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機能性エレクトロニクスフィルムの世界市場を調査。車載、AIサーバ、データセンター向けなどで2030年には2023年比で72.3%増の伸長と推計

株式会社富士キメラ総研では、AIサーバーや車載半導体などに使用されている、プラスチックフィルムにコーティングや蒸着などの表面処理、ラミネートなどの多層化加工、フィラーの添加やハイブリッド化などにより機能を付与したエレクトロニクスフィルムの世界市場について調査しました。ディスプレイ分野12品目、半導体分野9品目、基板・回路分野12品目の機能性エレクトロニクスフィルムの市場の現状を把握し、将来を予想しています。本記事では当該資料から一部分となりますが全体像と注目市場を取り上げてご紹介します。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、『2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編』をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

◆当該資料の全体サマリー

1.機能性エレクトロニクスフィルムの世界市場

2030年世界市場予測(2023年比)で、基板・回路分野の機能性エレクトロニクスフィルムは、1兆3,138億円(72.3%増)と推計しています。FPCが車載向け、リジット基板がデータセンター関連機器向けで増加を見込んでいます。半導体分野の機能性エレクトロニクスフィルムは、5,173億円(31.6%増)と推計しています。AIサーバーへの積極的な投資、xEV化や自動車の電装化に伴う採用フィルムが伸長すると見込んでいます。層間絶縁フィルムは、1,295億円(3.1倍)と推計しています。データセンター関連機器、サーバー用CPUなどの用途で堅調な拡大を見込んでいます。

基板・回路分野の市場は、最終製品であるスマートフォンやサーバー、xEVなどの生産動向に強く影響されます。2024年は規模の大きいフィルムの伸びがけん引し、市場は前年比15.0%増の8,767億円が見込まれています。

FPC(フレキシブルプリント基板)関連は、スマートフォンの需要が大半を占めますが、近年はxEVに搭載されるLiB向けが伸びています。2024年までは欧州や中国でのEV市場の停滞の影響を受けてやや伸び悩んでいますが、中長期的には需要増加が予想されています。また、リジッド基板(マザーボード基板、パッケージ基板)で使用されるフィルムはサーバーや高速通信機器などデータセンター関連、中でもAIサーバー関連の需要が増加しており、今後の伸びが期待されています。また、パッケージ基板の大型化や層数増加も採用されるフィルムの伸びに貢献するとみられています。

市場をけん引するフィルムコンデンサー用フィルムは、家電製品や車載システム、産業機器などで幅広く採用されており、近年はxEVの駆動用インバーターや再生可能エネルギー関連で需要が増えています。FCCL(フレキシブル銅張積層板)はスマートフォンの需要が大きくなっていますが、車載電装化に伴うシステム搭載増による採用拡大、また、軽量化を目的としたワイヤハーネスから長尺FPCへの置き換えが進むことなどから、車載向けで伸びています。層間絶縁フィルムは、主にFC-BGA基板に採用され、サーバー用CPUや高速通信機器などデータセンター関連需要の増加に伴い大きく伸びるとみられています。

半導体分野は、2022年から2023年にかけて、エレクトロニクス機器の需要低迷などを背景に半導体メーカーが在庫調整を行ったため、使用されるフィルムの需要も減少しています。2024年はマイコンやパワー半導体などの汎用デバイス市場は低調となりましたが、メモリーや先端ロジックなどサーバーやデータセンターなど通信関連で採用される半導体の需要は増えており、市場は前年比11.1%増の4,366億円が見込まれています。特に、生成AI市場の伸びによりサーバー用CPUやAIアクセラレーターの需要が増加しているため、使用されるフィルムの伸びが続くとみられています。長期的にも生成AI関連の投資拡大、xEVや車載電装化の進展を背景にフィルム市場の拡大が予想されています。

大幅な伸びが期待されるのは非導電性接着フィルム(NCF)となります。AIサーバーに使用されるHBM(High Bandwidth Memory)に使用される接着フィルムであり、生成AI市場の急拡大を背景に需要が増えています。搬送資材で使用されるキャリアテープやカバーテープは、小型化が進んだチップ部品を効率的に取り扱うことができるため、自動化や省人化ニーズの高まりを受けて伸びています。バックグラインドテープは高付加価値品の比率が上昇しています。

ディスプレイ(LCD、OLED)分野は、新型コロナウイルス感染症流行時に特需が起きた反動により、2022年頃までは市場が低迷していましたが、以降は回復に向かっています。2024年はテレビやノートPC、スマートフォンなどの需要が増えたほか、車載ディスプレイが伸びたことにより、市場は前年比9.4%増の1兆630億円が見込まれています。

