株式会社富士経済は、一連の電力システム改革の最後の節目である発送電分離が実施され、さらなる競争の活発化が期待される国内の電力小売市場を調査しました。その結果を「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2020 電力・ガス自由化市場総括編」にまとめました。
この調査では、自由化市場を中心に電力・ガス市場を調査・分析し2030年度のエネルギー市場を予測しました。なお、発電事業者やLNG調達、大口ガス供給事業者の事業戦略は「同 発電・ガス調達事業者編」、電気・ガスの小売事業者の事業戦略は「同 電力・ガス小売事業者編」でより詳細にまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2020 電力・ガス自由化市場総括編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2020 電力・ガス自由化市場総括編」の全体サマリー
1.電力小売市場
販売量
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2030年度予測 |
2018年度比 |
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特別高圧 |
2,302億kWh |
97.7% |
2,272億kWh |
96.5% |
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高圧 |
3,013億kWh |
97.7% |
2,866億kWh |
93.0% |
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低圧 |
3,004億kWh |
98.2% |
2,745億kWh |
89.7% |
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合 計 |
8,318億kWh |
97.9% |
7,882億kWh |
92.8% |
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新電力 |
1,292億kWh |
105.4% |
2,176億kWh |
177.5% |
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シェア |
15.5% |
― |
27.6% |
― |
※新電力は合計の内数です。市場データは四捨五入しています
電力の販売量は、長期的に減少基調にあります。人口減少に加え少子高齢化の進展も生産活動、経済活動全般の抑制要因になり、電力需要は減少していくとみられます。オール電化住宅やEVの普及など、電力需要増加に寄与する要素もありますが、電気機器の省エネ・高効率化やエネルギーマネジメントの高度化、建築物の断熱性向上、太陽光発電や蓄電池を中心とする自家発電システムの普及と自家消費の増加などにより、低圧分野を中心に電力の販売量は減少し、2030年度には2018年度比7.2%減が予測されます。
新電力による販売量は、全面自由化が開始された2016年度、2017年度と前年度比50%超と、高い伸びが続きましたが、2018年度は伸びが鈍化しています。2019年度はさらに伸びが鈍化し、新電力による販売量は2018年度比5.4%増にとどまると見込まれます。特別高圧を中心に旧一般電気事業者による需要家の奪還や自社エリア外の需要家獲得の動きが活発化する一方で、新電力では小口需要家の獲得や新電力間の需要家争奪激化が進んでいます。
今後は、大規模電源開発、旧一般電気事業者との相対契約や日本卸電力取引所(JEPX)での調達量の増加などで新電力の販売量は増加していき、2030年度には2018年度比77.5%増の2,176億kWhが予測され、シェアは27.6%まで上昇するとみられます。また、再生可能エネルギーや環境価値を訴求する電力メニューの開発、ほかのサービスとのセット提案など、価格以外の面で需要家との関係を構築できるか重要視されています。
契約種別2019年度の動向
【特別高圧】
旧一般電気事業者による新電力からの需要家の奪還が行われていることから、旧一般電気事業者の契約件数が増加する一方、新電力の販売量は2018年度比3割減、契約件数も同一割減と大幅な減少が見込まれます。特に大手新電力でその傾向が強く、新電力のシェアも2018年度の6.7%から2019年度は5.0%に低下するとみられます。
【高圧】
大口需要家における旧一般電気事業者との競争激化により新電力は小口需要家の獲得を進めています。そのため、旧一般電気事業者は販売量・契約件数ともに微減の一方で、新電力は販売量が減少するものの、契約件数では増加するとみられます。
【低圧】
新電力による需要家獲得が進んでおり、販売量は2018年度比38.6%増、契約件数は同50.8%増と大きく増加が見込まれます。主要新電力では2019年度の販売量が前年度割れとなる事業者はほとんどみられず、新電力のシェアも2018年度の11.4%から2019年度は16.1%まで上昇するとみられます。
販売額
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2030年度予測 |
2018年度比 |
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特別高圧 |
2兆8,030億円 |
97.2% |
2兆9,310億円 |
101.6% |
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高圧 |
4兆7,930億円 |
