株式会社富士経済は、持続的な事業拡大に向け、参入各社が米国の関税措置に対する生産戦略、需要成長地域での競争戦略、製品開発の現地化戦略などを進める世界の家電市場を調査し、その結果を「グローバル家電市場総調査 2026」にまとめました。
この調査では、衣住関連8品目、調理関連14品目、空調/給湯関連9品目、美容/健康関連11品目の計42品目について国・地域別生産・販売動向、主要メーカーの事業展開と市場シェア、注目製品・技術トレンドなどをまとめ、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「グローバル家電市場総調査 2026」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆注目個別市場サマリー
1.ルームエアコンの世界市場
市場規模推移
2025年の市場は、前年比3.5%増の1億8,439万台と見込まれます。最大需要地は中国で、市場の58.5%を占めています。次いで北米が8.7%、東南アジアが6.9%、インドが6.1%を占めています。需要は冷夏の影響を受けた東南アジアやインドで伸び悩みましたが、中国では不動産不況対策として家電などの耐久消費財の買い替えを促す補助金政策が打ち出されたことで大幅に増加しています。
今後は、東南アジアやインドの需要回復、潜在需要の高い中東での普及拡大など、新興国における拡販により市場は拡大し、2030年には2024年比12.5%増の2億39万台が予測されます。なお、中国の需要は特需後の反動で2028年まで減少しますが、2029年以降増加に転じるとみられます。日本の需要は熱中症予防の呼びかけにより増加していますが、2027年にルームエアコンの省エネ基準の引き上げが予定されており、値上げなどによる需要減少が予想されます。
最大生産地は中国で、2025年市場見込の71.3%を占めています。次いで東南アジアが10.8%を占めています。中国系メーカーは、米国の関税措置により輸出に対する制約が強まっていることから、タイに拠点を増設し近隣国や欧米へ輸出する体制に向かっています。また、インドにおける保護経済政策に対応し、現地生産体制への転換を図る企業も増加しており、今後は新興国での生産拡大が予想されます。
メーカーシェア 2025年見込
メーカーシェアをメーカーの本社所在地によって国・地域別に集計しました。
世界シェアの上位3社が中国系メーカーであることから中国/台湾系が市場の7割近くを占めています。2025年は東南アジアやインドの需要が伸び悩んだ影響を受けた企業が多くみられましたが、中国系メーカーは競争力を高め、力強い伸びを見せました。なお、中国系メーカーは、不動産不況を背景に、今後は中国内需の低迷が懸念されるため、海外需要の取り込みが課題となっています。
2.洗濯機/洗濯乾燥機の世界市場
市場規模推移
2025年の市場は、前年比3.4%増の1億2,221万台と見込まれます。最大需要地は中国で、市場の38.9%を占めています。次いで欧州・ロシアが12.3%、インドが11.0%、北米が9.8%を占めています。需要は先進国で伸び悩んでいますが、新興国では所得増加を背景に比較的安定しています。また、中国では補助金政策によって増加しています。
先進国では製品の普及率が高く需要の伸びが鈍化していますが、インドや中東では潜在需要がまだ高いことから、市場は拡大推移し2030年には2024年比7.1%増の1億2,651万台が予測されます。なお、中国は特需後の反動から2029年まで需要減少が予想されます。
最大生産地は中国で、2025年市場見込の56.2%を占めています。次いで東南アジアが12.3%、インドが10.5%、欧州・ロシアが8.6%を占めています。洗濯機の最寄化生産に取り組む企業が増える中で、中東・アフリカをはじめとした構成部品の多くを輸入調達しているエリアにおいては、関税政策の影響を受けやすく、足元の生産コストは高騰していますが、今後の潜在需要の顕在化を見据えて現地生産を進める中国系メーカーがみられます。また、経済成長著しいインドで事業拡大を進める韓国系メーカーもみられます。
メーカーシェア 2025年見込
世界シェア上位5社のうち、4社が中国系メーカー、もしくは韓国系のメーカーであることから中国/台湾系が44.9%、韓国系が22.1%を占めています。中国系メーカーは、近年自社ブランドのほか、OEM/ODM生産の実績も高まっており、小売店のプライベートブランド製品の拡販が目立っています。
3.冷蔵庫の世界市場
市場規模推移
2025年の市場は、前年比2.0%増の1億2,296万台と見込まれます。最大需要地は中国で市場の35.3%を占めています。次いで欧州・ロシアが13.7%、インドが11.4%、北米が10.7%を占めています。需要は先進国で伸び悩んでいますが、新興国を中心とする国・地域では底堅いです。
2030年の市場は、2024年比5.6%増の1億2,734万台が予測されます。中国は、補助金政策によって2025年は一時的に需要が増加していますが、以降、2029年まで減少すると予想されます。日本の需要は、新型コロナの流行を背景に中食需要が高まり、冷凍容量の大きな冷蔵庫が伸びていますが、全体的には2028年まで減少するとみられます。
最大生産地は中国で、2025年市場見込の52.0%を占めています。次いで東南アジアが12.2%、インドが11.4%、欧州・ロシアが10.8%、中南米が8.1%を占めています。中南米のメキシコなどでは、関税引き上げ前にメーカーが生産量を増やす動きがみられました。また、東南アジアでは中国系メーカーが輸出のハブ拠点として生産能力を高めており、新興国の需要を取り込みつつ、欧米向け生産体制の強化を図っています。
メーカーシェア 2025年見込
世界シェア上位5社のうち、4社が中国系メーカー、もしくは韓国系のメーカーであることから、中国/台湾系が47.3%、韓国系が18.9%を占めています。東南アジアや日本で競争力を高めている中国系メーカーがみられ、それらは日本ではOEM生産のほか、自社ブランドの拡販にも注力しています。
【参考】本記事で使用した「グローバル家電市場総調査 2026」に掲載している調査対象市場
衣住関連
- 洗濯機/洗濯乾燥機
- 衣類乾燥機
- アイロン
- 掃除機
- ロボット掃除機
- 浄水器
- アルカリイオン整水器
- 温水洗浄便座
調理関連
- 冷蔵庫
- 電子レンジ/オーブンレンジ
- IHクッキングヒーター
- 食器洗浄乾燥機
- トースター
- ジューサー/ミキサー
- コーヒー/エスプレッソマシーン
- フードプロセッサー/フードチョッパー
- ホットプレート
- ホームベーカリー
- 電気ケトル
- 炊飯器
- ワインクーラー
- 自動調理鍋
空調/給湯関連
- ルームエアコン
- パッケージエアコン/ビルマルチエアコン
- 電気給湯器
- 換気扇
- 扇風機
- 空気清浄機
- 除湿機
- 加湿器
- シーリングファン
美容/健康関連
- メンズシェーバー
- レディースシェーバー/脱毛器
- 光脱毛器
- ヘアドライヤー
- ヘアアイロン
- 美顔器
- 電動歯ブラシ
- 血圧計
- 体重計/体組成計
- 体温計
- マッサージチェア
◆本記事は「グローバル家電市場総調査 2026」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。