株式会社富士経済は、自動車室内の快適性向上ニーズの高まりにより高級感や静粛性、衛生機能などが求められている自動車用内装材・剤の世界市場を調査しました。その結果を「2020年 自動車室内の快適性向上技術と市場展望」にまとめました。
この調査では、視覚関連2品目、聴覚関連2品目、触覚関連4品目、嗅覚関連4品目、計12品目の内装材市場を調査・分析し、将来を展望しました。また、五感訴求技術の動向についてもまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020年 自動車室内の快適性向上技術と市場展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2020年 自動車室内の快適性向上技術と市場展望」の全体サマリー
自動車用内装材・剤の世界市場
自動車用内装材・剤の世界市場は2018年に7,895億円となりました。自動車室内の快適性向上ニーズの高まりにより各種内装材・剤の需要は増加しており、今後も市場は拡大していくとみられ、2030年には1兆44億円(2018年比27.2%増)が予測されます。
視覚関連は意匠性が重要視されており、従来、シート、インパネ、ステアリング、シフトレバーに採用されていた表皮材(繊維製品・皮革製品)が、天井材やドアトリムにも採用が進み需要が増加しています。加飾フィルムはミドルクラスや軽自動車における内装の高級化やインテリアデザインの多様性を背景に伸びています。
聴覚関連は静粛性ニーズが高まっていることを受け市場が拡大しています。吸音材は適用部位の広がりにより使用量が増えるとみられ、伸びが予想されます。制振材は静粛性ニーズが高まっているものの、軽量化要求も多いため使用は必要最小限にとどめられています。
触覚関連は遮熱材が市場の拡大をけん引しています。遮熱材は窓ガラスから入射する赤外線の低減を目的に採用が進み伸びています。また、良触感樹脂は高級車だけではなくミドルクラスにおいても需要が増加しており伸びています。
嗅覚関連は低VOC製品が市場の9割以上(2018年実績)を占めており、拡大をけん引しています。また、消臭剤や抗菌剤・抗ウイルス剤が自動車室内の清潔要求の高まりから伸びています。消臭剤は生活臭やたばこ臭対策で需要が増加しています。2019年は自動車の生産台数が落ち込むものの、タクシーやシェアカー市場の拡大に伴う消臭機能の需要増加により伸びるとみられます。抗菌剤・抗ウイルス剤はタクシーや女性をターゲットとした車種で需要が増加し伸びています。現状はエアコンフィルターやステアリング用途での利用がメインですが、シート素材への採用増加による伸びが期待されています。
◆注目個別市場サマリー
1.吸音材
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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1,118億円 |
100.1% |
1,369億円 |
122.6% |
多孔質型吸音材であるフェルト、不織布、ウレタンフォーム、メラミンフォームを対象とします。吸音材はエンジンやタイヤなどから放射される音を閉じ込め、窒素、酸素など空気を構成する粒子の持つ運動エネルギーを熱エネルギーに変換し減音させます。吸音材は原反ないしブロックの状態から切断加工され、表皮材や遮音材と熱プレスで一体化され防音部品として車体に設置されます。
自動車室内の静粛性ニーズの高まりに伴い、吸音材の適用部位が増加し、また、フロアカーペットやダッシュインナーに吸遮音性能の向上が求められており需要が増加しているため市場は拡大しています。2019年は自動車生産台数が減少するが吸音材の適用部位は引き続き増加するとみられ、市場は横ばいが見込まれます。今後は、自動車生産台数の増加や、自動車室内の静粛性向上を背景に吸音材の需要は増加していくとみられ市場の拡大が予想されます。また、欧州での安定した需要が市場の拡大に寄与するとみられます。
2.消臭剤
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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2億円 |
100.0% |
4億円 |
2.0倍 |
化学吸着による無機系消臭剤を対象とし、マスキング剤(芳香剤など)は対象としていません。消臭剤はシートや天井材、フロアマットなどのシート繊維に練り込んで使用されます。VOC対策用途の際は、スプレー状に加工し、使用部位に散布するケースが多いです。
生活臭やたばこ臭対策の需要が増加しており市場は拡大しています。また、VOC対策としての需要も増加しており市場の拡大に寄与しています。2019年は自動車生産台数が減少するものの、タクシーやシェアカー市場の拡大に伴い消臭機能の需要は高まるとみられ、市場は横ばいが見込まれます。中国ではVOC対策需要が増加しており、中国向けに研究開発されている消臭剤が2025年に実用化するとみられ利用が大幅に増加し、市場は拡大すると予想されます。2030年以降はシェアカー市場のさらなる拡大や、自動車室内環境の快適化ニーズの高まりにより消臭剤の需要は増加するとみられ、市場の拡大が予想されます。
3.良触感樹脂
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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201億円 |
102.0% |
316億円 |
160.4% |
自動車室内の高級感・質感の向上や、意匠性の向上ニーズの高まりを背景に触感の良いソフトな素材を用いた内装部品が求められはじめています。良触感樹脂は、軟質感(柔らかさ)だけではなく、べたつき低減、さらさら感、本革のようなしっとり感などを添加剤による処方で実現したものを指し、TPU(Thermoplastic Polyurethane:ウレタン系エラストマー)、TPVC(Thermoplastic Polyvinyl chloride:塩ビ系エラストマー)、TPS(Thermoplastic Styrenic Elastomer:スチレン系エラストマー)の内装部品用途を対象とします。
2018年は、197億円となりました。高級車だけではなくミドルクラスにおいても採用が増加しており、市場は拡大しました。2019年は、自動車生産台数が減少しているものの、引き続きミドルクラスの車種において採用が増加しており市場の拡大が予想されます。今後は内装の高級化および自動車室内の快適性向上ニーズが高まることで市場は拡大していくとみられます。2025年以降もミドルクラスの車種における内装の高級化のために良触感樹脂の採用は広がっていくとみられ拡大が予想されます。
【参考】本記事で使用した「2020年 自動車室内の快適性向上技術と市場展望」に掲載している調査対象市場
内装材
視覚に関する内装材
- 表皮材
- 加飾フィルム
聴覚に関する内装材
- 吸音材
- 制振材
触覚に関する内装材
- 良触感樹脂
- ソフトフィール塗料
- 断熱材
- 遮熱材
嗅覚に関する内装材
- 消臭剤
- 防汚剤
- 抗菌剤・抗ウイルス剤
- 低VOC製品(接着剤・塗料・テープ)
五感訴求技術
- 高級感のある内装の演出
- ライトによる快適性向上技術
- 車室内の騒音対策
- 車室内のサーマルマネージメント
- 衛生対策
- 車酔い防止技術
- 車内センサーによる快適性向上技術
◆本記事は「2020年 自動車室内の快適性向上技術と市場展望」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの必要な部分だけをご利用になりたい方は、こちらの市場調査データサービスでご確認いただけます。