LCDはTVの大型化により面積ベースで年率3%前後、OLEDはLCDからの需要シフトによって面積ベースで年率5%から8%の成長となっているため、この分野のフィルムも堅調な伸びが予想されています。今後、TVサイズの大型化や車載ディスプレイの搭載台数増加に伴い市場は堅調な拡大が予想されています。

現状は輝度向上フィルムや偏光板保護フィルム、表面処理フィルム、プロテクトフィルム、FPD用離型フィルムなどのLCD関連部材の規模が大きくなっています。今後、高い伸びが期待されるのはミニLED関連部材やOLED関連部材と見込まれます。ミニLEDで使用されるQDシートは、QD-TVの販売増、また、ゲーミングモニターやハイエンドPCモニターでミニLEDバックライトユニットの採用が増えるため、大きく伸びるとみられています。また、OLED関連部材である円偏光板保護フィルムは、OLEDパネルを採用したディスプレイの増加に伴い需要増加が期待されています。

◆注目個別市場サマリー

1.層間絶縁フィルム市場

セミアディティブ工法(SAP工法)で製造される半導体パッケージ基板において、ビルドアップ層を形成する層間絶縁フィルムを対象としています。要求性能が厳しいMPUやCPUにおいて、小型で高密度配線が要求されるFC-BGA基板やFC-CSP基板に使用されています。FC-BGA基板向けが大半を占め、現状、日本メーカーがシェアを独占しており、生産も日本で行われていています。

2023年の市場はサーバーやPCなどセット機器市況の悪化や在庫調整の影響により大幅な縮小となっていますが、2024年はAIサーバーの伸び、FC-BGA基板のサイズアップや層数増加により、前年比10%以上の伸びが見込まれています。今後はサーバーや通信機器市場の回復に伴い、堅調な市場拡大が予想されています。低誘電対応品は、通信機器向けで主にデータセンター内のスイッチICやルーターICで採用が進んでいます。低熱膨張対応品は、サーバー用CPUなど大型のFC-BGA基板の反り防止を目的に採用されています。近年は、低熱膨張と低誘電対応の両立を目指して開発が進められていています。汎用品はゲーム機用SoC(System on Chip)や車載SoCなど民生機器で使用されています。

2.非導電性接着フィルム(NCF)市場

TSV(シリコン貫通ビア)構造のDRAMにおけるウェハー積層時の接合材料と、CPUなどのICチップの一次実装時に用いるフィルム状先付けアンダーフィルを対象としています。

複数のDRAMチップをTSVプロセスで積層するHBMで主に採用されています。AIサーバーに使用されるAIアクセラレーターは、GPUとHBMで構成されるため、生成AI市場の急伸により需要が増えており、2024年の市場は前年比2.2倍が見込まれています。大手HBMメーカーが生産能力を増強しており、HBM向けは堅調な伸びが期待されることから、今後も市場拡大が予想されています。HBM以外でTSVプロセスを使用する3Dパッケージやアンダーフィル用途でも底堅い需要が予想されています。

次世代のHBMチップ間接合技術であるハイブリッドボンディング(接着層を使用せずチップ同士を接合する技術)の使用が拡大すると、NCFの使用が減少するため、2028年以降は伸びが鈍化するとみられています。

【参考】本記事で使用した『2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編』に掲載している調査対象市場

ディスプレイ分野

  • 偏光板保護フィルム
  • 円偏光板保護フィルム
  • 表面処理フィルム
  • フォルダブル用カバーシート
  • 輝度向上フィルム
  • 拡散シート
  • QDシート
  • 透明導電性フィルム
  • ハードコートフィルム
  • OCA
  • プロテクトフィルム
  • FPD用離型フィルム

半導体分野

  • バックグラインドテープ
  • ダイシングテープ
  • ダイボンドフィルム
  • 半導体封止用離型フィルム
  • 非導電性接着フィルム(NCF)
  • マスキングテープ
  • キャリアテープ
  • カバーテープ
  • 後工程テープ用離型フィルム

基板・回路分野

  • ACF
  • FCCL
  • FPC用離型フィルム
  • 層間絶縁フィルム
  • ドライフィルムレジスト
  • ソルダーレジストフィルム
  • 非塗工離型フィルム
  • 放熱シート
  • ノイズ抑制シート
  • 電磁波シールドフィルム
  • フィルムコンデンサー用フィルム
  • MLCC用離型フィルム

◆本記事は『2025年 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編』より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。