95.9% |
4兆8,140億円 |
96.3% |
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低圧 |
7兆780億円 |
101.1% |
7兆5,480億円 |
107.8% |
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合 計 |
14兆6,740億円 |
98.6% |
15兆2,930億円 |
102.7% |
電力の販売額は、発電量の7~8割を火力発電が占めることからLNG・原粗油・石炭の燃料輸入価格の上昇により、拡大傾向にあります。2019年度は特別高圧と高圧における旧一般電気事業者と新電力による価格競争の激化により縮小しますが、長期的には拡大するとみられ、2030年度には15兆2,930億円が予測されます。
なお、長期的な拡大の理由としては、再エネ賦課金の増加や系統増強に伴う託送料金単価の値上げ、新興国における化石燃料の需要増加に伴う輸入燃料価格の上昇などがあげられます。FIT電力の増加により再エネ賦課金の総額増加と単価の引き上げが想定され、特に低圧は再エネ賦課金の減免措置のない需要家(一般家庭や中小事業所)が多いことから、伸びが高くなるとみられます。
2.発電量
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2030年度予測 |
2018年度比 |
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火力発電 |
6,517億kWh |
92.2% |
4,396億kWh |
62.2% |
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再エネ発電 |
1,954億kWh |
102.8% |
3,074億kWh |
161.8% |
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太陽光 |
732億kWh |
112.3% |
1,156億kWh |
177.3% |
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風力 |
121億kWh |
106.1% |
305億kWh |
2.7倍 |
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バイオマス |
299億kWh |
114.1% |
582億kWh |
2.2倍 |
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原子力発電 |
749億kWh |
120.6% |
1,267億kWh |
2.0倍 |
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合 計 |
9,220億kWh |
96.2% |
8,736億kWh |
91.1% |
※太陽光、風力、バイオマスは再エネ発電の内数です。市場データは四捨五入しています
発電量は電気事業者による発電、自家発電事業者など電気事業者以外からの受電を対象としています。発電から販売までの送電ロスや発電事業者の自家消費分があることから、発電量は販売量を大きく上回ります。
電力需要の減少に伴い、発電量も減少しています。特に減少するのは火力発電であり、発電構成比も2019年度の70.7%から2030年度には50.3%まで下がるとみられます。低炭素化に向けた機運の高まりを受けて、石炭火力発電所の新設計画中止や天然ガス火力発電所などへの事業見直しが進んでおり、構成比は下がっていくとみられます。
一方で、太陽光発電、風力発電を中心とした再エネ発電所や既存水力発電所のリパワリング(発電設備のリプレース)などが次々と計画されており、再エネ発電の発電量が大きく増加するとみられます。2025年度までは太陽光発電、2030年度頃は大型の陸上・洋上風力発電、大型バイオマス発電の運転開始による発電量増加が予想され、発電構成比も2019年度の21.2%から2030年度には35.2%まで上昇するとみられます。
3.新規ガス小売事業者主要8社のガス販売量
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2019年度見込 |
2018年度比 |
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146億m3 |
108.1% |
ガスの自由化市場は、電力市場と同様に顧客獲得競争が激化しています。エリアは東名阪が中心なのは変わりませんが、旧一般電気事業者を中心に電力・ガス双方の供給を進める事業者が増え、代理・取次販売を開始する新電力も増えています。販売代理を行う提携事業者数を拡充させることで需要家獲得を進めており、いかに有力な販路を獲得するかが重要となっています。
【参考】本記事で使用した「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2020 電力・ガス自由化市場総括編」に掲載している調査対象市場
電力市場
- 小売電気事業者(新電力)
- みなし小売電気事業者(旧一般電気事業者)
ガス市場
- 新規ガス小売事業者(特定ガス導管事業者、ガス小売事業者)
- 旧一般ガスみなしガス小売事業者
◆本記事は「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2020 電力・ガス自由化市場総括編」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。