株式会社富士経済は、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)の国内市場を調査し、その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2022 No.3 機能性表示別市場分析編」にまとめました。
この調査では、保健機能食品について、免疫機能維持や脂肪(低減)などのヘルスクレーム(健康表示)別や、生活習慣病予防やストレス緩和・睡眠サポートなどの訴求効能別、成分別に分類し、市場の現状を捉えました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「H・Bフーズマーケティング便覧 2022 No.3 機能性表示別市場分析編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.機能性表示食品の国内市場
|
2021年見込 |
2020年比 |
2022年予測 |
2020年比 |
|
|
明らか食品 |
342億円 |
121.7% |
372億円 |
132.4% |
|
ドリンク類 |
2,215億円 |
133.0% |
2,408億円 |
144.5% |
|
サプリメント |
1,861億円 |
114.7% |
1,975億円 |
121.8% |
|
合 計 |
4,418億円 |
123.8% |
4,754億円 |
133.2% |
※市場データは四捨五入しています
機能性表示食品は2015年に制度が開始され、2016年には1,000億円に到達しました。その後も新商品の発売が相次ぎ、市場拡大が続いています。
2020年は、新型コロナ流行の影響によりコロナ太りを気にする消費者が増加したことで脂肪対策商品を中心に需要が増加し、ドリンク類やサプリメントが大幅に伸長しました。特に、2019年に機能性表示食品としてリニューアルされた伊藤園「お~いお茶 濃い茶」が通年販売となり好調だったことから市場は前年よりも高い伸びとなったため、特定保健用食品の市場規模を上回りました。2021年は「お~いお茶 濃い茶」の続伸に加え、ヤクルト本社が2019年に関東地区限定で発売した「Yakult1000」が全国販売となったこともあり、市場は二桁増が予想されます。
種類別では、制度開始当初は商品数が多かったことから、サプリメントの構成比が最大でした。しかし、「お~いお茶 濃い茶」などドリンク類が大幅に伸長し、2020年にはサプリメントの市場を上回りました。2021年もドリンク類が最大の構成比を維持するとみられます。
訴求効能別では、生活習慣病予防が市場の約5割を占めています。脂肪やコレステロール、高血糖値、血圧、認知機能訴求など健康食品の主なターゲット層である中高年に需要の高い訴求の商品が展開されています。新型コロナ流行後は、これらの数値を気にする幅広い消費者から需要が高まっています。骨・関節・筋肉サポートは、生活習慣病予防に次ぐ構成比です。サプリメントが中心であり、60代以上の高齢者からの需要を獲得し、伸長しています。
2.特定保健用食品の国内市場
|
2021年見込 |
2020年比 |
2022年予測 |
2020年比 |
|
|
明らか食品 |
1,049億円 |
101.1% |
1,050億円 |
101.2% |
|
ドリンク類 |
1,906億円 |
93.1% |
1,854億円 |
90.6% |
|
サプリメント |
131億円 |
98.5% |
131億円 |
98.5% |
|
合 計 |
3,086億円 |
95.9% |
3,035億円 |
94.3% |
特定保健用食品は、乳酸菌飲料やヨーグルト、ドリンクヨーグルトを中心に市場拡大してきましたが、機能性表示食品の商品数増加に伴い、徐々に需要がシフトしています。また、好調だったヨーグルトがブームの沈静化によって2016年頃に需要が頭打ちとなったこともあり、2018年に市場は縮小に転じました。
2020年は、新型コロナの感染拡大に伴いコロナ太り対策需要の増加や腸管免疫の認知向上などがみられましたが、価格訴求や複合ヘルスクレームによる機能訴求、企業の注力シフトなどから需要を獲得した商品は一部に限られ、機能性表示食品への需要シフトが加速し、市場は縮小しました。2021年は、ガムなどで需要が回復する商品がみられる一方、機能性表示食品へのシフトが続いていることもあり、続落が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.生活習慣病予防【訴求効能】
|
2021年見込 |
2020年比 |
2022年予測 |
2020年比 |
|
