株式会社富士経済は、MaaS(Mobility as a Service)と観光や医療などの産業を掛け合わせた「xMaaS」とその関連市場について調査し、その結果を「2023年版 モビリティ社会を実現するxMaaS市場の将来展望」にまとめました。
この調査では、カーシェアや電動キックボードシェア、公共交通などのヒト移動サービス市場、自動配送ロボットや配送ドローンなどのモノ移動サービス市場、コインパーキングやMaaSアプリなどの周辺サービス市場、駐車場管理などのインフラ機器・システム市場、乗用車などのモビリティ市場の現状を調査し、将来を予想するとともに、xMaaS市場として観光、医療、小売、外食、介護福祉、子育て、物流、EV、宇宙の9分野の最新動向や将来を展望しました。
近年、移動手段の検索やチケットの手配・決済を一括で行えるMaaSが広がったことや、DX化の加速で各産業とモビリティサービスを連携するxMaaSの環境が整いつつあります。xMaaSを活用してモビリティサービスの需要を創出し、移動から観光や食事といった目的達成までのサポートや、交通弱者の移動手段確保や人手不足といった課題解決の手段の一つになることが期待され注目が集まっています。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2023年版 モビリティ社会を実現するxMaaS市場の将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
xMaaSの注目市場
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2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
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観光MaaS |
1兆8,907億円 |
130.2% |
3兆4,532億円 |
2.4倍 |
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医療MaaS |
4,603億円 |
117.6% |
6,050億円 |
154.6% |
観光MaaSは観光を目的としたモビリティサービスや、移動のほか駅や空港での手ぶら観光サービス、レンタカーの社内端末で提供される観光情報サービスなどを対象とします。鉄道事業者などがMaaSアプリを提供し、アプリを介して観光情報やモデルコースの提案、移動のチケットやレンタカーの予約、観光施設の入場券購入、クーポンの入手などが可能です。
新型コロナウイルス感染症流行の影響から脱し、国内観光の回復や訪日外国人観光客の増加で市場は拡大していくとみられます。現在、移動手段に留まらず荷物の一時預かりや配送、備品貸出といった手ぶら観光サービスの認知拡大が促進されています。
今後MaaSアプリを介した手ぶら観光やモビリティのシェアリングサービス、観光施設などの連携が広がることで市場はさらに拡大していくと予想されます。現在各公共交通機関では独自のICカードが導入され、観光施設利用料等も含めた一括決済が難しい状況ですが、往復の交通機関の料金と施設利用料をセットにしたデジタルチケットが登場することで、より自由な観光プランが提案できるため、解決が期待されます。
医療MaaSは、医療機関の敷地内や医療機関への移動で利用されるモビリティサービスや、車内医療サービスを対象としています。車内医療サービスは自治体と病院が連携して、定期的な診察が必要な高齢者や妊婦を対象とした実証実験が進んでいます。
高齢化の進行によるモビリティサービス利用者数の増加で市場は拡大していくとみられます。特に地域医療では医師不足が深刻な問題となっているため、訪問診療の効率を高めるために移動診察車を活用したオンライン診療の検討が積極的に進められています。また、移動診察車を活用することにより、通院のための移動や病院での待ち時間といった患者の負担が軽減され、医療施設にとっても新規患者の獲得促進や施設の価値向上に繋がることが期待されています。
将来的には院内システムとモビリティサービスの連携による利便性向上や、車内医療サービスの拡充が期待されます。また行政が主導となるため、移動診察車を介護やコミュニティバスといった複数の行政サービスを提供する場として活用していくことが予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.電動キックボードシェア
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2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
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17億円 |
3.4倍 |
68億円 |
13.6倍 |
道路交通法で特定小型原動機付自転車に該当する機体を対象としています。2023年7月より特定小型原動機付自転車の区分が設けられ、運転免許を持たなくとも16歳以上で電動キックボードに乗車可能となったことから、シェアリングサービスへの注目度が高まりました。
都市圏を中心にシェアリングの拠点となる「ポート」の設置が進み、20~30代を中心として利用が広がっています。2023年の市場は前年比3倍以上の17億円が見込まれます。有力企業のLuuPでは小型モビリティを採用して狭小スペースなどを活用し、ポート数を大きく増やしているほか、2024年1月にも、シェアサイクルの事業者がサイクル用の拠点を活用し、電動キックボードシェアに新規参入する予定もあり、市場は今後も拡大することが予想されます。
今後は観光地や地方都市への設置も増えていくとみられます。地方都市では人口減少による公共交通機関の運行縮小や、高齢者の免許返納増加などで代替インフラの必要性が高まっているため、安定感のある3輪や4輪、自転車タイプの特定小型原動機付自転車が登場することで、幅広い年齢層の利用機会増加も期待されています。
電動キックボード自体の国内保有台数は、2020年代中頃まではシェアリングサービスの発展に後押しされて増加していくとみられます。現状中国製品の輸入が主体ですが、その後は国内生産品の量産化による価格の低下も期待され、個人所有などサービス向け以外車両も増えていくと予想されます。
