株式会社富士経済は、環境問題への対策として開発が進み注目度が高まっている、再生プラスチックをはじめとする循環型プラスチック・素材の国内市場を調査し、その結果を「2022年 循環型プラスチック・素材市場の新展望」にまとめました。
この調査では、マテリアルリサイクルプラスチック(MRプラスチック)やケミカルリサイクルプラスチック(CRプラスチック)といった再生プラスチック、バイオマス原料を利用したバイオマスプラスチックやバイオマス系素材(プラスチック代替紙)、天然素材配合プラスチック、計24品目の市場を捉えるとともに、法規制動向や助成事業などを含めた減・脱プラスチックの全体像と将来の方向性を明らかにしました。
石油由来プラスチックは、安価かつ短時間で大量生産することに適した材料であることから、食品包装、日用品、自動車、家電・OA、土木建築資材など様々な分野・用途で利用されています。しかし、使用済みプラスチックを中心とする廃プラスチック増加の問題、中国などアジアにおける廃プラスチックの輸入規制強化などもあり、使用量削減の必要性が高まっています。
廃プラスチックによる環境問題に対応するため、世界の各国・地域でプラスチックの法規制強化やレジ袋などの使い捨てプラスチック製品の使用量削減や、再生プラスチック・バイオマスプラスチックの開発や利用が進んでいます。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2022年 循環型プラスチック・素材市場の新展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
循環型プラスチック・素材の国内市場
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2021年 |
2035年予測 |
2021年比 |
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全体 |
1,762億円 |
5,040億円 |
2.9倍 |
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再生プラスチック |
1,472億円 |
3,553億円 |
2.4倍 |
※再生プラスチックは全体の内数です
環境に配慮したプラスチック・素材の利用は、欧州が先行してきましたが、日本でも2019年に策定された「プラスチック資源循環戦略」をきっかけに、再生プラスチック・バイオマスプラスチックなどの採用が進んでいます。
「バイオプラスチック導入ロードマップ」「プラスチック資源循環促進法」の策定などから、使用済みプラスチックの循環利用やカーボンニュートラルな素材を利用するという考え方が浸透しつつあります。ユーザー企業はプラスチック使用量削減目標や再生プラスチック・バイオマスプラスチックの使用目標を設定し、メーカーは循環型プラスチック・素材の開発や製品化を進めています。今後もこういった取り組みが進むことで市場は拡大し、2035年には2021年比2.9倍の5,040億円が予測されます。
再生プラスチックは、廃プラスチックの分子構造を保持したまま溶融・成形など加工を行いプラスチックの原料として再利用するMRプラスチックと、廃プラスチックを油やガス、モノマーまで分解してから再度プラスチックの原料として再利用するCRプラスチックを対象とします。再生プラスチック市場はMRプラスチックがけん引し、2035年に2021年比2.4倍の3,553億円が予測されます。
MRプラスチックは、減プラスチックに貢献するリサイクル材として、環境配慮の観点から採用に意欲を示すユーザー企業が増えています。原料は汚れがなく着色剤や添加剤などの混合が少ない一種類の廃プラスチックに限られますが、使用済み飲料用PETボトルでリサイクルが進んでいるMR-PETがけん引しています。また、MRプラスチックの中では材料が安価なMR-PP・PEも普及が進んでいます。飲料メーカーがPETボトルの水平リサイクルを進めていることから、今後もMR-PETを中心に市場拡大が予想されます。
CRプラスチックは、廃プラスチックをガス化やコークス炉の化学原料とするCR化学品の比率が高いです。現在実証中のCR-PP・PE、CR-PS、CR-PMMAが立ち上がることで、今後はプラスチックとしての再利用が増えていき、2025年以降にCRプラスチックの市場拡大が期待されます。廃プラスチックを原料まで戻し再重合するため、性能・品質はバージンプラスチックと同等であり、MRでは不可能な着色プラスチック製品や繊維を原料として使用可能なため、リサイクル性に優れています。一方で、CO2排出量がMRプラスチックより多く、生産設備が大規模になるため、原料となる廃プラスチックの供給量が少ない場合に、高価格になる点が課題です。
