株式会社富士経済は、積年の課題である省力化や効率化を実現させるDXの加速などスマート化が進展している次世代農業・水産業施設/プラント、機器/システム市場やその注目生産物市場、また、食糧の安定供給への意識向上で話題性が高まる食用昆虫や微細藻類、人工培養肉といった次世代食糧市場について調査しました。その結果を「次世代アグリ&食糧ビジネスの最前線と将来展望2022」にまとめました。
この調査では、次世代農業施設/プラント、機器/システム13品目、次世代水産業施設/プラント、機器/システム8品目に加えて、今後拡大が期待される注目生産物・次世代食料市場6品目の国内市場の現状を捉え、将来を予想しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「次世代アグリ&食糧ビジネスの最前線と将来展望2022」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
次世代農業施設/プラント、機器/システム市場
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2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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施設/プラント |
471億円 |
106.8% |
578億円 |
131.1% |
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施設園芸構成 |
82億円 |
101.2% |
114億円 |
140.7% |
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スマート化関連 |
170億円 |
118.1% |
399億円 |
2.8倍 |
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合 計 |
722億円 |
108.4% |
1,092億円 |
164.0% |
※市場データは四捨五入しています
2020年は新型コロナウイルス感染症の流行を受け、導入案件の中止や延期により市場は縮小しましたが、2021年以降は回復に向かっています。今後は各カテゴリーが順調に伸びることから、2030年の市場は2021年比64.0%増が予測されます。特に、農業のスマート化につながるモニタリング・センシングや制御・自動化、管理・分析に関連する機器/システムが大きく伸びるとみられます。
施設/プラントは、人工光型植物工場(プラント型)が、生産物需要拡大による工場新設・増設や大規模化のほか、高性能な空調や自動化技術の導入など設備の高度化により、市場をけん引すると予想されます。養液栽培プラントはトマトやイチゴなどの果菜類の栽培向けで、比較的イニシャルコストが低く栽培が容易な固形培地栽培プラントや、培地処理が不要な噴霧耕栽培プラントの需要増加が期待されます。ガラス/フィルムハウスは、養液栽培のほか一般的な土耕のハウス栽培にも採用されており、大規模化が進むとみられます。
施設園芸構成機器/システムでは、太陽光併用型植物工場で使用される植物育成用光源(補光用光源)が、大規模事業者の収量安定化・増加を目的とした光環境への投資により伸びています。人工光型植物工場で使用される植物育成用光源(主光源)は、人工光型植物工場の増加に伴い順調に採用が増えるとみられます。また、生産性の向上や作業の効率化などを目的に、高機能な栽培環境制御装置(複合/統合型)や灌水/給液管理装置、栽培用空調機器(ヒートポンプエアコン)の需要増加が期待されます。
スマート化関連機器/システムは、自動化・省力化ニーズの高まりから各品目の需要増加が期待されます。特に農業用ロボットや農業用ドローン活用サービスは、技術面および価格面の改善やサービスの拡充が進むことにより、大きく伸びるとみられます。栽培環境モニタリングシステムは周辺機器との連携や販売加工を含めたバリューチェーンにおける情報共有ツールとして、また、水田水管理システムは省力化だけでなく栽培技術の向上や技術伝承に向けたデータ活用のツールとしてなど、活用領域の広がりが期待されます。
◆注目個別市場サマリー
1.食用昆虫
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2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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4億円 |
100.0% |
30億円 |
7.5倍 |
粉末として原料供給される商品のほか、粉末化やペースト化されたものを使用した加工食品を対象とします。市場はまだ小さいですが、プロテインクライシスへの関心の高まりにより、需要増加が期待されます。
2020年5月に発売された「コオロギせんべい」(良品計画)が話題となり、また、同年に昆虫食専門レストランの開業や自動販売機での販売が始まったことなどから、食用昆虫の認知度は徐々に向上してきました。しかし、新型コロナ流行の影響から、食用昆虫を広めるイベントが中止となるケースが相次いでいるため、市場は横ばいで推移しています。
今後、参入事業者は自社オリジナル商品の展開に注力するほか、ニッチな昆虫食ファンを取り込む展開を進めるとみられます。また、流通菓子メーカーをはじめ加工食品メーカーが商品開発に取り組んでおり、市場拡大の環境は整いつつあります。現状、昆虫食を取り入れる意義や理由について消費者の認知は十分には進んでいないため、専業事業者を中心に市場を盛り上げる取り組みが期待されます。
2.人工光型植物工場
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2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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プラント型 |
85億円 |
85.9% |
140億円 |
141.4% |
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ユニット型 |
12億円 |
109.1% |
16億円 |
145.5% |
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合 計 |
97億円 |
88.2% |
156億円 |
141.8% |