3,433億円 |
108.6% |
3,549億円 |
112.2% |
生活習慣病予防を訴求効能とする保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)を対象とします。
生活習慣病予防は特定保健用食品が市場をけん引してきましたが、2015年の制度開始以降、ドリンク類を中心に機能性表示食品が相次いで発売され、特定保健用食品から需要がシフトしています。2020年は脂肪(低減)をヘルスクレームとする商品が、コロナ太りを気にする消費者の需要を捉えたほか、2019年に機能性表示食品としてリニューアルされた「お~いお茶 濃い茶」の好調により、機能性表示食品が特定保健用食品を上回りました。2021年は、引き続き脂肪(低減)をヘルスクレームとする商品の需要が増加しており、市場は前年比8.6%増が見込まれます。
2.ストレス緩和・睡眠サポート【訴求効能】
|
2021年見込 |
2020年比 |
2022年予測 |
2020年比 |
|
365億円 |
147.8% |
413億円 |
167.2% |
ストレス緩和・睡眠サポート訴求効能とする保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)を対象とします。
2015年に機能性表示食品制度が開始され、"ストレス緩和"や"睡眠改善"といったヘルスクレームが可能となったことで、機能性表示食品の新商品発売が相次ぎ、市場は拡大しています。
2020年は、新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛の長期化により、生活リズムの乱れや在宅におけるストレス増加などで需要が高まり、市場は前年比34.2%増となりました。また、ヤクルト本社が機能性表示食品である「Yakult1000」の販売エリアを広げたことも、市場拡大に寄与しました。2021年は、「Yakult1000」が全国販売となったことに加え、シリーズ商品である「Y1000」が発売され、ドリンク類やサプリメントを中心に需要増が続いていることから市場は前年よりも高い伸びになるとみられます。
3.免疫機能維持【ヘルスクレーム】
|
2021年見込 |
2020年比 |
2022年予測 |
2020年比 |
|
125億円 |
7.4倍 |
159億円 |
9.4倍 |
免疫機能維持をヘルスクレームとする特定保健用食品、機能性表示食品を対象とします。ヘルスクレームの一例は、「健康な人の免疫機能の維持をサポート」「免疫アシスト」です。
2020年にキリンビバレッジが機能性表示食品「キリン iMUSE」シリーズを発売したことで、市場が立ち上がりました。新型コロナの感染拡大以降、ワクチンなどの対抗策がない中で、個人の感染予防や体調管理が主な対処方法であり免疫力向上が期待できる食品などが連日メディアで取り上げられました。機能性表示食品として「キリン iMUSE」シリーズが発売されたのは11月と、特需が収まりつつある時期でしたが、積極的なプロモーションによる認知拡大によって需要を獲得し、その後もグループ企業を含めた商品展開や素材の外販によって好調を維持していることなどから、2021年も続伸するとみられます。
4.脂肪(低減)【ヘルスクレーム】
|
2021年見込 |
2020年比 |
2022年予測 |
2020年比 |
|
1,664億円 |
110.2% |
1,717億円 |
113.7% |
脂肪(低減)をヘルスクレームとする特定保健用食品、機能性表示食品を対象とします。ヘルスクレームの一例は、特定保健用食品では「体脂肪を減らすのを助ける」、機能性表示食品では「体脂肪を減らす」「体重・体脂肪を減らす」です。
脂肪(低減)は"脂肪を減らすのを助ける"という具体的な表示が可能な点から特定保健用食品の中でも代表的なヘルスクレームとして多くのヒット商品が生み出されてきました。2015年に機能性表示食品制度が開始され、市場はさらに活性化しています。
2020年は機能性表示食品としてリニューアルされた「お~いお茶 濃い茶」の好調などが市場拡大に寄与し、前年比21.1%増となりました。2021年はダイエットや生活習慣病予防への意識が高まる中、脂肪(低減)は消費者の需要にマッチしたヘルスクレームであることから市場は二桁増を維持するとみられます。特に、ヨーグルトやドリンクヨーグルト、ビネガードリンク、ノンアルコールビール・ドリンクなどは、口にするなら少しでも健康に良いものを取り入れたいというライトな健康志向需要を獲得しています。
5.乳酸菌【成分】
|
2021年見込 |
2020年比 |
2022年予測 |
2020年比 |
|
