株式会社富士経済は、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛で打撃を受ける外食業態向けや、休校やテレワークの普及により食数が減少する給食業態向けなどの業務用食品の内、調味料や調味食品、スープの国内市場を調査しました。その結果を「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.1」にまとめました。
この調査では、食用油やソース、たれなどの調味料41品目、カレールウや炊き込みご飯の素などの調味食品8品目、冷凍スープや粉末スープなどスープ5品目の業務用市場の現状を捉え、将来を予想しました。
業務用の調味料や調味食品、スープの市場は、2019年まではインバウンド需要の増加などによりホテル・宿泊施設やファミリーレストランなどの外食向けや、中食・惣菜需要の高まりにより量販店やCVS惣菜向けが伸びたため拡大してきました。2020年は、インバウンド需要が激減、また、外出自粛により料飲店やレストラン、レジャー施設内外食店や、学校給食向けが大きく減少しています。消費者の巣ごもりによる家庭内調理機会の増加で家庭用加工食品原料向けは好調ですが、量販店やCVS惣菜などの中食向けも苦戦しており、市場は前年比で大幅縮小になるとみられます。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.1」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.1」の全体サマリー
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2020年見込 |
前年比 |
2021年予測 |
前年比 |
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調味料 |
8,760億円 |
91.3% |
9,241億円 |
105.5% |
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調味食品 |
511億円 |
83.6% |
546億円 |
106.8% |
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スープ |
116億円 |
78.9% |
133億円 |
114.7% |
調味料は、近年安定した需要を獲得してきましたが、2020年は外食業態や給食業態向けの落ち込みにより苦戦しています。巣ごもり消費により加工用が好調なパイス類やエキス調味料(天然調味料)などは伸びが期待されますが、多くの品目が苦戦しており、特に規模の大きい食用油やマヨネーズ類、ドレッシング類などの縮小が影響し、市場は前年比8.7%減が見込まれます。
調味食品は、カレールウ・フレークやレトルト・缶詰カレーが外食業態や給食業態などの落ち込みにより、大きく縮小しているため、2020年の市場は前年比16.4%減が見込まれます。
2021年の市場は調味料で前年比5.5%増、調味食品で前年比6.8%増が予測されますが、2019年の水準に回復するのには時間がかかるとみられます。
品目別では、人手不足対策として調理工程の省略化を背景に、調味料ではフォン・ブイヨンからブラウンソースや、カレールウ・フレークからレトルトカレーへのシフト、調味食品では混ぜ込みご飯の素から炊き込みご飯の素へのシフトなどがみられます。また、食品ロス削減のため小容量化や使い切りサイズの需要が増えています。
スープは、近年インバウンド需要を受けてホテルビュッフェ向けが好調でしたが、2020年は新型コロナウイルス感染症流行の影響により需要が減少し、市場は前年比21.1%減が見込まれます。しかし、簡便性やコスト面から底堅い需要のある粉末スープなどが回復に向かうため、2021年の市場は前年比14.7%増が予測されます。
◆注目個別市場サマリー
1.ホール・粉末スパイス類
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2020年見込 |
前年比 |
2021年予測 |
前年比 |
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全体 |
346億円 |
93.0% |
362億円 |
104.6% |
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コショウ |
87億円 |
87.9% |
93億円 |
106.9% |
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唐辛子 |
67億円 |
91.8% |
71億円 |
106.0% |
※コショウと唐辛子は全体の内数です
コショウや唐辛子などの単体スパイスとミックススパイスを対象とします。業態を問わず必要な基礎調味料であり、外国人観光客の増加で世界の様々な料理を提供する外食店が増え、辛味などの刺激や、スパイスやハーブの風味を訴求したメニューの浸透、また、肉食ブームや麻辣ブームによって需要が高まっています。
辛味・痺れブームにより唐辛子や花山椒が伸びたことなどから市場は拡大してきました。特に2018年頃からラーメン店メニューから始まった、辛さと痺れをもたらす"麻辣ブーム"の広がりを受け、インスタントラーメンやスナック菓子などの加工食品、CVS弁当・惣菜のラーメンや麻婆豆腐にも唐辛子と花山椒が使用されたことが需要を押し上げました。また、人手不足が深刻化し、厨房では省力化ニーズが高まったことからメニュー専用に調合されたミックススパイスやシーズニングスパイスの使用が増加しました。
