株式会社富士経済は、値上げの影響による割安感のある商品への購買シフト、健康意識の高まりによる無糖飲料の需要増加、また、それらを受けて、メーカーによる収益改善への動きが見られる清涼飲料の国内市場を調査しました。その結果を「2024年 清涼飲料マーケティング要覧」にまとめました。
この調査では、清涼飲料の品目別市場の最新動向を明らかにし、今後を展望しました。また容器別や温度帯別市場の分析を行ったほか、注目市場として健康ショット容器入り飲料、スパウト付パウチ入り飲料、プリズマ容器入り飲料の動向についてまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2024年 清涼飲料マーケティング要覧」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
清涼飲料の国内市場
市場は、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年に外出機会の減少、在宅勤務の浸透などにより縮小しましたが、その後はイエナカ消費やリラックス訴求商品の展開、プロモーションによって、2021年以降は回復傾向にあります。
2022年後半以降、コスト高の影響により様々な商品で値上げが実施されました。このため2023年は多くのカテゴリーが前年を上回り、市場は前年比5.1%増の5兆4,518億円で2019年の市場を超え、直近10年間で最大の規模となりました。一方で、値上げにより高付加価値商品を中心に買い控えが起こったことや、新商品の投入が比較的少なかったことから、数量ベースは微減となりました。
2024年も円安に伴うコスト高に落ち着きが見られず。消費者の節約志向も続いていることから、市場は数量ベースでは前年を下回りますが、市場は前年比1.8%増の5兆5,507億円が見込まれます。
◆注目個別市場サマリー
1.国産ミネラルウォーター類
プレーン(無味)のミネラルウォーター類のほか、天然水を訴求するブランドで展開する炭酸入りやフレーバー入り商品も対象とします。
市場は防災備蓄から始まり、日常的に飲用するユーザーが増えたことで成長を続けてきました。2023年は記録的な猛暑、残暑により夏場は供給が追い付かないほどに需要が急増しました。さらに、多くのPET飲料の値上げによってミネラルウォーター類の割安感が目立ち、無糖茶飲料など止渇ニーズが高いカテゴリーから需要が流入したため、市場は前年比14.0%増となり4,000億円を突破しました。
2024年は、猛暑の反動が懸念されましたが、年初から各地で地震が続いていることで備蓄需要が高まっているほか、PET飲料の再値上げによって、他カテゴリーからの流入も続くとみられます。安価なPB商品の需要が高いですが、多くのNB商品もプレーンを中心に前年を上回り、市場は前年比7.4%増の4,448億円が見込まれます。2023年は夏場に供給不足がありましたが、参入メーカーの設備投資が進み、今後は製造量が増加することから販売機会ロスが低減されるとみられます。
2.無糖茶飲料
日本茶、ウーロン茶、麦茶、ブレンドティ、その他ティードリンクのリキッド商品を対象とします。近年は消費者の無糖ニーズを取り込み、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けた2020年以外は、市場は好調に推移していました。
2023年は、値上げがあったことから市場は前年比1.2%増となりましたが、安価な国産ミネラルウォーター類へ需要が移行し、数量ベースはマイナスとなりました。カテゴリー別では、構成比約60%を占める日本茶は割安感のあるPB商品や国産ミネラルウォーター類への需要流出で販売額ベース、数量ベースともに減少しました。一方で麦茶やその他ティードリンク(ジャスミンティー、ルイボスティーなど)は猛暑の影響や新商品の投入により伸びました。
2024年も引き続き国産ミネラルウォーター類への移行が懸念されますが、「伊右衛門」(サントリー食品インターナショナル)、「綾鷹」(コカ・コーラシステム)、「生茶」(キリンビバレッジ)といった日本茶の大型ブランドが、大規模なリニューアルやプロモーション強化を進めているほか、「颯」(アサヒ飲料)も拡販に向けた動きが活発であるため日本茶の伸びが予想されます。市場は前年比0.2%増が見込まれ、数量ベースも前年を上回るとみられます。
3.無糖炭酸飲料、国産ミネラルウォーター類(炭酸入り)
