株式会社富士経済は、自然災害や記録的な猛暑などの気候変動により需要が変化している清涼飲料類、酒税法改正により需要のシフトが顕著なアルコール飲料、原料価格高騰による値上げから消費変化がみられる嗜好品の3カテゴリー98品目の市場を調査し、その結果を「2025年 食品マーケティング便覧 No.3」にまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2025年 食品マーケティング便覧 No.3」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
調査結果の概要
清涼飲料類は、2023年に価格改定が相次ぎ市場は拡大しましたが、特に嗜好性の高い商品の買い控えにより販売量で苦戦しました。2024年も引き続き価格改定が行われたことで買い控えの対象となった商品が増えており、PBや低価格帯商品への需要シフトがみられます。一方で、健康価値の訴求を強めた高付加価値商品の需要は底堅く、消費者ニーズは二極化が顕著となっています。
果実飲料では原料の供給不足が深刻となり、大容量商品の販売休止や販売抑制を強いられています。無糖炭酸飲料は安価なPBへの需要流出がありますが、食事中など飲用シーンの広がりなどによって、伸びが続いています。また、乳性飲料では猛暑のなかで止渇性の訴求を強めた商品が好調です。
アルコール飲料は、2023年にビール類で酒税法改正が行われ、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料の需要が国産ビール、RTDに流出しました。
2024年も、国産ビールやRTDへの需要シフトが続いており、RTDは食中酒の需要を獲得している無糖商品やハイボールがけん引し好調です。しかし、RTDを中心に前年よりも価格改定の実施が少なく値上げによる市場への貢献が弱いことや、国産ビールが減税により販売価格が低下していることもあり、市場は僅かに縮小するとみられます。
嗜好品は、2023年に市販用でレギュラーコーヒー、インスタントコーヒーなどで値上げによる買い控えがみられましたが、業務用でホテル、外食向けの回復が市場を下支えし、値上げによる単価上昇もあり市場は拡大しました。
2024年は、9月以降に再び値上げが実施され、市販用の伸びが鈍化しています。物価高を背景に節約志向が高まる中、PBや大容量商品など割安感のある商品への需要シフトとともに、ワンランク上の商品の需要増加など消費者ニーズは二極化がみられます。インバウンド需要や外食頻度の高まりによってホテル、外食向けなど業務用が好調であり、市場は引き続き拡大するとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.トマト飲料
トマトを主原料とした飲料を対象とし、レモンなどを配合したフレーバー商品も含みます。
2023年は、トマトの不作によって原料価格が高騰し、価格改定を実施した企業が多かったですが、前年に話題となった美容効果への注目が一層高まり、リコピンの健康価値が改めて評価されたことから販売が伸び、市場は拡大しました。
2024年は、前年に続き価格改定などもみられましたが、健康価値や美容効果を中心としたニーズを獲得しているほか、食塩無添加商品が調理で使われるなど、活用の幅が広がっているため、市場は前年以上に伸びるとみられます。
健康を訴求した飲料商品が増加する中、競合激化による需要の流出などが懸念されますが、健康訴求に加え美容効果が若年層に広く認知されつつあることや、トマトにレモネードを配合した「TOMA 'NADE」(伊藤園)が発売され、飲みにくさなど味覚面でトマトジュースを敬遠していたユーザーを取り込んでいるため、今後も市場は拡大するとみられます。
2.ビール類
ビール類は、国産ビール、国産発泡酒、国産新ジャンルビール風味アルコール飲料(第三のビール)、輸入ビール類、クラフトビールを対象とします。
2023年は、値上げ分の寄与や、コロナ禍からの業務用の回復がみられたほか、10月に酒税法が改正され、減税により値下げとなった国産ビールが大幅に伸長しました。一方、増税となった国産新ジャンルビール風味アルコール飲料は割安感が無くなったため大きく低迷しました。
2024年は、前年の酒税法改正を機に、量販店などでは国産ビールの品揃えを増やし、国産発泡酒や国産新ジャンルビール風味アルコール飲料の棚を縮小する動きがみられます。量販店の棚陳列の効果もあり、国産ビールは「晴れ風」(キリンビール)が大ヒットするなどスタンダードビールが好調です。一方、クラフトビールや輸入ビール類は割安感が高まった国産スタンダードビールに需要が流れており、苦戦しています。ただし、国産ビールはスタンダードビールが好調ですが、減税による単価の低下やプレミアムビールの苦戦により市場は縮小が予想されます。