1,841億円 |
109.6% |
1,892億円 |
112.7% |
乳酸菌を関与成分とした特定保健用食品、機能性表示食品を対象とします。
乳酸菌配合訴求商品は、2020年以降は従来の腸内環境訴求に加え、睡眠やストレス、紫外線対策といったヘルスクレーム商品が発売され、新型コロナの感染拡大によって健康意識が高まったことなどを背景に市場は拡大しています。2021年は、前年に発売された免疫機能維持をヘルスクレームとした機能性表示食品である「キリン iMUSE」シリーズの好調により、ドリンク類が大幅に伸長し、市場は前年比9.6%増が見込まれます。
- 富士経済H・Bフーズの定義H・Bフーズは、健康(Health)維持増進・回復目的や美容(Beauty)目的で飲食する食品です。即ち、何らかの効能・効果(機能性)を期待できる食品、および、期待されるイメージをもつ食品です。法的区分上、医薬品・医薬部外品扱いのものは対象としません。
- 同H・Bフーズの分類全体を機能志向食品と健康志向食品の2分野に分けました。機能志向食品は味覚より機能を重視した、一般用医薬品との競合が予想される商品です。健康志向食品は機能よりも味覚を重視した、一般加工食品との競合が予想される商品です。
さらにこの2分野を以下のように4つに区分した。
(1)機能志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.1」に掲載)
●サプリメント:(財)日本健康・栄養食品協会で定めるJHFA規格品に加え、規格外の健康食品でも違法性が明らかな成分を使用していないものも対象としました。
●シリーズサプリメント:サプリメントのうちビタミン・ミネラル類などのアイテムを各種取り揃えたシリーズ展開のサプリメント(剤型は医薬品的形状が主体)を「シリーズサプリメント」と呼称します。
(2)健康志向食品(「H・Bフーズマーケティング便覧 No.2」に掲載)
●明らか食品:一般加工食品と呼ばれる「通常の形態をした、日常的に食べられる食品」に機能成分を添加、強化して、商品の機能性を訴求する食品群を対象としました。
●ドリンク類:明らか食品で飲料分野に属するものは、(医薬品/新・医薬部外品のドリンク剤と区分するために)本調査では「ドリンク類」と呼称します。 - 「保健機能食品」とH・Bフーズの関係特定保健用食品は、何らかの機能性(特定保健目的)を有しているため全てH・Bフーズの対象に含め、栄養機能食品は、機能性を訴求している商品のみをH・Bフーズの対象としました。また、機能性表示食品は加工食品のみをH・Bフーズの対象とし、生鮮食品は対象外としました。
【参考】本記事で使用した「H・Bフーズマーケティング便覧 2022 No.3 機能性表示別市場分析編」に掲載している調査対象市場
保健機能食品別
- 特定保健用食品
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
ヘルスクレーム別
- 腸内環境
- 便通改善
- 腸内環境・便通改善
- 脂肪(低減)
- 脂肪(吸収抑制)
- 糖(吸収抑制)
- コレステロール
- 血圧
- 認知(記憶)
- 認知
- 膝関節
- 骨
- 疲労感軽減
- 睡眠
- 免疫機能維持
- 脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)
- 脂肪(低減)×脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)
- 脂肪(吸収抑制)×糖(吸収抑制)×血圧
- 脂肪(低減)×認知(記憶)
- ストレス緩和×睡眠×腸内環境
- 脂肪横断
- 糖横断
- 血圧横断
- 認知横断
- ストレス緩和横断
成分別
- 乳酸菌
- 食物繊維
- カテキン
- ビフィズス菌
- DHA・EPA
- GABA
- サラシア
- 葛の花由来イソフラボン
- ブラックジンジャー
機能性表示食品における生鮮食品・惣菜
- 生鮮食品・惣菜
機能性表示食品におけるPB
- PB(プライベートブランド)
訴求効能別
- 滋養・強壮
- 肝機能改善
- 美容効果
- 整腸効果
- ダイエット
- スポーツサポート
- 生活習慣病予防
- 血行促進
- 免疫対策
- 栄養バランス
- 骨・関節・筋肉サポート
- 貧血予防・改善
- オーラルケア
- アイケア
- マルチバランス
- ストレス緩和・睡眠サポート
- グリーンチャージ
◆本記事は「H・Bフーズマーケティング便覧 2022 No.3 機能性表示別市場分析編」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。