株式会社富士キメラ総研は、ARPU(1ユーザー当たりの平均売上金額)の停滞や、端末買い換えサイクルの長期化などにより移動体通信関連が低調な一方、DXやカーボンニュートラル、また「IOWN構想」などを踏まえた新たな展開がみられる、国内の通信機器と通信サービス市場を総合的に調査、分析しました。その結果を「2022 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」にまとめました。
この調査では、通信機器(ネットワーク関連製品10品目、音声関連製品5品目、会議関連製品2品目、移動体通信端末3品目、移動体通信基地局関連製品5品目)計25品目、通信サービス(インターネット接続サービス4品目、移動体通信サービス2品目、固定データ通信サービス5品目、音声関連サービス5品目、その他サービス7品目)計23品目の市場について現状を調査し、将来を予想しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2022 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.通信機器の国内市場
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2022年度見込 |
2021年度比 |
2026年度予測 |
2021年度比 |
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全体 |
3兆4,052億円 |
95.3% |
3兆3,292億円 |
93.1% |
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ネットワーク関連製品 |
5,500億円 |
100.1% |
5,825億円 |
106.0% |
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移動体通信端末 |
2兆1,577億円 |
93.1% |
2兆959億円 |
90.4% |
※ネットワーク関連製品、移動体通信端末は全体の内数です
2021年度は、4Gおよび5G通信ネットワーク構築のための通信キャリアによる投資が本格化しましたが、半導体不足による通信機器生産体制の不備や「GIGAスクール構想」関連の特需が終了したことから市場は縮小しました。2022年度は移動体通信端末や固定電話端末の不振などにより、市場は前年度比4.7%減が見込まれます。今後、IoT関連の需要増加によりネットワーク関連製品は伸びるとみられますが、6割以上を占める移動体通信端末はコンシューマー向けの需要一巡や買い換えサイクルの長期化により苦戦するため、市場縮小が予想されます。
ネットワーク関連製品は、半導体不足の影響や「GIGAスクール構想」関連特需が落ち着いたことから、需要が減少している品目がみられますが、テレワーク環境の整備や大容量通信、ネットワークの増強/増速需要は底堅く、ルーターやPONシステムなどが伸びており、市場は拡大しています。今後、半導体不足の解消に伴う不安定な製品供給の改善により、新たな需要が喚起されることが期待されます。特に、IoTへの投資が増加していることから、IoTゲートウェイの産業やコンシューマー向けでの導入促進が期待されます。
移動体通信端末は、コンシューマー向け製品の需要が一巡しており、5G対応製品の発売やリプレース需要がありますが、今後も縮小が続くとみられます。なお、一部法人向けでは、DXソリューションとの連携を目的とした導入が進むとみられます。
移動体通信基地局関連機器は、2021年度は移動体通信キャリアが5G通信対応のため基地局製品の調達を進めたことや、SA方式対応でEPC/5GC(5G通信のコア装置)の調達を進めたことなどから、市場は拡大しました。また、ローカル5G/プライベートLTE基地局、ローカル5G/プライベートLTEコアは、製造業などのPoC案件の獲得などにより需要が増えました。今後は移動体通信キャリアがモバイルネットワークへの設備投資を抑制する方向であるため移動体通信基地局の需要は縮小するとみられます。一方、ローカル5G/プライベートLTE基地局などは、製造業やCATV事業者、プラントなどでの商用導入の増加、構内PHSシステムの代替需要獲得などで順調な伸びが期待されます。
音声関連製品は、働き方の多様化に伴う新たなコミュニケーション環境構築ニーズの高まりに対応して、ソフトフォンや、IPネットワーク上の音声通信で異なる端末やサービス同士を相互接続するSBCなどが伸びるとみられます。一方、呼制御装置や固定電話端末は設備/運用管理コストの削減によりクラウドPBXサービスやスマートフォンへの移行が進行するため縮小が予想されます。