今後は、2026年の酒税一本化に向けて、メーカーや量販店は国産ビールへの注力度をますます高めるとみられます。国産ビールは当面伸びますが、長期的には、若年層のビール離れやノンアルコールニーズの高まりへの対応など課題も多く、ビール類市場は縮小が予想されます。
3.ウイスキー
2023年は、前年に続き長期熟成の付加価値ブランドを中心に国産ウイスキーへの注目度が高まりました。輸入ウイスキーを含めて価格改定が行われましたが、需要減少や買い控えなどはみられず、前年比二桁増となりました。
2024年は、参入メーカーが国産、輸入双方で付加価値商品の拡販に注力しています。また、引き続き若年層へのハイボール提案に注力することで料飲店での需要も伸びており、市場拡大が続くとみられます。
人気なのは長期熟成の付加価値ブランドですが、原酒不足による供給不安に直面しており、安定した供給体制が整うまでは、他のアルコール飲料への需要流出が懸念されます。一方で、上位メーカーでは長期的な安定供給に向けた設備投資も行われており、今後も市場拡大が予想されます。
4.ココア
2023年は、テレビ番組でダイエット効果が紹介され、その後YouTubeなどSNSで話題となり、市場は3年ぶりに拡大しました。2024年は、カカオ原料の高騰による値上げが実施されたほか、ココアのダイエット効果がSNSで継続的に取り上げられ、話題になることが続いており、機能性表示食品商品や無糖タイプを中心に好調なため、市場は拡大するとみられます。
これまでも数年おきにTV番組などで紹介され、腸活や快眠などの健康性に着目した一時的な需要増加とブームの収束を繰り返してきましたが、SNSで継続的に取り上げられることで宣伝効果が続き、今後も市場拡大が予想されます。
【参考】本記事で使用した「2025年 食品マーケティング便覧 No.3」に掲載している調査対象市場
清涼飲料類
- 100%果汁飲料
- 果汁飲料
- 低果汁入清涼飲料
- 果粒含有果実飲料
- 果肉飲料
- トマト飲料
- 野菜飲料
- 果実野菜混合飲料
- コーラフレーバー飲料
- 透明炭酸飲料
- 果汁系炭酸飲料
- ジンジャーエール
- 乳類入炭酸飲料
- 無糖炭酸飲料
- 飲用牛乳類
- 乳飲料
- 乳製品乳酸菌飲料
- 乳酸菌飲料
- ドリンクヨーグルト
- 乳類入清涼飲料
- 缶コーヒー
- リキッドコーヒー
- 紅茶(リキッドタイプ)
- ウーロン茶(リキッドタイプ)
- 日本茶(リキッドタイプ)
- 麦茶(リキッドタイプ)
- ブレンドティ
- その他ティードリンク
- バラエティドリンク
- 缶入りスープ
- 食系ドリンク
- 薬系ドリンク
- 健康サポート飲料
- パウチゼリー飲料
- 機能性清涼飲料
- スポーツドリンク
- 粉末機能性清涼飲料スポーツドリンク
- 豆乳類
- アーモンドミルク
- ビネガードリンク(ストレート)
- 国産ミネラルウォーター類
- 輸入ミネラルウォーター類
- サワードリンク
- トニックウォーター
- 乳幼児向け飲料
- 殺菌乳製品乳酸菌飲料(コンク)
- ビネガードリンク(コンク市販用)
- 希釈飲料
- チルドスープ
アルコール飲料
- 清酒
- 合成酒
- 焼酎甲類
- 焼酎乙類
- 甲乙混和焼酎
- 韓国焼酎
- RTD
- チューハイ
- レモンサワー
- 水割り洋酒ハイボール
- ノンアルコールドリンク
- ウイスキー
- ブランデー
- ビール類
- 国産ビール
- プレミアムビール
- 国産発泡酒
- 国産新ジャンルビール風味アルコール飲料
- 輸入ビール類
- クラフトビール
- 機能型ビール類
- ノンアルコールビール
- スピリッツ
- 国産ワイン
- 輸入ワイン
- スパークリングワイン
- 梅酒
- リキュール類
- レモンサワーの素
- マッコリ
嗜好品
- レギュラーコーヒー
- 簡易抽出型コーヒー
- ポーションコーヒー
- インスタントコーヒー
- スティックタイプコーヒー
- インスタントティー
- ココア
- スティックタイププレミックス飲料
- 紅茶(ティーバッグリーフ)
- 緑茶
- 緑茶ティーバッグ
- 粉末緑茶(市販用)
- 麦茶
- その他茶
- 健康茶(市販用)
- 甘酒
- 粉末飲料
- 青汁
- 麦芽ドリンク
◆本記事は「2025年 食品マーケティング便覧 No.3」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。