株式会社富士経済は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けCO2排出量削減の取り組みが進められる中、利活用の需要が高まっているCO2・環境価値取引関連市場を調査し、その結果を「CO2・環境価値取引関連市場の現状と将来展望 2023」にまとめました。
この調査では、環境価値証書や排出量取引、民間クレジットなど主要CO2・環境価値取引関連市場を推計したほか、カーボンニュートラルに関連する各国の政策や制度、CO2排出量の計測・算定、目標設定やソリューション提供などの各種コンサルティングサービスを行う主要参入企業の動向などを捉えました。
クレジット:カーボン・クレジット。再エネ設備の設置や燃料転換、植林などプロジェクトの実施により削減または吸収されたCO2を取引できるように認証化したものです(例:J-クレジット)
環境価値取引:再エネ設備由来の電力・熱を対象に証書化することで環境価値として取引できるようにしたものです(例:グリーン電力証書、非化石証書)
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「CO2・環境価値取引関連市場の現状と将来展望 2023」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
CO2・環境価値取引関連の世界市場
|
2022年 |
2030年予測 |
2050年予測 |
|
|
クレジット取引 |
5兆6,913億円 |
12兆3,419億円 |
29兆2,811億円 |
|
環境価値取引 |
1兆419億円 |
1兆4,252億円 |
― |
クレジット取引5品目、環境価値取引4品目の取引金額を対象とします。なお、環境価値取引については、制度の継続性という観点から見通しにくいため、予測は2030年までとしました。 2050年に向けさまざまなCO2排出量削減技術の開発が進められていますが、実用化に時間を要することから、現状のカーボンニュートラル対策としてクレジットおよび環境価値証書の需要が増加しています。2022年の市場は、天然ガスの価格上昇に伴う石炭への回帰がみられたことで需給がひっ迫し、クレジットおよび環境価値証書の価格が上昇したことで、大幅に拡大しました。
クレジット取引においては、CCS(CO2回収・貯留)のクレジット化や植林などによるクレジット創出といった供給側の取り組みが重要になるため、現在は排出したCO2を吸収する吸収系クレジットの整備が進められています。また、現状ではクレジットの品質にばらつきがあることから、価値の高いクレジットの要件を整理し、高品質クレジットの新基準策定が進んでいます。高品質化が進むことで、クレジット価格の上昇も予想されます。
環境価値取引は、再生可能エネルギー利用を志向する需要家の増加により市場拡大しています。また、環境性・追加性(新たにCO2削減・吸収する効果があるもの)といった観点による、環境価値が認められる範囲の厳格化に伴い、証書の価格が高騰しています。
グローバル企業では、カーボンニュートラルへの取り組みの遅れが、取引先の消失や投融資の敬遠など事業上のリスクになると捉えられており、重要な経営課題の一つとなっていることから、今後も市場は拡大が予想されます。長期的には、CO2排出源の減少と排出規模の縮小、クレジット調達によるみなし削減から、設備などへの直接投資による排出量自体の削減へと進むことで、取引量では2040年頃をピークに減少するとみられます。しかし、クレジットの高品質化などにより単価が上昇し、市場は拡大が続くと予想されます。
◆注目個別市場サマリー
炭素会計システム市場
CO2排出量可視化プラットフォーム/算定支援サービスの国内市場
|
2022年度 |
2030年度予測 |
2022年度比 |
|
|
可視化プラットフォーム |
12億円 |
66億円 |
5.5倍 |
|
算定支援サービス |
36億円 |
60億円 |
166.7% |
企業が事業活動をする上で排出するGHG(温室効果ガス)を算定・可視化するプラットフォームと算定を支援するサービスを対象とします。
可視化プラットフォームは、会計ソフトウェアのような形でパッケージ化されており、クラウドサービスによる提供が主流です。2022年度から東証プライム上場企業では取引先も含めGHG排出量を把握する必要が出てきたことから、上場企業のサプライチェーン各社でも導入され、市場が大きく拡大しています。2030年度には大手企業の大部分、中堅企業の3割程度で導入が進むとみられます。また、金融機関が投融資先のGHG排出量を把握するために利用するケースも多いです。
算定支援サービスは、プラットフォームを単体で使いこなすことが難しい企業のために、コンサルティング会社などが行うサービスです。旺盛な需要に対して専門人材の育成が追いついておらず、サービスの提供が不足しており、可視化プラットフォームと比較し、伸びは緩やかです。導入は東証プライム上場の大手企業が中心であり、中堅企業は可視化プラットフォームの導入にとどまっている場合が多いです。
カーボン・クレジット取引市場プラットフォームの世界市場
|
2022年 |
2030年予測 |
2022年比 |
|
9,300億円 |
3兆1,000億円 |
3.3倍 |
世界のカーボン・クレジット取引市場プラットフォームにおけるCO2クレジットの取引金額を対象とします。
従来クレジットは相対取引が中心でしたが、欧米を中心に取引市場が形成されており、日本では2022年に東京証券取引所で実証が行われ、2023年10月にGX-ETSが開始予定です。
欧州EEXにおける単価上昇により取引金額が拡大しています。プラットフォームで取引されるクレジットについては、品質が担保されていることもプラットフォームで取引を行うメリットになっています。
シンガポールのCIXなど新たな市場が開設されることで今後の拡大が予想され、欧米の先進国だけでなく、アジア、南米、中東などでも取引市場の広がりが期待されます。
【参考】本記事で使用した「CO2・環境価値取引関連市場の現状と将来展望 2023」に掲載している調査対象市場
CO2・環境価値取引関連市場
クレジット取引
- 64クレジット
- EU-ETS(EU Emissions Trading System)
- J-クレジット
- VCS(Verified Carbon Standard)
- GS(Gold Standard)
環境価値取引
- グリーン電力証書
- 非化石証書
- GO(Guarantee of Origin)
- RECs(Renewable Energy Certificates)
その他
- GX-ETS(GX Emissions Trading System)
- インターナルカーボンプライシング
炭素会計システム市場
- CO2排出量可視化プラットフォーム
- CO2排出量算定支援サービス
- カーボン・クレジット取引市場プラットフォーム
国・地域別動向
- 日本
- 中国
- 韓国
- インド
- 東南アジア
- 米国
- EU
- 中東
◆本記事は「CO2・環境価値取引関連市場の現状と将来展望 2023」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。