会議関連製品は、ビデオ会議システムはWeb会議サービスへの移行により低調な推移となる一方、会議用マイクスピーカーはオフィス回帰が進むことから堅調な需要が期待されます。
2.通信サービスの国内市場
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2022年度見込 |
2021年度比 |
2026年度予測 |
2021年度比 |
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全体 |
11兆7,070億円 |
98.1% |
10兆8,786億円 |
91.1% |
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インターネット接続サービス |
2兆8,282億円 |
101.5% |
2兆9,920億円 |
107.3% |
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移動体通信サービス |
6兆8,029億円 |
97.0% |
6兆550億円 |
86.3% |
※インターネット接続サービス、移動体通信サービスは全体の内数です
テレワークの普及に伴い、インターネット接続サービスやWeb会議サービス、リモートアクセスサービスなどは伸びていますが、使用料金の低廉化で移動体通信サービスが落ち込んでおり、市場は縮小しています。今後、規模の大きい移動体通信サービスの縮小、また、音声関連サービスの需要減少などにより、市場縮小が続くと予想されます。
インターネット接続サービスは、テレワークや外出自粛に伴うWebコンテンツ利用に対応したFTTHサービス需要の獲得、また、ADSLサービスからFTTHサービスへの移行などにより伸びています。今後も通信の安定性や高速性などを背景にFTTHサービスへの移行が想定されます。また、マンション全戸一括向けのFTTHサービスの需要が増えており、堅調な伸びが予想されます。
移動体通信サービスは、オンライン専用プランの開始やサブブランド展開の推進により低価格サービスが広がったことから、縮小が続いています。今後、携帯電話サービスは、少子化などを背景に主軸の個人向けで新規ユーザーの獲得が鈍化するとみられます。MVNOサービスは、小容量の低廉なプランにより小幅ながら伸びるとみられます。なお、携帯電話サービス、MVNOサービスともに車載やスマートメーター向けなどのIoT需要は堅調な増加が期待されます。
固定データ通信サービスは、クラウドシフトやネットワーク再構築の需要が増えたことから、小幅ながら伸びています。特に、インターネットVPNサービスやSD-WANサービスが好調です。また、各拠点から直接インターネットにアクセスするローカルブレイクアウトのニーズ増加に伴い、SD-WANサービスが大きく伸びると予想されます。
音声関連サービスは、コミュニケーション手段の多様化に伴う通話機会の減少により、レガシー電話サービスは縮小が続くとみられます。法人向けでは、移動体通信サービスとの連携をはじめとした勤務環境整備に向けて、クラウドPBXサービスやFMCサービスは堅調な伸びが予想されます。
その他サービスは、テレワークを支える業務インフラとしてWeb会議サービスやビジネスチャットサービス、リモートアクセスサービスの需要が増えています。また、企業ビジネスのデジタル化を支援するCPaaSの利用拡大、5Gインフラの整備を背景にインフラシェアリングサービスも急伸するとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.CPaaS(Communications Platform as a Service)
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2022年度見込 |
2021年度比 |
2026年度予測 |
2021年度比 |
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88億円 |
157.1% |
520億円 |
9.3倍 |
API(Application Programming Interface)を活用して通信機能に接続しメッセージ(SMS/チャット/メール)や音声通話(固定電話/携帯電話/WebRTC/SIP)、ビデオ通話などのコミュニケーション機能を提供するクラウドサービスです。ユーザーは短期間、低コストで自社システム/サービスにコミュニケーション機能が追加できます。ここではメッセージ系、音声通話系、ビデオ通話系のAPI、アプリケーションを対象とし、市場はCPaaSを利用する際の利用料金で捉えました。
