株式会社富士経済は、水素アプリケーションの普及拡大と水素サプライチェーンの確立が進むことでさらに導入・活用が広がる国内の水素関連市場を調査し、その結果を「2020年版 水素利用市場の将来展望」にまとめました。
この調査では、水素燃料と水素利用や水素輸送・供給で使用される関連設備・機器の市場の現状を分析し、将来を展望しました。また、主要7カ国の水素ステーションやFCモビリティ(FCV、FCバス、FCトラック)の普及状況など海外動向も捉えました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020年版 水素利用市場の将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2020年版 水素利用市場の将来展望」の全体サマリー
国内の水素関連市場
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2019年度 |
2030年度予測 |
2019年度比 |
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116億円 |
3,963億円 |
34.2倍 |
水素関連市場は「水素燃料」、大規模水素輸送を対象とする「水素輸送」、水素ステーション(ST)やR水素・P2Gシステムなどを対象とする「水素供給」、水素発電システムと車載関連機器(車載用高圧容器 、車載用水素センサー)を対象とする「水素利用」の各市場を捉えました。
地球温暖化対策として水素の活用が重視されており、水素アプリケーションの普及拡大と水素サプライチェーンの確立が進められています。2019年度の市場は水素供給が大半を占め、水素インフラ整備が進みました。水素STの建設は、政府が掲げる「2020年度160箇所」を目標に着実に進められていますが、新型コロナウイルス感染症の影響による建設工事や手続きの遅れにより、一部では2021年度に持ち越す案件もみられます。一方で、水素製造設備FH2Rが完成したほか、世界初のMCH(メチルシクロヘキサン)輸入水素による発電が2020年5月に実現するなど水素燃料の活用拡大に向けた準備が進められています。2030年度頃になると液化水素、MCHなどの大規模輸送技術の実用化により水素の輸入コストが低減し水素発電の導入が本格化することから、市場は急拡大が予想されます。また、FCVの量産化による本格普及やそれに伴う水素STの自立運営化により水素燃料のさらなる活用が期待されます。
◆注目個別市場サマリー
1.水素燃料(水素ガス)
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2019年度 |
2030年度予測 |
2019年度比 |
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全 体 |
7億円 |
1,771億円 |
253.0倍 |
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水素発電向け |
僅少 |
1,328億円 |
- |
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FCV向け |
4億円 |
204億円 |
51.0倍 |
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FCバス向け |
2億円 |
34億円 |
17.0倍 |
※水素発電向け、FCV向け、FCバス向けは全体の内数です
現状は、FCV向けを中心としたFCモビリティ向けが市場の大半を占めています。2020年度は水素アプリケーションではトヨタ自動車から新型FCVの発売が予定され、FCバスの整備も首都圏を中心に進んでいます。また、水素サプライチェーンの確立に向け、ブルネイで製造された水素による発電実証が開始されたほか、オーストラリアから液化水素の輸入が2020年度内に開始されるとみられます。
2030年度以降、大規模輸送技術の実用化により水素の輸入コストが低減し、水素発電の本格導入が開始されるため、水素発電向けが急伸するとみられます。水素発電向けは2025年度に240億円、2030年度に1,328億円が予測されます。
2.商用水素ステーション
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2019年度 |
2030年度予測 |
2019年度比 |
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19箇所 |
95箇所 |
5.0倍 |
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61億円 |
257億円 |
4.2倍 |
FCVやFCバス、FCトラックの水素充填に利用可能な商用水素STを対象としました。
政府が掲げる「2020年度160箇所」の目標達成に向け整備が進められており、2019年度は19箇所が新設され、累計で132箇所となりました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により不透明な状況が続いており、中には、施工の遅れで完工が年度内にできず2021年度に持ち越される案件があることから、2020年度は新設24箇所、累計で156箇所にとどまるとみられます。
この内、本格的なFCバス充填に対応した水素STについては、2017年3月に国内初となる「イワタニ水素ステーション 東京有明」が開所しました。これに伴い、2018年3月に量産型FCバス「SORA」の販売が開始され、FCバス対応水素STが増加しており、2020年度中には累計で8箇所になるとみられます。FCバスは、東京五輪に向け東京都を中心に整備が進められており、東京都以外でも、神奈川県、愛知県、福島県などで既設の水素STを活用したFCバスの運行が開始されています。
主要7カ国の商用水素ステーションの普及状況(累計ベース)
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2019年度 |
2030年度予測 |
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日本 |
132箇所 |
626箇所 |
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米国 |
43箇所 |
1,300箇所 |
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ドイツ |
83箇所 |
600箇所 |
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フランス |
19箇所 |
400箇所 |
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英国 |
16箇所 |
300箇所 |
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中国 |
70箇所 |
1,000箇所 |
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韓国 |
34箇所 |
500箇所 |
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合 計 |
397箇所 |
4,726箇所 |
日本は2019年度に132箇所となり、世界でトップクラスの設置数となりました。米国はカリフォルニア州を中心に整備が進められ、2030年度には1,300箇所に到達するとみられます。ドイツでは主要都市に分散して設置が進み、FCVをはじめとしたFCモビリティの普及に応じて増加しています。フランスはパリ、英国はロンドンに設置が集中しています。中国では整備が急激に進んでおり、2030年度には1,000箇所になるとみられます。韓国は規制緩和により公共庁舎での整備が進んでおり、そのほか高速道路内での整備を強化しています。2030年度には主要7カ国合計で、商用水素STは2019年度比11.9倍の4,726箇所になると予測され、世界で普及拡大が進むとみられます。
3.小型水素ステーション
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2019年度 |
2030年度予測 |
2019年度比 |
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8件 |
85件 |
10.6倍 |
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10億円 |
83億円 |
8.3倍 |
FCV(公用車・社用車)やFCフォークリフト(FCFL)への水素充填を目的として事業所に設置される水素供給設備を対象とします。
FCV用は本田技研工業が展開する「SHS」が需要の大半を占めています。商用水素STの整備が遅れている地方自治体・官公庁などで導入されてきましたが、全国的に商用水素STの整備が進められているため、小型水素STの導入は減少しています。一方、FCごみ収集車両の実証が開始されており、今後は特殊・産業車両向けでの需要が増加するとみられます。
FCFL用は2016年にFCFLの販売が開始されて以降、導入が増加しています。2019年度は4件のFCFL用小型水素STが新設されました。2020年度は補助金要件変更により導入コストが上がっているほか、新型コロナウイルス感染症の影響により新規投資計画に遅れがみられますが、環境意識や作業効率化の観点からFCFLの導入に関心を持つ企業は増加しています。FCFLの普及に向け、運用台数の多い大口需要家を中心に導入が進められています。
【参考】本記事で使用した「2020年版 水素利用市場の将来展望」に掲載している調査対象市場
水素燃料
- 水素ガス
水素輸送
- 大規模水素輸送
水素供給
- 商用水素ステーション
- 小型水素ステーション
- 緊急用水素供給設備
- 水素コンプレッサ
- 蓄圧器
- 液化水素貯槽
- 水素ディスペンサ
- 水素ST用水素センサ
- 水素バルブ
- オンサイト水素発生装置
- R水素・P2Gシステム
- 水素発生装置(再エネ)
水素利用
- 車載用高圧容器
- 車載用水素センサ
- 水素ガスタービン発電
- FC水素発電
その他
- アンモニア発電
- 次世代水素キャリア
- 次世代水素製造
- 次世代発電システム
◆本記事は「2020年版 水素利用市場の将来展望」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。