電動キックボードの保有台数 ※個人所有分なども含みます
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2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
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1万5,400台 |
197.4% |
43万台 |
55.1倍 |
2.配車サービス
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2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
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2,470億円 |
171.5% |
8,000億円 |
5.6倍 |
スマートフォンアプリやウェブサイトを通じてタクシーを手配できるサービスを対象とします。市場は年間の乗車料金と迎車料金を含むサービスの売上金額から算出しています。
タクシー業界は新型コロナの流行による人流減の影響を大きく受けましたが、配車サービスは利用者の拡大期にあったため、市場は成長が続きました。人流の回復後は、タクシードライバー不足により流しのタクシーの利用が難しくなったため、配車サービスの利用が増えています。大手配車サービス事業者がプロモーションを積極的に展開し、消費者認知が広がったことも成長を後押ししており、2023年の市場は前年比70%以上の増加が見込まれます。
都市部への展開はある程度広がっており、今後は地方への展開と、これまで電話配車や流しのタクシーを利用していたユーザーに対して配車サービス利用を促すことにより、市場は拡大していくとみられます。
3.キッチンカー
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2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
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882億円 |
102.8% |
2,058億円 |
2.4倍 |
年間でキッチンカーが利用される回数と提供商品の代金から算出しています。
市場は2020年以降成長が続いています。新型コロナの影響で外食店が苦戦するなか、店舗と比較して開業費用やランニングコストを抑えられる点や、商圏が限定されないことが強みとなって参入が活発化し、2023年の市場も前年比2.8%増が見込まれます。
出店場所はイベント会場などが主でしたが、近年は地域や不動産の価値向上を目的にキッチンカーを誘致するケースや、首都圏を中心にランチ難民対策としてオフィスビルへの誘致が広がっています。また出店者と出店場所のマッチングサービスの登場が追い風となっており、2035年の市場は2022年比2.4倍の2,058億円と予測されます。
4.自動配送ロボットサービス
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2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
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僅少 |
- |
200億円 |
- |
屋外を自律走行するロボットによる配送サービスを対象とし、市場は年間の配送回数と配送料金から算出しています。
2023年時点では、2030年頃の本格運用へ向けて実証実験を重ねている段階であり、サービス事業者では本格導入へ向けた課題の洗い出しやビジネスモデルの模索が続いています。郵便や宅配、フードデリバリーに参画する小売店などでの導入が予想されます。
まずはフードデリバリーから活用が始まり、2030年以降は活用シーンが広がっていくとみられます、宅配便取扱個数が年々増加していることから、配送事業者でも自動配送ロボットを導入すると想定され、2035年の市場は200億円になると予測されます。
【参考】本記事で使用した「2023年版 モビリティ社会を実現するxMaaS市場の将来展望」に掲載している調査対象市場
xMaaS分類
- 観光MaaS
- 医療MaaS
- 小売MaaS
- 外食MaaS
- 介護福祉MaaS
- 子育てMaaS
- 物流MaaS
- EVMaaS
- 宇宙MaaS
モビリティサービス
ヒト移動サービス
- カーシェアリング
- 個人間カーシェアリング
- レンタカー
- シェアサイクル
- シェアバイク
- 電動キックボードシェア
- 配車サービス
- 相乗りタクシー
- オンデマンド交通
- 運転代行マッチングサービス
- 自動運転移動サービス
- 鉄道
- バス
- 航空機
- タクシー
- ヘリタクシー・eVTOL
- 旅客船
- 宇宙旅行
モノ移動サービス
- 自動配送ロボットサービス
- ドローン配送サービス
- 貨客混載(鉄道/バス/航空機/旅客船)
- 人工衛星打ち上げ・物資輸送
周辺サービス
- コインパーキング
- 駐車場シェア
- 手ぶら観光サービス
- 車内観光情報サービス・車内メディア
- 車内医療サービス
- 介護施設送迎支援システム
- 介護施設共同送迎サービス
- キッチンカー
- 移動販売マッチングサービス
- 求貨求車マッチングサービス
- 配送見える化ソリューション
- 移動型EV充電サービス
- EV充電サービス
- 軌道上サービス
インフラ機器・システム
- 駐車装置・機器
- 駐車場管理システム
- 駐輪場管理システム
- 電動車用充電器(普通/急速)
- 自動運転運行管理システム
モビリティ
- 乗用車
- 原動機付自転車/自動二輪車/バイク
- 自動運転シャトル
- 電動キックボード
- eVTOL
◆本記事は「2023年版 モビリティ社会を実現するxMaaS市場の将来展望」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。