本文にスキップする

富士経済グループ 市場調査サポートサイト

ECUの市場を調査。2035年の世界市場を33兆9,916億円(2021年比2.9倍)と推計

株式会社富士キメラ総研は、高度な制御が要求される自動運転システムの実現に向けて搭載数が増える一方で、将来的にはドメインコントローラーによる集約も進んでいくとみられるECUと関連デバイスの世界市場について調査しました。その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 下巻 ECU関連デバイス編」にまとめました。

この調査では、6領域(パワートレイン系、xEV系、走行安全系、ボディ系、情報系、センサー/アクチュエーター)のECUについて国・地域別に市場を分析し、それらを構成するデバイス30品目の動向を捉えました。車載電装システムやその構成デバイスの市場調査結果については「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 上巻 システム/デバイス編」でまとめております。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 下巻」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

◆当該資料の全体サマリー

1.ECUの世界市場

2022年見込

2021年比

2035年予測

2021年比

パワートレイン系

1兆4,114億円

112.1%

1兆5,776億円

125.3%

xEV系

1兆7,949億円

2.1倍

8兆515億円

9.2倍

走行安全系

2兆3,044億円

122.4%

6兆868億円

3.2倍

ボディ系

2兆1,407億円

120.9%

4兆226億円

2.3倍

情報系

3兆952億円

121.5%

5兆4,287億円

2.1倍

センサー/アクチュエーター

3兆9,741億円

120.9%

8兆8,244億円

2.7倍

合 計

14兆7,208億円

126.7%

33兆9,916億円

2.9倍

※市場データは四捨五入しています

各種電装機器の搭載によって、それらを制御するECUの搭載数は増加しており、2022年の市場は14兆7,208億円が見込まれます。為替の影響もあり数量ベースと比較して高い伸びとなっており、特に電動化の進展によりxEV系が大幅に拡大しています。

今後の伸びが特に大きいのは、xEV系と走行安全系です。環境規制の強化を背景とした電動化によりxEV系が大きく伸びていき、走行安全系もエアバッグシステムやESCなどの搭載が標準化しているシステムの堅調な需要と自動運転の高度化により伸びるとみられます。各領域の伸びに伴い、2035年の市場は2021年比2.9倍の33兆9,916億円が予測されます。

パワートレイン系はエンジンや変速機を制御するECUなどを対象とします。内燃機関を搭載しないEVの生産台数増加もあり、伸びは緩やかです。

車内空間の確保を目的として、エンジンECUへの集約化が行われており、HVやPHVなどではインバーターやモーターとの一体化による搭載スペースの削減が進んでいます。また、自動運転の高度化により、パワートレイン系ECUは自動運転ECUとより一層の協調が必要となりますが、自動運転システムでは電子制御との親和性が高いことから、エンジン負圧やエンジンを動力源として利用していた車載システムの電子制御化が進むとみられます。

xEV系は駆動用/駆動補助用モーターやメインバッテリー、電圧の昇圧降圧を制御するECUなどを対象としており、2050年のカーボンニュートラルに向けた電動車シフトにより、長期的に大幅な市場拡大が予想されます。

今後追加が期待される機能としては、コネクテッド化の進展を受けたリモート操作による充電状態の確認、EVスタンドへの誘導やバッテリー交換サービスの案内などテレマティクスサービスとの連動、V2Hシステムとの連動などが挙げられます。

走行安全系はブレーキ制御やステアリング制御など、走行性能に直結するシステムの足回り系ECU、ESC-ECUやEPS-ECUなどのパッシブセーフティ系ECUと、ADAS-ECUや自動運転ECUなどのアクティブセーフティ系ECUを対象とします。運転支援機能や自動運転の高度化とともに制御が複雑化するため、搭載個数と搭載コストの増加が予想されるため、市場が拡大していくとみられます。

自動パーキングシステムなどの新規機能は新たなECUの搭載につながりますが、標準搭載が進むことによりADAS-ECUや自動運転ECUなどへの統合も想定されます。

ボディ系は、エアコンなど自動車内における快適性や利便性に関わるシステムを制御するECUを対象とします。販売価格が高い車両ほど1台当たりの搭載数が増える傾向にあり、快適性の確保を目的に自動車メーカーが積極的に搭載を進めていることから、今後も堅調な需要が予想されます。

快適な空間を提供するための機能追加と搭載数増加が期待されますが、ドメインコントローラーによる制御も増えていくとみられます。

情報系は、情報通信系システムのECU、車外通信システムや車内通信システムに採用される通信系ECUを対象とし、カーナビやオーディオ機器のアフター製品に搭載されるECUは含みません。自動車のコネクテッド化やADAS/自動運転システムなどとの連携を背景とした、車外通信機能の追加や車内エンターテインメント機器の増加などにより市場は拡大が予想されます。

センターインフォメーションディスプレイの搭載増加に伴うIVI(In-Vehicle-Infotainment)の搭載率上昇、ヘッドアップディスプレイやテレマティクスコントロールユニット、乗員モニタリングシステムなど新たな機能の追加が進んでいくとみられます。また、自動運転が高度化することで車内での過ごし方をサポートするために、エンターテインメント機能の拡充も期待されます。

