センサーユニットの搭載増加が予想されます。また、電動化により補機モーターやその他小型モーターの搭載も増えるとみられます。
情報系は、ADAS/自動運転システムなど他システムとの連携、車外通信機能の追加、車内エンターテインメント機器の増加、出力系デバイスの増加などにより伸びています。IVI(車載インフォテインメント)-ECUや車載メーターECUなどが中心です。長期的には、表示制御のHUD-ECUや通信制御のTCU(テレマティクス・コントロール・ユニット)、乗員モニタリングシステムなどの機能が追加されることから、情報系は順調な伸びが予想されます。また、自動運転システムの高度化に伴い、後部座席の乗員に向けたエンターテインメント機能が拡充されることも追い風になるとみられます。
ボディ系は、エアコンやシートなど車内空間の快適性に関わるECUが多く、BCU(ボディ・コントロール・ユニット)やエアコンECUなどが主軸です。高級車を中心に1台当たりの搭載数が増えており、市場は緩やかに拡大しています。今後、ボディ統合ECUで制御する機能が拡大するため、センサー/アクチュエーターユニットの搭載数も増えるとみられます。
xEV系は、現状、モーターを制御するインバーターECUが主軸であり、EVの販売で先行する中国や欧州を中心に需要が増加しています。2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けたEVシフトの流れにより、OBC(オン・ボード・チャージャー)も含め、xEV系の市場は2022年から2035年にかけて年平均成長率11.8%の伸びが予測されます。
走行安全系は、車体の横滑りを防ぎ、車両安定性を確保するESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)-ECUや、ドライバーのステアリング操作力をモーターでアシストするEPS(電動パワーステアリング)-ECU、エアバックECU、ADAS/自動運転ECUなどがあげられます。ESC-ECUやEPS-ECUなどのパッシブセーフティ系と、ADAS-ECUや自動運転ECUなどのアクティブ系に大別されますが、自動車の安全性確保を目的にどちらも採用が増えるため、2035年の市場は2022年比2.3倍が予測されます。特に、ADAS/自動運転システムの高度化に伴い、中央集権型ADAS/自動運転ECUの需要が増加するとみられます。
パワートレイン系は、エンジンECUやトランスミッションECUなどが中心であり、短期的には内燃車の生産台数増加に伴い伸びますが、将来的にはEVシフトの影響を受けて需要縮小が予想されます。特にEVシフトが先行する先進国では2030年以降は縮小が進むとみられます。ただし、地域によっては内燃車の需要が根強く残り、一定規模の市場が維持されると予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.イメージセンサー
車内用途として乗員モニタリングおよび電子ミラー(インナーミラー)、車外用途としてフロントカメラ、リアカメラ、サラウンドビューイングカメラ、ドライブレコーダー、電子ミラー(サイドミラー)で使用されるイメージセンサーを対象としました。CCDセンサーとCMOSセンサーに大別され、特に受光素子や増幅器、回路などで構成されるCMOSは、小型化や消費電力の低さなどの利点から採用が増えています。
自動車への安全要求の高まりを受けたADAS/自動運転システムの搭載率上昇、およびシステムの高度化に伴い、車両1台当たりのカメラの搭載数が増加することから、順調な市場拡大が予想されます。現状は1.3メガピクセル(MP)が中心ですが、2MPや3MP以上の高画素製品も採用が増えています。2030年頃からフロントセンシングカメラやサラウンドビューイングカメラ、また、一部ドライブレコーダー用途でも画素数の向上ニーズが高まり、2MPおよび3MP以上の製品が大きく伸びるとみられます。
車内用途は、車内モニタリング向けの需要増加や、日本や欧州での電子ミラーの伸びによる採用増が期待されます。車外用途は、コスト面からサラウンドビューイングカメラの搭載が遅れているため伸びは緩やかですが、中長期的には順調な伸びが予想されます。
エリア別では、欧州や中国を中心に需要は増加するとみられます。中国では自動車の後方を確認するリアカメラの採用が増えており、その他地域を含めて、1.3MPや2MPの製品が伸びています。日本ではサラウンドビューイングカメラの搭載率が高く、同用途で3MP以上の需要が増えるとみられます。
2.ワイヤーハーネス
ワイヤーハーネスは、各種ECUやセンサー/アクチュエーターなどの機器間において、動力となる電源や、機器を制御するための信号を伝達するための製品です。電気を伝達する電線/ケーブル、機器との接続を担う端子/コネクター、電線/ケーブルを保護する外装品で構成されます。電線/ケーブルの導体は銅が主流ですが、車両重量の軽量化を目的にアルミ合金の採用も徐々に増えています。
ADAS/自動運転システムの普及や高度化によるセンサーの増加、ステアリングやブレーキなどシャシー系システムの電子制御化、乗員モニタリングや電子ミラーといった情報系システムの採用増により、車両1台当たりの回路数が増えていることから、市場は拡大しています。輸送コストや原材料コストの高まりにより、近々では単価の上昇もみられます。今後も堅調な伸びが期待されますが、欧州など先進国を中心に、E/Eアーキテクチャー(ECU、センサー・アクチュエーターをつなぐシステム構造)の中央集権化が進むことでECUの統合が進み、イーサーネットを用いた効率的な車載ネットワークが採用されることから、長期的には回路数の増加は緩やかになるとみられます。
日系自動車メーカーを中心にアルミハーネスの採用が増えています。軽量化を目的とした取り組みに加え、銅価格の高騰もアルミハーネスへのシフトを後押ししているとみられます。日本では、ボディ系システムや情報系システムのほか、高い耐環境性能が求められるエンジンハーネスなど様々な用途でアルミの比率が高まっていくとみられます。欧米ではアルミハーネスの採用は一部にとどまっていますが、今後徐々に採用が増えると予想されます。
【参考】本記事で使用した「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 下巻」に掲載している調査対象市場
ECU
- 情報系
- ボディ系
- xEV系
- 走行安全系
- パワートレイン系
- センサー/アクチュエーターユニット
ECU構成デバイス
センサー
- 圧力センサー/流量センサー/TPMSセンサー
- 磁気センサー
- 温度センサー
- 電流センサー
- ガス濃度センサー
- 加速度センサー/角速度センサー
- イメージセンサー
半導体
- 車載マイコン
- ドライバーIC
- メモリー(DRAM/NAND)
- SoC/FPGA
- MOSFET
- バッテリー監視IC
- IGBT/SiCパワーモジュール
- 車内LANトランシーバー
- リニアレギュレーター
- セルラーモジュール
- Wi-Fi/Bluetoothモジュール
- 短距離無線通信IC
回路部品
- タイミングデバイス
- アルミ電解コンデンサー/ハイブリッドコンデンサー
- 積層セラミックコンデンサー
- チップ抵抗器
- インダクター
- 車載リレー
その他
- プリント配線板
- FC-BGA基板
- ワイヤーハーネス
- 車載コネクター
◆本記事は「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 下巻」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。