株式会社富士キメラ総研は、車載電装化やEV市場の拡大といった自動車関連需要の高まりや、ミニLEDをはじめとする新規ディスプレイデバイスの伸長など新たなトレンドがみられる機能性エレクトロニクスフィルムの世界市場を調査しました。その結果を「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」にまとめました。
この調査では、ディスプレイ分野16品目、半導体分野5品目、実装分野8品目、その他分野6品目を対象に、市場の現状を明らかにし、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
機能性エレクトロニクスフィルム35品目の世界市場
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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全体 |
1兆8,830億円 |
103.3% |
2兆2,393億円 |
122.8% |
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ディスプ |
8,763億円 |
92.3% |
1兆336億円 |
108.9% |
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半導体 |
723億円 |
111.4% |
886億円 |
136.5% |
※ディスプレイ分野と半導体分野は全体の内数です
2022年は、TVやノートPC市場の停滞や在庫調整で、主な用途であるディスプレイ分野においては落ち込んでいる品目がある一方、タブレット端末やノートPCで使用される蛍光体シートや電子ペーパー向けのハイバリアフィルム、通信機器やサーバー向けCPUで採用される層間絶縁フィルムなど好調な品目もみられます。
2023年以降は、TVやノートPC市場の回復によるデバイスの需要増加、また自動車市場の回復、半導体メーカーの積極的な設備投資、各製品の高機能化ニーズの高まりなどを背景として、市場拡大が予想されます。特に、5Gや6G通信への対応やIoTの普及、自動運転車の開発進展などに伴って半導体の需要が増加していき、今後は半導体分野や実装分野が大きく伸びることで、市場は拡大するとみられます。
規模が大きいのはディスプレイ分野であり、輝度向上フィルムや偏光板保護フィルムなどのLCD(液晶ディスプレイ)関連で使用されるフィルムが中心です。
2022年は、前年まで巣ごもりやテレワーク需要によって好調であったディスプレイデバイスの販売が不調であり、バックライトユニットに複数枚使用される輝度向上フィルムや、偏光板の構成部材である偏光板保護フィルム、表面処理フィルムなどが落ち込んでいます。また、過剰供給であった前年在庫の調整の影響を受けて、市場は縮小するとみられます。
今後は、ディスプレイの需要回復やディスプレイパネルの大型化によってLCD関連の品目が伸びるとみられます。さらに円偏光板保護フィルムやフォルダブル用カバーシートなどOLED(有機発光ダイオード)関連の品目も需要増加が予想され、2026年の市場は2021年比8.9%増が予測されます。
半導体分野は、2022年は、ノートPCやスマートフォンなどの販売不調や半導体の在庫調整がみられますが、世界的なインフレによる価格上昇や為替の影響で、市場は前年比11.4%増が見込まれます。
今後は、複数のDRAMチップをTSV(シリコン貫通電極)プロセスで積層するHBMパッケージの需要増加や積層数が増えることによって、非導電性接着フィルム(NCF)が大きく伸びるとみられます。また、2024年以降、シリコンウエハーメーカーによる既存ラインの設備強化が進むとみられ、半導体の伸びに伴い、市場拡大が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.蛍光体シート【ディスプレイ分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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3億円 |
150.0% |
12億円 |
6.0倍 |
蛍光体をシート状にしたもので、LCDのバックライトユニットに搭載し、色再現性の向上および広色域化をします。蛍光体は、外部からの光を吸収し異なる色の光を放出するため、青色LED光の波長を、緑や赤に変換する波長変換材料として採用されています。
2010年代から医療機器向けディスプレイでの採用が始まり、2021年には、デクセリアルズが発売したPSシリーズが、iPad ProやMacBook Proの一部モデルで採用されたため市場が大きく拡大しました。
現在は、タブレット端末やノートPCなど中小型向けでは、競合品であるQDシートよりも厚みやコスト面、耐久性などで優位性があるため採用が多く、2022年の市場は前年比50.0%増が見込まれます。
しかし、大手タブレットメーカーでは、蛍光体シートが不要のOLEDへ採用ディスプレイを切り替えるとみられるほか、今後は色再現性などに優れるQDシートの採用が進むと予想されます。
