株式会社富士キメラ総研は、クラウドサービスの基盤となる大容量の受電が可能なハイパースケールデータセンターの動向などを中心に注目されるデータセンタービジネスの国内市場を調査し、その結果を「データセンタービジネス市場調査総覧 2022年版 市場編/ベンダー戦略編」にまとめました。
「市場編」ではデータセンターサービス8品目、データセンター関連製品19品目の市場を調査・分析し、将来を予想しました。「ベンダー戦略編」ではデータセンター事業者の動向を整理し、Webアンケートによるユーザー調査を行いました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「データセンタービジネス市場調査総覧 2022年版 市場編/ベンダー戦略編セット」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.データセンターサービスの国内市場
|
2022年 |
2021年 |
2026年 |
2021年 |
|
|
ホスティ |
2,810億円 |
96.9% |
2,385億円 |
82.2% |
|
IaaS/ |
1兆1,330億円 |
121.3% |
1兆5,375億円 |
164.6% |
|
ハウジング |
5,940億円 |
102.8% |
6,450億円 |
111.6% |
|
通信回線 |
1,700億円 |
107.6% |
2,150億円 |
136.1% |
|
共同利用 |
3,735億円 |
100.5% |
3,591億円 |
96.7% |
|
その他 |
6,943億円 |
113.9% |
1兆300億円 |
169.0% |
|
合 計 |
3兆2,458億円 |
110.4% |
4兆251億円 |
136.8% |
2021年の市場はIaaS/PaaSやその他がけん引し、前年比12.2%増と堅調な拡大がみられ、2022年も10%以上の伸びが予想されます。以降もIaaS/PaaSやその他の順調な伸びに伴い、2021年から2026年の年平均成長率は6.5%とITサービスの中でも高い伸長が期待されます。
拡大をけん引するIaaS/PaaSとSaaS/DaaSなどを含むその他で、2026年にはデータセンターサービス市場の6割以上を占めると予想されます。一方、ホスティングは需要が減少し、ハウジングも低い伸びにとどまるとみられます。
ホスティング(基本)は、メールサーバーやホームページのプラットフォームとして採用されていますが、メールシステムのSaaS化や、ホームページ用途のIaaS/PaaSへの移行により、縮小が続いています。ホスティング(アウトソーシング)はシステム開発から運用までを一括提供するサービスですが、IaaS/PaaSの利用が主流となっているため、需要減少が続くとみられます。
IaaS/PaaSは、新規システム開発のプラットフォームとして優先的に採用されるケースが増えているほか、オンプレミスからの移行も進んでいるため、今後も伸びが予想されます。従来はシステムインフラ領域の提供が中心でしたが、近年はさまざまな機能やオプションを強化することで差別化が図られており、システムに応じてクラウドサービスを使い分けるマルチクラウドの広がりも市場拡大に寄与しています。
ハウジング(基本/アウトソーシング)は、ホスティングと同様にクラウドサービスへの移行が進んでいますが、クラウドサービス上に構築するには適さないシステムや、他社クラウドサービスの利用を前提としない一部OTTシステムやネットワークラックなどのニーズは堅調です。特に基本サービスは、エンタープライズ分野で各業務のDX化を目的とした新規システム開発、5Gの普及などを背景にコンテンツのリッチ化が進む各OTTのシステム拡大、増大するインターネットトラフィックに対応するためのアイボール側(ISP/IX/モバイルキャリア)と、プロバイダー側(OTT/クラウド)が相互接続するためのネットワークラックの増加などを背景に利用増が期待されます。
通信回線サービスは、OTTが提供するコンテンツのリッチ化やクラウドサービス利用拡大によるトラフィックの増加、クラウドサービスの拠点となるハイパースケールデータセンターの開設に伴うデータセンター間を結ぶネットワーク増強ニーズにより、堅調な伸びが予想されます。
共同利用は、主に金融業(銀行/証券など)や公共団体向けの特定のアプリケーション(勘定系システムなど)を特定企業に対して提供するサービスです。証券向けは増えていますが、銀行や信用金庫/信用組合向けは停滞しており、加えて、今後はデジタル庁が用意するクラウド基盤へのシステム移行により公共団体向けも減少すると予想されます。
その他は、SaaS/DaaSが中心です。新型コロナウイルス感染症の流行により、急速に加速した企業のテレワーク環境整備を目的とした需要により大きく伸びています。今後もさまざまな定型業務を中心にクラウド化の進展が期待され、継続的な伸びが予想されます。
2.ハイパースケールデータセンターの動向【総ラック数】
|
2022年 |
2021年 |
2026年 |
2021年 |
|
|
関東 |
82,600ラック |
126.9% |
144,770ラック |
2.2倍 |
|
関西 |
