株式会社富士キメラ総研は、対話型AI「ChatGPT」の登場以降、注目度が急速に高まり、実用化に向けた取り組みが加速している生成AI関連の国内市場を調査し、その結果を「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」にまとめました。
この調査では、AI市場をビジネスカテゴリー別(サービス、アプリケーション、プラットフォーム、インフラ)に分類し、市場動向や参入ベンダーについて分析しました。中でも生成AI/LLMにフォーカスし、利用実態や今後の有望分野など市場の将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
AI(生成AIを含む)の国内市場
AIシステム開発/構築にともなうSIサービスや、AIが搭載されたアプリケーション、AI機能を提供するプラットフォーム、AI活用のリソースであるインフラを対象とします。
2024年度のAI市場は前年度比29.1%増の1兆4,735億円が見込まれ、2028年度には2兆7,780億円が予測されます。現状では、従来AIの比率が高いですが、市場拡大をけん引しているのは生成AIです。
生成AIは、2022年11月の対話型AI「ChatGPT」の登場により 一気に注目が集まりました。世界中でLLMの開発やLLMをベースとした新規サービス/ソリューションの創出、実用化に向けた取り組みが加速し、国内ベンダーも国産LLM開発やLLM導入支援ソリューションなどの体系化を進めています。政府もLLM開発に取り組むスタートアップ企業の支援や生成AI関連のガイドライン策定を進めるなど、取り組みを活発化させており、2024年度の生成AI市場は前年度比3.0倍の4,291億円が見込まれます。
今後は、生成AIの採用が増加し従来AIとの併用・連携が進むことで、これまで以上の業務変革やイノベーション創出が可能となり、市場拡大が予想されます。また、現状では生成AIシステムを構築する基盤モデルや生成AIを搭載したアプリケーションを単体で利用することが多いですが、回答精度向上に向けたRAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)の活用、既存の基盤モデルをベースとしたファインチューニング(追加学習)の普及による独自の基盤モデルの開発が活発化し、生成AIの適応業務領域が広がることで、2028年度の生成AI市場は2023年度比12.3倍の1兆7,397億円が予測され、AI市場の6割程度を占めるとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.大規模言語モデル(LLM)
LLMとは、大規模な「計算量」「データ量」「パラメーター数」を前提とした深層学習によって開発された言語モデルです。市場はLLMとの応答を行うことが可能なクラウドAPIサービスの利用料を対象とします。
「ChatGPT」が公開されて以降、生成AIへの注目は高まり、LLMとの対話を自社システムやサービス、アプリケーションに組み込む需要が高まりました。また、2023年1月に「Azure OpenAI Service」が公開され、OpenAIの「GPT」シリーズがAPIサービスとして利用可能になったことで急速に普及し、市場拡大が続いています。
2025年度以降は、「GPT」シリーズのように汎用的な会話を得意とするLLMに加え、専門用語を学習した業界/領域特化型LLMや、応答速度の高速化と推論コストを低減した軽量LLMなど、多様なLLMの登場が予想されます。これにより、業界特有の業務への適応も可能となり、市場は大幅に拡大するとみられます。
業種別の利用状況をみると、最も利用が進んでいるのは、情報通信です。業務へのLLM活用に加え、自社プロダクト/サービスへのLLMの組み込みが進んでいます。製造や流通、サービスでは、大手企業を中心に自社業務システムへの活用を進め、営業や製品開発など幅広いシーンでLLMの利用を行っています。
2.対話型生成AIチャットボット
生成AIの活用により汎用的な業務支援が可能なチャットボットを対象とします。ほかの製品のオプションとして提供されるものや、APIを通じてLLMと対話するサービスは含みません。
法人向けの対話型生成AIチャットボットとしては、「Azure OpenAI Service」をベースとして提供されることが多いです。APIを利用するだけで生成AIをチャットボットに実装することが可能なため、2023年度初頭からシステムインテグレーターやクラウドインテグレーター、AIベンダーなどを中心に、多数の企業が市場へ参入しました。
2023年度、2024年度と導入が増えており、今後も市場拡大が予想されます。しかし、機能面での差別化を図ることが難しくなっており、参入企業の増加によって価格競争が激化し低価格化が進んでいます。
業種別の利用状況をみると、汎用性の高い製品のため、製造、流通、サービスなど事業者数の多い業種が占める比率が高いです。また、情報通信では、自社で「Azure OpenAI Service」を利用して独自の生成AIチャットシステムを構築するケースも多いため、比較的導入は少ないです。
3.AI向けGPUサーバー/GPUクラウド
GPUサーバーは、CPU(中央演算処理装置)に加えGPU(画像処理装置)を搭載したサーバー設備、GPUクラウドは、GPUサーバーをインターネット経由で使えるクラウドサービスです。
GPU(Graphics Processing Unit)は従来、画像処理を目的に利用されていましたが、大量の並列演算処理を得意とすることから、AIを活用した技術研究や学習を目的に研究機関や教育機関、AIベンダーなどで利用が進み、市場が形成されました。
2023年度は、生成AIの学習用途を目的に、より高速かつ安定した計算処理を求めて、GPUチップの調達が困難になるほど需要が高まりました。2024年度も、生成AIの利用検討が積極的にされていることから引き続き好調です。前年度みられた大幅な納期遅延も徐々に解消しつつあり、市場は前年度比3.5倍の1,697億円が見込まれます。
GPUサーバーはクラウドサービスプロバイターによるGPUクラウドサービス提供を目的とした導入や、研究/教育機関向けでの大規模な導入が続いており、今後も好調な市場拡大が予想されます。一方で、GPUサーバーは高価で設備投資が莫大となるため、短期利用を目的とする企業や中小企業などでは初期コストが抑えられるGPUクラウドの需要が高いです。生成AIの活用ニーズが広がっている中、ユーザーの裾野が広がっており、 GPUクラウドの性能や提供形態などの利便性・柔軟性が向上することで、需要が高まっていくとみられます。
【参考】本記事で使用した「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」に掲載している調査対象市場
サービス
- アノテーション
- 秘匿化ソリューション
- 戦略策定・ガバナンス構築
- 構築・分析サービス
- データ分析基盤構築
- GPUサーバー設計・構築
- AI人材教育サービス
アプリケーション
- 対話型生成AIチャットボット
- 統合コミュニケーションサービス向け生成AIオプション
- AIコーディングアシスタント
- AI-OCR
- ハイパーオートメーション
- 自動応答
- FAQナレッジ管理
- 翻訳/通訳
- 議事録作成
- eKYC
- AI外観検査
- AI行動分析
プラットフォーム
- AIエンジン
- RAG連携向け検索エンジン
- 大規模言語モデル(LLM)
- AI/MLプラットフォーム
インフラ
- GPUサーバー/GPUクラウド
- 高電力ハウジングサービス
ベンダー
- グローバルベンダー5社
- 国内AIベンダー7社
- 国内ソリューションベンダー5社
◆本記事は「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。