株式会社富士経済は、複雑な現代社会を背景にメンタルケアや睡眠の質改善、脳機能改善、フェムケアなど、様々な機能訴求のエビデンス研究やヘルスクレームを活用した製品提案が活発化する生物由来の有用成分・素材の国内市場を調査し、その結果を「生物由来有用成分・素材市場徹底調査 2022」にまとめました。
この調査では動物系15品目、植物系14品目、合成系6品目の合計35品目の機能性成分・素材について市場の現状を捉え、将来を予想するとともに、今後需要の増加が期待される注目素材15品目の動向についても取り上げました。さらに機能性素材100種類についての認知度や使用経験、効能の実感について消費者アンケートを行いました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「生物由来有用成分・素材市場徹底調査 2022」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
生物由来有用成分・素材35品目の国内市場
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2022年見込 |
2021年比 |
2029年予測 |
2021年比 |
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動物系 |
2,343億円 |
117.4% |
2,480億円 |
124.2% |
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植物系 |
446億円 |
104.2% |
541億円 |
126.4% |
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合成系 |
173億円 |
109.5% |
206億円 |
130.4% |
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合 計 |
2,961億円 |
114.7% |
3,228億円 |
125.0% |
※市場データは四捨五入しています
2022年の市場は前年比14.7%増の2,961億円が見込まれ、、全カテゴリーが前年を上回るとみられます。
動物系は、2022年に主体である乳タンパクをはじめ、エラスチン、コラーゲン、有用微生物などが大きく伸びるとみられます。対象品目のうち、ラクトフェリンは前年をわずかに下回りますが、その他の品目は伸びるため、市場は前年比17.4%増が見込まれます。乳タンパクは海上輸送費の高騰や円安により価格が高騰しており金額ベースの伸びに大きく影響していますが、タンパク質摂取のニーズが旺盛で数量ベースも伸びています。
植物系は、2022年は大麦若葉が堅調であることに加え、食物繊維の一種であるイヌリンやプロテインパウダー向けを主体とする大豆・エンドウタンパクが伸びることから市場は前年比4.2%増が見込まれます。特にイヌリンは腸活や糖質オフといった消費者ニーズと合致しており、参入各社が積極的に啓発活動を進めていることで認知度が向上し、今後の成長が期待されます。 合成系は2020年に新型コロナ流行の影響で苦戦した品目が多く市場は前年を下回りましたが、2021年には回復しました。BCAAは価格が上昇していることもあり2021年、2022年ともに二桁増になるとみられるほか、GABAは睡眠系サプリメントの採用により好調に推移しています。また抗老化成分として注目されるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の市場が形成されつつあり、今後の伸びが期待されます。
◆注目個別市場サマリー
1.イヌリン【植物系】
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2022年見込 |
2021年比 |
2029年予測 |
2021年比 |
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29億円 |
111.5% |
66億円 |
2.5倍 |
整腸作用や血糖値上昇抑制、血中中性脂肪低減などの訴求機能を有する水溶性食物繊維であり、2017年頃から機能性関与成分への採用が進み市場が拡大してきました。消費者の健康志向の高まりが追い風となり、2020年以降も毎年二桁増が続いています。2022年も"コロナ太り"を気にする消費者の増加で糖質オフニーズがより高まっていることや、便通改善や感染症への備えとして腸活への関心が高いことを受けて機能性表示食品の届出が大幅に増加しており、市場は拡大が続くとみられます。
一般加工食品への採用が多いですが、近年はイヌリンの粉末をリパックした商品も好調であり、健康意識の高い消費者のニーズを獲得しています。
参入メーカーがイヌリンの普及に向けて啓発活動を行っていることや世界的な需要増加を受けて生産能力を増強するケースがみられることから今後大幅な伸びが期待されます。
2.有用微生物(乳酸菌、ビフィズス菌、他)【動物系】
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2022年見込 |
2021年比 |
2029年予測 |
2021年比 |
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92億円 |
109.5% |
128億円 |
152.4% |
乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌など、生理機能が確認され機能性素材として展開されているものを対象とします。機能として便通・便性改善や腸内環境改善による免疫機能調整・向上、アレルギー症状改善、メンタルケア、歯周病予防、口臭ケアなどが確認されています。
既に健康素材としての地位は確立されていますが、新型コロナウイルス感染症の流行により体調・免疫サポート機能が大きく注目されました。キリンホールディングスが「プラズマ乳酸菌」の外販を本格的に開始しており、大手菓子メーカーなどが採用していることで今後の市場拡大に貢献すると期待されます。近年はうつ病の改善に関する研究が進んでいるほか、認知機能への影響や抗ストレス効果など、時代のニーズにあった新たな機能性に関するエビデンスが充実しています。用途が広がることにより市場はさらに拡大していくと予想されます。
3.エクオール【植物系】