センサー/アクチュエーターは、センサーユニットなどの制御対象の状態を検出し送信する機器や、モーター/バルブなどといったセンサーに検出された状態に応じた物理的、機械的な動作をするモーターユニット、LIDARやミリ波レーダーといったその他センサーを対象とします。

電動化により補機モーターやその他の小型モーターの搭載も進むとみられ、電子制御化によるモーター数の増加や、ADAS/自動運転システムの普及に伴う各種センサー類の増加により市場拡大が予想されます。

2.ドメインコントローラーの世界市場

2022年見込

2021年比

2035年予測

2021年比

4,568億円

140.6%

4兆9,127億円

15.1倍

ECUやセンサー、アクチュエーターなどの機能統合を行うドメインコントローラーを対象とします。

自動車に搭載されたECUやセンサー、アクチュエーターなどをつないだシステム構造であるE/Eアーキャテクチャーは、現在、一つの機能を一つのECUで制御する分散型が主流です。しかし、ECUの搭載増加によりワイヤーハーネスも増え、車体重量が増加していることや、ADASの高度化によりECUやセンサー、アクチュエーターに加え、外部サーバーとの連携、走行データや地図データの交信などで多量のデータ転送と処理が必要となることから、データ転送速度の低下などが問題点として挙がっています。

そのため、ドメインコントローラーを設置し、ドメイン別に関連機器のECU、センサー、アクチュエーターを統括するドメイン型のE/Eアーキャテクチャーが2020年ごろから登場しています。関連ECUを統合・集約しドメインコントローラーで管理することでデータ転送と処理の効率化でき、ワイヤーハーネスの削減も可能であることから、量産車への搭載も始まっています。

情報系やボディ系など走行に関係ないシステムから徐々にドメインコントローラーへ集約されており、2022年の市場は4,568億円が見込まれます。今後は、パワートレイン系や走行安全系などでも統合が進んでいき、2035年の市場は2021年比15.1倍の4兆9,127億円が予測されます。

3.ECU構成デバイスの世界市場

2022年見込

2021年比

2035年予測

2021年比

センサー

1兆7,296億円

125.7%

2兆6,691億円

193.9%

半導体

4兆4,895億円

135.8%

11兆3,804億円

3.4倍

回路部品

1兆5,156億円

132.5%

3兆3,830億円

3.0倍

その他

10兆3,258億円

117.8%

14兆2,428億円

162.5%

合 計

18兆605億円

123.8%

31兆6,753億円

2.2倍

2022年のECU構成デバイス市場は、前年比23.8%増の18兆605億円が見込まれます。ECUの自動車1台当たりの搭載数は増加しており、これに伴い、半導体部品や回路部品、基板製品といったECUの構成デバイス、ECUとECUやセンサーを接続するワイヤーハーネスや車載コネクターなどの需要が増え、市場は拡大しています。

センサーは、環境規制強化に向けた内燃機関の高度化ニーズやADAS機器などの走行安全装置のニーズ、車内快適性向上需要の高まりにより、搭載が増えていることから市場が拡大しています。流量センサーやガス濃度センサーは電動車の普及により将来的には減少していきますが、圧力センサーや磁気センサー、温度センサーなどは内燃機関関連での需要減少の一方で、電動車への搭載が増えることから、伸びが続くとみられます。また、走行安全系システムの搭載義務化や自動運転の高度化により加速度センサー/角速度センサー、イメージセンサーなども伸びが予想されます。

半導体不足が2022年後半から徐々に解消へと向かっており、半導体や回路部品はセンサーの搭載増加に加え、電子制御の割合が高い電動車の伸びもあり市場拡大しています。
その他では、ワイヤーハーネスや車載コネクターがECUの搭載増加により伸びていきますが、長期的には車体構成の変化やECUの統合などにより配線数が減少するため、伸びは鈍化していくとみられます。

【参考】本記事で使用した「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 下巻」に掲載している調査対象市場

ECU

  • パワートレイン系
  • xEV系
  • 走行安全系
  • ボディ系
  • 情報系
  • センサー/アクチュエーター

ECU構成デバイス

センサー

  • 圧力センサー
  • 磁気センサー
  • 温度センサー
  • 流量センサー
  • ガス濃度センサー
  • 加速度センサー/角速度センサー
  • イメージセンサー
  • 電流センサー

半導体

  • 車載マイコン
  • ドライバーIC
  • メモリー(DRAM/NAND)
  • SoC/FPGA
  • リニアレギュレータ
  • MOSFET/IPD
  • バッテリー監視IC
  • IGBT/SiC
  • セルラーモジュール
  • 車内LANトランシーバー
  • Wi-Fi/Bluetoothモジュール

回路部品

  • アルミ電解コンデンサー/ハイブリッドコンデンサー
  • 積層セラミックコンデンサー
  • フィルムコンデンサー
  • タイミングデバイス
  • インダクター
  • 車載リレー
  • チップ抵抗器

その他

  • プリント配線板
  • 半導体パッケージ基板
  • ワイヤハーネス
  • 車載コネクター

◆本記事は「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2023 下巻」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。