屋内などの密閉空間の中で、LEDなどの人工光で植物を育成する植物工場を対象とします。市場は栽培システムや照明、空調機器、環境制御装置、自動化機器などを含んでいます。レタス類の栽培が一般的ですが、ホウレンソウやサンチュなどの葉物野菜、イチゴや食用花、漢方原料作物など、さまざまな新規品目栽培の取り組みが進められています。気候変動により露地栽培産の供給や価格について不安定な面がみられる中、植物工場産は供給安定性や個包装による安心・安全の訴求などにより評価が高まっています。
プラント型は、2020年は新型コロナ流行の影響による営業機会の損失や、事業者が植物工場への参入を取り止めるケースがみられ、市場は縮小しました。しかし、巣ごもり需要による小売や中食市場の拡大、夏場の天候不順による露地栽培産の価格高騰、海外からの輸入減少などにより、後半以降は植物工場産が注目され、新規大規模案件の受注やペンディング案件の再検討が進みました。2021年は、栽培プラントメーカーが、植物工場を構成する資機材の細かな改善や自動化機器など次世代技術の開発・実証推進、また、開発・生産・販売を統合した新たな事業モデルの提案を進めたことなどがユーザーに受け入れられ、市場は前年比43.5%増となりました。
2022年は、電気料金の高騰により植物工場事業の収益性が悪化しているため、新規参入や事業推進には慎重な姿勢がとられており、市場は縮小するとみられます。一方、アフターコロナを見据えて、植物工場を活用した事業を検討する企業が増えている側面もあります。将来的には露地栽培農家の減少が予想されるため、植物工場の必要性は増してゆき、今後は自動化技術の確立による高単価案件の増加や、レタス類以外の葉物野菜やイチゴなど新規栽培品目の事業化が進むとみられます。また、大規模工場だけでなく、立地や商圏の需要に合わせた中小規模工場の増加など多様な展開が期待され、市場は堅調な拡大が予想されます。
ユニット型は、大学や研究機関向けや、新規品種や機能性野菜の栽培実験、本格事業化に向けたテストプラント、施設園芸における苗栽培用として安定した需要があり、新型コロナ流行の影響は軽微で、市場は堅調です。
3.人工光型植物工場産野菜(レタス類)
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2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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125億円 |
104.2% |
350億円 |
2.9倍 |
人工光型植物工場で生産されたレタス類の出荷額を対象とします。
露地栽培産と比較して、供給・価格の安定性や、高清浄度による安心・安全の訴求、農薬の使用量削減などによる環境負荷低減、栄養素などを変化させた機能性レタスの開発などが評価され、市場拡大が続いています。生産・販売事業者の新規参入増加や栽培プラント増設、スケールメリットを追求した栽培プラントの大規模化も進んでおり、生産能力も年々拡大しています。
複数の大規模プラントやパートナー企業を有する生産・販売事業者のほか、独立系の生産・販売事業者、総菜メーカーやスーパーマーケットなどの自家消費・自社販売目的での参入など多様な展開により、今後も市場拡大が期待され、2030年には国内レタス市場における人工光型植物工場産レタス類の割合は10%を超えると予想されます。
4.陸上養殖システム
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2022年見込 |
2021年比 |
2030年予測 |
2021年比 |
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120億円 |
133.3% |
200億円 |
2.2倍 |
陸上に設置した飼育水槽で魚介類や海藻類を養殖するシステムで、海や川などから飼育用水を取水し、ろ過槽や水温調節機・殺菌装置などを用いて飼育用水を浄化し循環利用する「循環式」を対象とします。市場は、システムを構成する飼育水槽やろ過槽、水温調節機、殺菌装置、自動給餌システムなどを含んでいます。「循環式」は気候や気象の変化を受けにくく安定した飼育環境を整えられること、餌や糞などで汚れた水を排水しないため外部環境への影響が少ないこと、飼育用水を循環させるため設置場所の制約が少ないことから、次世代型の陸上養殖システムとして注目されています。
海面養殖と比較して環境の変化や自然災害の影響を受けないことや、養殖プラントの設置場所を選ばないことから採用が増え、市場は拡大しています。近年、既存の養殖事業者が試験的に小規模なシステムを導入して飼育面積を拡大するほか、異業種企業が地域活性化政策やSDGsへの取り組みで導入するケースも多いです。また、鉄道関連や電力関連の事業者をはじめ、多様な分野の大手企業による新規参入もみられます。一方、イニシャルおよびランニングコストの高さが障壁となっており、現状は商業ベースでの参入は大手事業者が中心です。2021年は大型案件の受注があったことから、市場は大幅に拡大しました。
今後も陸上養殖システムによる水産資源の需要は増加するとみられます。また、各種機器システムに加えて、稚魚や餌、養殖指導、販売の支援までをトータルでサポートするといった、新規でも事業参入しやすいパッケージ化による販売が進んでいる点も、市場拡大を後押しするとみられます。
【参考】本記事で使用した「次世代アグリ&食糧ビジネスの最前線と将来展望2022」に掲載している調査対象市場
次世代農業
施設/プラント
- 人工光型植物工場
- 養液栽培プラント
- ガラス/フィルムハウス
施設園芸構成機器/システム
- 栽培環境制御装置
- 灌水/給液管理装置
- 栽培用空調機器
- 植物育成用光源
スマート化関連機器/システム
- 栽培環境モニタリングシステム
- 水田水管理システム
- GNSSガイダンスシステム/自動操舵システム
- 農業用ロボット
- 農業用ドローン/ドローン活用サービス
- 生産管理システム
次世代水産業
施設/プラント及び構成機器
- 陸上養殖システム
- 沖合養殖システム
- 水産用水温調節機器
- 水産用光源
スマート化関連機器/システム
- 漁業環境モニタリングシステム
- 自動給餌システム
- 水産用ドローン
- 養殖管理システム
注目生産物・次世代食糧
- 人工光型植物工場産野菜
- 太陽光利用型植物工場産野菜
- 陸上養殖産水産物
- 食用昆虫
- 微細藻類
- 人工培養肉
注目生産事業者 13事例
◆本記事は「次世代アグリ&食糧ビジネスの最前線と将来展望2022」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。