株式会社富士キメラ総研は、自動運転技術の高度化に伴うシステム構成変化や各センシングデバイスの高性能化、コネクテッドカーの普及や5G 通信へのシフト、また、ソフトウェアによる自動車の機能を更新するSDV(Software DefinedVehicle)化の進展に伴うECU 統合などのトレンドを踏まえて、拡大が続く車載電装システムの世界市場を調査し、その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 上巻」にまとめました。
この調査では、車載電装システムやシステムに搭載されるデバイスの市場の現状を把握し、将来を予想するとともに、システム構成の変化や機能の統合・連携に向けた動き、技術開発の方向性などに対する自動車メーカーや部品・材料メーカーの取り組みを捉えました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 上巻」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.車載電装システムの世界市場
xEVの普及、自動運転技術やデジタルコックピット化の進展により、順調な市場拡大が予想されます。
xEV系は、中国や欧州を中心にEV販売が急増していることから大きく伸びています。今後も各自動車メーカーが、EVをはじめHVやPHVを含めたxEVの発売を強化することから、市場拡大をけん引するとみられます。
走行安全系は、ADAS などの搭載が急速に進んでいます。今後も自動車生産台数の伸びに伴うシステム需要の増加、また、高単価な自動運転システムの搭載が増えることなどから、堅調な伸びが予想されます。
情報系は、安全性や車内の快適性向上を目的として、IVI/HMIシステムや車外通信システム、電子インナーミラーなどを中心に搭載が増えています。今後は、電子サイドミラーや車内モニタリングシステムなどの搭載も増加するとみられます。
パワートレイン系は、当面は自動車生産台数の伸びに伴い需要が増加しますが、EVの普及により2027年頃をピークに縮小すると予想されます。しかし、各自動車メーカーはパワートレインを搭載するHVやPHVも含めた展開を想定しているため、急激な縮小は回避されるとみられます。
ボディ系は、自動車生産台数の増加とシステムの高機能化による単価上昇により伸長が予想されます。オートエアコンやヘッドランプの堅調な伸びや、デジタルキーの需要増加が期待されます。
2.車載電装デバイス・コンポーネンツ の世界市場
xEV系システムやADAS・自動運転システムの搭載増加により市場は堅調に拡大しています。
xEV関連デバイスは、二次電池の大容量化・高出力化 が進むPHVとEVの販売増により、大きく伸びています。今後もEVやPHVの販売増とともに、インバーターモジュールやOBC(オンボードチャージャー)の高機能化、二次電池の大容量化が一層進展するため、大幅な伸長が予想されます。
センサーモジュール/アクチュエーターモジュールは、ADAS関連で採用されるセンシングカメラやフロント検知/周知検知レーダー、LIDARなどが大きく伸びています。センシングカメラは、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)の搭載義務化により伸びており、また、対象物を識別できるため、今後は自動運転技術のベースとなるセンサーとして搭載が進むとみられます。フロント検知/周知検知レーダーはサブセンサーの位置付けで搭載が進むと予想されます。LIDARは、中国の一部高級車への搭載増加や、複数個を搭載する車種が登場したことなどから、大幅に伸びています。リアルタイムの高解像度マッピングと物体検出が可能なため、自動運転化の進展とともに需要が増えるとみられます。当面は高級乗用車やMaaS車両を中心に搭載が進み、2030年以降は自動運転技術の普及により一層の需要増加が予想されます。
入出力系デバイスは、車内の快適性向上や車載システムの電動化を受けて、各デバイスが堅調に伸びています。
◆注目個別市場サマリー
1.駆動用モーター、補機モーター
駆動用モーターは、xEVの駆動用モーターとマイルドHVのISG/BSG(補助駆動)用モーターを対象としました。xEVの普及に伴う長期的な需要増加に加え、AWD(全輪駆動車)の生産増加や出力向上を受けた製品単価の上昇も市場拡大に寄与すると予想されます。エリア別では、xEVの普及で先行する中国の市場が、現状では最も大きいです。今後、xEVへのシフトが進むことから、すべてのエリアで大きく伸びるとみられます。
