株式会社富士経済は、xEV搭載バッテリー周りの剛性要望や、自動運転で活用されるカメラやセンサーの増加、エレクトロニクス製品やペロブスカイト太陽電池の機能向上などを背景に、耐久性や光学特性などの高機能性を付与する製品の採用増加が期待される、特殊粘接着剤・封止材の世界市場を調査しました。その結果を「2026年 特殊粘接着・封止材の市場展望」にまとめました。
この調査では自動車用途14品目、エレクトロニクス用途11品目、再生可能エネルギー用途2品目に分け、特殊粘接着剤・封止材の現状を分析し、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2026年 特殊粘接着・封止材の市場展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆「2026年 特殊粘接着・封止材の市場展望」の全体サマリー
特殊粘接着剤・封止材の世界市場

2025年の世界市場は、1兆1,901億円となりました。中でも自動車用途は6割を占め、市場をけん引しています。世界的なカーボンニュートラル実現を背景としたxEVの普及に伴い、バッテリーパック周りなどで使用される接着剤などの需要が高まっています。また、内燃車でも電装化の動きがみられ、電装部品に使用する粘接着剤や封止材の需要が増えています。
エレクトロニクス用途は、特殊粘接着剤・封止材による電磁波対策や光学特性などが、エレクトロニクス製品の機能向上に繋がるケースがあるため注目度が高いです。FPC用低誘電ボンディングシートやTSV用仮固定接着剤、TFE用シール材料が大きく伸び、2025年は前年比5.4%増の2,381億円となりました。
再生可能エネルギー用途は、ペロブスカイト太陽電池向け封止材が大きく伸びています。封止材が太陽電池モジュールの耐久性向上に貢献することから、今後の量産による採用増加が期待されます。
今後は、xEVの普及や自動運転技術の向上に伴って、特殊粘接着剤や封止材が使用される部品が増えることなどから、引き続き、自動車用途が大きく伸びるとみられます。軽量化を目的にCFRPが活用されることでCFRP用接着剤の採用が進むほか、センサー類の搭載数増加によるセンサー用接着剤の使用など、さらに需要が本格化する品目もみられます。また、半導体市場が好調に推移し、関連するFPC用低誘電ボンディングシートやTSV用仮固定接着剤、フォルダブルディスプレイ用OCAなどを中心にエレクトロニクス用途も大きく伸長することなどから、2035年の世界市場は2025年比82.9%増の2兆1,767億円が予測されます。
◆注目個別市場サマリー
1.ペロブスカイト太陽電池向け封止材

欧州や中国電池メーカーによるペロブスカイト太陽電池の本格的な商用化によって、市場が拡大しています。2025年の世界市場は15億円となりました。
2028年頃からは、欧州や中国電池メーカーのペロブスカイト太陽電池量産が本格化すると予想され、電池価格が下がることで普及が加速するため、使用される封止材の市場も2035年には2025年比36.7倍が予測されます。ペロブスカイト太陽電池の耐久性向上や生産技術確立が課題であり、長期耐久性に貢献する封止材の開発が積極的に進められています。
日本でも、2026年から2028年頃にかけて量産が本格化し、製品価格の下落が進むことで、ペロブスカイト太陽電池が普及し、封止材の需要も増加するとみられます。また、高い技術力を活かし、フィルム基板を使用したペロブスカイト太陽電池の開発を進めているため、ガラス基板使用と比較して封止材に対する要求性能が高いです。
2.バッテリーパック構造用接着剤

2025年の世界市場は、50億円となりました。EV、HV、PHVの生産台数に連動して市場は拡大しています。車載バッテリーは自動車の生産地で組み立てられることが多いため、EVの主要生産地である中国は70%強、xEVの需要が高まる欧州が約15%を占めています。一方、電池容量が小さく、バッテリーパックも小型構造であるHVが中心の日本は市場規模が小さいです。
今後、ガソリン車からxEVへの転換が進み、特に、電池容量が大きいEVが普及することで、バッテリーパック当たりの使用量が増加するため、2035年の市場は2025年比2.7倍が予測されます。
3.センサー用接着剤(LiDAR、ミリ波レーダー、車載カメラ用)

市場は、LiDAR、ミリ波レーダー、車載カメラ需要の影響を大きく受けます。
自動運転の高度化やロボタクシーの増加で、LiDARやミリ波レーダーの需要が高まっています。特に、自動運転レベル1や2の車両で、衝突回避や自動緊急ブレーキなどを実現するためミリ波レーダーの需要が増えています。また、AEBS(衝突被害軽減ブレーキ)義務化に対応する日本・欧州を中心に、フロントセンシングカメラなどの車載カメラの普及が進んでいます。これらの伸びに伴って接着剤も需要が増加しており、2025年の市場は219億円となりました。
2026年以降、センサーが小型化するとセンサー1個当たりの使用量は減少しますが、自動運転車の普及と自動運転の高度化を背景に、車両当たりのセンサー搭載数が増えるため、2035年の市場は2025年比2.5倍が予測されます。また、xEVを含む自動車需要が高まるインドなどで、後方確認用のリアカメラ搭載などの動きが進んでいることも市場拡大を後押しします。
【参考】本記事で使用した「2026年 特殊粘接着・封止材の市場展望」に掲載している調査対象市場
自動車用途
- 車体構造用接着剤
- ダイレクトグレージング材
- CFRP用接着剤
- バッテリーパック構造用接着剤
- xEVバッテリー固定封止材
- 仮止め用接着剤
- はめ合い用接着剤
- 自動車用制振シート
- 内装用接着剤
- ECU基板一括封止材
- センサー用接着剤(LiDAR、ミリ波レーダー、車載カメラ用)
- 自動車電子部品用放熱接着剤
- 車載ディスプレイ用OCA
- 車載ディスプレイ用OCR
エレクトロニクス用途
- FPC用低誘電ボンディングシート
- FPC用電磁波シールドフィルム
- パワーデバイス用封止材
- フィルム封止材
- バックグラインドテープ
- ダイシングテープ
- TSV用仮固定接着剤
- 半導体向け高耐熱仮固定材
- 異方性導電フィルム(ACF)
- フォルダブルディスプレイ用OCA
- TFE用シール材料(プラスチックAMOLED用)
再生可能エネルギー用途
- ペロブスカイト太陽電池向け封止材
- 風力発電ブレード用接着剤
◆本記事は「2026年 特殊粘接着・封止材の市場展望」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。