株式会社富士経済は、新型コロナウイルス感染症流行による市況悪化や、半導体市場の変調により見通しが不透明ではありますが、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)、印刷、建築、自動車など幅広い分野に使われ、中長期的に需要の増加が予想される感光性樹脂材料とその原材料の市場を調査しました。その結果を「2023年 光機能材料・製品市場の全貌」にまとめました。
この調査では、感光性樹脂材料26品目、原材料19品目について用途、参入企業、価格、技術などの視点で最新の動向を調査し今後の市場を展望しました。また、高機能材料市場におけるカーボンニュートラル対策の現状や技術的な課題などの最新動向もまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2023年 光機能材料・製品市場の全貌」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.感光性樹脂材料の世界市場
※UV硬化塗料・コーティング材(化粧品容器用)、同(建材用)、感光性樹脂版(レタープレス)は含みません。
2022年は、UV/EB硬化型インキ、印刷面用UV/EB硬化型ニスなどの印刷関連材料は伸びましたが、それ以外の分野が前年を下回り、市場は前年比2.8%減の43万488.7トンが見込まれます。原材料価格高騰により前年から続いて値上げが行われたことで金額ベースでは拡大するとみられます。
今後は半導体向けの半導体用フォトレジストや再配線形成材料、有機EL向けの有機EL用絶縁膜材料、有機EL用シール材(UV硬化型)などの需要が増加し、電子材料がけん引して市場は拡大していくとみられます。
電子材料は、半導体関連の半導体用フォトレジストや有機EL向けが拡大する一方、FPD関連のTFT形成用レジストなどは前年までの巣ごもり需要の一服や、需要の先食いに伴うLCDパネルの在庫調整で苦戦したため、2022年は縮小するとみられます。
2023年は苦戦していたFPD関連のレジストの需要が回復に向かい、各品目が伸びることで市場は拡大するとみられます。規模の大きい半導体用フォトレジストは成長が続きますが、スマートフォン市場の停滞などによる需要減退のため成長は鈍化すると予想されます。
塗料・コーティング材は、規模の大きいUV硬化塗料・コーティング材(エレクトロニクス用)がフィーチャーフォンやスマートフォンの出荷台数減少の影響で苦戦し、2022年の市場は前年を下回るとみられます。
今後はUV硬化塗料・コーティング材(自動車用)やフィルム用ハードコーティング材の伸びが予想されます。UV硬化塗料・コーティング材(エレクトロニクス用)は5G通信への切り替え需要や折り畳み型スマートフォンへの関心の高まりで伸びますが、2020年代半ばごろからはスマートフォン市場の飽和により再びマイナスに転じると予想されます。
印刷関連材料は、世界各地の経済成長や人口増加に伴って紙パッケージやシール・ラベル、サイン・ディスプレイなどで需要が増加しています。2023年は欧州や北米経済の減速が伸びを阻害するとみられますが、拡大が続くと予想されます。
3Dプリント用UV硬化型樹脂は医療・歯科や産業機械、自動車といった幅広い分野で需要増加が予想されるほか、UVナノインプリント材料はMRスマートグラス向けなどXR(AR/VR/MR)関連で大幅な需要増加が期待されます。
粘接着剤は、LCD(液晶ディスプレイ)やスマートフォン、タブレット端末向けが主体であるため、2022年はこれらの需要が減少したことによって市場は縮小するとみられます。2023年以降はLCD市場の回復や車載関連での需要増によって拡大していくとみられます。
2.原材料の世界市場
※水系UV樹脂、光増感剤、オキセタンは含みません
モノマー・オリゴマー市場は塗料やレジストなどで使われるアクリレートモノマーの規模が大きいです。2022年はニスやインキ向けが増加したが、ディスプレイ市況の悪化でレジストを始めとした電子材料向けが減少したため、市場は一時的に縮小するとみられます。
メタクリレートモノマーやエポキシアクリレートは電子材料向けが多く、今後はエレクトロニクス関連での需要増加によって伸び、アクリレートモノマーもインキなどでの需要に支えられて市場拡大が続くとみられます。
レジストポリマー市場は中国のパネルメーカーの工場稼働率低下によりFPD向けのg/i線レジスト用ポリマーの需要が減少したため2022年は縮小しましたが、2023年以降はFPD向けが上向き、拡大していくとみられます。
EUVレジスト用ポリマーは市場規模が小さいですが、価格が高いことから金額ベースの市場の伸びに貢献しています。EUVレジストのユーザーが微細化を進めているため、今後はEUVレジスト用ポリマーが最も伸長するとみられます。
添加剤市場は光重合開始剤がほとんどを占めています。光重合開始剤は主にインキや塗料・コーティング材に用いられ、これらは世界各地で需要が増加していることから今後も伸びが続くとみられます。また市場規模の小さい光酸発生剤も各種レジストの伸びに伴い、中長期的に伸長していくと予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.有機EL用シール材(UV硬化型)【感光性樹脂材料/電子材料】
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2022年見込 |
2021年比 |
2027年予測 |
2022年見込比 |
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50.0トン |
111.1% |
91.0トン |
182.0% |
有機EL用シール材は酸素や湿気に弱い有機EL素子に対して、外部からのガス・水蒸気の侵入を防ぐ役割を果たす重要な構成材料です。プラスチックAMOLEDパネルの大手企業が存在する韓国のほか、中国の需要も大きいです。
有機EL用シール材の使用は、スマートフォン向けディスプレイで採用が増えているプラスチックAMOLEDの標準的な封止手法となっており、2020年代の半ばから後半にかけてスマートフォン全体のうち4割程度がプラスチックAMOLEDに切り替わると予想されるため、プラスチックAMOLED向けの増加により市場が拡大していくとみられます。また、Appleが2020年代半ばから折り畳みディスプレイ搭載のスマートフォンを市場に投入するとの見方もあり、拡大を後押しすると期待されます。