補機モーターは、電動オイルポンプ、電動ウォーターポンプ、電動パワーステアリング、ISG/BSG、冷却ファン、電動過給機、電動パーキングブレーキで使用されるモーターを対象としました。xEVの冷却機構は電動化が益々進むため、採用が増えるとみられます。また、内燃自動車でも機械式から電動化にシフトしており、市場拡大を後押しするとみられます。
2.デジタルキーシステム
スマートフォンを介して施錠/解錠/起動を行うシステムです。セルラー通信を使用してクラウドシステムを通じて作動するタイプや、BLE(Bluetooth Low Energy)により車両と通信して作動するタイプが主流ですが、今後はUWB(超広帯域無線通信)タイプの採用増加が予想されます。
現状、オプションでの搭載が多いですが、コネクテッドサービスの活用が増えることにより、デジタルキーシステムの認知度も高まり、販売が増えるとみられます。2035年には自動車生産台数の2割を超えるシステム数が出荷されると予想されます。
エリア別では、欧州での採用が先行するとみられます。BMWなどの高級車でUWBを用いたタイプが採用されています。大手部品メーカーがUWBタイプの開発を進めており、2020年代後半から搭載率が上昇するとみられます。日本はBLEを用いたタイプが主流ですが、2020年代後半から徐々にUWBタイプの採用が増えると予想されます。中国では、一部の自動車メーカーで搭載が始まっており、独自規格を策定する動きもありますが、将来的にはUWBタイプの普及が進むとみられます。
3.IVI/HMIシステム
車両に搭載された通信機能を用いて情報や娯楽などのコネクテッドサービスが利用できるIVI(In-Vehicle Infotainment)システム、車載メーターやIVI、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、エアコンパネルなどの各表示系デバイスを一つのコックピット系ドメインコントローラーで統合制御するHMI(Human Machine Interface)システムを対象とします。
IVIは、カーナビを発展させた製品としての位置づけが強いです。現状は高級車への搭載が中心ですが、今後は大衆車にも車載通信モジュール内蔵のTCU(テレマティクス・コントロール・ユニット)が標準搭載されるため、短期的に市場は拡大するとみられます。2030年以降は、統合制御が可能なコックピットシステムが普及することから、市場は縮小に転じるとみられます。
HMIは、各自動車メーカーが提供しているコネクテッドサービスとの連携が難しい点や、SoC(System-on-a-Chip)などの半導体が高価である点、複数機能を統合制御するための調整や設定が難しい点などの課題があります。しかし、電動化および自動運転技術の進展を見据えた際には統合制御の利点が大きいため、それらの課題への対応や一層の軽量化・高機能化に向けた開発が進められており、今後の需要増加が予想されます。
【参考】本記事で使用した「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 上巻」に掲載している調査対象市場
車載電装システム
パワートレイン系
- エンジンマネジメントシステム
- 変速制御システム
xEV系
- HV/PHVシステム
- EV/FCVシステム
走行安全系
- ブレーキシステム(ABS/ESC)
- パワーステアリング制御システム
- ADAS/自動運転システム
- エアバッグシステム
ボディ系
- ボディ統合制御システム
- オートエアコンシステム
- ヘッドランプシステム
- 電子キーシステム
xEV系
- 車外通信システム
- IVI/HMIシステム
- 車載メーターシステム/HUD
- カーナビ/ディスプレイオーディオ/カーオーディオ
- 電子ミラーシステム
- 車内モニタリングシステム
デバイス&コンポーネンツ
センサーモジュール/アクチュエーターモジュール
- レーダーセンサー
- 車載カメラ
- LIDAR
- 超音波センサー
- 生体センサー
入出力系デバイス
- ディスプレイ/タッチパネル
- LEDパッケージ
- 車載マイク
- シャークフィンアンテナ
- 補機モーター
- その他小型モーター
入出力系デバイス
- インバーターモジュール
- DC-DCコンバーター
- 駆動用モーター
- 二次電池
- OBC
◆本記事は「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 上巻」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。