株式会社富士経済は、深刻化する人手不足や人件費の高騰が課題となっていることから、ITを活用し省人化や無人化など業務効率化に寄与する品目の伸びが期待される小売・外食・宿泊業向け機器・システム&サービスの国内市場を調査しました。その結果を「リテールテック関連機器・システム市場の将来展望 2019」にまとめました。
この調査では、小売・外食・宿泊業向けを対象に、店舗ファシリティ9品目、自動認識ソリューション5品目、発注・棚卸・業務支援管理6品目、支払い・セルフ操作端末10品目、販促プロモーション4品目、AI活用による業務支援3品目、計37品目の市場を把握し、業種・業態別に分析しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「リテールテック関連機器・システム市場の将来展望 2019」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「リテールテック関連機器・システム市場の将来展望 2019」の全体サマリー
小売・外食・宿泊業向け機器・システム&サービス国内市場
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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合 計 |
5,627億円 |
108.0% |
8,737億円 |
167.7% |
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店舗 |
3,306億円 |
102.8% |
3,020億円 |
93.9% |
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支払い・セルフ |
1,415億円 |
120.3% |
2,975億円 |
2.5倍 |
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AI活用による |
41億円 |
141.4% |
184億円 |
6.3倍 |
※店舗ファシリティ、支払い・セルフ操作端末、AI活用による業務支援は合計の内数です
小売・外食・宿泊業向け機器・システム&サービスの国内市場は2019年で5,627億円が見込まれます。小売などが人手不足などに直面する中、顧客満足度の向上を目的とした業務効率化を目指し、店舗業務やスタッフの省力化だけでなく無人化まで視野に入れて機器・システム&サービスを導入する動きは加速していくとみられ、2030年には67.7%増の8,737億円が予測されます。
カテゴリー別で市場が最も大きいのは、店舗照明、陳列棚、冷凍・冷蔵ショーケース、映像モニタリングカメラなど店舗に必須の機器類が対象の店舗ファシリティです。しかし、店舗のストック数は大幅な伸びが期待できないため、2030年の市場規模は2018年比で縮小すると予想されます。
今後、最も市場の拡大幅が大きいのは、支払い・セルフ操作端末です。来店客自身で精算するセルフレジ・セミセルフレジはレジ待ち時間の短縮が期待できることから拡大しています。また、自動釣銭機もレジ業務の負担軽減や業務効率化を目的に需要増加が予想されます。このほかにも、外食や宿泊でもセルフオーダー端末やセルフチェックイン機など注文や精算を各自で行う機器の需要が増加しています。業態や業種に合わせて端末の多様化が進んでいくとみられ、2030年には店舗ファシリティと同程度の規模まで拡大するとみられます。
AI活用による業務支援の需要は、来店客の購買行動分析、動線動態管理や店内の状況把握など販促目的で導入が広がっており、市場は2030年に184億円が予測されます。
◆注目個別市場サマリー
1.RFID(Radio Frequency Identification)タグ
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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72億円 |
107.5% |
540億円 |
8.1倍 |
RFIDはバーコードよりも読み取り精度が高く、瞬時に数量、サイズ、色などの記録された商品情報を収集できます。レジなどの時間短縮だけでなく、食品の賞味期限なども管理できるため、売上・在庫管理の効率化、さらには万引き防止などへの応用も可能です。経済産業省が2025年に向けて「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定し、各方面で実証実験が行われていますが、実際に導入が進んでいるのは、カジュアル衣料の専門量販店です。これは、カジュアル衣料の専門量販店が、製造から小売までの垂直統合型ビジネスであることから、導入メリットを得やすいためです。
CVS(コンビニエンスストア)やドラッグストアでも関心は高いですが、導入コストと貼付作業の手間が導入の壁となっています。作業を行うのに最も適するのは、最上流に位置するメーカーとみられますが、導入の動きはみられず、RIFDタグ自体も課題として水の付着や金属面のある商品での読み取り、電子レンジ対応などがあがっています。
2025年での本格運用は厳しいとみられますが、ドラッグストアでは化粧品など単価の高い商品に限り、商品管理や在庫管理を目的とした導入が先行するとみられます。RFIDタグの低価格化が進めば、2030年には実証実験を行っているCVSやドラッグストアでの本格運用が期待されます。
2.完全自動セルフレジ(レジロボット)
