株式会社富士経済は、製造業を中心とした脱炭素対策の推進や、DX化に伴う需要急増に対応する半導体関連工場の新設・増強によって市場拡大が期待されるEMS(エネルギーマネジメントシステム)の関連市場を調査し、その結果を「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2024」にまとめました。
この調査ではEMSとその関連システム8市場(EMS5市場、関連システム3市場)、関連サービス4市場、関連ハードウェア16市場の最新動向をまとめ、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2024」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.EMS関連(EMS、関連システム、サービス、ハードウェアの国内市場
脱炭素やDXといったメガトレンドの中、製造業を中心に脱炭素対策への注力度が高まっています。サプライチェーンにおけるCO2の総排出量(SCOPE3)把握ニーズが高まったことで、エネルギーの見える化を実施する企業が大企業だけでなくサプライチェーンに関わる中小規模の企業へと広がっています。また、再エネの自家消費に関連した太陽光発電システム関連設備や蓄電システムのニーズも高まっています。DX化に関連するものとしては、半導体関連製造拠点やデータセンターの新設・増設が活発であり、それに伴う設備投資の影響で主に関連ハードウェア市場に好影響をもたらしています。
将来的には見える化を経てエネルギー削減のフェーズへ移行し、運用改善や省エネ、再エネ利用に関するシステムやサービスの市場が拡大していくと予想されます。また人手不足により設備管理の省力化ニーズも年々高まっており、自動化や省力化関連の市場も伸びていくとみられます。
2.主要なEMS、サービス市場
BEMS(Building EMS)は、BASとエネルギー監視特化型システムに大別されます。
BASは、主に延床面積が数万㎡規模以上の大規模施設でビル管理ツールとして利用され、サブシステムとしてBEMSの機能を持っています。首都圏を中心とした再開発プロジェクトの進展で需要は堅調であり、2023年度は前年度までの受注残への対応が進められていますが、システムベンダーの人手不足により、引き合いに対応仕切れないケースもみられます。今後は更新案件も増えていき、2020年代後半まで需要は旺盛であるとみられます。将来的には人口減少やオフィス需要の減少により採用が減る懸念がありますが、人手不足による建物管理の省力化ニーズが高まり、多拠点統合管理用途や導入コストに対する抵抗感が大きい中小規模施設で、クラウドベースのシステムが普及し市場をけん引していくと予想されます。
エネルギー監視特化型システムは、近年は小売電気事業者における付加サービスとしての設置増加が市場をけん引してきましたが、2023年度は燃料価格高騰に伴って小売電気事業者の展開は消極的です。一方で製造業において省エネ・脱炭素の取り組みとして、電気料金高騰に伴うエネルギーコスト削減対策や、二酸化炭素排出量把握に向けたエネルギー使用状況の可視化に取り組むケースがみられ、市場は微増が予想されます。将来的には世界的な脱炭素化の加速により、中小規模事業者における省エネニーズの高まりが期待されます。
CEMS(Community EMS)は、特定の地域・街区における住宅や業務・産業施設のエネルギー使用状況などを統合的に管理するためのシステムです。近年、CEMS導入によるエリア全体の脱炭素化やエネルギー需給最適化の実現と、それにより地域の高付加価値化を実現できるため注目度が高まっています。エリア再開発や、製造業をはじめとした事業者による遊休地を活用したCRE(Corporate Real Estate)案件、環境省の「脱炭素先行地域」事業に関連した地域エネルギーマネジメントなどが増えており、今後も市場拡大が続くとみられます。
HEMS(Home EMS)は住宅向けが対象であり、家庭内のエネルギーの見える化や設備機器の制御などを行うためのシステムです。直近では太陽光発電システムの発電量や蓄電システムの蓄電容量の見える化などを目的に導入され、電気代高騰を背景に太陽光発電システムや蓄電システムを搭載した住宅が増加していることや新築戸建住宅のZEH比率の上昇により、市場が拡大しています。一方で、住宅価格高騰により高機能なHEMSが導入されにくいことや、低価格なHEMSの普及により市場は2030年度以降マイナスに転じると予想されます。
◆注目個別市場サマリー
見える化ツール【EMS関連ハードウェア】
主に業務・産業施設で採用されるエネルギーの使用状況を可視化するための電力計測機器やデータ収集機器を対象とします。「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」の対象になる大規模事業所においてエネルギー管理システムの構築用途で採用されてきました。
近年はカーボンニュートラルへの取り組みが加速するなか、サプライチェーンにおける環境負荷の把握の必要性が高まっています。大手企業と取引する中小規模の事業者においても製造時のエネルギー利用状況の把握が求められ、見える化ツールの導入が増加しています。
今後、脱炭素経営の定着により、現状はエネルギー見える化を実施していない中小規模の事業者まで採用が広がっていくと予想されます。また労働力不足に伴ってエネルギー管理や設備管理の省力化システムのニーズが高まり、市場を後押しすることも期待されます。
【参考】本記事で使用した「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2024」に掲載している調査対象市場
EMS・関連システム
- HEMS(住宅向け)
- REMS(店舗/商業施設向け)
- FEMS(産業施設向け)
- CEMS(地域/街区向け)
- 空調設備監視制御システム
- 発電設備監視制御システム
- 蓄電設備監視制御システム
EMS関連サービス
- デマンドレスポンスサービス
- 設備監視サービス
- エネルギーサービス(ESCO/ESP)
- 高圧一括受電サービス
EMS関連ハードウェア(発電・蓄電分野)
- 需要家用蓄電システム
- V2X
- ハイブリッドパワーコンディショナ
- コージェネレーションシステム
EMS関連ハードウェア(送配電・受電分野)
- 見える化ツール
- 分電盤
- キュービクル式高圧受電設備
- 電力スマートメーター
- ガススマートメーター
- 水道スマートメーター
- 発電所併設/系統用蓄電システム
- ガス絶縁開閉装置
- 配電用変圧器
- 絶縁監視装置
- 保護継電器
- 直流給電システム
◆本記事は「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2024」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。