株式会社富士キメラ総研は、ナフサ価格の上昇による値上げや、単価の高い機能性塗料の採用増加、今後は新興国の建築需要増加やインフラの整備進展で世界的に拡大が予想される塗料の世界市場を調査しました。その結果を「2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望」にまとめました。
この調査では、用途別塗料17品目の世界市場と、21品目の国内市場を分析し、将来を予想するとともに、用途や採用素材の動向や環境対応の取り組みを明らかにしました。また、一般的な表面保護や美観性以外に耐候性や防食性、耐熱性などの高機能性を付与する塗料を機能性塗料として18品目を取り上げました。加えて、塗料用樹脂5品目の世界市場も捉えました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.用途別塗料17品目の世界市場
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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15兆8,864億円 |
118.0% |
22兆2,231億円 |
139.9% |
世界市場は2020年に新型コロナウイルス感染症流行の影響で建設工事の延期や自動車、船舶などの生産停止があったことで縮小しましたが、2021年には経済活動の再開とともに回復しました。また原料価格高騰による複数回の値上げがあった影響で、数量ベースと比べて金額ベースの伸びが大きいです。
主体は建築用であり2021年は前年からの回復に加え、リモートワークの定着により住宅需要が増加しました。その他の用途も増加し、市場は前年比18.0%増となりました。
2022年時点では断続的なロックダウンにより回復が遅れている地域もありますが、今後はアジアやアフリカでの建築需要の増加やインフラ整備の進展により、市場は拡大していくと予想されます。
2021年以降、原料であるナフサの価格が急騰しており、2022年1Q時点で2017年の約1.6倍に達しました。輸送コストの高騰や、フッ素樹脂がEVや半導体に優先供給されている事も価格上昇に拍車を掛けています。メーカーは複数回の価格改定を行いましたが、今後もナフサ価格が上昇するとみられ、更なる値上がりが予想されます。
2.用途別塗料21品目の国内市場
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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7,986億円 |
112.1% |
9,753億円 |
122.1% |
国内市場も2020年は新型コロナ流行の影響を受けましたが、2021年は経済活動の再開により一部の品目を除いて前年を上回りました。主体は建築用であるため、新築着工件数の減少により今後は需要減少が懸念されますが、建築物の塗り替えや橋梁などの補修・補強工事、自動車生産の需要が堅調に推移するとみられます。
VOC(揮発性有機化合物)排出対策として水系塗料や粉体塗料、無溶剤塗料、UV硬化塗料への切り替えが推進されてきました。水系塗料は建築用や道路・屋外用で置き換わりが一巡していますが、自動車用では水系化が推進されています。粉体塗料は金属製品用で切り替えが進んでいくとみられます。またバイオ樹脂塗料の開発、カーボンニュートラルへの対応も進められています。バイオ樹脂塗料は複数の用途向けに発売されていますが、価格が普及へのネックになっています。
近年参入各社の取り組みでVOC排出量は毎年2~3%減少してきました。今後はVOC排出抑制の幅は小さくなるため、VOC排出を抑制するためにサーマルリサイクルなどを行うことでCO2排出削減に繋げていくとみられます。
3.機能性塗料の国内市場
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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3,314億円 |
110.2% |
4,075億円 |
123.0% |
塗布することで一般的な表面保護や美観性以外に耐候性や防食性、耐熱性などの高機能性を付与する塗料を対象とします。近年は塗料市場が成熟し大幅な拡大が難しい中で、機能性塗料は参入各社が注力し、ユーザーにも付加価値が認められ存在感を増しています。2020年は新型コロナ流行の影響による経済活動停止の影響がみられましたが、2021年は経済活動の再開によって市場は伸びており、今後は堅調な拡大が期待されます。
物理・化学的機能を付与する塗料は、船底防汚塗料のほか、高速道路の大規模補修工事のため橋梁やトンネルの補強に用いられるコンクリート剥落防止工法用材料、連続繊維シート補強工法用材料が伸びています。熱的機能では薄膜化や美観性が評価された耐火塗料が伸長しています。光・電気的機能を付与する塗料は総体的に堅調であり、爆発事故防止を目的とした帯電防止塗料などが微増しています。環境対応・その他では新型コロナの流行により急速に需要が高まった抗ウイルス塗料やVOCフリーのため溶剤塗料から置き換えが進む粉体塗料が伸びています。
◆注目個別市場サマリー
1.自動車用塗料【世界市場】
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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全体 |
1兆6,169億円 |
116.2% |
2兆5,527億円 |
157.9% |
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自動車用中 |
3,579億円 |
109.2% |
5,381億円 |
150.3% |
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自動車補 |
6,294億円 |
127.8% |
1兆472億円 |
166.4% |
自動車用塗料は自動車用化成処理剤、自動車用下塗り塗料、自動車用中上塗り塗料、自動車補修用塗料、自動車用プラスチック塗料を対象としています。
自動車生産台数に市場が影響されるため、2020年は新型コロナ流行による工場の稼働停止などの影響を大きく受けました。2021年には生産台数が回復したことで塗料の需要も増加し、前年比16.2%増となりました。
今後も海外の自動車生産台数増加がけん引し、2025年には2021年比57.9%増が予想されます。一方、国内では長期的には自動車生産台数が伸び悩むとみられ、これに伴って国内市場は横ばいから微減になると予想されます。