長期的には波長変換材料を必要とするミニLEDバックライトの採用が増加する車載ディスプレイ向けが市場をけん引すると予想されます。車載ディスプレイでは、色再現性などよりも、耐久性ニーズが高いため、QDシートよりも優位であり、2026年の市場は2021年比6.0倍が予測されます。
2.フォルダブル用カバーシート【ディスプレイ分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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55億円 |
91.7% |
114億円 |
190.0% |
ハードコート前の透明PIフィルム原反を対象とします。フォルダブルスマートフォンやフォルダブルノートPCの最表面に使用されるカバーシートであり、高透明かつ屈曲性に優れています。
2019年頃にフォルダブルスマートフォンが発売されたことで市場が立ち上がり、フォルダブル製品の伸びに伴い市場は拡大してきました。
2022年は、半導体不足やフォルダブルスマートフォンの販売が低調であったため、市場は一時的に縮小するとみられます。
2023年以降は、再びフォルダブルスマートフォンが伸び、2026年の市場は2021年比90.0%増が予測されます。なお、フレキシブルガラスへの需要流出が懸念されますが、フォルダブルタブレット端末、ノートPCなど画面サイズの大きいデバイスに対しては、フォルダブル用カバーシートの使用が標準であり、これらの伸びも市場拡大につながると予想されます。
3.ハイバリアフィルム【ディスプレイ分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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16億円 |
123.1% |
30億円 |
2.3倍 |
ベースフィルムにバリア層を形成したフィルムであり、水蒸気透過率10-3g/m2・day以下で、OLED照明や電子ペーパー、色素増感型太陽電池、有機薄膜太陽電池、フレキシブルCI(G)S太陽電池用を対象とします。医薬品包装や食品包装用は対象としません。
現状は需要のほぼ100%が電子ペーパー向けです。電子ペーパーは消費電力面で他のディスプレイと比較して有利であることやカラータイプの品質向上によって、近年、電子棚札や電子書籍端末、サイネージなどを中心に採用が増加しています。
2022年は、電子書籍端末の販売量が減少していますが、電子棚札は好調であるため、市場は拡大するとみられます。
小売や物流分野におけるDXを実現するデバイスとして期待されているほか、省電力やペーパーレス化への貢献、目に優しいといった点も注目され、長期的には引き続き電子ペーパーの需要が増えるため、ハイバリアフィルムの使用量も増加するとみられます。また、今後は太陽電池やOLED照明での採用も増加が期待され、2026年に向けて市場は拡大すると予想されます。
4.層間絶縁フィルム【実装分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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575億円 |
115.0% |
1,027億円 |
2.1倍 |
セミアディティブ工法(SAP工法)で製造される半導体パッケージ基板のうちビルドアップ層の層間絶縁に使用されるフィルムを対象とします。
2022年は、PCの販売台数が大きく減少しているため、PC向けCPUやGPU向けは落ち込んでいますが、通信機器やサーバー向けCPUが好調であることから、市場は前年比15.0%増が見込まれます。
今後は、サーバーやPC、ゲーム機などの高機能化に伴うFC-BGA基板の大型化や層数増加などによって、基板1個あたりの使用量が増加するため市場拡大が予想されます。また、サーバーや通信向けCPUの高機能化に伴って、低誘電グレード製品の採用が増加しています。低誘電対応の層間絶縁フィルムは、汎用品よりも1.5倍程単価が高いことから、2026年に向けて市場は拡大するとみられます。
【参考】本記事で使用した「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」に掲載している調査対象市場
ディスプレイ分野
- 偏光板保護フィルム
- 円偏光板保護フィルム
- 表面処理フィルム
- フォルダブル用カバーシート
- 輝度向上フィルム
- 拡散シート
- QDシート
- QD拡散板
- 蛍光体シート
- 透明導電性フィルム
- ハードコートフィルム
- OCA
- プロテクトフィルム
- FPD用離型フィルム
- カバーシート
- ハイバリアフィルム
半導体分野
- バックグラインドテープ
- ダイシングテープ
- ダイボンドフィルム
- 半導体封止用離型フィルム
- 非導電性接着フィルム(NCF)
実装分野
- ACF
- FCCL
- ボンディングシート
- FPC用離型フィルム
- 層間絶縁フィルム
- カバーレイフィルム
- ドライフィルムレジスト
- ソルダーレジストフィルム
その他分野
- ノイズ抑制シート
- 電磁波シールドフィルム
- 5G用アンテナフィルム
- フィルムコンデンサー用フィルム
- MLCC用離型フィルム
- その他電気・電子用離型フィルム
◆本記事は「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。