2.3Dプリント用UV硬化型樹脂【感光性樹脂材料/印刷関連材料】
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2022年見込 |
2021年比 |
2027年予測 |
2022年見込比 |
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1,970.0トン |
107.7% |
3060.0トン |
155.3% |
STL方式やマテリアルジェットモデリング方式の3Dプリントで採用されているUV硬化型樹脂・インキを対象とします。通常、3Dプリンターメーカーが専用品または認定品として販売しています。3Dプリント用UV硬化型樹脂を用いた3Dプリント成形品は寸法精度、高精細、意匠性などの特徴を有することから、工業部品の試作品、治具、歯科材料などで使われています。
2022年は、工業、自動車産業の回復に加え、歯科材料における需要が堅調であるため、市場は前年比7.7%増の1,970.0トンが見込まれます。特に歯科材料では3Dプリント成形品が、精度の高さに加え、作業時間・コストの削減にも繋がるため、欧米で広く使われていることから、メーカーも需要増加を受けて用途に適した樹脂の開発に注力しています。
2023年以降も、医療・歯科や産業機械、自動車、航空宇宙などの分野で金型製作・精密材料加工の需要が増加することによって市場は拡大が続くとみられます。
3.再配線形成材料【感光性樹脂/電子材料】
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2022年見込 |
2021年比 |
2027年予測 |
2022年見込比 |
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260.0トン |
104.0% |
459.0トン |
176.5% |
半導体向けの材料であり、フリップチップパッケージやWLP(ウエハーレベルパッケージ)、PLP(パネルレベルパッケージ)においてバンプ用パッシベーション層および再配線用絶縁材料として、主に感光性のポリイミドやポリベンゾオキサゾールが使用されています。
2022年は、スマートフォンなど用途先の需要停滞によって市場の伸びが抑制され前年比4.0%増にとどまると見込まれます。なお、原材料価格高騰による単価上昇により金額ベースは10%以上の成長になるとみられます。
2023年は、下期には各種電子機器の需要回復が予想されるため、市場は拡大が予想されます。長期的にも、先端パッケージの需要増加に伴って伸長し、2027年は2022年見込比76.5%増が予測されます。
4.アクリレートモノマー【原材料/モノマー・オリゴマー】
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2022年見込 |
2021年比 |
2027年予測 |
2022年見込比 |
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28万4,500.0トン |
97.0% |
32万1,600.0トン |
113.0% |
官能基にアクリロイル基を持つモノマーであり、アクリレートモノマーに光重合開始剤などを加えたアクリレートモノマー化合物はインキや塗料、レジストなどの幅広い用途で用いられています。
2022年は、前年から継続してユーザーの在庫積み増しにより、上期は需要増が続きました。しかし、下期は一定の在庫が積みあがったことに加え、中国でのロックダウンや欧州の経済停滞によって市況が大幅に悪化したため、市場は前年比3.0%減が見込まれます。一方、販売価格が上昇したことで金額ベースでは拡大するとみられます。
2023年は、民生機器をはじめとした各種製品の需要が徐々に回復し、市場は前年を上回ると予想されます。なお原材料価格や物流費の低下によって販売価格が低下し、金額ベースはマイナスになるとみられますが、今後市場は金額、数量ベースともに拡大が予想されます。
現在、植物由来の原料を用いたアクリレートモノマーの開発が進められています。コスト面の問題から採用は限定的であり、将来的にも石化由来製品との価格差が縮まることは困難とみられるため、市場拡大にはインクジェットインキや3Dプリント樹脂向けなど、付加価値の高い用途での採用増加が必要となります。
【参考】本記事で使用した「2023年 光機能材料・製品市場の全貌」に掲載している調査対象市場
感光性樹脂材料
電子材料
- 半導体用フォトレジスト
- バッファーコート膜材料
- 再配線形成材料
- TFT形成用レジスト
- ブラックレジスト
- カラーレジスト
- 有機EL用絶縁膜材料
- 有機EL用シール材(UV硬化型)
- ドライフィルムレジスト
- 液状ソルダーレジスト
塗料・コーティング材
- UV硬化塗料・コーティング材(自動車用)
- UV硬化塗料・コーティング材(エレクトロニクス用)
- UV硬化塗料・コーティング材(化粧品容器用)
- UV硬化塗料・コーティング材(建材用)
- フィルム用ハードコーティング材
印刷関連材料
- 印刷面用UV/EB硬化型ニス
- UV/EB硬化型インキ
- UV/EB硬化型インクジェットインキ
- 3Dプリント用UV硬化型樹脂
- UVナノインプリント材料
- 感光性樹脂版(フレキソ・固体状)
- 感光性樹脂版(フレキソ・液状)
- 感光性樹脂版(レタープレス)
粘接着剤
- UV硬化型接着剤
- OCA
- OCR
原材料
モノマー・オリゴマー
- アクリレートモノマー
- メタクリレートモノマー
- ウレタンアクリレート
- エポキシアクリレート
- ポリエステルアクリレート
- シリコンアクリレート
- ポリマーアクリレート
- 水系UV樹脂
- 脂環式エポキシ
- ビニルエーテル
- オキセタン
- アダマンタン誘導体
レジストポリマー
- g/i線レジスト用ポリマー
- KrFレジスト用ポリマー
- ArFレジスト用ポリマー
- EUVレジスト用ポリマー
添加剤
- 光重合開始剤
- 光酸発生剤
- 光増感剤
◆本記事は「2023年 光機能材料・製品市場の全貌」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。