本文にスキップする

富士経済グループ 市場調査サポートサイト

固体酸化物形電解セル(SOEC)型水素製造装置の市場を調査。2045年の世界市場を5兆2,000億円と予測

株式会社富士経済は、脱炭素化とエネルギーシフトが世界的に進み、水素製造・水素利活用の事例が年々増加する中、アルカリ型電解(AWE)や固体高分子型電解(PEM)に次ぐ次世代のグリーン水素製造技術として、アニオン交換膜型電解(AEM)とともに注目を集める、固体酸化物形電解セル(SOEC)型の水素製造装置市場を調査しました。その結果を「固体酸化物形電解セル(SOEC)型水素製造・主要部材に関する調査」にまとめました。

この調査では、SOEC型水素製造装置市場の最新動向を捉え、将来を展望しました。また、関連する技術や企業、プロジェクトの動向をまとめました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「固体酸化物形電解セル(SOEC)型水素製造・主要部材に関する調査」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

◆当該資料の全体サマリー

SOEC型水素製造装置の世界市場

887708.png

SOECは、次世代水素製造技術として注目される技術の一つです。セルスタックはセラミック材料を中心に構成されており、さらに550℃から850℃での高温作動を必要とし、安定的な熱源があれば従来の水電解技術を大幅に上回るエネルギー効率を実現できる点に期待が寄せられています。

2025年のSOEC型水素製造装置市場は32億円が見込まれます。現状は、各国で複数のMW規模の実証事業が進められていますが、産業利用のフェーズには至っていません。2030年ごろまでは実証事業が中心となり、2035年ごろから徐々に商用プラントが立ち上がります。排熱利用によるエネルギー効率改善と、水素利用による低炭素化を進める意向を持つ複数の産業分野において導入が加速し、2045年には5兆2,000億円が予測されます。

市場は海外が先行しています。欧州(ドイツが中心)では、SunfireやTopsoe、Elcogen、Ceres Powerといったセルスタック/装置メーカーが精力的に実証事業を進めています。産業利用に関しては、鉄鋼分野や化学分野、燃料製造での実証事業の中で、SOECの運用ノウハウや耐久性の検証、セルスタックや装置の性能改善が進められています。現状、SOEC型の装置コストは50万円から100万円/kW程度であることから、AWE型やPEM型の装置に対して性能面やコスト面で優位性を訴求できるレベルにはないとみられます。

米国では、SOFC量産メーカーであるBloom Energyや、MCFC(一部SOFCも展開)量産メーカーであるFuelCell Energyなどが原子力発電由来の水素製造を中心に、開発・実証事業を先導しています。Bloom EnergyなどのSOEC型の装置については、セルの一部材料の変更や、構成機器の変更はありますが、基本的にはSOFCで採用する材料や構成機器がベースになることから、価格競争力は高いとみられます。

海外では、製造プロセスにおける排熱利用の余地が残されている産業領域、ユーザーは一定程度存在するとみられ、今後は排熱の有効利用と水素活用による低炭素化を目指すユーザーや、安価な再エネをベースとしたアンモニアやe-メタンなどの燃料・エネルギーキャリアの製造プロジェクトにおいてSOECの活用が増加していくと予想されます。また、金属支持型のセルスタックの開発・実用化も進められており、作動温度の低減や汎用材料の使用が可能となれば、SOEC型の装置コストも10万円/kW程度が期待されます。スタックの耐久性を考慮しても、AWE型やPEM型の装置と十分に競争可能なコスト水準になるとみられます。

国内では、直近は企業の自社工場内や火力発電所内のほか、NEDOや産総研のプロジェクトなど、複数の実証事業が立ち上がっています。2030年ごろまでは、複数の実証事業が進展する中で、SOEC産業利用のノウハウ蓄積、劣化機構の解明・性能改善などが進み、実証規模もMWスケールまで拡大していくとみられます。

国内の産業分野では排熱利用がすでに一定程度行われており、SOEC向けに安定的に未利用排熱を調達できるユーザーは限定的です。SOEC型の装置市場拡大には未利用排熱活用を含めたSOECとの親和性の観点からe-メタンや合成燃料などの新規燃料プラントでの採用がポイントになります。

SOEC型の装置コストについては、現状海外の先進メーカーと比較して高いですが、グリーンイノベーション基金事業「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造」による支援、セルスタックや装置の大型化に伴い徐々にコストが下がり、将来的にはAWE型やPEM型の装置と競争可能な数十万円/kW程度まで低下すると期待されています。

【参考】本記事で使用した「固体酸化物形電解セル(SOEC)型水素製造・主要部材に関する調査」に掲載している調査対象市場

  • 調査対象品目:固体酸化物形電解セル(SOEC)型水素製造装置
  • 事例研究:企業事例(12)、プロジェクト事例(2)

◆本記事は「固体酸化物形電解セル(SOEC)型水素製造・主要部材に関する調査」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。