顧客体験(CX)向上への投資拡大や社内DXの進展(業務効率化/働き方改革)などを実現するため、Eコマースやカスタマーサービスを開発する際に、自社に適応した独自システムの開発で競合と差別化を図る取り組みが増えており、CPaaSの利用により短期間・低コストでシステム構築が実現できるため需要が増えています。
メッセージ系は、開封率が高いSMSを活用し、問い合わせ内容/予約内容のリマインドや、ECサイトのパスワードの再発行関連、非常時の一斉通知などのサービスで利用されています。音声系は、テレワーク時の電話対応や従業員の業務負担軽減を目的に利用が増えています。今後、顧客満足度の向上やビジネス機会損失の防止につながるサービスの提供を目的に導入が進むとみられます。ビデオ系は、リモートショッピングサービスや商談システムの構築を目的に利用が増加しています。アプリケーションは、AIや二要素認証の利用増加が伸びをけん引するとみられます。AI活用により顧客データ利活用の高度化や、業務の自動化が可能となるため、音声APIなどと組み合わせた利用が増加、また、二要素認証は不正アクセス防止への取り組みとしてECサイトなどへの導入が増えています。
2.SD-WANサービス
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2022年度見込 |
2021年度比 |
2026年度予測 |
2021年度比 |
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56億円 |
130.2% |
118億円 |
2.7倍 |
ソフトウェアによりアプリケーションの可視化、経路制御、CPE(顧客構内設備)集中管理などの機能を提供するWANサービスであり、CPEをレンタル提供するサービスを対象としました。
2021年度は、テレワークの普及や業務アプリケーションの多様化に伴ってクラウドサービスの利用が増え、クラウドへの接続が可能なオープンネットワークへの移行が進んだことから需要が増加しました。2022年度は、マルチクラウド化の進行やSaaS利用の増加が続き、トラフィック量増加への対応のため、各拠点からインターネットに直接アクセスするローカルブレイクアウトの需要が増えており、市場は拡大するとみられます。2023年度以降もクラウドシフトを受けた伸びが期待されるほか、ネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で包含的に提供するSASE(Secure Access Service Edge)を実現するサービスとしても需要増加が予想されます。
新型コロナ流行が収束すれば、テレワークとオフィスワークのハイブリッドへの移行が進み、対応してネットワークの見直しや閉域ネットワークからの移行が徐々に進むため、既存VPNサービスからのリプレース需要の増加も期待されます。
【参考】本記事で使用した「2022 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」に掲載している調査対象市場
通信機器
ネットワーク関連製品
- WDM
- PONシステム
- メディアコンバーター
- CATV関連機器
- L2/L3スイッチ
- 無線LAN機器
- ルーター
- IoTゲートウェイ
- L4-7スイッチ
- RADIUSサーバー
音声関連製品
- 呼制御装置
- 固定電話端末
- 構内PHSシステム
- ソフトフォン
- SBC
会議関連製品
- ビデオ会議システム
- 音声会議関連機器
移動体通信端末
- ハンドセット
- タブレット端末
- Wi-Fiモバイルルーター
移動体通信基地局関連製品
- 移動体通信基地局
- ローカル5G/プライベートLTE基地局
- DAS(Distributed Antenna System)
- EPC/5GC
- ローカル5G/プライベートLTEコア
通信サービス
インターネット接続サービス
- ADSLサービス
- FTTHサービス
- CATVインターネットサービス
- ISPサービス
移動体通信サービス
- 携帯電話サービス
- MVNOサービス
固定データ通信サービス
- IP-VPNサービス
- 広域イーサネットサービス
- インターネットVPNサービス
- SD-WANサービス
- 専用線サービス
音声関連サービス
- レガシー電話サービス
- 050-IP電話サービス
- 0AB~J-IP電話サービス
- クラウドPBXサービス
- FMCサービス
その他サービス
- ビデオ会議サービス
- Web会議サービス
- ビジネスチャットサービス
- クラウド型無線LANサービス
- リモートアクセスサービス
- インフラシェアリングサービス
- CPaaS
◆本記事は「2022 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。