24,580ラック |
100.0% |
44,830ラック |
182.4% |
|
合 計 |
107,180ラック |
119.5% |
189,600ラック |
2.1倍 |
メガクラウドサービスの需要増加に伴い、その基盤となるハイパースケールデータセンターの設置が拡大しており、総ラック数は2026年には2021年比2倍以上になるとみられます。DX化を目的としたITシステムの新規開発は今後も進むため、その基盤となるクラウドサービスのニーズが高まり、ハイパースケールデータセンターの需要も増加するとみられます。
開設エリアは、関東(主に千葉・印西や東京西部、川崎)と関西(主に大阪府)に集中しています。今後は埼玉、京都など近隣地域での開設も増えるとみられます。ハイパースケールデータセンターの設置には、アイボール側(ISP/モバイルキャリアなど)までの接続ネットワークやデータセンター間のネットワーク環境の整備が必須です。地方ではネットワークを引くための経路が少なく、また、大量の光ファイバーを設置できる太さの管路がないため、設置が難しい状況にあります。
◆注目個別市場サマリー
データセンター用のサーバー、ストレージ、ルーター、スイッチ
|
2022年予測 |
2021年見込比 |
2026年予測 |
2021年見込比 |
|
|
サーバー |
877億円 |
103.8% |
1,015億円 |
120.1% |
|
ストレージ |
260億円 |
101.6% |
289億円 |
112.9% |
|
ルーター |
81億円 |
103.8% |
90億円 |
115.4% |
|
スイッチ |
224億円 |
104.2% |
253億円 |
117.7% |
サーバーは、データセンター内で利用され、データセンター事業者が自社のハウジングやホスティング、クラウドを提供する際に利用する製品を対象とします。ホスティングやクラウドの基盤となる利用型が好調です。システムのクラウド移行の進展に加え、コロナ禍でテレワークが広がり、オンプレミスや紙ベースで運用してきた業務のクラウド利用が増えたことが需要増加に寄与しています。一方、ユーザーがサーバーを所有しデータセンターで運用する所有型は需要が一巡したため、数量ベースでは微増にとどまりますが、ラック当たりの消費電力が増えていることを受けてハイスペックサーバーの需要が高まっており、金額ベースでは堅調な伸びが期待されます。
ストレージは、データセンター内で利用され、データセンター事業者が自社のハウジングやホスティング、クラウドを提供する際に利用する製品を対象とし、増設用ディスク分も含みます。ハウジングが底堅い需要を獲得していることや、SIベンダーやキャリアなどのクラウドサービス利用が増えていることから、市場は堅調に拡大しています。特に、データセンター事業者が自社ホスティングやIaaS/PaaS基盤としてストレージを調達する利用型はクラウド化の進展により大きく伸長しています。今後はバックアップ用途としての需要も増えるため、利用型が市場拡大をけん引するとみられます。
ルーターは有線の企業向けルーター、スイッチはサーバー間などで利用されるL2/L3スイッチで、それぞれデータセンターで利用される製品を対象とします。ルーター、スイッチともに、通信キャリアやWebコンテンツ事業者がデータセンターへの投資を進めたことで、市場は拡大しています。今後もクラウドシフトの進行や新型コロナ流行の影響によるインターネットトラフィックの増加を受けた、データセンターにおけるITインフラの構築需要により、導入が進むとみられます。また、ハイパースケールデータセンターの増加に伴い、広帯域製品の需要が増えており、400Gをはじめとした製品の開発や提供が進むとみられます。また、データセンターネットワークにおけるネットワーク構成が複雑化しているため、構築や運用管理負荷軽減を目的として、ルーターやスイッチのネットワーク運用自動化のニーズが高まっています。
【参考】本記事で使用した「データセンタービジネス市場調査総覧 2022年版 市場編」に掲載している調査対象市場
データセンターサービス
- ホスティング
- ホスティング(基本)
- ホスティング(アウトソーシング)
- IaaS/PaaS
- ハウジング
- ハウジング(基本)
- ハウジング(アウトソーシング)
- DinD
- 通信回線サービス
- 共同利用
データセンター関連製品
- サーバー
- ストレージ
- ルーター/スイッチ
- WDM
- メディアコンバーター
- サーバーラック
- 空調設備
- パッケージエアコン
- ターボ冷凍機
- チラー
- AHU
- 中央監視システム
- 無停電電源装置
- PDU/PDP
- インテリジェントPDU
- DCIM
- 非常用発電機(ディーゼル/ガスタービン)
- 受電/変電設備
- 二重床
- ビル型データセンター
データセンター事業者
- SIer系
- キャリア系
- データセンター特化系(ファシリティ)
- データセンター特化系(サービス)
◆本記事は「データセンタービジネス市場調査総覧 2022年版 市場編」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。