◆注目個別市場サマリー
1.MR-PET(マテリアルリサイクルPET)
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2021年 |
2035年予測 |
2021年比 |
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887億円 |
2,120億円 |
2.4倍 |
想定される原料は、工場端材と、飲料用の使用済みPETボトルです。使用済みPETボトル回収・再利用システムが確立されていることから、MRプラスチックのなかで最も市場規模が大きいです。
現状では、繊維やシートなどの利用が多いです。加えて、飲料メーカーがPETボトルのサステナブル素材利用に向け、MR-PETを中心としたボトルtoボトルを推進していることから市場が拡大しており、2035年には2,120億円が予測されます。
飲料メーカーなどによる使用量増加が予想されることから、需給のひっ迫も懸念されており、使用済みPETボトル以外の廃PETの調達先多様化が求められます。
2.CR-PP・PE(ケミカルリサイクルPP・PE)
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2021年 |
2035年予測 |
2021年比 |
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― |
202億円 |
― |
想定される原料は、工場端材と、食品容器、軟包装、漁網などの使用済み着色製品です。現在、CR技術の実証や廃PP・PEの回収ルートを整備している最中であり、回収体制が整う2024年以降に市場が立ち上がるとみられます。
PP・PEはプラスチックの中でも安価であるため、CR-PP・PEの普及には低価格化が必須です。しかし、回収・洗浄・モノマー化の費用に加え、市場立ち上がり当初は供給能力が小規模であることからバージンPP・PEより高価格になるとみられます。そのため、環境配慮を推進しているユーザー企業向けを中心とした高付加価値品・小ロット品・限定品での展開が想定されます。
3.CNF強化プラスチック
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2021年 |
2035年予測 |
2021年比 |
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5億円 |
280億円 |
56.0倍 |
CNF(セルロースナノファイバー)は植物の基本物質であるセルロースを、機械的・化学的に処理したナノ繊維です。主原料は木材であるが、そのほかに竹や稲わら、野菜くず、ススキなどからも生成可能です。
CNF強化プラスチックは、軽量・高強度が特徴であり、環境配慮・減プラスチック素材として、自動車や家電向けのガラス繊維やタルク強化プラスチックの代替として検討されています。
高価格なことから、現時点では市場は小規模ですが、高付加価値品で採用が進み、2030年以降は低価格化に伴い、採用増加が期待されています。
【参考】本記事で使用した「2022年 循環型プラスチック・素材市場の新展望」に掲載している調査対象市場
マテリアルリサイクルプラスチック(MRプラスチック)
- MR-PET(マテリアルリサイクルPET)
- MR-PP・PE(マテリアルリサイクルPP・PE)
- MR-PS(マテリアルリサイクルPS)
- MR-PC(マテリアルリサイクルPC)
- MR-PA(マテリアルリサイクルPA)
- 海洋プラごみ配合材
ケミカルリサイクルプラスチック(CRプラスチック)
- CR-PET(ケミカルリサイクルPET)
- CR-PP・PE(ケミカルリサイクルPP・PE)
- CR-PS(ケミカルリサイクルPS)
- CR-PA(ケミカルリサイクルPA)
- CR-PMMA(ケミカルリサイクルPMMA)
- CR化学品(ケミカルリサイクル化学品)
バイオマスプラスチック
- PLA(ポリ乳酸)
- PBS(ポリブチレンサクシネート)
- バイオマスPET
- バイオマスPP
- バイオマスPE
天然素材配合プラスチック
- CNF強化プラスチック
- 紙配合プラスチック
- 石灰石配合プラスチック
- 木粉配合プラスチック
- 米配合プラスチック
バイオマス系素材(プラスチック代替紙)
- バリア紙
- ヒートシール紙
◆本記事は「2022年 循環型プラスチック・素材市場の新展望」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。