スーパーイソフラボンとも呼ばれる大豆イソフラボンに由来する成分です。女性ホルモンに似た働きを持ち更年期症状の改善や骨粗しょう症の予防などが主な機能です。近年フェムケア(女性の体や健康のケアに関連する商品やサービス)のニーズが高まり市場拡大の追い風となっています。更年期でも働き続けるライフスタイルが定着し、こうした女性の生活をケアする素材として注目度が高いです。多くの女性が直面する悩みに訴求する素材であるため、認知が進むことにより安定した需要を獲得すると期待されます。
4.乳タンパク【動物系】
主体のスポーツニュートリション用途に加え、加工食品の物性改良やタンパク高配合用途の乳タンパクを対象としています。近年は健康維持に欠かせない栄養素としてタンパク質への注目度が高まっています。
プロテインパウダー向けはトップアスリートの需要開拓が進んでおり今後成長は鈍化するとみられますが、新型コロナ流行の影響で外出機会が減り、自宅でのトレーニングが広がったことでボディメイク目的での需要が増加しています。また一般加工食品でもタンパク質高配合の商品が増加しています。
大半を輸入品に依存しているため、2020年頃から物流遅延や原油価格の高騰、円安の影響を大きく受けて価格が高騰しています。2022年の市場は数量ベースでは前年比5%程度の伸びであるのに対し、金額ベースでは前年比35%以上の伸びが見込まれます。販売価格の引き上げによる採用減や他素材への切り替えが懸念材料です。
今後、原料価格が下がることで市場は短期的には微減に転じると予想されます。しかし、スポーツニュートリション用途で安定した需要があることやボディメイク目的での需要増加が期待されるため、数量ベースでは微増が続き、2029年に向けて市場は再び伸びるとみられます。
◆注目訴求機能サマリー
1.メンタルケア・睡眠
ストレス緩和や睡眠の質改善・向上、リラックス作用などを訴求できる成分・素材を含みます。睡眠に関する訴求機能を持つ有用微生物(乳酸菌、ビフィズス菌、他)やラクトフェリンの規模が大きく、ストレスケアでは多数の機能性表示食品で受理されているGABAが全体をリードしています。これらの他にもL-オルニチン、プラズマローゲン、ラフマなどがあります。
かつては競合が少ない市場でしたが、近年は睡眠に関する機能研究やエビデンスの蓄積に取り組む素材メーカーが増加しているため、成分・素材間の差別化の必要性が高まっています。一例として、EOD-1株由来パラミロンは、機能性表示食品で身体的疲労感と精神的疲労感軽減のダブルヘルスクレームが可能であり、差別化に繋がっています。
2.フェムケア関連
女性の体や健康をケアする商品やサービスを表し、これらに関連するテクノロジーやプロダクトを指すフェムテックとともに認知度が増しています。更年期症状やPMSの悩みは顕在化しにくかったですが、フェムケアの認知が広がるとともに社会的な課題として取り上げられ、市場が形成されつつあります。2019年に経済産業省が月経随伴症状による労働損失を年間4,911億円と試算したことも産業界に影響を与えました。
対象となる成分・素材はプラセンタやラクトフェリン、エクオール、ラフマなどがあります。機能としてはPMSや更年期症状の緩和・改善が主ですが、妊活につながる子宮内細菌叢の改善など機能が広がりつつあり、今後さらなるエビデンスの蓄積が予想されます。
◆消費者調査サマリー
今後使用してみたい素材・成分の出現率ランキング(n=1,040 (男女各520))
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全体 |
男性 |
女性 |
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1位 |
乳酸菌 |
乳酸菌 |
乳酸菌 |
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2位 |
ビフィズス菌 |
ビフィズス菌 |
ビフィズス菌 |
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3位 |
コラーゲン |
DHA |
コラーゲン |
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4位 |
プロテイン |
プロテイン |
ヒアルロン酸 |
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5位 |
DHA |
ローヤルゼリー |
大豆イソフラボン |
※男性のDHAとプロテインの出現率は同率3位です
男女ともに乳酸菌とビフィズス菌の出現率が最も高く、約60%となり、認知度の高さや身近さが表れる結果となりました。3位以降の結果は男女で大きく別れます。
男性はDHA(脳機能の維持、中性脂肪の低下)、プロテイン(筋肉合成の活性化)、ローヤルゼリー(中性脂肪など)が上位となり体の健康保持効果などへの期待がみられます。女性はコラーゲン(肌の弾力保持)、ヒアルロン酸(肌のハリ、シワ改善)、大豆イソフラボン(更年期サポート、骨の健康維持)がランクインし、肌に対する美容効果への期待値が特に高いことがうかがえます。また、全体的に女性は男性に比べて出現率が高く、ヘルスケアへの関心度が高いと見られます。
【参考】本記事で使用した「生物由来有用成分・素材市場徹底調査 2022」に掲載している調査対象市場
動物系(15品目)
- DHA/EPA
- アスタキサンチン
- イミダゾールジペプチド
- エラスチン
- 肝臓加水分解物
- グルコサミン
- コラーゲン
- コンドロイチン
- 乳タンパク
- ヒアルロン酸
- プラズマローゲン
- プラセンタ
- プロテオグリカン
- 有用微生物(乳酸菌、ビフィズス菌、他)
- ラクトフェリン
植物系(14品目)
- イヌリン
- エクオール
- サラシア
- セラミド
- 大豆・エンドウタンパク
- 大豆イソフラボン
- ナットウキナーゼ
- ニンニク抽出物
- フコイダン
- ブラックジンジャー
- ヘスペリジン
- ホスファチジルセリン
- 緑茶抽出物
- 大麦若葉
合成系(6品目)
- BCAA
- L-アルギニン
- L-オルニチン
- L-カルニチン
- NMN
- GABA
注目素材編(15品目)
- 5-ALA(5-アミノレブリン酸)
- EOD-1株由来パラミロン
- HMB
- ヒトミルクオリゴ糖
- L-テアニン
- アマニオイル(フラックスシードオイル)
- エルゴチオネイン
- オーツ麦
- カシス抽出物
- カンナビジオール
- ケルセチン
- 難消化性デキストリン
- ポリデキストロース
- ラフマ
- ロスマリン酸
◆本記事は「生物由来有用成分・素材市場徹底調査 2022」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。