自動車用中上塗り塗料は、国内や中国で工程短縮やCO2削減ニーズの高まりから3WET塗装への切り替えが進んでいます。3WET塗料やメタリック・パール塗料など高価な製品の需要増加が市場拡大に貢献しています。
自動車補修用塗料は、2021年に新型コロナ対策の緩和で外出機会が増えたことが補修需要の増加を後押しし伸びています。今後も海外の自動車販売台数が増えるにつれ市場は拡大するとみられます。
2.船舶用塗料【世界市場】
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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3,812億円 |
108.8% |
5,774億円 |
151.5% |
船舶用塗料は船舶の防食性や表面保護、美観性の付与を目的として使用されます。海外市場では修繕船向けが半数以上を占めていますが、国内市場は新造船向けが主体です。なお、機能性塗料としては船艇防汚塗料や遮熱塗料があります。
市場は新造船数や修繕需要の影響を受けるため、2020年は新型コロナの影響による修繕船の入渠遅延や、海運市況の悪化で新造船需要が減少したことに伴い縮小しました。
2021年は数量ベースでは縮小しましたが、原料価格の高騰などから値上げがあったため市場は前年比8.8%増となりました。
2022年は新造船の需要が回復したことで市場は拡大しています。今後、世界的には船舶数が増加していくとみられ、需要増加が予想されます。
3.抗ウイルス塗料【国内市場・機能性塗料】
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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8億円 |
2.7倍 |
10億円 |
125.0% |
内装用塗料のうち、抗ウイルス性、抗菌性、消臭、防藻・防カビ性などの機能を付与した製品を対象とし、漆喰塗料と光触媒塗料に大別されます。学校や公共施設、工場向けが主体です。2019年頃からテープ状やシート状製品への採用によってインフルエンザ対策として採用され市場が拡大しました。
2020年以降、新型コロナの流行に伴い、ウイルス対策の意識が高い消費者を中心に住宅向けの需要が急増しました。また、参入メーカーが新型コロナウイルスへの効果を実証したことで光触媒塗料の認知が広がり、2021年も前年比2倍以上の伸びとなりました。住宅向けではより安価な抗ウイルス壁紙との競合があることや、ウイルス対策への注目度が下がっていることで、今後市場の伸び率は鈍化するとみられますが、2025年頃からは塗り替え需要により拡大が期待されます。
4.粉体塗料【国内市場・機能性塗料】
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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347億円 |
108.8% |
411億円 |
118.4% |
有機溶剤などの溶媒を使用しないため、VOCを排出せず安全性や環境性に優れる塗料です。塗装時のオーバースプレー分を再利用できるため利用効率が良く、塗装に熟練の技術が必要ないこともメリットとなります。
2020年は新型コロナの影響で縮小しましたが、2021年は需要が回復し前年比8.8%増となりました。近年は老朽化した塗装設備を刷新する際に粉体塗料を採用する動きが顕著です。
採用増加に伴ってユーザーニーズも多様化し、高耐候性、抗菌・抗ウイルス性、耐切削油性、高防食性などの機能を付与した製品の開発が進んでいます。今後も機械類や電気機器を中心に溶剤系塗料からの切り替え需要があることから市場は拡大が続き、2025年には2021年比18.4%増が予測されます。
5.耐火塗料【国内市場・機能性塗料】
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2021年 |
2020年比 |
2025年予測 |
2021年比 |
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66億円 |
110.0% |
98億円 |
148.5% |
構造物の柱や梁に使用され、火災時に発泡することで断熱層を形成します。オフィスビルや商業ビルで需要が大きく、ロックウールなどの耐火被膜材より高コストですが、薄膜化や屋外使用が可能な点、美観性に優れ粉塵が発生しないという点がメリットです。認知度向上に伴い需要が増加し、東京五輪に向けた建設需要などで2019年は好調でした。東京五輪需要が一段落した2020年、2021年は、新型コロナの影響も重なって数量ベースはほぼ横ばいであり、値上げなどの影響で2021年の市場は前年比二桁増となりました。
2022年以降は建築需要の回復に伴い市場は拡大していくとみられます。また配送センターや倉庫、データーセンター、半導体工場向けの採用増が予想されるほか、化学プラントの配管やタンク架台など新規用途での採用拡大もみられます。
【参考】本記事で使用した「2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望」に掲載している調査対象市場
用途別塗料
建築用塗料
- 外装用塗料
- 内装用塗料
- 床用塗料
- 屋根用塗料
- 屋上・ベランダ用塗料
- 木部用塗料
構造物用塗料
- 土木構造物用塗料
- 鋼管・パイプ用塗料
工業用塗料
- 金属製品用塗料
- 窯業系サイディング用塗料
- 工業用プラスチック塗料
- PCM塗料
- 缶用塗料
自動車・船舶用塗料
- 自動車用化成処理剤
- 自動車用下塗り塗料
- 自動車用中上塗り塗料
- 自動車補修用塗料
- 自動車用プラスチック塗料
- 船舶用塗料
道路・屋外用塗料
- 路面標示用塗料
- カラー舗装用塗料
機能性塗料
物理・化学的機能
- 重防食塗料
- 超厚膜塗料
- 船底防汚塗料
- 高耐候性塗料
- ウレタン防水塗料
- コンクリート剥落防止工法用材料
- 連続繊維シート補強工法用材料
熱的機能
- 遮熱塗料
- 耐熱塗料
- 耐火塗料
光・電気的機能
- 蓄光塗料
- 蛍光塗料
- UV硬化塗料
- 帯電防止塗料
環境対応・その他
- 粉体塗料
- 天然素材塗料
- 抗ウイルス塗料
- 抗ウイルスコーティング(後施工)
塗料用樹脂
- ポリエステル樹脂
- アクリル樹脂
- エポキシ樹脂
- 水系ウレタン樹脂
- フッ素樹脂
◆本記事は「2022年 機能性塗料市場・グローバル展開と将来展望」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。