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輸送用潤滑油や工業用潤滑油、金属加工油など潤滑剤の市場を調査。2035年の世界市場を9兆6,437億円と推計

株式会社富士経済は、世界的オイルメジャーに加え、日本大手石油元売りや中国国営エネルギー企業などが、中長期的に成長が見込まれる製品として、販売網拡充や設備投資を積極的に進めている潤滑剤(潤滑油、グリース、固体潤滑剤)の世界市場を調査しました。その結果を「潤滑剤関連市場の現状と将来展望 2020」にまとめました。

この調査では、潤滑剤(22品目)と潤滑剤材料(3品目)の市場について、品目ごとの規模や用途別動向、添加剤への要求特性などを踏まえて現状を調査し、将来を予想しました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「潤滑剤関連市場の現状と将来展望 2020」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

「潤滑剤関連市場の現状と将来展望 2020」の全体サマリー

潤滑剤の世界市場

2020年見込

前年比

2035年予測

2019年比

全体

7兆1,526億円

92.3%

9兆6,437億円

124.4%

輸送用潤滑油

3兆9,178億円

99.3%

4兆7,698億円

120.9%

金属加工油

1兆2,514億円

77.6%

1兆8,904億円

117.2%

※輸送用潤滑油、金属加工油は全体の内数です

2020年の市場は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う世界的な経済活動の縮小により、多くの品目で需要が減少しており、前年比7.7%減が見込まれます。全般的に自動車関連で使用される潤滑剤の需要減少が目立ちます。中でも、自動車生産に使用される切削加工油や塑性加工油の落ち込みが大きいです。一方、車両用エンジン油をはじめアフターマーケットが大きい品目では、影響は軽微にとどまるとみられます。2021年以降、市場は回復に向かい、2022年には2019年を上回る規模となり、2035年の市場は2019年比24.4%増が予測されます。

分野別にみると、輸送用潤滑油が市場の50%程度を占めています。中でも車両用ガソリンエンジン油と車両用ディーゼルエンジン油のウェイトが大きいです。ガソリンエンジン油は、新車向けの工場充填に加え、保有台数の増加によりアフターマーケットも伸びています。一方、ディーゼルエンジン油は、環境性の観点からディーゼル車の需要が限定される傾向にあり、縮小が続くとみられます。

金属加工油は、2020年は自動車生産で使用される切削加工油や塑性加工油の需要が大きく減少しています。他分野に比べ需要の回復ペースは鈍く、2019年の水準に戻るのは2025年頃とみられます。長期的には、高精度加工のニーズが高まり高付加価値製品の需要が増えていくため、今後は数量ベースに比べて、金額ベースの伸びが大きくなると予想されます。

工業用潤滑油は、油圧作動油(建設機械用、その他用)が40%程度を占めています。建設機械用はアフターマーケットが大きく、公共投資や都市開発などの需要増加に比例して伸びる傾向にあります。2020年前半は公共投資の減少や工期の遅れによって影響を受けましたが、後半は中国を中心に需要が回復してきています。今後は中国や他アジアの旺盛な需要に支えられ、中長期的な伸びが期待されます。また、タービン油は大型の新設および既設発電所の発電機更新に伴う需要により、大きく伸びるとみられます。

グリースは今後高付加価値製品の需要増加が期待されます。要求性能の高度化や使用環境の苛酷さへの対応ニーズが顕著になってきており、数量ベースに比べて金額ベースでの伸びが大きくなるとみられます。

地域別では、多くの品目において中国の需要が大きいです。特に自動車の生産・保有台数が多く輸送用潤滑油の使用量が増加しています。加えて、各種製造業の生産拠点が集中しており、工業用潤滑油や金属加工油の需要も高まっています。北米や欧州は自動車や航空機、船舶向けの需要が大きく、輸送用潤滑油の使用量が多いです。他アジアは、自動車の生産・保有台数の増加や、中国から製造拠点が移転してきていることにより、工業用潤滑油の需要が増えています。日本は、工業用潤滑油が安定した需要を維持していますが、輸送用潤滑油は横ばい、または微減で推移するとみられます。

◆注目個別市場サマリー

1.車両用ガソリンエンジン油、車両用ディーゼルエンジン油

2020年見込

前年比

2035年予測

2019年比

ガソリン
エンジン油

1兆7,836億円

101.1%

2兆8,706億円

162.8%

ディーゼル
エンジン油

1兆771億円

96.4%

5,803億円

51.9%

車両用ガソリンエンジン油の市場は、中国やアジア、中東、アフリカなどの経済発展や人口増加による乗用車需要の増加により堅調です。また、乗用車の新車は、排ガス不正問題以降、世界的にガソリン車が主流となっているため、これまでディーゼル車が普及していた欧州でも需要が増加しています。