「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)、「伊賀の天然水強炭酸水」(日本サンガリア)などの無糖炭酸飲料と、「サントリー天然水」(サントリー食品インターナショナル)などの炭酸入り国産ミネラルウォーター類を対象とします。アルコールの割り材として市場が形成されましたが、2010年以降に飲用需要が定着し、消費者の甘さ離れなどもあって順調に拡大してきました。
2023年は猛暑の影響で飲用需要が高まったことや、人流回復で業務用の割り材需要が高まりました。また値上げの影響もあり市場は前年比7.2%増の1,513億円となりました。一方で価格改定の影響により安価なPB商品が台頭し、NB商品は苦戦するケースも見られました。
2024年は引き続き安価なPB商品の需要が伸び、前年比1.5%増の1,536億円が見込まれます。近年は、消費者の甘さ離れなどにより有糖炭酸からの需要移行が続いていましたが、一部では有糖飲料を選ぶ消費者も現れ、今後、メーカーは有糖と無糖のバランスを考慮した商品展開が必要になるとみられます。
4.100%オレンジジュース
2023年は原料価格の高騰などによる値上げのため市場は前年比0.9%増となりました。一方で海外でのオレンジの不作で販売休止や欠品がみられ、数量ベースは前年を下回りました。
2024年は引き続き輸入原料が不足しており、他の果汁フレーバーと比べて大幅な値上げが実施されています。オレンジは100%果汁飲料の中で35%以上を占めるメインフレーバーですが、消費者の買い控えや他の果汁フレーバーへの移行、商品休売も含めたメーカーの注力度低下も予想され、市場は前年比7.0%減が見込まれます。厳しい市場環境の中、国産みかんの配合量を増やすなど付加価値を高める動きも出てきています。
5.健康ショット容器入り飲料
機能性飲料、乳酸菌飲料類、ドリンクヨーグルト、ビネガードリンク、植物性飲料類のうち195ml以下の飲み切りサイズの商品を対象とします。水に溶かすパウダーやスパウト付きパウチ入り飲料は含まない。商品では「Yakult1000」「Y1000」(ヤクルト本社)や、「明治プロビオヨーグルトR-1」(明治)「オロナミンC」(大塚グループ)「キリン おいしい免疫ケア」(キリンビバレッジ)などが含まれます。
ショット容器は、食が細くなった高齢ユーザーなども飲み切りやすいことや、6本パックなどのまとめ売りに適しており、継続飲用が求められる健康訴求飲料との相性が良いこと、手軽に飲めることから家族分や差し入れなどの代理購入が増えていることなどが市場の成長に繋がっており、2023年は前年比7.0%増の5,316億円となりました。
物価高騰の影響で、止渇飲料を中心とした中容量PET(400ml~699ml)では、安価なPB商品やボリューム感のある商品の需要が高まっていますが、健康ショット容器入り飲料は、機能性や味が重視されることから高単価商品も消費者から受け入れられやすく、メーカーの注力度も高まっているため、市場は2024年も拡大するとみられます。
【参考】本記事で使用した「2024年 清涼飲料マーケティング要覧」に掲載している調査対象市場
果実飲料
- 100%果汁飲料
- 果汁入飲料
- 低果汁入清涼飲料
- 果粒含有果実飲料
- 果肉飲料
野菜系飲料
- トマト飲料
- 野菜飲料
- 果実野菜混合飲料
炭酸飲料
- コーラフレーバー飲料
- 透明炭酸飲料
- 果汁系炭酸飲料
- 乳類入炭酸飲料
- ジンジャーエール
- 無糖炭酸飲料
- 無糖炭酸飲料、国産ミネラルウォーター類(炭酸入り)合算
炭酸飲料市場には、上記品目のほかに「その他炭酸飲料」含む
飲用牛乳類
- 飲用牛乳類
乳飲料
- コーヒー系乳飲料
- その他色物乳飲料
- プラカップ入り乳飲料
ドリンクヨーグルト
- ドリンクヨーグルト
乳酸菌飲料類
- 乳性品乳酸菌飲料
- 乳酸菌飲料
乳類入清涼飲料
- 乳類入清涼飲料
コーヒー飲料
- 缶コーヒー
- リキッドコーヒー
紅茶飲料
- 紅茶飲料
無糖茶飲料
- 日本茶
- 麦茶
- ブレンドティ
- ウーロン茶
- その他ティードリンク
ミネラルウォーター類
- 国産ミネラルウォーター類
- 輸入ミネラルウォーター類
機能性飲料
- 食系ドリンク
- 健康サポート飲料
- 機能性清涼飲料
- パウチゼリー飲料
- スポーツドリンク
- エネジードリンク
植物性飲料
- 豆乳類
- アーモンド飲料
- その他植物性飲料
ビネガードリンク
- ビネガードリンク
バラエティドリンク
- ココアドリンク
- ゼリー飲料(パウチ除く)
- スープ
- 甘酒
- おしるこ
◆本記事は「2024年 清涼飲料マーケティング要覧」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。