株式会社富士経済は、近年、軽量・薄型の材料で騒音を防ぐことが自動車や建築の分野で求められる中、既存の材料では困難な防音を可能にすることが期待され、量産技術の確立や成形性の向上に向け技術開発が進む音響メタマテリアル市場を調査しました。その結果を「音響メタマテリアルの将来展望とポテンシャル調査」にまとめました。
この調査として、今後普及が期待される音響メタマテリアルの最新動向や課題、有望用途について調査し、将来を展望しました。活用分野は、自動車、家電、建築、航空・宇宙、医療機器・その他の5つに分類し、市場動向や音響メタマテリアルの適用部位、価格動向、ユーザーニーズなどについてまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「音響メタマテリアルの将来展望とポテンシャル調査」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
音響メタマテリアルの国内市場
メタマテリアルは、光の屈折や反射制御などの点で自然界に存在する物質にはない特性を持つ人工物質であり、音響メタマテリアルは、メタマテリアルを音波の伝播制御に適用しています。従来の吸音材、遮音材、制振材の代替を視野に開発が進められている製品を対象とし、従来から用いられている製品(ヘルムホルツレゾネータなど)は対象外とします。
近年、自動車や建築など様々な分野で低周波数帯から中周波数帯の騒音を防ぐことが求められていますが、既存の防音材では遮音性に限界があることや、防音材を増やすと重量が増加し、自動車の燃費に影響したり、建築物の柱や梁の強度を増す必要が出ることなどが課題であり、最適な材料が見つけにくい状況にありました。そこで、質量則や材料特性を上回る防音性能を発揮する音響メタマテリアルへの注目度が高まっています。
2022年からオフィスの吸音パネルとエアコンの室外機向け遮音材として実用が始まり、2023年の市場は17億円が見込まれます。2023年時点では既にエアコン向けで市場が立ち上がっている家電が主体ですが、今後は建築が市場をけん引し、2035年時点では建築が主体になると予想されます。また、自動車では電動化の流れによりロードノイズなどの騒音問題が顕在化しているため、ニーズが高まっていますが、スペックや環境試験が厳しく、現時点ではサンプル評価やコンセプトカーへの搭載に留まっています。今後は高級EV向けで実用化が始まると予想されEVでの採用が徐々に広がるとみられます。その後は航空・宇宙や医療機器で採用が始まり、2035年の市場は561億円に上ると予測されます。
◆注目個別市場サマリー
建築(オフィス、工事、工場含む)
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2023年見込 |
2035年予測 |
2023年見込比 |
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3億円 |
434億円 |
144.7倍 |
2023年時点ではオフィス向けの吸音パネルに用いられ、その他に天井や壁、床、パーティションなどへの採用や採用検討が進んでいます。オフィスではWEBミーティングやフリーアドレスの増加により音漏れや室内反響音対策の必要性が増しています。北米ではオフィスビルの快適性を表す指標の一つに騒音があるため、有望な人材の確保に向けて騒音対策にコストを掛ける企業も多く、大幅な需要増加が予想されます。
日本では天井開口率70%以下の場合、消防法により排煙装置やスプリンクラーを設置する必要が生じるため開口部を設けるオフィスが多く、開口部からの音漏れが問題となっていることから、音響メタマテリアル採用のニーズがあります。
2020年代半ば以降は集合住宅の床振動遮断や工事現場の防音パネル、工場の機械や排熱ファンによる騒音対策、サーバールームの騒音対策としても需要増加が期待され、2035年の市場は434億円と予測されます。
【参考】本記事で使用した「音響メタマテリアルの将来展望とポテンシャル調査」に掲載している調査対象市場
対象品目
- 音響メタマテリアル
活用分野
- 自動車
- 家電
- 建築(オフィス、工事、工場含む)
- 航空・宇宙
- 医療機器、その他
◆本記事は「音響メタマテリアルの将来展望とポテンシャル調査」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。