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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20億円 |
100.0% |
250億円 |
12.5倍 |
商品に付いているRFIDタグなどを読み取り、自動で一括スキャンし、精算できるレジを対象とします。
小売では少子高齢化による人手不足や人件費高騰が課題となっており、特にレジ業務の省人化が実現すれば、店内のスタッフは接客サービスに注力できるため、導入メリットが大きいです。しかし、RFIDタグの導入が限定的であることから、決済端末が多様化している現状では、セルフレジ・セミセルフレジやスマートフォンを利用したレジなし店舗などとともに、選択肢の一つにとどまるとみられます。なお、市場はRFIDタグが普及し始める2025年以降の拡大が予想されます。
3.屋内位置測位ソリューション
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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6,000万円 |
120.0% |
1億3,000万円 |
2.6倍 |
カメラやセンサー、ビーコン、レーザー・レーダーを使って、来店客やスタッフを個別に把握し、動線を追跡することで属性別の購買行動分析や業務にかかる時間などを把握できるシステムを対象とします。
少子高齢化、人口減少が進むなか、小売では新規出店より既設店舗の売上をいかに維持、拡大させるかが重要となっており、商品計画、販促、スタッフの配置は常に見直しと改善が必須となっています。屋内位置測位ソリューションは人手や時間をかけずに課題抽出や改善結果の分析が可能であることから、限られた人員でのオペレーションの最適化を進めたい店舗、総合スーパーなど複数のテナントが入る施設などで導入が進み、市場拡大が予想されます。
なお、来店客の行動分析を行うことで、エリア別の集客状況や滞留時間なども把握できることから、棚割りや店舗レイアウトの改善、キャンペーンの実施検討、値引きセールのタイミングの選定などの店舗運営に反映させることができるほか、スタッフを対象とすることで接客や業務行動の改善、スタッフの配置や店舗オペレーションの最適化も可能となります。しかし、これらのデータ分析を的確に行うための知識を有するスタッフが限られるため、活用提案なども含めたベンダー側のアフターフォロー体制の充実化も求められています。
4.AI活用ソリューション
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2019年見込 |
2018年比 |
2030年予測 |
2018年比 |
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21億円 |
131.3% |
83億円 |
5.2倍 |
AIを活用したデータの分析・需要予測を行うシステムやサービスを対象とします。来店客数、属性、動線、購買行動をAIで解析し、無人化店舗の運営、販促などを支援、不審行動などを検知する"来店客・店内画像解析"や、過去のデータから、来店客数、天候、商品ごとの売上高、周辺のイベント情報などに基づいた需要予測を行い、販売や仕入れなどの施策提案を行い在庫管理や発注業務を支援する"基幹データ活用"がソリューションとして展開されています。
来店客・店内画像解析は、近年システム販売やサービス提供に参入する企業が増えています。来店客の行動解析は以前から行われてきましたが、センサーや映像カメラだけでは、十分把握できていませんでした。しかし、ビーコンなどの位置情報と組み合わせることで、より精度の高い分析が可能となることから、需要は堅調に増加すると予想されます。
基幹データ活用支援は大規模小売の需要が中心で、店舗だけでなく本部での営業戦略や商品戦略に採用されています。現在は実証実験などスポット的な需要が多いですが、中長期的には大幅な伸びが期待されます。
【参考】本記事で使用した「リテールテック関連機器・システム市場の将来展望 2019」に掲載している調査対象市場
店舗ファシリティ
- 映像モニタリングカメラ
- 店舗照明
- 客数情報システム
- 万引き防止装置(EAS)
- 冷凍・冷蔵ショーケース
- 陳列棚
- 自動ドア
- REMS
- 商業施設充電インフラサービス
自動認識ソリューション
- RFIDタグ
- 生体認証
- 車番認識システム
- 屋内位置測位ソリューション
- 宅配ロッカー
発注・棚卸・業務支援管理
- 基幹システム
- 自動発注システム
- ホテルマネジメントシステム(PMS)
- 棚管理ロボット
- 従業員マニュアル作成サービス
- 従業員手荷物セルフ検査サービス
支払い・セルフ操作端末
- セルフレジ・セミセルフレジ
- 完全自動セルフレジ(レジロボット)
- オブジェクト認識レジ
- 自動釣銭機
- 組み込み型決済モジュール
- モバイル決済端末
- モバイルPOS
- セルフオーダー端末
- 自動券売機
- セルフチェックイン機
販促プロモーション
- 電子棚札
- ARフィッティング
- VR店舗
- タブレット端末付きカート
AI活用による業務支援
- AI活用ソリューション
- レベニューマネジメントシステム
- AI利用節電システム
◆本記事は「リテールテック関連機器・システム市場の将来展望 2019」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの必要な部分だけをご利用になりたい方は、こちらの市場調査データサービスでご確認いただけます。