2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により自動車生産台数は減少しますが、ガソリンエンジン油はアフターマーケットが大きいこともあり、市場は1.1%増が見込まれます。長期的にはガソリンエンジン油を使用しないEVやFCVなどが普及しますが、当面はガソリンエンジン油の需要を圧迫するほどの普及には至らないと想定されます。また、HVの多くの車種でガソリンエンジン油が使用される点も、市場にとっては好材料です。

日本では、車離れやカーシェアリングサービスの普及により、自動車保有台数が減少しているため、市場は縮小推移が予想されます。

車両用ディーゼルエンジン油の市場は、トラック・バスなど商用車の生産台数や保有、使用状況の影響を大きく受けます。また、欧州では乗用車でもディーゼル車が普及していましたが、排ガス不正問題以降はガソリン車の比率が大幅に高まっているため、ディーゼルエンジン油の需要が減少しています。

2020年の市場は、ディーゼル商用車の生産台数が減少している影響を受け縮小しますが、輸送インフラを担う物流トラックの走行量は例年通りであり、それら向けの需要は堅調です。

長期的には、EVやFCVなどの普及、また、HVでも一部の欧州自動車メーカー以外ではガソリンエンジンが採用されるため、市場は縮小が予想されます。ただし、商用車を中心とした大型車両ではディーゼルエンジンが採用され、1台当たりの使用量が多いことから、市場を下支えするとみられます。

日本では、以前から乗用車におけるガソリンエンジン車の比率が高く今後もその傾向が強まることや、近年普及が進むHVでもガソリンエンジン油が使用されることから、ディーゼルエンジン油の需要は減少すると予想されます。また、今後は小型のトラック・バスでガソリンエンジン搭載車の比率が高まるため、市場は大きく縮小するとみられます。

2.車両用駆動系油

2020年見込

前年比

2035年予測

2019年比

4,315億円

93.5%

5,791億円

125.5%

トランスミッション油とデファレンシャルギヤ油を対象とします。また、農業機械(農機)用のギヤ・油圧・湿式ブレーキ兼用油も対象とします。

自動車生産台数の増加に伴い市場は拡大してきましたが、アフターマーケットがエンジン油ほど大きくなく、2020年は自動車生産台数の減少から縮小するとみられます。中長期的には自動式有段変速機(AT)、無段変速機(CVT)の車両が増加し、それらの車両は手動式変速機(MT)車両に比べて使用量が多いため、市場拡大が予想されます。特に、中国でのCVT、その他地域でのATの普及が市場拡大を後押しするとみられます。

また、EVやHVでのモーターの冷却、潤滑に駆動系油が用いられており、EV/HV向けの専用油も市場に登場していることから、EVやHVの普及に伴う需要増加も期待されます。

3.グリース

2020年見込

前年比

2035年予測

2019年比

3,699億円

85.0%

7,737億円

177.7%

グリースとは、ベースオイルに増ちょう剤を分散させて半固体化したものです。半固体であるため、潤滑油では対応できない箇所、具体的には各部品の軸受(すべり軸受、転がり軸受、圧延機軸受)、摺動面、歯車などで使われます。主な用途は鉄鋼機械や建設機械、自動車です。

市場は、建設機械や鉄鋼機械の稼働状況に大きく連動します。近年は、中国や他アジアがけん引して市場拡大を続けてきましたが、2020年は建設機械や鉄鋼機械の稼働率が低下しているため、縮小が予想されます。しかし、7月以降徐々に回復しており、中長期的には各用途で需要は増加するため、2035年の市場は2019年比77.7%増が予測されます。また、自動車用途ではEVやPHVで使用されるグリースの高機能化が進んでおり、それに伴い単価が上昇しているため、数量ベースに比べて金額ベースで大幅な伸長が予想されます。

日本では、近年、建設機械向けを中心に需要は堅調でしたが、2020年は建設機械や鉄鋼機械の稼働率が低下したため、市場縮小するとみられます。しかし、2021年以降は自動車や特殊用途で高機能製品の需要が高まるため、市場拡大が期待されます。

【参考】本記事で使用した「潤滑剤関連市場の現状と将来展望 2020」に掲載している調査対象市場

潤滑剤材料

  • 鉱物油系ベースオイル
  • 合成油系ベースオイル
  • 添加剤

潤滑剤

輸送用潤滑油

  • 車両用ガソリンエンジン油
  • 車両用ディーゼルエンジン油
  • 車両用駆動系油
  • その他車両用潤滑油
  • 船舶用エンジン油
  • 航空機用エンジン油

発電用エンジン油

  • 発電用エンジン油

工業用潤滑油

  • 油圧作動油(建設機械用)
  • 油圧作動油(その他用)
  • 工業用ギヤ油
  • タービン油
  • コンプレッサー油
  • 冷凍機油
  • 汎用油/多目的油
  • 食品機械用潤滑剤

金属加工油

  • 切削加工油
  • 塑性加工油
  • さび止め油
  • その他金属加工油

電気絶縁油

  • 電気絶縁油

グリース、その他

  • グリース
  • 固体潤滑剤

◆本記事は「潤滑剤関連市場の現状と将来展望 2020」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。