2020年は新型コロナウイルス感染症の流行を受けた外出自粛の影響で、外食業態向けの卓上スパイスや調理用スパイスが大きく減少しているため、市場は前年比7.0%減が見込まれます。一方、内食需要の高まりにより、春先には即席めんやレトルトカレーなど加工食品向けの特需や、量販店やCVS弁当・惣菜などでカレーや洋風メニュー向けの好調などもみられました。
当面、外食業態向けは苦戦するとみられますが、代替としてテイクアウトや宅配、CVS弁当・惣菜などの、家庭では作りにくいスパイスの効いたメニューでの需要増加が予想されます。
市場の内訳をみると、30%弱を占めてきたコショウは原料価格が下落しているため、数量ベースでは増加していますが金額ベースでは減少が続いており、構成比も低下しています。唐辛子は辛みニーズがラーメン店メニューだけでなく、カップラーメンやスナック菓子などの加工食品、CVSラーメンや麻婆豆腐など中食惣菜に波及しており構成比を高めています。また、麻辣ブームにより花山椒が大幅に伸びています。
2.畜肉系たれ
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2020年見込 |
前年比 |
2021年予測 |
前年比 |
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268億円 |
94.7% |
278億円 |
103.7% |
焼き肉や焼き鳥のたれ、生姜焼きのたれなどを対象とします。漬け込み用や炒め用、漬け用のたれを対象とし、煮込み用のたれ類は含みません。量販店の精肉売り場や惣菜売り場での漬け込み用が中心です。
鶏肉や豚肩ロース肉、牛肉サーロインなど精肉の原料価格の安定と肉メニューの需要増加により、市場は拡大が続いてきました。2017年頃から焼き鳥をメニューに導入するCVSチェーンが増加したことや、量販店でも焼き鳥メニューが強化されたことにより焼き鳥用が伸びました。また、共働き世帯の増加により調理の簡便化ニーズが高まり、量販店では精肉売り場や惣菜売り場での漬け込み用の需要が増加しました。加えて、シニア層向けを中心に、家庭調理でも柔らかく仕上がるステーキ用が伸びました。
2019年は、中食向けの需要増加により好調でした。特に量販店の精肉売り場でステーキ用が伸びました。
2020年は、外食業態の落ち込みの影響を受けていますが、需要は中食主体であるため外食主体の業務用調味料と比較すると市場の縮小幅は小さく、前年比5.1%減にとどまる見込です。肉は値頃感があり、価格が安定しているため、今後も堅調な需要が期待され、2021年以降市場は回復に向かうとみられます。特に、調理の際に焦げにくいオイルベースの商品が市場をけん引するとみられます。
3.粉末スープ
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2020年見込 |
前年比 |
2021年予測 |
前年比 |
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49億円 |
76.6% |
58億円 |
118.4% |
水や牛乳、卵などを加えて加熱が必要な粉末クッキングスープと、お湯を注ぐだけで完成する粉末のインスタントスープを対象とします。近年は大容量タイプの商品がインバウンド需要の好調なホテル向けで伸び、また、カフェなどで使用が増えたことにより、市場は拡大してきました。
2020年は、ホテルの客数減少に加え、外食店の営業時間短縮や臨時休業の影響を受けて需要が減少しており、外食店のテイクアウト用メニュー向けに注力するメーカーがありますが、市場は前年比23.4%減が見込まれます。
しかし、人手不足の深刻化からスープメニューでも簡便な商品を求める傾向が強まっていることや、上位メーカーが粉末スープへの注力度を高めていることなどから、ホテルを含めた外食業態や給食業態を中心に2021年以降は需要が回復に向かうと予想されます。
【参考】本記事で使用した「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.1」に掲載している調査対象市場
調味料
- 食用油
- オリーブ油
- ごま油
- みそ
- しょうゆ
- うすくちしょうゆ
- つゆの素
- 白だし
- 風味調味料
- エキス調味料(天然調味料)
- 食酢
- ぽん酢
- 本みりん
- みりん風調味料
- マヨネーズ類
- タルタルソース
- ドレッシング類
- ノンオイルドレッシング
- フォン・ブイヨン(洋風だし)
- トマトケチャップ
- トマトピューレ・ペースト
- ホール・ダイス・クラッシュトマト
- ソース類
- ブラウンソース
- ホワイトソース
- トマトソース
- バジルソース
- ホール・粉末スパイス類
- ペーストスパイス類
- マスタード
- 畜肉系たれ
- 鮮魚系たれ
- あんかけのたれ
- 丼のたれ
- 煮物系たれ
- オイスターソース
- 醤調味料
- ガラスープ
- ラーメンスープ
- 中華メニュー専用ソース・たれ
- 鍋つゆ
調味食品
- カレールウ・フレーク
- レトルト・缶詰カレー
- 冷凍カレー
- レトルト・缶詰パスタソース
- 冷凍パスタソース
- ふりかけ
- 混ぜ込みご飯の素
- 炊き込みご飯の素
スープ
- 冷凍スープ
- レトルトスープ
- 無菌充填スープ
- 缶詰スープ
- 粉末スープ
◆本記事は「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.1」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。